リチャード・キルティ

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リチャード・キルティ Portal:陸上競技
Pedros Cup 2015 Łódź, Richard Kilty 01.jpg
ペドロカップ2015
選手情報
ラテン文字 Richard Kilty
愛称 Teesside Tornado
(ティーズサイド・トルネード)
国籍 イギリスの旗 イギリス
競技 短距離走
種目 60m, 100m, 200m
生年月日 (1989-09-02) 1989年9月2日(29歳)
出身地 イングランドの旗 ストックトン=オン=ティーズ
身長 184cm
体重 79kg
コーチ担当者 Benke Blomkvist
成績
オリンピック 4x100mR:5位(2016年
世界選手権 100m:準決勝3組8着(2015年
4x100mR:決勝途中棄権(2015年
地域大会決勝 ヨーロッパ選手権
100m:失格(2016年)
4x100mR:優勝(2014年
国内大会決勝 英国選手権
100m:4位(2014年)
200m:2位(2013年)
自己ベスト
60m 6秒49(2014年)
100m 10秒01(2016年)
9秒92w(2016年)
150m 15秒32(2014年)
200m 20秒34(2013年)
400m 48秒58(2013年)
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リチャード・キルティRichard Kilty1989年9月2日 ‐ )は、イギリス陸上競技選手。専門は短距離走100mで10秒01、200mで20秒34、室内60mで6秒49の自己ベストを持つ。2014年ソポト世界室内選手権男子60mの金メダリストである。

経歴[編集]

小さい頃からスプリンターとして活躍。2001年には200mで11歳イギリス記録保持者、2002年には室内50mと60mでU13イギリス記録保持者となった[1]。2006年と2007年には英国学校選手権の100mを連覇した。

2012年[編集]

6月に英国選手権男子200mで決勝に進出するも、ハムストリングスが痙攣した影響で8位に終わり、ロンドンオリンピック男子200mの参加標準記録A(20秒55)を突破していながらイギリス代表の座を逃した[2]

2013年[編集]

7月7日に200mで20秒34(-0.1)の自己ベストおよびモスクワ世界選手権男子200mの参加標準記録A(20秒52)を突破すると、1週間後の英国選手権男子200mは20秒50(+2.4)で2位に入った。この結果、モスクワ世界選手権男子4×100mリレーのイギリス代表に選出された[3]。8月のモスクワ世界選手権では、男子4×100mリレー予選でイギリスチーム(キルティ、ハリー・アイキネス=アリエティジェームズ・エリントン英語版ドウェイン・チェンバース)の1走を務め、38秒12をマークしての決勝進出に貢献した(キルティは予選だけの出場。決勝のイギリスはオーバーゾーンで失格)[4]

2014年[編集]

3月にソポト世界室内選手権男子60mに出場。大会前までの自己ベストは6秒53だったが、予選を全体1位の6秒53[5]、準決勝を全体2位の6秒52で突破し[6]、両レースで自己ベストをマークして決勝に進出した。迎えた決勝では白人歴代2位の記録となる6秒49をマークし[注 1]マーヴィン・ブレイシー英語版(6秒51)やフェミ・オグノデ(6秒52)らを破り金メダルを獲得した[8]

2015年[編集]

3月のヨーロッパ室内選手権男子60m決勝を6秒51で制し、世界室内選手権とヨーロッパ室内選手権の男子60mで金メダルを獲得した史上3人目のイギリス人選手となった[9][10]。5月17日にイタリアで行われたガヴァルド・ミーティング男子100mで自身初の10秒0台となる10秒09(+0.6)をマークすると[11]、6月7日に地元イギリスで行われたダイヤモンドリーグバーミンガムグランプリ男子100mでは自己ベストを0秒04更新する10秒05(+2.0)をマーク[12]。その後、怪我のため7月の英国選手権は欠場した[13]。 8月の北京世界選手権男子100mと4×100mリレーに出場。個人種目初出場となった100mは予選で10秒12(-0.3)をマークし、タイムで拾われて準決勝に進出したが[14]、準決勝は10秒20(-0.4)の組8着で敗退した[15]。前回大会に続いて出場した4×100mリレーは予選と決勝の両方でイギリスチームの1走を務めたが、決勝のイギリスチーム(キルティ、ダニエル・タルボット英語版、ジェームズ・エリントン、チジンドゥ・ウジャ)はアンカーにバトンが渡る直前までメダル圏内だったものの、バトンが渡らず途中棄権に終わった[16]

2016年[編集]

5月29日のガヴァルド・ミーティング男子100mで9秒92(+4.4)をマークし、追い風参考記録ながら初めて10秒の壁を突破した[17]。6月25日の英国選手権男子100m決勝は10秒05(+3.0)の6位に終わったが[18]、最終的にリオデジャネイロオリンピック男子4×100mリレーのイギリス代表に選出された[19]。7月のヨーロッパ選手権では初の個人種目出場となった男子100mで決勝に進出するも、8日の決勝はフライングを侵して失格に終わった[20]。7月16日にはヘクサム英語版で開催された大会の100mで10秒01(+1.9)の自己ベストをマークし、9秒台に肉薄した[21]。初のオリンピック出場となった8月のリオデジャネイロオリンピックでは、男子4×100mリレーの予選と決勝でイギリスチームの1走を務めたが、決勝のイギリスチーム(キルティ、ハリー・アイキネス=アリエティ、ジェームズ・エリントン、アダム・ジェミリ英語版)は37秒98の5位に終わった[22]

2017年[編集]

3月のヨーロッパ室内選手権男子60m決勝を今季ヨーロッパ最高記録の6秒54で制して連覇を達成した[23]

人物・エピソード[編集]

  • アイルランド人の祖先を持つ[2]。父親は10秒8の自己ベストを持つ元スプリンター[24]
  • 家庭の事情でホームレスホステルに2回暮らした過去を持つ。1度目は5歳の時に数ヶ月、2度目は13歳の時に6-7ヶ月[25]
  • 2015年4月14日、自身のツイッター上でアーセナルFC所属のエクトル・ベジェリンセオ・ウォルコットにスプリント勝負を呼びかけて話題になった。事の発端は、アーセナルが毎年実施する40mの計測テストでベジェリンが4秒41をマークし、ウォルコットが保持していた4秒42のアーセナル記録を0秒01更新[26]。この記録はウサイン・ボルトが9秒58の世界記録をマークした時の40m通過タイムである4秒64を上回っているとメディアが取り上げた。これに対しキルティは自身のツイッターで「そんなに速いわけがない。ベジェリン、ウォルコットと勝負してメディアが間違っていることを証明したい。3万ポンドを賭けてもいい。距離と日時と場所はどこでもいい。」という旨のツイートをした[27][28]

自己ベスト[編集]

  • 記録欄の( )内の数字は風速m/s)で、+は追い風、-は向かい風を意味する。
種目 記録 年月日 場所 備考
屋外
100m 10秒01 (+1.9) 2016年7月16日 イギリスの旗 ヘクサム
9秒92w (+4.4) 2016年5月29日 イタリアの旗 ガヴァルド 追い風参考記録
150m 15秒32 (-0.5) 2014年9月6日 イギリスの旗 ニューカッスル
200m 20秒34 (-0.1) 2013年7月7日 スイスの旗 ラ・ショー=ド=フォン
400m 48秒58 2013年5月18日 アイルランドの旗 レタケニー
室内
60m 6秒49 2014年3月8日 ポーランドの旗 ソポト 白人歴代2位
200m 21秒70 2007年1月21日 イギリスの旗 シェフィールド

主要大会成績[編集]

  • 備考欄の記録は当時のもの
大会 場所 種目 結果 記録 備考
2008 世界ジュニア選手権 ポーランドの旗 ブィドゴシュチュ 200m 準決勝 21秒56 (-0.1)
4x100mR 5位 39秒89 (4走)
2009 ヨーロッパU23選手権 (en リトアニアの旗 カウナス 200m 7位 20秒93 (-0.2)
2011 ヨーロッパU23選手権 (en チェコの旗 オストラヴァ 4x100mR 2位 39秒10 (3走)
2013 世界選手権 ロシアの旗 モスクワ 4x100mR 予選 38秒12 (1走) 決勝進出[注 2]
2014 世界室内選手権 ポーランドの旗 ソポト 60m 優勝 6秒49 自己ベスト
ワールドリレーズ (en バハマの旗 ナッソー 4x100mR 3位 38秒19 (1走)
コモンウェルスゲームズ (en イギリスの旗 グラスゴー 100m 準決勝 10秒27 (-0.5) イングランド代表
4x100mR 2位 38秒02 (3走) イングランド代表
ヨーロッパ選手権 スイスの旗 チューリッヒ 4x100mR 優勝 37秒93 (3走)
コンチネンタルカップ (en モロッコの旗 マラケシュ 4x100mR 2位 38秒62 (3走) ヨーロッパ大陸代表
2015 ヨーロッパ室内選手権 (en チェコの旗 プラハ 60m 優勝 6秒51
ワールドリレーズ (en バハマの旗 ナッソー 4x100mR B決勝3位 38秒67 (4走)
世界選手権 中華人民共和国の旗 北京 100m 準決勝 10秒20 (-0.4)
4x100mR 決勝 DNF (1走) 3-4走間のバトンミス
2016 ヨーロッパ選手権 オランダの旗 アムステルダム 100m 決勝 DQ フライング
準決勝10秒15 (-0.4)
オリンピック ブラジルの旗 リオデジャネイロ 4x100mR 5位 37秒98 (1走)
2017 ヨーロッパ室内選手権 (en セルビアの旗 ベオグラード 60m 優勝 6秒54
2018 コモンウェルスゲームズ (en オーストラリアの旗 ゴールドコースト 200m 準決勝 20秒67 (0.0)
4x100mR 優勝 38秒13 (3走)

世界室内ツアー[編集]

種目 総合順位 獲得ポイント
2016 60m 6位 7 (1レース)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 白人歴代1位は2002年に6秒48をマークした南アフリカ共和国モーネ・ナゲル[7]
  2. ^ 予選のみ出場。決勝のイギリスは失格。

出典[編集]

  1. ^ Richard Kilty”. King of Shaves (2008年1月24日). 2016年3月2日閲覧。
  2. ^ a b Richard Kilty launches an attack on UK Athletics”. Gazette Live (2013年5月3日). 2016年3月2日閲覧。
  3. ^ 'Plastic Brit' shock as Kilty and Talbot are snubbed for World Championships 200m”. デイリー・メール (2013年7月17日). 2016年3月2日閲覧。
  4. ^ 第14回世界選手権男子4×100mリレー予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  5. ^ 2014年世界室内選手権男子60m予選サマリー”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  6. ^ 2014年世界室内選手権男子60m準決勝サマリー”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  7. ^ I'll be the first white Brit to go under 10 seconds! Kilty wants to break records after stunning 60m indoor gold in Poland”. デイリー・メール (2014年3月10日). 2015年3月21日閲覧。
  8. ^ 2014年世界室内選手権男子60m決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  9. ^ 1人目はジェイソン・ガードナー、2人目はドウェイン・チェンバース
  10. ^ Richard Kilty, the 'Teeside Tornado', storms to 60 metres gold on final day of the European Championships in Prague”. デイリー・メール (2015年3月8日). 2015年3月21日閲覧。
  11. ^ Kilty shows his 100m hunger”. ヨーロッパ陸上競技連盟 (2015年5月18日). 2016年3月2日閲覧。
  12. ^ Richard Kilty "happy" with performance in 100m Diamond League final”. Sports Mole (2015年6月8日). 2016年3月2日閲覧。
  13. ^ British Athletics Championships: Can GB men match sprint kings?”. 英国放送協会 (2015年7月3日). 2016年3月2日閲覧。
  14. ^ 第15回世界選手権男子100m予選リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  15. ^ 第15回世界選手権男子100m準決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟. 2016年3月2日閲覧。
  16. ^ Report: men's 4x100m final – IAAF World Championships, Beijing 2015”. 国際陸上競技連盟 (2015年8月29日). 2016年3月2日閲覧。
  17. ^ weekend update / Meeting Citta' Di Gavardo, Italy, 29 May”. 英国陸上競技連盟 (2016年5月31日). 2016年7月17日閲覧。
  18. ^ James Dasaolu wins stunning 100m race to book place in GB team for Rio”. ガーディアン (2016年6月25日). 2016年6月13日閲覧。
  19. ^ Three reigning Olympic champions headline British team for Rio”. 国際陸上競技連盟 (2016年7月13日). 2016年7月18日閲覧。
  20. ^ Golden boy Olympic and world long-jump champion Greg Rutherford holds on to European crown in Amsterdam”. ザ・サン (2011年5月16日). 2016年7月18日閲覧。
  21. ^ weekend update / Hexham Senior Sprints Meeting, Hexham, Saturday 16 July”. 英国陸上競技連盟 (2016年7月18日). 2016年7月24日閲覧。
  22. ^ 第31回オリンピック男子4×100mリレー決勝リザルト”. 国際陸上競技連盟 (2016年8月19日). 2016年8月20日閲覧。
  23. ^ 2017年ヨーロッパ室内選手権男子60m決勝リザルト (PDF, 219.8 KB) ヨーロッパ陸上競技連盟 2017年03月05日閲覧
  24. ^ Middlesbrough sprinter Richard Kilty is flying in the US”. Gazette Live (2012年4月11日). 2016年3月2日閲覧。
  25. ^ 'My Cinderella story started in a homeless hostel' - Q&A with world champion sprinter Richard Kilty”. イブニングスタンダード(Evening Standard) (2014年5月16日). 2016年3月2日閲覧。
  26. ^ 40m走なら世界最速! ボルトを上回る選手がアーセナルに”. フットボールチャンネル (2015年4月14日). 2015年5月23日閲覧。
  27. ^ 英スプリンターが『40m走最速』のベジェリンとウォルコットに挑戦状!「540万円を賭けてもいい」”. フットボールチャンネル (2015年4月15日). 2015年5月23日閲覧。
  28. ^ 驚異のスピードが話題のアーセナル新星に短距離走金メダリストから挑戦状!?”. サッカーマガジンZONE (2015年4月15日). 2015年5月23日閲覧。