リフトアップ

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リフトアップ(ハイリフトとも言う)とは、主に自動車を改造して車高最低地上高)を上げる改造手法、または車高を上げた状態のことである。

主にオフロードを走行する大型4WD車やピックアップトラック、4WDバンなどに多く見られるが、エアサスペンション等を装備した車種で車高調整機能(ハイトコントロール)を有する車両で車高を最大限に上げた場合にも結果的にリフトアップとなることもある。

本来は前後バンパーを取り外してタイヤも含めたホイールインチアップと併用する事で、オフロード走行時の斜面へのアプローチアングル性能の改善を図り、走破性能を高める事が目的であるが、後述のボディリフトに代表されるようにドレスアップを目的として車体の威圧感や迫力を高める目的のみで行われる事も多い。

ルーフレール等を利用して荷台を設け車両全高を高める事や、ボディ上部を切断(多くは板金などの処理をして再び接合)して車両全高を上げた場合は、本稿でのリフトアップとは区別されることがほとんどである。

歴史[編集]

それまで軍用車両などに多かった大型4WD車が一般に市販されるようになった1970年代ごろから既にオフロード走行を行う車両に見られるようになり、1980年代にはオフロード走行を趣味とする者以外の若者にも広まった。時代を経るに従って、日本全土の路面状況が舗装化等によって改善され、4WD車の新車のデザイン自体がヘビーデューティ指向では無くなっていく傾向(独立懸架モノコック構造の採用など)を示していった事もあり、近年では純粋なオフロード走行を目的にリフトアップを施す者は少数派となっていった。

1990年代以降、大きく変化があったのは平成7年(1995年11月における規制緩和である。それまでスプリングの変更は陸運支局等へ届出をし認可される(いわゆる「公認」を取得する)ことが必要であり、それをせずに公道を走行することは違法行為であったため、一般的には気軽な改造(もしくはドレスアップ)とは言えなかったが、それでも違法を承知でスプリング交換をするものは多く、車検のたびに純正スプリングに交換して車検を通すということが行われていた。それが平成7年の規制緩和により、スプリングの変更には届出を必要としなくなり、使用者の自己責任において自由にスプリング(コイル)を変更することが合法となった。ただし、スプリングが取り付け部から離脱しないこと(遊ばないこと)や、最低地上高を9cm以上確保すること、リーフスプリング(板バネ)は依然、届出を必要とするなどの制限はある。この法改正により、車高を落とすと同様に車高を上げることもドレスアップの手法として一般化していった。SUV等の乗用車感覚で乗る事が可能なライトユーザー向け4WD車が登場した事もリフトアップの普及に貢献した。

サスペンション改造によるリフトアップ[編集]

古くから存在する一般的な手法であり、スプリングやショックアブソーバーを交換する事で車高を上げる方法である。

  1. スプリングを自由長の長い物に交換する。特にリーフスプリングを用いた車種で顕著な方法である。場合によってはトーションバーやラテラルロッドなどの構成部品を交換して更に車高を上げることもある。
  2. ある程度以上車高を上げる場合にはブレーキホース等をより長い物に交換する事が必要となる。
  3. この作業と並行してインチアップによるタイヤ外径の増大を図る事もある。但し、スピードメーター表示と実走行速度が極端に異なる場合には車検不適合となる為、オフロード走行時に排他的に利用するに留める事が望ましい場合もある。
  4. 更には前後バンパーを取り外してオーバーハングを短縮する事により、オフロードでの走破性の向上が図れる。

ボディリフト[編集]

比較的近年登場した手法であり、ラダーフレームを採用した車種で利用出来る。ラダーフレームとキャビンの間のマウントを交換する事で、足回りを改造することなく車両全高を上げる事が可能となる。理論上は何インチでも車両全高を上げる事が可能であるが、アクセルワイヤーやブレーキホースの交換など多額の出費が必要となる事もある。

どちらかと言えば、オフロード走行と言うよりもドレスアップが主目的で施される改造とも言える。

効果[編集]

  • 前後バンパーを取り外すなどの改良を併用する事で、斜面へのアプローチアングルがより急になっても対応可能となる。
  • 最低地上高が高まる事で、障害物や轍の多い悪路での走破性が高まる。但し車高の上げ具合によっては後述のように却って走破性が悪くなる場合もある。
  • 視線が上がることにより乗車時の周囲への視認性がアップする。但し後述のように死角は増える。
  • 車高が上がることによりデザイン上のタテ・ヨコ比が変化。視覚的な迫力が増す。
  • 車高が上がるほど地面とのクリアランスが大きくなり、積雪地域では融雪剤(塩化カルシウム)による車体へのダメージを受けにくくなる。

デメリット[編集]

  • 一般論として最低地上高を上げて車両全高が高まると、前面投影面積が増加する為、高速走行時には風の抵抗を受けやすくなる。また、横風などの影響を受けて直進安定性が低下する場合もあり、最悪の場合には突風を受けて車体が横転する危険性もある。
  • 上記に加えてエンジンなどの重量物の重心が高くなる事により、コーナリングや、起伏が大きかったり勾配がきつかったりする地形の走行でも車体の安定性が悪くなる恐れがある。特にオフロード走行で、大きな石への乗り上げや、路肩から脱輪などを起こして車体が急激に傾いた際にバランスを崩しやすく、横転・滑落などの危険な事故に繋がる危険性がノーマル車高よりも高くなる。通常はこのような極端な車高アップを車両開発時点から施す場合には、安定性確保の為に輪距の拡大が併用される事が一般的であるが、チューニングのリフトアップにおいてはここまで考慮された施工がされる事は稀である。
  • 極端に車高を上げることにより、鉄道の高架トンネルなどを通過することが難しくなる場合がある。特に大型・中型以上のトラックが通過出来ないような箇所には十分な注意が必要である。このような箇所で立ち往生した場合には交通障害になり周囲の人に迷惑をかけるばかりか、無理に突破を謀った場合には車体の天井を痛めたり、最悪の場合には乗員に死傷者が出る場合もあるので注意が必要である[1]。特に高架などに激突して施設を破壊した場合には管理事業者から損害賠償請求を受ける可能性も出てくる。また、立体駐車場などの屋根付き駐車場に入庫が不可能となったり、フェリー乗船が不可能となる場合もある。
  • 上記と同様の理由により低木や林道を跨ぐ木の枝が多い地形でも却って走破性が低下する場合もある。軍用車が発祥のジープはこのような状況で車両上方の障害物を回避する為に前ウインドウを前方に倒して幌等を取り外し、ドライバーが可能な限り低い姿勢を取る事でドライバー頭上の障害物を回避する事が可能であるが、今日の一般市販車ではこのような事は行えない事が大半である。
  • 車軸懸架の車種によるリフトアップに顕著であるが、いくらキャビンやラダーフレームより上側の車高を高めても、肝心の車軸自体がタイヤ外径の増加分しか高くならない為、車高が大幅に高まったように見えても実際にはそれほど障害物通過性能が向上しない場合もある。装甲戦闘車両等の軍用車は、車軸自体の搭載位置を高める為にハブリダクションという特別な構造を用いるが、リフトアップではハブリダクションのような車軸上昇効果はそれほど見込めない為である。
  • リーフスプリングを大幅に改造した場合にはバネ定数のアップにより乗り心地が悪化することが多いほか、そのままでは車検を通過できなくなる。
  • ボディリフトやインチアップなどを併用しで極端に車両全高を上げた場合には、梯子や踏み台などが無ければ乗降そのものが困難となる場合がある。特に荷物の積み卸しなどの実用性や使い勝手が大幅に低下する場合もある。
  • 視線が上がりすぎることによって近距離の視界が悪くなる。特にフロント・ノーズやテール・エンド部の死角が増し、歩行者や他車が自車の周囲に居ても気付きにくくなる。
  • 極端なハイリフト車の場合、ヘッドライトの高さ制限が140cmであるため、保安基準に適合しなくなる。そのため後付けのHi/Lo切り替え式ヘッドライトを別途装着しなければならない。
  • スズキ・ジムニー等の軽自動車をベースとする場合、普通車のようなオーバーフェンダーの装着が認められていないため大径タイヤを装着すると普通車への変更手続きが必要となる。構造等変更検査を受けないまま公道を走行すると脱税行為とみなされ、検挙の対象となる
  • オフロード車以外でリフトアップをした場合、極端にタイヤ外径を大きくするとハイギアード化してしまい、登坂力が無くなる等の影響が出る場合がある。特にこれはビスカスカップリング4WDの車両に起きやすい。

主な対象車種[編集]

基本的にラダーフレームの車種が対象となるが一部例外も存在する。トヨタ・ランドクルーザーランドクルーザープラドFJクルーザーハイラックスサーフ日産・サファリスズキ・ジムニー三菱・デリカ三菱・ジープシボレー・アストロGMC・サファリシボレー・サバーバンハマー・H1ハマー・H2等。近年ではラダーフレームではないスズキ・キャリイエブリイハスラー等がベースになることもある。

脚注[編集]

  1. ^ 大型トラックなどで荷台や積み荷を引っ掛けるのとは状況が異なり、極端なリフトアップ車が高架や天井への衝突事故を起こした場合にはAピラーより後ろ側のキャビンその物が押し潰される可能性が高い為である。

関連項目[編集]