ルベーグの被覆補題

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トポロジーにおけるルベーグの被覆補題: Lebesgue covering lemma)あるいはルベーグ数の補題: Lebesgue's number lemma)はアンリ・ルベーグに因むコンパクト距離空間の研究における有用な補題であって、次のことを主張する:

距離空間 がコンパクトであり、開被覆が与えられたなら、ある数 が存在して、 未満の直径を持つ のどんな部分集合もその被覆のある元に含まれる。[1]

そのような数 はその被覆のルベーグ数と呼ばれる。ルベーグ数の概念そのものも他の応用へ有用である。

証明[編集]

の開被覆とする。 はコンパクトだから有限部分被覆 を抜き取ることができる。

に対して、 とおいて、関数 で定める。

はコンパクト集合上で連続だから、最小値 を取る。鍵となる観察は である。もし 未満の直径を持つ の部分集合なら、ある に対して となる。ここで は半径 中心 の球を表す(よって の任意の点としてよい)。 であるから、少なくともひとつ が存在して が成り立つ。ところがこのことは を意味し、したがってとくに である。

別証明[編集]

の開被覆とする。どんな に対しても は開集合である。なぜなら、各 に対して、 の周りのコンパクト -球の間には正の距離 があるから、開 -球もまた に含まれる。

もまた の開被覆である。 はコンパクトだから、 は有限個の の和に既に含まれている。また に対して となるから、それら有限個は全て、その中のひとつに含まれている。よってある に対して が成り立つ。この はルベーグ数である。

脚注[編集]

  1. ^ このことは半径 の開球たちがその被覆の細分になっているということと同値である。したがってこの補題は「コンパクト距離空間の開被覆は一様被覆である」と言い換えることができる。この形で述べられた補題は一様空間へ一般化することが可能である。

参考文献[編集]

  • Munkres, James R. (1974), Topology: A first course, p. 179, ISBN 978-0-13-925495-6