ポップ (ダンス)

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ポップは、オールドスクールに分類されるストリートダンスディスコダンス)の一つ。名称の由来は筋肉を弾く(ポップ)こと。ポップ (pop)、ポッピング(popping)、ポッピン (poppin') も同じ意味で、ポップ(ダンス)全体を示すことが多い。主に体の各部位が別々の動きを取る様な踊り方をし、もともとはエレクトリック・ブギ (electric boogie) という物で、ポップスタイル、アニメーション、ブガルー、ロボットダンスなどがこれに分類される。

歴史[編集]

ロボットダンスに、全身の筋肉を弾くような動き (Pop) を加えたダンスである。1978年に「エレクトリック・ブガルーズ英語版」のメンバーでマイケルジャクソンの師匠でもあるブーガル・サム (Boogaloo Sam) とポッピン・ピート (Popin' Pete) 兄弟が開発と言われる[1]

1984年の映画『ブレイクダンス』で広く知られるようになる[1]

スタイル[編集]

一連の動作の中で一度静止して瞬間的に筋肉を収縮させ(これをヒットまたはポップという)、音に合わせる。日本語ではヒット→「打つ」、ポップ→「弾く」と表現されることが多い。ポップ = ブガルーではなく、ブガルーはあくまでスタイルのひとつである。

ヒット/ポップは前腕、上腕、首、胸筋、胸(胸筋とは別に)、みぞおち、背筋、腰周辺部、太ももの前面、太ももの背面と様々な部位で打つ/弾くことが出来る。 練習をする際には個々の筋肉の動きをそれぞれ意識して動かし、神経を集中させるため、もっぱら筋肉との会話であり、リハビリテーションに通ずるものがある。口頭での説明よりも、実際に筋肉を触るとわかりやすい。 緊張させることよりも、打つ/弾く直前まで脱力 = リラックスしていることが大切なので、練習のためにストレッチやマッサージなどが役立つ場合もある。

主な動きは後述するが、他のストリートダンス(Soul dance・Locking・Punking・House・HipHop・Reggea・クランピングなど)の動きや、パントマイムものまね、面白い一瞬(立っている人が眠くて倒れる瞬間に「ハッ」とするところ → sleeping)、果ては日常生活のふとした動作(サングラスを外す/つける...etc)までを取り入れることにより実に幅広い表現を行うことができる。

筋力・リズム感・バランス感覚(軸の意識・重心の位置コントロール)・柔軟性などを養うためにも、他のストリートダンスの練習を行うことは良い効果を得る可能性が高い。あらゆる要素を加えることで無限の広がりを見せる奥深いダンススタイルである。しかし、常に「残す」部分(空間固定、もしくは動作に対しての自然な動き…スタイルによって異なる)が存在することが大切なので、たくさんの動きを詰め込むと「ポップらしさ」が損なわれる可能性もあり、注意が必要である。

個性が強く出る踊りであり、ソロ(1人で踊る、アドリブ)でのコンテストが主催されることが多い。日本国内で定期的に行われているものとしては、「OLD SCHOOL NIGHT」「HookUp」「HeatUp」「FreeStyleSessionJapan」「b-nite」「P-1 GP(現在はLockinも合わせてPL-1)[2]」などがある。

用語[編集]

ポップの動き、技、スタイルには以下のようなものがある。

  • ヒット (Hit) = どこかに当てる意識で筋肉を急激に緊張させることと言われている
  • ポップ (Pop) = その場で静止した状態で筋肉を急激に緊張させることと言われている
    • 1ポップ、2ポップ(ワンポップ、ツーポップ)= ひとつのポーズに対して何回ポップを入れるかを示す
  • ロール (roll)
  • ウォークアウト (walk out)
  • エアポーズ (air pose)
  • ダイムストップ (dime Stop)
  • ネックオーフレックス (neck o flex)
  • ツイストオーフレックス (twist o flex)
  • マスターフレックス (master flex)
  • スリーピー (sleepy)
  • オールドマン (old man)
  • クレイジー・レッグス (crazy legs)
  • ウェーブ (wave)
  • タット (tut)
  • ブガルー (boogaloo)
  • ティッキング (ticking)
  • スケアクロウ (scarecrow)
  • パペット (puppet)
  • スネーキング (snaking)
  • ストラット (strut)
  • フィルモア (filmore)
  • トイマン (toyman)
  • シャドウボックス (shadow box)
  • センティピード (centipede)
  • ボトムファースト (bottom first)
  • サックウォーク (sac walk)
  • フレズノ (fresno)
  • クリーピング (creeping)
  • リフト (lift)
  • コブラ
  • キングコブラ

向いている音楽、向いていない音楽[編集]

「強い音」が適度なペースで含まれる音楽が向いている。ファンク(特にPファンク)、Electro funk・Gファンクに向いている曲が多く、ソウルR&Bヒップホップ、West Side、アシッド・ジャズテクノ、ダブステップ(ブロステップ)などにも向いている曲が見られる。

向いていない音楽としては、テンポが早すぎるもの(ハウストランス)やリズムが複雑すぎるもの (Drum'n'bass)、強い音が少ないもの(クラシック)などがあげられる。


関連するダンススタイル[編集]

ロック[編集]

ロッキング (Locking)、ロッキン (Lockin') とも呼ばれる。

ドン・キャンベル英語版がオリジナルのスタイルと言われている[1]。以下のような特徴が挙げられる。

  • 鍵をかけるように体を静止させる (Lock)
  • 観衆を指さす (Point)
  • ピエロのような衣装で滑稽に振る舞う

ロボットダンス[編集]

1960年代の未来映画にヒントを得て考案されたロボットマネキンのように踊るダンス。

ワック、パンキング[編集]

1970年代のロサンゼルスゲイ文化から生まれたと言われている[1]

ダイアナ・ロスがバックダンサーとして起用したことや、タイロン・プロクター (Tyrone Procter) が『ソウル・トレイン』で広めたことによって知名度を得た[1]

ヒップホップ[編集]

ブレイクダンス[編集]

出典・脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 三宅正 (2013年9月24日). “ストリートダンスの歴史:1970年代”. 2016年11月22日閲覧。
  2. ^ Sutudio Soul Top”. 2013年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月7日閲覧。

参考書籍[編集]

  • OHJI『ルーツ・オブ・ストリート・ダンス―生きる伝説・OHJIが語るストリートダンスの現在・過去・未来』ぶんか社、2001年。ISBN 978-4821107469。
  • 江守藹『黒く踊れ!―ストリートダンサーズ列伝』銀河出版、2008年。ISBN 978-4877770921。