ローカル女子の遠吠え

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ローカル女子の遠吠え』(ローカルじょしのとおぼえ)は、瀬戸口みづきによる日本4コマ漫画作品。『まんがタイムスペシャル』(芳文社)にて、2014年10月号より連載中(2014年10月号 - 12月号はゲスト扱い)。姉妹作『きっと愛され女子になる!』の連載終了を受け、2019年5月号より『まんがタイムオリジナル』でも連載を開始した。単行本は、既刊4巻。

地元静岡にUターン就職したアラサー女子・有野りん子の、日々の仕事や同僚・旧友達との交流を描いたコメディー作品。『サザエさん』同様、登場人物が歳を重ねない設定で連載されている。静岡県が舞台であり、静岡県に絡んだご当地ネタが随所に登場する。単行本第1巻は、作者の作品としては初めて重版出来となった[1]

あらすじ[編集]

東京で建築デザイナーを務めていた有野りん子は、仕事に行き詰まりを感じていたこと、東京での暮らしになじめなかったことから地元・静岡に帰郷。地元で再就職を果たした。

地元には、幸せを謳歌する旧友たちがいた。同僚も、静岡ライフを満喫する東京出身の雲春をはじめ、地元愛にあふれる個性的な面々。そんな人たちに囲まれながら、地元にツッコミつつ幸せの答えを探すべくりん子は今日も働く。

主な登場人物[編集]

主要な登場人物の姓は、虫にちなんだもの[2]になっている。

有野家[編集]

有野 りん子(ありの りんこ)
主人公。静岡市出身の27歳女性。普段の髪型は緩めの三つ編みで、蟻の触角のようなアホ毛が特徴。同僚が羨むほどの巨乳を持つ。
大学進学を機に東京へ移り建築デザイン事務所に就職したが、デザイナーとしての評価に行き詰まりを覚えてきた頃に都会の荒波に「物理的に」押しつぶされたことで静岡にUターンした。
仕事中や食べる時には、ほぼ必ず「バリバリ」という効果音が付く[3]。性格は真面目で仕事熱心だが柔軟性に欠ける面があり、センスを求められる用件には弱い。海で泳ぐのも苦手(波の動きが法則化できないため。プールなら泳げるとのこと)。委員長気質で、学生時代はその任にあるかないかを問わず「委員長」と呼ばれていたが、本人は気に入っていない。美容に関しては、やや無頓着な面がある。
対人関係においては合理性を重視し他人との馴れ合いを嫌うが情が欠けているわけではなく、自分の中で合理的に関連づけば(あるいは他者にそう誘導されれば)会社の懇親会や同僚の誘いに応じるぐらいの社交性は持っている。また、実は「誰かに必要とされる」「誰かの役に立つ」ことへの欲求が強く、文句を言いつつも他人の世話を焼いてしまう一面があり、同僚の雲春はそんな彼女を「心の壁一級建築士(ただし欠陥建築)」と評した。地元の事情には詳しく、静岡の事情に疎い雲春をフォローする機会は多い。
自分を『アリとキリギリス』の蟻と評し、地元に留まった旧友をキリギリスと軽蔑していたが、Uターンしてきたた自分に対し旧友たちが幸せな生活を送っていたことに思い悩む。Uターン後は、東京と地元の、価値観や生活環境のギャップに悩むことも。
恋愛や結婚には極端に冷めており、結婚願望も持っていない。そのため、恋話は苦手。雲春とは、あくまで同僚として接しているが、公私ともに接する時間が増えていることに疑問を覚えている。一方で食事時に腹をたてると彼の食事を横取りしたり、彼からの誘いを断りきれなかったりなど距離感が微妙。
姓の由来は、『アリとキリギリス』の[2]から。
有野 蘭子(ありの らんこ)
りん子の母親。自称「長澤まさみ広瀬すずを足してバーボンで割ったような美女」。彼女にも、蟻の触角のようなアホ毛はある。
静岡でスナック「かとれあ」を営んでおり、接客術に長けている。
夫が借金を残して蒸発したため、女手一つで娘を育てた。性格は娘と違って不真面目な部分も目立つが、思い悩みがちな娘にアドバイスを送ることもある。一方で、娘に店を継がせて「委員長喫茶」のオープンを企んでいる。雲春については、娘のお相手候補と捉えており、娘や雲春を困惑させることも。

会社関係者[編集]

特に断りが無ければ静岡支社勤務。

雲春 柳二(くもはる りゅうじ)
りん子の同僚。東京(目黒区祐天寺)出身の29歳男性で、3人兄弟の次男。りん子とは、職場で行動を共にすることが多いほか、プライベートでも(成り行きの場合もあるが)行動を共にする機会が時折ある。
無神経でヘラヘラした所はあるが前向きで温厚な性格。言動はマイペースだが同期の名々伏によれば仕事はそこそこでき、仕事が絡まない場面ではむしろ本質を正確に見抜く場面が多々ある。趣味は食べ歩きで、食べ物や特産品を軸に人生を決めている節がある。時々思いを率直(悪く言えば考え無し)に口に出すことで失言をかましてしまう欠点があり、りん子や名々伏からは咎められることもある。
元は東京本社勤務だったが、酒の席での上司への失言[4]から、静岡支社へ左遷(出向)させられた。左遷自体はそれほど深刻に悩んでおらず、静岡の文化に驚きつつも、静岡での暮らしを満喫している。派閥への苦手意識もあり、本社復帰の意思は今のところ持っていない。
りん子とは、考え方が異なることなどから彼女を怒らせることも時々あるが、お互いの相手に対する理解は正確であり関係は悪くない。基本的には同僚として接しているが、少なくともTPOを全く考えずに女子アピールしてくる桐島よりは彼の好みに近い模様[5]。蘭子が経営するスナック「かとれあ」は、最初の訪問での印象が良かったこともあり、常連客となっている。
番外編で彼が主役の場合、タイトルが『アーバン男子の呟き』となる。
姓の由来は、蜘蛛[2]から。
鎌木(かまき)
りん子の同僚の男性。25歳。清水市(現清水区)出身。
趣味はサーフィン。マイルドヤンキー資質を持つ。オフのときは、雲春や小畑と遊ぶこともある。職場の懇親会では、秋津とも積極的にコミュニケーションをとっているが、気難しい彼女に振り回されがち。
姓の由来は、蟷螂から。[要出典]
桐島(きりしま)
りん子の同僚の女性。年齢は、りん子の2、3つ下(正確な年齢は不明)。静岡を出たことがない。
いわゆる「お茶くみ」で、りん子は彼女との給与の差があまり無いことに落胆していた。お嬢様気質で、仕事力より女子力の方を重視している。雲春に対し積極的にアタックしているが、当の本人には過去の発言から好意の向き先が自分ではなく「東京(23区)出身の男性」というレッテルだとバレているため恋愛対象と見なされていない。基本的に自分が中心でないと気が済まず、県外での合コンにも積極的に参加する一方で、容姿の面で優越する確信が持てない水馬とはハンデを付けることが可能な場面以外では関わろうとしない。
姓の由来は、『アリとキリギリス』のキリギリス[2]から。
秋津 茜(あきつ あかね)[6]
りん子の同僚の女性。30歳[6]
海外でのホームステイ経験を持つ。性格はキツく、陰で「お局様」と呼ばれているが、快く思っていない。料理が趣味で、しばしば自虐や愚痴を叫びながら調理している。
年齢柄、独身で恋人も居ないことを気にしている。
江崎 ほのか(えさき ほのか)
りん子の同僚の女性。32歳で、部署内の女性では最年長。
結婚して神奈川県に移り住んでいたが、(元)夫のDVが原因で離婚しUターン就職した。現在3児の母で、仕事を続けつつも子育てに勤しんでいる。
課長(名前不明)
りん子や雲春たちの上司。既婚者で妻子あり。歴史好き。
地元(静岡)愛も強く、地元を侮辱する発言には容赦ない。結婚については、「30過ぎの独身は恥ずかしい」の考えを持つ。
水馬 咲耶(すいば さくや)
東部営業所の女性。富士宮市出身。年齢は20台後半と思われる[7]。身長は178センチメートルと長身。実家は農場を経営している。
元モデルの卵で、東京でアバレル店に勤めながらモデルを目指していたが芽が出なかったこと[8]、とある理由でホームシックになったことから帰郷した。その経緯から、りん子にはシンパシーを感じている。
作中では富士山過激派と呼ばれるほど地元愛・富士山愛が強く、山梨県出身者とは富士山を巡って口論となる。地元を馬鹿にする発言やニセご当地メニューには敏感。健啖家な一面も持つ[9]が、モデル志望時代からの習慣と現在の住環境が理由で体を動かすことが多いためスタイルは維持されている。
りん子と雲春の関係については、仲がいいと評し、動向を気にしている節も見せる。登山が趣味で、りん子を富士山登山へ連れて行く野望を抱いている。
姓の由来は、アメン[2]から。名の由来(作中設定)は、神話の木花之佐久夜毘売命(コノハナノサクヤビメ)[10]から。
油野(ゆの)
東部営業所の女性。伊豆出身。
水馬の後輩で、彼女とは仲がいい(彼女のことは、読者モデル時代から知っていた)。ミステリアスな雰囲気を持ち、他人を乗せる術に長けている。
魔性の女と呼ばれ、今まで何人もの男性に貢がせてきた過去を持つ。「ふぅん」が口癖。
小畑 哲夫(おばた てつお)[11]
西部営業所の27歳男性。通称「バタやん」「バタさん」。
見た目に反して筋肉質なメガネ男子。浜松出身で、浜松まつりにかける情熱や、地元愛は強い。ただし、地元愛の強さ故に他地域出身者の神経を逆撫でするような発言をしてしまうことも時々ある。コミュニケーション能力が高く、西部営業所のムードメーカーでもある。杏(あん)という妹がいる。
姓の由来は、バッタ[2]から。
名々伏 匠(ななふし たくみ[12]
東京本社勤務の29歳男性で、雲春とは同期。埼玉県出身(本人曰く「池袋の上の方」)。趣味はボルダリング。
口は悪いが情には厚く、雲春の左遷直前時には助け舟を出そうとした(上司の手が速く失敗した)。上司との折衝や立ち回りは器用にこなしてはいるものの、実際はストレスによる潰瘍に悩まされている。時折、雲春を訪ねて静岡へやって来る。りん子とも面識はある。
雲春たちの世代では一番の出世頭で、『まんがタイムスペシャル』2018年10月号掲載回からは主任に昇格している。昇格以降は、雲春を本社に引き戻そうと企んでいる節も覗かせている。
本人は認めていないが「東京」と「海」にコンプレックスがあるらしく、「生まれも育ちも東京の雲春以上に東京の店に詳しい」「海に関する話題を振られると機嫌を損ねる」などの描写がある。
姓の由来は、ナナフシから。[要出典]

りん子の元同級生[編集]

蜂須賀 マヤ(はちすか マヤ)
りん子の高校時代からの友人で、りん子とは別の会社に勤める女性。通称「ハッチ」。
断れない性格で、東京での一人暮らし中には新聞を多数契約してしまったり、怪しいカルト宗教に引っかかってしまった、などの経験がある。挙句「従業員の人格を認めないどころか否定する」「社屋に拘束され外出できるのが稀」というほどのブラック企業に取り込まれてしまい、無事生還こそできたもののその影響で目の光が失せた状態になっている(過去話では、目に光は宿っている)。また、物事をブラック企業でのトラウマに絡めて考えてしまう癖もある。
両親は父親の生まれ故郷である川根本町にUターンし、古民家を改装したカフェを営んでいる。また、兄夫婦が実家に住んでいるため、一人暮らし。
姉妹作『きっと愛され女子になる!』にも登場し、無意識に黒いものを避ける習性があることが描かれた。
姓の由来は、[2]から。
五樹(いつき)
りん子と蜂須賀の、元同級生の男性。
普段はチャラチャラしているが、地頭と要領が良く、若くして起業に成功するほど。当初立ち上げた事業を譲渡後、次の事業に着手する際にりん子をスカウトしようとした(りん子の反発で失敗)。
りん子は、学生時代に指定校推薦を奪われたなどの理由で敵視している(彼女いわく「天敵」)。

その他[編集]

早紀(さき)
蘭子のママ友(子を持つ親同士ではなく、同業者としてのママ友)の女性。
蘭子とは学生時代から面識はあったが、当時は仲良くなく、親交を深めたのは社会人で同業者になってからである。
ターさん
スナック「かとれあ」の常連客の男性。工務店の社長(事業は息子に譲っている)。雲春を、りん子の彼氏と疑ったことがある。
マサさん
スナック「かとれあ」の常連客の男性。船元。船元になる前はマグロ漁師を勤めていた。いいガタイの持ち主。
ポンさん
スナック「かとれあ」の常連客の老人男性。地主で、蘭子曰く謎が多い人物。
山梨のナイスミドル(名称不明)
りん子たちが勤務する会社の、取引先の男性。山梨県出身で、山梨側から見る富士山へ並々ならぬ情愛を持つ。富士宮市出身の水馬とはしばしば舌戦を繰り広げているが、彼女に年賀状を贈るなど、礼節は持ち合わせている様子。

コラボレーション[編集]

2018年1月に、SBS静岡放送の番組「イブアイしずおか」に作者が出演した際に、記念のコラボ漫画(4コマ形式で1本)が描かれた。同年10月刊行の単行本第4巻に、一部修正の上で収録されている。

2018年8月に、株式会社アルバイトタイムスが運営する転職サイト「JOB」にて、りん子が静岡にUターン転職するまでを描いたコラボ漫画「しぞ~か転職物語」[13]が公開された。なお、静岡地区限定で、小冊子化したものも配布された。

書誌情報[編集]

  • 瀬戸口みづき『ローカル女子の遠吠え』 芳文社〈まんがタイムコミックス〉、既刊4巻(2018年10月5日現在)
    1. 2016年5月7日発売、ISBN 978-4-8322-5483-1
    2. 2016年11月7日発売、ISBN 978-4-8322-5533-3
    3. 2017年8月7日発売、ISBN 978-4-8322-5612-5
    4. 2018年10月5日発売、ISBN 978-4-8322-5721-4

出典・脚注[編集]

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  1. ^ 単行本第2巻のメッセージペーパーより。
  2. ^ a b c d e f g 単行本第1巻のメッセージペーパーより。
  3. ^ ヨーグルトなど、そのような音が出ないはずの食べ物も対象となる。『きっと愛され女子になる』1巻収録のコラボ漫画では、佐東さゆりが自分の作った惣菜に異物が混入していたのかと勘違いしていた。
  4. ^ あくまで「サラリーマンの常識」においてのものであり客観的には「身も蓋もない真理」と言えなくもない。
  5. ^ 第3巻P24より。
  6. ^ a b 『まんがタイムスペシャル』2017年12月号より
  7. ^ 「数年前で25歳」の記述が作中にあるが、具体的な経過年数は不明。
  8. ^ 雑誌の読者モデルの実績はある。
  9. ^ 1人で大量の酒缶を空けたこともある。
  10. ^ 第3巻P60より。
  11. ^ 『まんがタイムオリジナル』2019年6月号掲載回より。
  12. ^ 名は『まんがタイムスペシャル』2018年12月号掲載回に、フルネームが分かる描写がある。
  13. ^ 「特別版ローカル女子の遠吠え×JOBしぞ~か転職物語」JOB公式サイトの特設ページ”. 2018年10月14日閲覧。