ロースター (MLB)

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メジャーリーグベースボール(MLB)におけるロースター: Roster)とは、チームの公式戦に出場できる資格を持つ選手枠のこと。25人枠と40人枠の2種類がある。近年のマスメディアでは原音に近い「ロスター」と表記される。

概要[編集]

単に「ロースター」と言った場合は通常、故障者リスト・育休リスト・忌引リスト等に入っており一時的に試合出場停止となっている選手も含まれる。これらの選手を除いた、実際に試合でプレー可能な選手枠はアクティブ・ロースター: active roster)と呼ばれる。

25人枠と40人枠[編集]

25人枠(: 25-man roster)とは、MLB公式戦に出場できる選手枠のこと。レギュラーシーズン開幕から8月31日までの公式戦、およびポストシーズン中は25人枠が自動的にアクティブ・ロースターとなり、この25人で各試合の選手起用をやり繰りする必要がある。

40人枠(: 40-man roster)とは、MLB各球団が支配下に置く40人の選手枠のこと。拡大ロースター(: expanded roster)とも呼ばれる。25人枠の選手は全員が40人枠に含まれ、40人枠の選手は全員がメジャー契約[1]を結ぶ。ポストシーズンゲーム出場には原則として8月31日時点で当該チームの40人枠内に入っている必要がある[2][注釈 1]。また12月のルール5ドラフトにおいて、40人枠の選手は指名対象外となる。

8月31日までの間、25人枠に含まれない40人枠内の選手は、40人枠外のマイナー契約[1]選手たちと共にマイナーリーグの試合に出場しながら、25人枠の選手との入れ替わりでメジャー昇格(: call-up)する機会を待つことになる。

なおMLB在籍期間(MLS)[注釈 2]が5年以上の選手はマイナー降格: option - 40人枠に残したまま25人枠から選手を外す処置)に対する拒否権を持つ[注釈 3]。また、新たな選手を40人枠に登録する場合は、40人枠内の任意選手にDFAの措置をして40人枠から外すか、故障者リスト(60日DL)を利用することによって枠を空ける必要がある。

ダブルヘッダーに伴う26人枠[編集]

2012年シーズンから、昼と夜に分かれて行われる48時間以上前に開催が決まったダブルヘッダー開催日に限って1名分の枠を増やし、アクティブ・ロースターに最大26名まで登録することが可能となった[4]

セプテンバー・コールアップ[編集]

9月1日以降のレギュラーシーズンはアクティブ・ロースターに最大40人まで登録可能となり、40人枠の選手がメジャー昇格を経ればMLB公式戦に出場可能となる。これをセプテンバー・コールアップ(: September call-up)と呼ぶ。なお9月1日以降でも、マイナー契約選手はまず40人枠に入らない限りアクティブ・ロースター入りの可能性はない。

マイナー・オプションとマイナー降格[編集]

『マイナー・オプション』とは、40人枠内での有望選手の飼い殺しを防ぐために設けられた規定。MLB規約の第11条で述べられている。[5][6]

選手はキャリアで初めて40人枠に登録された際、『マイナー・オプション』を3シーズン分与えられる。アクティブ・ロースターの選手が40人枠に移行(マイナー降格)した時点でオプションが発動したとみなされる。また、スプリングトレーニング期間中に40人枠にいた選手が開幕の25人枠に入れなかった場合もオプションが発動したとみなされる。このため、40人枠には残っているものの25人枠から外れた選手はオプションを割り当てた状況となる。オプション発動中の選手に対しては、球団は当年シーズン終了までの間、アクティブ・ロースターと40人枠間でその選手を何度でも自由に昇降格させることができる。なお、マイナー降格(optioned)した選手は原則[注釈 4]、マイナーで10日間を経てからでないと再昇格(: Recall)させることができない。[7]

シーズン終了時、同シーズンでのマイナー在籍期間が合計20日以上だったオプション発動選手は、1シーズン分のマイナー・オプションを消費する[8]。なお例外として、1シーズンを通して故障者リストに登録されていたオプション発動選手と、プロ在籍5年[注釈 5]に達する前に3シーズン分のマイナー・オプションを消費し終えた選手には、1シーズン分のマイナー・オプションが追加で与えられる[6][9]

マイナー・オプションを使い果たした選手は以降、自由にマイナー降格させることができなくなる。もしアクティブ・ロースターから外したい場合は、前述のマイナー降格拒否権を持つ選手のケースと同じく「DFAの措置をして40人枠からも外す(DFA後、トレードまたはウェイバー公示を行う必要があり、公示中に他球団から獲得申込みがあった場合はその選手を譲渡しなければならない)[注釈 6]」または「故障者リストの利用」といった手段を用いる必要がある。マイナー・オプション数は、チーム移籍やDFA・自由契約などによっても回復することはない。[7]

以上から、3シーズンを超えて選手を同一球団の40人枠内(25人枠外)で保有し続けることは困難なルールとなっている。

登録リスト[編集]

ロースター内の選手が、特別な理由により試合出場困難となった場合、以下の各種リストに登録することで該当選手をロースターに残したまま、代替選手を40人枠や傘下マイナー組織などから補充することができる。なお代替選手の登録や再降格に際しては特別な優遇措置は無く、通常と同じくcall-upやoptioned等の手順を踏む必要がある。

故障者リスト (Disabled List)[編集]

忌引リスト (Bereavement list)[編集]

アクティブ・ロースターの選手および配偶者の肉親に不幸があった場合に、忌引リスト(: Bereavement list)を適用できる。適用された選手は最低3試合・最高7試合欠場となる。その間は40人枠の他選手をアクティブ・ロースターに補充することができる。

育休リスト (Paternity List)[編集]

育休リスト(: Paternity list)は2011年シーズンから導入された。アクティブ・ロースターの選手が家族の出産に立ち会う、産後に母子の世話をするなどの理由で24時間から72時間の一時離脱が許可され、離脱中は40人枠の他選手をアクティブ・ロースターに補充することが可能になった。MLBでは家族の出産に立ち会うため試合を休む選手は珍しくないが、この制度が出来るまでは代替選手の登録などは不可能だった。

初適用は、2011年4月15日レンジャーズコルビー・ルイスで、第2子の出産後にチームから一時離れた[10][11]

制限リスト (Restricted List)[編集]

薬物規定違反や事件関与などによりMLB機構から出場停止処分を科された選手は、自動的に制限リスト(: Restricted list)に登録される。また、選手の私的な事情(卒業まで学業優先、選手からの休職要望、行方不明、チーム内での不祥事や揉め事、など)により、各チームが選手を制限リストに登録する場合がある。登録された選手はロースターから外れ、登録されている期間の日数はMLSに加算されず、球団側に賃金の支払い義務も発生しない。加えて、選手はチーム帯同や練習への参加、チーム保有施設の利用も制限されるが、選手の保留権は球団が引き続き保持した状態となる。[12]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ただし、8月31日の時点で60日間の故障者リスト入りした日から60日以上経過している選手がいる場合は、その選手の代わりに8月31日に40人枠に入っていない選手の登録をコミッショナー事務局に請願できる。2014年のポストシーズンにブランドン・フィネガンがこの例外を適用した[2]。また、2014年までは、8月31日時点で当該チームの25人枠に入っていないとポストシーズンには原則出場できなかった(故障者リスト入り選手発生時には40人枠の選手が代替出場可能)が、2015年から本文記載の規定に変更された[3]
  2. ^ MLSはレギュラーシーズン中、その選手がアクティブ・ロースター(故障者リスト登録中期間や各種出場停止期間も含む)に登録されていた日数をもとに算出され、172日間でMLS1年(MLS=1.000)換算となる。表記上は1日でMLS=0.001、171日で0.171、172日で小数点が繰り上がり1.000となる。
  3. ^ このため、マイナー降格させられない選手をアクティブ・ロースターから外したい場合はDFA故障者リストの利用、解雇といった手段で枠を空けることになる。
  4. ^ アクティブ・ロースターの選手の故障者リスト入りに伴って代替選手を補充する場合、またはダブルヘッダーでの26人枠目として昇格する場合に限り、マイナー降格後10日を経ていない選手も即再昇格させることが可能。
  5. ^ 各年において、メジャーリーグおよび傘下マイナーリーグ各フェイズでアクティブ・ロースター入りしていた日数の総和が90日間以上だった場合、プロ在籍1年とみなされる。
  6. ^ なお、40人枠から外れた選手は同じく飼い殺し対策として制定されたルール5ドラフト(12月開催)において他球団から指名される可能性が発生する。

出典[編集]

  1. ^ a b メジャー契約とマイナー契約(40人枠外の選手と結ぶ契約の通称)では最低保証年俸に大きな差がある。2018年時点で前者は545,000ドル、後者は86,500ドル。菊地慶剛 (2016年12月3日). “知って得するMLB新統一労働協約”. 2018年11月29日閲覧。
  2. ^ a b Glossary / Transactions / Postseason Eligibility” (英語). MLB.com. 2017年6月13日閲覧。
  3. ^ 今季から変わったプレーオフの出場資格”. BASEBALLKING(株式会社フロムワン) (2015年10月5日). 2016年10月7日閲覧。
  4. ^ Jayson Stark (2011年11月22日). “How the new CBA changes baseball” (英語). ESPN. http://espn.go.com/mlb/story/_/id/7270203/baseball-new-labor-deal-truly-historic-one 2011年11月23日閲覧。 
  5. ^ THE OFFICIAL PROFESSIONAL BASEBALL RULES BOOK (RULE 11—Optional Agreements) (PDF)”. p. 80. 2018年1月25日閲覧。
  6. ^ a b 'Options' abound: Common term explained”. en:MLB.com (2011年3月30日). 2018年1月25日閲覧。
  7. ^ a b Player Options”. FanGraphs. 2016年4月23日閲覧。
  8. ^ Natsuki Une (2014年4月18日). “選手の飼い殺しを防ぐ「マイナー・オプション」”. GYAO!. 2014年4月18日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年1月11日閲覧。
  9. ^ Natsuki Une (2016年4月25日). “カブス川﨑が、今季もウェーバーを経由しないで降格される理由”. ベースボールチャンネル. 2016年4月25日閲覧。
  10. ^ “元広島のルイス 愛娘誕生で「育休リスト」入り第1号”. スポニチアネックス (スポーツニッポン). (2011年4月17日). http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/04/17/kiji/K20110417000642500.html 
  11. ^ “元広島ルイス、大リーグ初「育休」”. 日刊スポーツ. (2011年4月17日). http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/p-bb-tp2-20110417-762272.html 
  12. ^ Restricted list - BR Bullpen”. en:Baseball-Reference.com. 2016年4月23日閲覧。

関連項目[編集]