下町ロケット

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下町ロケット
著者 池井戸潤
発行日 2010年11月24日
発行元 小学館
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 四六判
ページ数 416
公式サイト www.shogakukan.co.jp
コード ISBN 978-4-09-386292-9
ISBN 978-4-09-408896-0(文庫判
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下町ロケット』(したまちロケット)は、池井戸潤による小説およびシリーズ。これを原作にテレビドラマ化・ラジオドラマ化された。

宇宙科学開発機構の研究員だった佃航平が、死んだ父の経営していた中小企業「佃製作所」の社長となり、社員たちと共に奮闘する姿を描く。

概要[編集]

シリーズ第1作『下町ロケット』は、『週刊ポスト』(小学館)に2008年4月18日号から2009年5月22日号まで連載され、加筆・訂正の後、2010年11月24日に単行本が小学館より刊行された。2013年12月21日には小学館文庫版が刊行された。第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞作品、および、第24回(2011年)山本周五郎賞候補作品。ロケットエンジンのキーパーツであるバルブシステムの開発に賭ける佃製作所の奮闘が描かれる。

2015年10月3日から、シリーズ第2作『下町ロケット2 ガウディ計画』が朝日新聞に連載され[1][注 1]、2015年11月5日に書き下ろし単行本が刊行された[2]。心臓手術に使用する人工弁「ガウディ」開発に取り組む様子が描かれる。後に、2018年7月に刊行された小学館文庫版では『2』が削除され、『下町ロケット ガウディ計画』と改題された。

2018年7月に、シリーズ第3作となる『下町ロケット ゴースト』が刊行された[3]

2018年9月に、シリーズ第4作となる『下町ロケット ヤタガラス』が刊行された[4]

ドラマ化[編集]

2011年に、第1作『下町ロケット』がWOWOW連続ドラマWテレビドラマ化された。

また、2012年3月20日には、TBSラジオでもドラマスペシャルとしてラジオドラマ化された。

2015年10月18日からTBSテレビ系の日曜劇場で、第1作と第2作『下町ロケット2 ガウディ計画』がテレビドラマ化された。テレビドラマ放送開始直前の10月3日から朝日新聞に連載された『下町ロケット2』が、6話からの「ガウディ編」として映像化され、新聞連載とテレビドラマの同時進行で描かれた[1]。また、2018年10月14日から前作と同じくTBSテレビ系の日曜劇場で、第3作の『下町ロケット ゴースト』と第4作の『下町ロケット ヤタガラス』が続編としてテレビドラマ化された[5][6]

あらすじ[編集]

下町ロケット[編集]

精密機械製造業の中小企業佃製作所の社長・佃航平は、主要取引先の京浜マシナリーから、突然、取引終了の通知を受ける。資金繰りに困りメインバンク白水銀行に3億円の融資を申し込むが渋られる。追い打ちをかけるように、今度はライバル会社のナカシマ工業から特許侵害で訴えられて、白水銀行からは融資を断られてしまう。法廷戦略の得意なナカシマ工業が相手では、たとえ勝訴は濃厚でも結局は裁判の長期化だけで資金不足による倒産は避けられそうもない。

そんな時、大企業帝国重工の宇宙航空部長・財前の訪問を受け、佃製作所が持っている特許を20億円で譲ってくれと持ちかけられる。帝国重工は巨額の資金を投じて新型水素エンジンを開発したが、特許は佃製作所に先を越されていたのだ。航平は元妻・沙耶との会話で、特許譲渡や使用許可ではなく、帝国重工が飛ばすロケットに佃製作所で作った部品を搭載する道もあると思い当たる。しかし、それでは特許使用料が入らないどころかリスクが高過ぎると、特に若手社員の反応は最悪で、特許使用許可か部品搭載の夢か、航平は思い悩む。

一方、部品供給を断るつもりで佃製作所を訪れた財前は、航平に案内されるままに工場を見学し、その技術の高さに部品受け入れもありうると考えるようになる。そんな財前を出し抜きたい富山水原本部長に取り入り、財前に変わって部品供給のテスト担当者になる。「たかが町工場の部品搭載など」と見下す富山が率いる帝国重工と、部品搭載よりも特許使用料による給与への還元を願う佃製作所の社員との、部品テストが始まった。

下町ロケット ガウディ計画[編集]

前作から数年後。佃製作所は、また経営の危機に陥っていた。量産を約束したはずの人工心臓用のバルブの取引は試作品段階で打ち切られ、NASA出身の社長・椎名が率いるサヤマ製作所に取引を奪われる。帝国重工とのロケットエンジンの開発でも、サヤマ製作所とのコンペを余儀なくされ、性能では優ったものの、かけひきに敗れ帝国重工との取引ができなくなる危機に直面する。

そんな時、かつての部下の真野から、「ガウディ」という心臓に埋め込む人工弁の開発依頼が持ち込まれる。これが完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。しかし、開発に携わる大学教授・一村は、人工心臓開発の中心人物・貴船の弟子で、その妨害によって、開発に必要な実験開始の認可がおりず、資金も尽きて開発中止の窮地においこまれる。

しかし、人工心臓の臨床試験の被験者の急死という事故が、サヤマ製作所がデータ偽装をしたバルブを使っていたからだということが発覚し、サヤマ製作所に警察の捜査が入る。佃製作所の人工弁は、実用化に向けてスタートを切ることができたのだった。

下町ロケット ゴースト[編集]

前作から数年後。佃製作所は危機に陥っていた。エンジンを大手農業機器メーカーのヤマタニに納入していたが、この取引が白紙になる。また、主要取引先の帝国重工は経営が悪化し、ロケット打ち上げを推進していた社長の藤間の引退が囁れる。

佃は経営難を乗り切るため、農業への参入を決意。トラクターに使用するトランスミッション製造を目標に掲げ、まずはバルブ開発へと乗り出す。そんな中、実家が農家の殿村は、父が心筋梗塞で倒れ、佃製作所を離れる。

佃は元帝国重工社員の伊丹(社長)と島津(副社長)が設立したアドベンチャー企業、ギアゴーストのコンペの参加を表明。軽部、立花、加納によってバルブが開発され、採用が決定するも、ギアゴーストが同業のケーマシナリーから特許侵害で訴えられる。

その後、佃と弁護士・神谷の協力もあり、ギアゴーストは裁判に勝利する。しかし、佃の承認を得ず、伊丹は佃製作所のライバル企業、ダイダロスと組む。島津はギアゴーストを退職し、帝国重工の財前は他部署に異動となった。また、殿村も農家を継ぐため辞表を提出したのであった。

下町ロケット ヤタガラス[編集]

登場人物[編集]

佃製作所および協力者[編集]

佃航平(つくだ こうへい)〈43 → 48 → 54〉
佃製作所の社長。慶應義塾大学理工学部卒、宇宙科学開発機構の元研究員。父親の死に伴って、7年前に家業の佃製作所を継いだ。幼い時の夢は宇宙飛行士になることだった。
殿村直弘(とのむら なおひろ)
経理部長。栃木県出身。実家は、300年続く農家。メインバンクの白水銀行から出向して来て半年。性格はいたって真面目。
津野薫(つの かおる)〈38 → 43 → 49〉
営業第一部長。高卒入社の生え抜き社員。
山崎光彦(やまさき みつひこ)
技術開発部長。航平の大学の後輩で、三度の飯より実験好き。
唐木田篤(からきだ あつし)
営業第二部長。佃製作所が研究開発型の会社方針だということに不満を持っている。
江原春樹(えばら はるき)
営業第二部の若手社員。若手社員のリーダー的存在。
迫田滋(さこだ しげる)
経理部係長。江原と並ぶ若手社員のリーダーのひとり。一流大学卒だが就職氷河期で佃製作所に入社した。
埜村耕助(のむら こうすけ)
第1作『無印』と第4作『ヤタガラス』に登場。
技術開発部。
村木昭夫(むらき あきお)
第2作『ガウディ計画』を除く全作品に登場。
技術開発部。
真野賢作(まの けんさく)
第1作『無印』と第2作『ガウディ計画』に登場。
技術開発部の若手社員。→ アジア医科大学先端医療研究所主任研究員。
立花洋介(たちばな ようすけ)
全作品の登場だが、第1作『無印』には少しだけ登場してる程度で、第2作『ガウディ計画』以降から本格的に登場する。
技術開発部。真野の後輩。
加納アキ(かのう あき)
第2作『ガウディ計画』からの登場。
技術開発部。
中里淳(なかざと あつし)
第2作『ガウディ計画』に登場。
技術開発部。不満が募って突然退職し、サヤマ製作所に入社する。
軽部真樹男(かるべ まきお)
第3作『ゴースト』と第4作『ヤタガラス』に登場。
技術開発部。中堅エンジニア。口下手でぶっきらぼうな性格。度々、同僚と衝突する。
神谷修一(かみや しゅういち)
神谷・坂井法律事務所の知財専門の弁護士。ナカシマ工業顧問の田村・大川法律事務所から独立して事務所を構えた。弁護士・弁理士の鮫島正洋がモデル[7]

帝国重工[編集]

財前道生(ざいぜん みちお)
宇宙航空部 開発担当部長。父親は町工場のワンマン社長だった。
富山敬治(とみやま けいじ)
宇宙航空部 宇宙開発グループ主任。新型水素エンジン開発責任者。
水原重治(みずはら しげはる)
宇宙航空部 本部長。
浅木(あさぎ)
第1作『無印』に登場。
若手技術者。
石坂宗典(いしざか むねのり)
第2作『ガウディ計画』に登場。
宇宙航空部 調達担当部長。財前の部下だが、彼とはライバル関係であり、サヤマ製作所の椎名と何度も会合を重ねる。
的場俊一(まとば しゅんいち)
第3作『ゴースト』と第4作『ヤタガラス』に登場。
役員。次期社長候補を狙っており、財前をロケット開発から排除しようとした。
藤間秀樹(とうま ひでき)
帝国重工社長。宇宙事業に熱心で、自社生産の新型エンジン搭載ロケット打ち上げプロジェクトをスタートさせた。

対立する弁護士[編集]

中川京一(なかがわ きょういち)
第2作『ガウディ計画』を除く全作品に登場。
田村・大川法律事務所のベテラン弁護士。ナカシマ工業の顧問弁護士(第1作)→ケーマシナリーの顧問弁護士(第3作)→ダイダロスの顧問弁護士(第4作)
青山賢吾(あおやま けんご)
第1作『無印』と第3作『ゴースト』に登場。
田村・大川法律事務所の若手弁護士。

その他[編集]

和泉沙耶(いずみ さや)
第1作『無印』に登場(第4作『ヤタガラス』では名前のみ登場する)。
航平の離婚した元妻で研究者。同じ大学のテニスサークル仲間だった。上昇志向が強く、妥協が許せない性格。
佃利菜(つくだ りな)
第2作『ガウディ計画』を除く全作品に登場。
航平の娘。中高一貫の私立中学校の2年生。ゴースト以降では帝国重工の社員となっている。
佃和枝(つくだ かずえ)
第1作『無印』と第4作『ヤタガラス』に登場。
航平の母。
殿村正弘(とのむら まさひろ)
第3作『ゴースト』と第4作『ヤタガラス』に登場。
殿村直弘の実父。米農業で生計を立てているが、過度の重労働で心筋梗塞で倒れる。
殿村咲子(とのむら さきこ)
第3作『ゴースト』と第4作『ヤタガラス』に登場。
殿村直弘の妻。

下町ロケット[編集]

白水銀行[編集]

柳井哲二(やない てつじ)
課長代理。融資担当。
根木節生(ねぎ せつお)
支店長。

その他[編集]

三田公康(みた きみやす)
ナカシマ工業事業企画部法務マネージャー。佃製作所を特許侵害で訴える。
田辺篤(たなべ あつし)
佃製作所の顧問弁護士。知財訴訟はあまり経験がない。
三上
宇宙開発機構の同僚で現在は大学教授。
須田祐介
外資系超一流ベンチャー・キャピタルのマトリックス・パートナーズ日本支社長。航平に佃製作所の買収話を持ちかける。
高瀬
東京経済新聞記者。

下町ロケット ガウディ計画[編集]

医科大学[編集]

一村隼人
北陸医科大学教授。国産の人工弁の開発を手掛ける。元アジア医科大学で貴船の元部下だった。
貴船恒広
アジア医科大学心臓血管外科部長。

桜田経編[編集]

桜田章
桜田経編(さくらだたてあみ)会長で、また、桜田経編の子会社の株式会社サクラダ社長。
桜田努
桜田経編社長。桜田章の弟。

サヤマ製作所[編集]

椎名直之
社長。NASA出身。
月島尚人
開発部マネージャー。

日本クライン[編集]

久坂寛之
製造部長。
藤堂保
製造部企画チームマネージャー。

独立行政法人医薬品医療機器総合機構[編集]

山野辺敏
審査役。
滝川信二
審査員。

下町ロケットゴースト[編集]

ギアゴースト[編集]

伊丹大
社長。帝国重工の元社員。島津と共に「ギアゴースト」を設立。帝国重工の次期社長、的場に恨みを持つ。
島津裕
副社長。帝国重工の元社員。エンジニア。後に伊丹と対立し、退職。

ダイダロス[編集]

重田登志行
社長。

書籍情報[編集]

  • 下町ロケット
    • 単行本:小学館、2010年11月24日 ISBN 978-4-09-386292-9
    • 文庫本:小学館文庫、2013年12月21日 ISBN 978-4-09-408896-0
  • 下町ロケット2 ガウディ計画(文庫版では「下町ロケット ガウディ計画」)
    • 単行本:小学館、2015年11月5日 ISBN 978-4-09-386429-9
    • 文庫本:小学館、2018年7月6日 ISBN 978-4-09-406536-7
  • 下町ロケット ゴースト
    • 単行本:小学館、2018年7月20日 ISBN 978-4-09-386515-9
  • 下町ロケット ヤタガラス
    • 単行本:小学館、2018年9月28日 ISBN 978-4-09-386523-4

テレビドラマ[編集]

ラジオドラマ[編集]

下町ロケット
ジャンル ラジオドラマ
放送方式 収録
放送期間 2012年3月20日
放送時間 月曜18:00 - 20:00
放送回数 1
放送局 TBSラジオ
出演 風間杜夫
橋爪功
公式サイト 公式サイト
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2012年3月20日にTBS開局60周年記念ドラマスペシャルとしてTBSラジオで放送された。

キャスト[編集]

主要人物
神谷法律事務所
白水銀行
佃製作所
帝国重工

スタッフ[編集]

  • 原作 - 池井戸潤『下町ロケット』
  • 脚色 - 高谷信之
  • 音楽 - 佐久間順平
  • 演出 - 岩澤敏

注釈[編集]

  1. ^ 10月3日付の朝刊に全面広告扱いで2頁、その後は毎週土曜日と日曜日付の紙面に掲載。

出典[編集]

  1. ^ a b “「下町ロケット」ドラマ化 朝日新聞広告面で続編連載へ”. 朝日新聞デジタル. (2015年8月19日). http://www.asahi.com/articles/ASH8L71N9H8LUEHF00T.html 2015年8月19日閲覧。 
  2. ^ 朝日新聞、TBS、小学館の3社が異例のコラボ”. 朝日新聞 (2015年10月2日). 2015年10月13日閲覧。
  3. ^ “池井戸潤、大人気シリーズ「下町ロケット」待望の最新刊、『下町ロケット ゴースト』本日発売!” (プレスリリース), 小学館, (2018年7月20日), https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000013640.html 2018年7月20日閲覧。 
  4. ^ “『下町ロケット』原作小説最新刊が初登場1位 第2弾TVドラマがいよいよスタート”. ORICON NEWS. コンフィデンス. (2018年10月5日). https://www.oricon.co.jp/news/2120857/full/ 2018年10月16日閲覧。 
  5. ^ “阿部寛主演『下町ロケット』続編が10月放送 原作者・池井戸氏「再会を心待ちにしています」”. ORICON NEWS. (2018年7月19日). https://www.oricon.co.jp/news/2115812/full/ 2018年7月19日閲覧。 
  6. ^ 日曜劇場『下町ロケット』ミュージカル界の新プリンス古川雄大の出演が決定!”. TBSホット情報. TBSテレビ (2018年11月8日). 2018年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月12日閲覧。
  7. ^ 下町ロケットにはモデルがいた 作者が認める取材協力者”. 朝日新聞デジタル (2015年11月22日). 2015年11月23日閲覧。