世界・食の祭典

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世界・食の祭典
JUNO'S JAPAN '88
月寒会場として用いられた 月寒グリーンドーム (北海道札幌市豊平区)
月寒会場として用いられた
月寒グリーンドーム
北海道札幌市豊平区
イベントの種類 地方博覧会
通称・略称 食の祭典
正式名称 世界・食の祭典
開催時期 1988年6月3日 - 10月30日
会場 大通公園アクセスサッポロ月寒グリーンドーム・札幌市東区北8条東9丁目
主催 北海道札幌市
来場者数 170万人[1]

世界・食の祭典(せかいしょくのさいてん)は、1988年6月3日から10月30日にかけて、北海道札幌市で開かれた地方博覧会。別称「JUNO'S JAPAN '88」。主催は北海道および札幌市。キャッチフレーズは「食べることはいいことだ」。

バブル景気の最中の開催であったにもかかわらず、大きな赤字を出して北海道の財政を圧迫し、1980年代末の地方博覧会ブームの最中に開催された博覧会の中では「最悪の失敗例」とされ、失敗の代表例として取り上げられている[2][3][4]

概要[編集]

札幌市内に会場を分散配置し、入場券として当時普及し始めた磁気式プリペイドカードを使用するなど、革新的な試みも実施された。

しかし開幕の3ヶ月前になってやっと基本計画がまとまるなどの杜撰な運営、入場料や料理の価格の高さと「料理の味が値段に見合わない」という口コミによる人離れ[3][4]などにより、開幕からほどなくして会場は閑散となった。そのため一転して入場料を無料化するなどの措置を講じたが、しかしそもそも一人が食べられる量には限界があるため企画自体に無理があった。

目標入場者数400万人に対し、実際の入場者数は170万人、うち有料での入場者は90万人程度だった[1]。最終的に約90億円にも及ぶ大きな赤字を出し、北海道の財政に打撃を与えた[2]

赤字の影響[編集]

1989年(平成元年)7月6日に北海道知事は、北海道議会平成元年第2回定例会にて「平成元年度一般会計補正予算案」と「北海道知事等の給与等に関する条例の一部を改正する条例案」を提案し、両案とも賛成多数により可決された。前者の案は、財団法人食の祭典委員会特別対策費110億円を計上したもので、内訳は、財団法人食の祭典委員会に対する道の負担金20億円、同財団に対する無利子の貸付金90億円である[5]。世間が認識している「90億円の赤字」とはこの無利子貸付金90億円を指している。ただし90億円は返還を前提にした貸し付けであり、実際の北海道の負担金は20億円だった。

だがそれでも、元々経済基盤が脆弱な北海道にとって打撃となるには十分過ぎるものであり、バブル崩壊後の北海道拓殖銀行の破綻に端を発する「拓銀ショック」と呼ばれる深刻な経済不況へつながる原因のひとつとなった。[要出典]

さらには関係者から自殺者を出す騒ぎにまで発展し[3][4]、「ショックの祭典」とも揶揄された。

当時の北海道知事であった横路孝弘に対し、北海道議会問責決議を行った。北海道議会平成元年第2回定例会にて「北海道知事横路孝弘君を問責する決議」が、日本社会党・道民連合、民政クラブ、無所属及び公明党による共同提案として提案された。日本共産党は同議会において辞職勧告決議案を提案し、自由民主党がこの共産党案に賛成したが、同案は否決された。また日本共産党は「食の祭典問題」調査解明のため、証人喚問・告発などの権限を持つ百条委員会の設置を求めたが、自由民主党ら他会派は百条委員会の設置には反対した。また自由民主党は「北海道知事横路孝弘君不信任決議案」を提案したが否決されている[6]

道が抱えた本イベントの負債利子を含む)99億円は、イベントから10年後の1998年に完済された[2]

哲学者札幌大学名誉教授の鷲田小彌太は、1988年12月に『ある地方博の死 世界・食の祭典 '88の検証』(絶版)を著してこのイベントの問題点を暴いた[3][4]版元の亜璃西社(アリスしゃ、本社:札幌市中央区[7]によれば、当時からこれの実態を暴く事は絶対的なタブーとされており、ゴーストライターですら後難を恐れて執筆を拒否する中、鷲田が執筆を引き受けたと語っている[3][4]

他のイベントへの影響[編集]

本イベントの失敗を受けて、千歳市で開基111周年にあたる1990年、または新千歳空港ターミナルビル開業に合わせた1992年に開催を計画していた「航空宇宙博覧会」計画が延期され、最終的に実現しなかった[8]

また同じく1988年に行われた函館での青函トンネル開通記念博覧会の赤字や、広尾町での十勝海洋博覧会の低収益も勘案され、旭川市では開基100周年行事の博覧会計画が中止となった。

なお、バブル崩壊後の1996年東京臨海副都心で開催予定だった世界都市博覧会の開催中止の際にも、この「世界・食の祭典」での失敗例が影響している。

会場・施設[編集]

メイン会場[9](10月10日まで)
  • 月寒会場 - 北海道立産業共進会場周辺敷地
    • ホクレンガーデンレストラン「アルカディア」
      • アルカディア ビュッフェ - 北海道の新鮮な農畜産物を取り入れた24種のメニューをスモーガスボード(バイキング)形式で提供する。
      • アルカディア マーケット - ホクレン・よつ葉乳業の農畜産物を販売する。
      • アルカディア テラス - ヨーロッパのリゾートを思わせるテラス席。
      • アルカディア ガーデン - 野菜の花をあしらった花壇や実りのオブジェによる牧歌的風景で理想郷を表現する。
      • アルカディア モール - ランチボックスやバーベキュー等を販売しテイクアウトでガーデンランチを提供する。
      • アルカディア ショップ - 軽食やドリンクを提供。
    • ワールド・ミート館 - 野外バーベキューを味わいながら食肉の生産流通消費や暮らしと肉の関わりを考える。
    • シーフード館「ふしぎ海洋館」 - アドベンチャー体験・学習・食事を通じて海洋資源について楽しみながら理解を深める。
    • みえる・みらい・ハウス - 通信・コンピューター・バイオテクノロジー等の先端技術の視点から「食と近未来生活」へアプローチする。
    • アミューズメント・パーク - ジェットコースター「ウルトラツイスター」、大観覧車、ゴーカート、クラッシュレーシング等を設置。
    • アイヌ民族生活文化館「アイヌモシリ館」 - アイヌ民族の文化や食生活をアイヌ自身の手で紹介。
    • バザール館「夢市場」 - 開幕から8月25日まで「世界のショッピングゾーンワールドバザール」、9月18日から25日まで「つけものPR北海道大会」、9月23日から25日まで「北のふるさと食品フェア」を開催。
    • STV舌町ライフ - 明治・大正・昭和の町並みを再現したレトロ感覚の空間で北海道の美味しさを満喫させる。
    • 食生活文化館「RICE-ROAD」 - 日本の食文化の歴史や料理を再現しながら日本食の原点の米を見つめ新しい食生活を考える。
    • HBCアイマックスシアター - 縦18.9m・横24.7mの巨大スクリーンでスペースシャトルによる宇宙開発を題材とした約40分間のドキュメンタリー映画「THE DREAM IS ALIVE 宇宙の旅350万キロ(en)」を上映。
    • ヴェルデ・スクウェア「茶の湯-もてなしの広場」 - 菖蒲園に囲まれた1万平米の特設会場で美しい庭園と茶会を提供する。10月30日まで開催。
    • 未来宇宙館「Space Center 21」 - 宇宙生活を「食と生活」をテーマに紹介。
    • ジュノス・ステージレストラン - 4面マルチビジョンを配しショーイベントを展開しながら北海道産食材を用いたエスニック料理を提供する。
  • 大谷地会場 - アクセスサッポロ周辺
    • 恐竜館 - 人類誕生以前の地球や恐竜の生活・歴史を迫力ある映像や展示で紹介し生命の尊厳と人類の未来を考える。
    • 国連館「国際活動館」 - 国連8機関が食・人類・地球のテーマで食糧問題や人口問題等の独自の活動内容を紹介。
    • ミュージアム・ショップ - フィンランド直送のログハウス内でオリジナルグッズやキャラクター商品を販売。
    • セントラル・パーク - ニューヨークのセントラル・パークをミニチュアで模した庭園。
    • 開発協力館 - 国際的公益活動や相互協力・開発を考え活動意義を紹介。
    • 北方圏協力館 - 北海道ならではの北方圏諸国との国際交流、文化、経済、観光交流等の様子を紹介。
    • 世界地域別パビリオン - 中国館、アジア太平洋館、アフリカ南米館、フランス館、韓国館、スペイン・ヨーロッパ館を配置し世界の食文化や表情を紹介。
    • チルドレン・レストラン - 世界各国の一品を加えたお子様ランチ専門のファミリーレストラン。
    • アミューズメントパーク - アストロライナー、バルーンサイクル等を設置。
    • UHBアメリカ映画村 - 懐かしの名画から近年のヒット作までのアメリカ映画各作品で用いられたセットや大道具・小道具・衣装を展示。
    • サッポロビールレストラン「ジュノス・ライオン」 - 工場直送の生ビールや和洋中の料理を提供する会場内最大のレストラン。
    • スノーブランドショップ - 雪印アイスクリームを提供するログハウス。
    • イベント広場
副会場[9]
  • 大通り会場 - 大通公園西1・2丁目(10月30日まで)
    • 総合案内所「ジュノス・センター」
    • カフェ・ド・ジュノス - ソフトドリンク・軽食を提供。
    • ジュノス・中華街
  • ジュノス・フェスト会場 - 札幌市東区北8条東9丁目(サッポロビール園隣接地)
    • エアドーム「BEER DOME」
    • 食楽市場
    • ホラーシアター
  • 函館会場 - 市内各所の町並みや公園や老舗飲食店を組み合わせて展開。
    • 青函トンネル開通記念博覧会 - お菓子が伝える外国文化をテーマとしたブース「ワールド・キャンディー・マジック」やお祭り広場でのイベントを展開。
    • ジュノスプラザ函館(若松町) - 案内所としてイベント情報や観光ルートを紹介。
    • 金森ホール - 斎藤雅緒原画展を開催。
    • 五島軒 - 6月3日に世界のイカ料理祭を開催。
    • 函館すし祭り'88(期間中月一回開催)

主なイベント[編集]

入場料[編集]

  • プリペイドカード「ジュノス・カード」
    • 前売価格:18点1500円、24点2000円
    • 当日価格:10点1000円、21点2000円、32点3000円[9]
  • 月寒会場[9]
    • 入場料:大人(高校生以上)ジュノス・カード15点、小人(小中学生)10点、未就学児無料
    • HBCアイマックスシアター、未来宇宙館、アイヌモシリ館:大人3点、小人(4歳以上・中学生以下)2点
  • 大谷地会場[9]
    • 入場料:大人(高校生以上)9点、小人(小中学生)6点、未就学児無料
    • 恐竜館、UHBアメリカ映画村、中国館:大人3点、小人(4歳以上・中学生以下)2点
  • ジュノス・フェスト会場:中学生以上200円[9]
  • 団体料金[9] - 25人以上で適用、25人毎に1人無料。有料パビリオンは別料金。
    • 大人:月寒会場1300円、大谷地会場800円、月寒大谷地共通券2000円
    • 子供:月寒会場900円、大谷地会場500円、月寒大谷地共通券1300円
  • 学校行事団体料金[9] - 学校・PTA親子行事時に15人以上で適用。有料パビリオン入場権含む。
    • 高校生:月寒会場700円、大谷地会場400円、月寒大谷地共通券1000円
    • 小中学生:月寒会場600円、大谷地会場300円、月寒大谷地共通券800円
  • 駐車料金:1台1000円[10]
  • 7月21日からは主会場の無料開放を午後6時以降から午後5時半以降に前倒し、HBCアイマックスシアターと恐竜館以外の有料パビリオン4館の無料化、駐車料の2回目以降無料化を実施[10]

協賛イベント[編集]

テーマ曲[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 細野(1992):45ページ
  2. ^ a b c 「世界・食の祭典」が大赤字に 地方博覧会ブームの中で最大の失敗とされる - 朝日新聞×HTB 北海道150年あなたと選ぶ重大ニュース”. 北海道テレビ放送, 朝日新聞. 2019年10月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e 鷲田小彌太『ある地方博の死 世界・食の祭典 '88の検証』亜璃西社、1988年12月1日。ISBN 4900541036
  4. ^ a b c d e ある地方博の死 世界・食の祭典 '88の検証 版元ドットコム、2020年7月28日閲覧。
  5. ^ 北海道議会会議録による。
  6. ^ 北海道議会会議録による。
  7. ^ 亜璃西社 版元ドットコム、2020年7月28日閲覧。
  8. ^ (PDF) 新千歳市史通史編下巻 第5編戦後の行政. 千歳市. (2019-03-28). https://www.city.chitose.lg.jp/fs/4/9/9/6/0/_/_5_.pdf 2019年10月15日閲覧。 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 世界・食の祭典広告特集 - 北海道新聞1988年6月3日朝刊
  10. ^ a b "食欲不振"にえーい無料だ 食の祭典4パピリオン苦肉の策2回目駐車料も21日から夏休みを控え決断 - 北海道新聞1988年7月19日夕刊9面
  11. ^ 市電レストラン出発進行! - 北海道新聞1988年7月4日朝刊22面

参考文献[編集]

  • 細野義晴「博覧会と地域振興―世界祝祭博覧会をひかえて」松阪大学地域社会研究所報.4:43-54. 1994年。
  • 鷲田小彌太『ある地方博の死 世界・食の祭典 '88の検証』亜璃西社、1988年12月1日。ISBN 4900541036
  • 交友社鉄道ファン』1988年9月号(通巻329号)p128

関連項目[編集]