乳輪

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乳輪
Female Areola closeup.jpg
成人女性の乳輪(中心は乳首
ラテン語 area
英語 Areola
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乳輪(にゅうりん)とは、乳首の周囲の色素沈着した領域[1](焦げ茶色・黒色・桃色)。別名:乳暈(にゅううん)。

成長[編集]

女性の乳房のタナー段階。思春期に入るIIの前半(乳頭期)から乳輪の面積が拡大し始め、Vに近づくにつれて大きくなる。色はIは薄ピンク色だが、IIからVにかけては個人差により薄ピンク色のままの人もいれば黒ずむ人もいる。IIの後半(乳輪期)で乳輪付近が膨らみ始める。

思春期前(乳房のタナー段階I)の女性の乳輪は面積も小さく、男性との性差もない[2]

女性は思春期に入ると同時に乳房の成長が始まり、乳房のタナー段階IIの前半である乳頭期には乳輪の面積が拡大し始める[3]ノーブラの状態で乳首・乳輪付近に被服などのが接触したり体を揺すったりすると疼痛痒みが生じたり(これが後述する黒ずみの一因になる)、胸付近の布地が薄く胸に密着している被服を1枚のみ着用している時にいわゆる「胸ポチ」が過去に比べて目立ちやすくなることから、思春期に入ったことに気づきやすい[4]。これを機にノーブラを止めてジュニアブラを着用し始める人もいる。それによって乳首・乳輪付近の疼痛や痒み、胸ポチを抑える[5]

乳房のタナー段階IIの後半(乳輪期)で乳輪付近が膨らみ始める。

タナー段階Ⅲでは乳輪はさらに面積を増大させるが、乳輪と乳房は同一面上にある。

タナー段階IV(形成期)には乳輪が乳房上から隆起するようになる。

タナー段階Ⅴに至って乳輪は再び乳房と同一面上まで退く[2][3]

乳輪内部にはモントゴメリー腺と呼ばれる皮脂腺が多数存在するので、男女ともに思春期以降は毛が生えることもある。モントゴメリー腺の分泌物は乳首と乳輪を保護する役目を持つ[6]。ヒトの乳児が乳を吸うとき、必ず乳首と乳輪を口に含む(乳首だけを口に入れても十分な乳が出ない)[7]。これについて、モントゴメリー腺の分泌する揮発性化合物が乳児の食欲を刺激しているという研究がある[6]

皮脂腺としては非常に珍しく、表皮付近に存在するので、乳輪は目で見てもわかるほどぶつぶつになっていることが多い。モントゴメリー腺の数は、片方の乳輪につき4-28個である[8]

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色は乳房のタナー段階I(思春期前)は薄ピンク色であるが、これは血管が集中しているためである。IIからVにかけては個人差により薄ピンク色のままの人もいれば、ホルモンバランスの変化や乳首・乳輪に被服などの物が摩擦することなどで乳首・乳輪のメラニン細胞が活性化してメラニンが生成され、黒ずむ人もいる[9]

妊娠中から出産直後にかけてはホルモンが増加し、また授乳時の刺激から守るためにメラニン色素が増えて黒ずみが増す。通常は分娩後、全身的に皮膚は明るい色調を取り戻す[10]。インドでの調査では妊婦650人中75%で乳輪が黒くなった[11]

高齢者はメラニンを生成する機能が衰えるため、黒ずみが薄くなる。

出典[編集]

  1. ^ 『トートラ解剖学』丸善、2006年7月31日、868頁。ISBN 4-621-07729-5。
  2. ^ a b W. A. Marshall; J. M. Tanner (1969). “Variations in pattern of pubertal changes in girls”. Arch. Dis. Child. 44 (235): 291-303. doi:10.1136/adc.44.235.291. 
  3. ^ a b 日野原重明, 井村祐夫(監修)『看護のための最新医学講座[第2版] 14 新生児・小児科疾患』中山書店、2005年3月15日、9-11頁。ISBN 4-521-62431-6。
  4. ^ 思春期早発症とは”. 武田薬品工業株式会社. 2019年3月30日閲覧。
  5. ^ 10歳。娘と「胸」について話し始めるタイミング”. 日経DUAL. 株式会社日経BP (2015年2月19日). 2019年10月6日閲覧。
  6. ^ a b Sébastien Doucet; Robert Soussignan; Paul Sagot; Benoist Schaal (2009). “The Secretion of Areolar (Montgomery's) Glands from Lactating Women Elicits Selective, Unconditional Responses in Neonates”. PLoS ONE 4 (10): e7579. 
  7. ^ デズモンド・モリス『ウーマンウォッチング THE NAKED WOMAN』常盤新平訳、小学館、2007年3月7日、225-226頁。ISBN 978-4-09-693016-8。
  8. ^ Debbi Donovan. “What are Montgomery's tubercles?”. parenting.ivillage.com. 2010年5月4日閲覧。
  9. ^ 乳首の色が友だちより黒い”. ガールズばでなび. 株式会社ワコール. 2019年10月6日閲覧。
  10. ^ Kar S, Krishnan A, Shivkumar PV. (2012-6). “Pregnancy and skin”. Journal of obstetrics and gynaecology of India 62 (3): 268–275. doi:10.1007/s13224-012-0179-z. PMC: 3444563. PMID 23730028. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3444563/. 
  11. ^ Hassan I, Bashir S, Taing S (2015). “A clinical study of the skin changes in pregnancy in kashmir valley of north India: a hospital based study”. Indian journal of dermatology 60 (1): 28–32. doi:10.4103/0019-5154.147782. PMC: 4318058. PMID 25657393. https://doi.org/10.4103/0019-5154.147782. 

関連項目[編集]