佐々木朗希

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佐々木 朗希
千葉ロッテマリーンズ #17
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 岩手県陸前高田市
生年月日 (2001-11-03) 2001年11月3日(18歳)
身長
体重
190 cm
85 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2019年 ドラフト1位
年俸 1,600万円(2020年)
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

佐々木 朗希(ささき ろうき、2001年11月3日 - )は、岩手県陸前高田市出身のプロ野球選手投手)。右投右打。千葉ロッテマリーンズ所属。高校生の日本歴代最速となる163km/hを計測した。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

2010年陸前高田市立高田小学校3年生の時に野球を始めるが、2011年3月11日の東日本大震災の津波で父と祖父母を亡くし、4年生時に大船渡市に移り住み、大船渡市立猪川小学校に転校した。地元の軟式少年野球団「猪川野球クラブ」に入部。[1]

大船渡市立第一中学校野球部(軟式)では2年生時にエースナンバーを背負うが、3年生になる直前の2016年初春に腰の疲労骨折が判明する。痛みを訴えた当初、地元の病院では「身体が硬いだけ」と診断されたが、釈然としなかった指導者が花巻東高等学校の佐々木洋監督に相談。大谷翔平が高校時代に通った青森県八戸市の病院を紹介してもらい、そこで疲労骨折と診断され、その後半年近くをリハビリに充てることになる。3年生時の本大会出場は叶わなかったが、秋に参加した「オール気仙[2]」では、岩手大会で優勝、東北大会で準優勝し、全国大会に出場。大会中に当時の自己最速となる141km/hを計測した。[3]

高校進学に当たっては、県内外の有名私立高校からの勧誘が多くあったが、「地元の学校で甲子園を目指したい」との思いから、岩手県立大船渡高等学校に進学。1年夏の県大会で147km/hを計測し、2年生の夏には154km/hを計測した[1]。2年時の最高球速は157km/h。夏の県大会は西和賀高等学校に敗れた。

2019年4月6日、高校日本代表候補による研修合宿の紅白戦で、球場の表示ではなく非公式ながら中日ドラゴンズスカウトスピードガンで163km/hを計測したとされている[4][5][1]が、これは、大谷翔平が花巻東高等学校の頃に当時の高校生の最速記録である160km/hを3km/h上回るものだった[6]。 このように速球で大きな注目を集めた佐々木は、奥川恭伸西純矢及川雅貴と共に、この年の『高校BIG4』と呼ばれた[7]。また、『令和の怪物』とも称される[8]

2019年夏の第101回全国高校野球選手権岩手大会ではエース兼4番打者となる。選抜大会出場の盛岡大附を破った一関工業高等学校に準決勝で完封勝ちし決勝進出に貢献、この段階でBS朝日が岩手大会決勝緊急生中継を決定・リプレイ設備がない岩手朝日テレビの決勝中継に50社ほどの協賛スポンサーがつくなど前例のない盛り上がりとなった。7月30日に行われた決勝戦の対花巻東高校戦では、「故障予防のため」という理由で投手・打者とも出場回避となり、チームは敗北した[6]。これに対し、大船渡高校には苦情の電話が殺到し、野球関係者や評論家の間でも議論となり、メディアでも取り上げられるほど社会問題となった。2019年8月には18歳以下の野球ワールドカップの代表に選出されたものの、大会前に右手の中指に肉刺(まめ)ができたため、登板したのは対韓国代表戦の1イニングにとどまった[6]

10月1日付でプロ志望届を正式に提出し、10月2日に岩手県高校野球連盟がこのことについて正式に発表した[6]。2019年10月2日に、記者会見を開き、正式にプロ志望を明らかにした[9]

2019年10月17日に行われたドラフト会議北海道日本ハムファイターズ千葉ロッテマリーンズ東北楽天ゴールデンイーグルス埼玉西武ライオンズの4球団からの1位指名を受け、抽選の結果ロッテが交渉権を獲得した[10]

選手としての特徴[編集]

足を高く上げる投球フォームが特徴[11]

最速163km/hの速球(フォーシーム)が最大の武器。その他、スライダー、フォーク、チェンジアップを持つ[12]

高校時代に岩手県大会・盛岡四高戦の延長12回にて、決勝弾を放つなど打撃センスもある[13]。50メートル走5秒9[14]

登板回避問題[編集]

2019年7月30日に行われた第101回全国高校野球選手権岩手大会決勝戦において、佐々木は登板することなく、チームは花巻東高校に2-12で敗れ、大船渡高校はあと一歩のところで35年ぶりの甲子園出場を逃した。試合後國保陽平監督は「3年間で(佐々木が)一番壊れる可能性があると思った。故障を防ぐため。私が判断した」と登板回避の理由を説明したが、これに対して大船渡高校には2日間で250件の苦情が殺到し[15]、その起用法を巡っては野球関係者や評論家の間でも賛否両論が巻き起こり、メディアでも多数取り上げられることとなった。

特に注目された発言として、野球評論家張本勲は自身が出演するテレビ番組「サンデーモーニング」において「絶対に投げさせるべきだった。監督と佐々木のチームじゃない。チームの選手は1年生から3年生まで必死に練習して、甲子園が夢なんですよ」[16]とコメントした。その張本はプロ通算400勝投手の金田正一(2019年10月6日逝去)から電話を貰い、佐々木の登板回避問題について「投げさせなきゃだめだ。賛否両論じゃない。99%だ」と、金田が電話口で力説していたことを語っている[17]。これに対してシカゴ・カブス投手のダルビッシュ有は、ツイッターでこの張本の発言をめぐる記事を引用して批判。漫画『ドラゴンボール』のキャラクター“シェンロン(神龍)”を持ち出し、「シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら迷いなくこのコーナー(張本の出演するテレビ番組)を消してくださいと言う」と投稿した[18]

また、野球評論家の桑田真澄報知新聞において「大船渡の國保監督と佐々木投手の勇気に、賛辞を贈りたい」とコメント[15]。ほか、サッカー界でも日本代表の長友佑都やサッカー解説者の前園真聖が、選手の将来を考えた監督の決断を支持するコメントを残した[19]

一方で、甲子園の名将とも言われる高校野球の監督・元監督らからは「一番大事な決勝。理解に苦しむ」(横浜高校渡辺元智前監督)、「回避にびっくり」(大阪桐蔭高校西谷浩一監督)、「佐々木君が出ていたら勝っていたかもしれない」(履正社高校岡田龍生監督)等、批判かやや批判寄りのコメントがなされ[15]智弁学園和歌山高校智弁学園高校元監督の高嶋仁は、「苦渋の決断をした勇気は認めなくては」としつつ「自分なら決勝から逆算して投げられるように県大会全体でやりくりをする。無理はさせない前提だが、その上で何とか甲子園に連れて行ってやろうとした。甲子園は聖地で、成長の大きな機会でもあるから」とコメントした[20]。また元開星高等学校監督の野々村直通は、「『お前は限界だと思うだろうが、まだやれるよ』と教えることが教育、そして『先生、僕出来ました。もうひとつ上のことが出来ました』という進歩を体験させることも教育だ」として、「佐々木君が(決勝戦で)『僕、いけます』と監督に直訴できる選手であってほしかった」と語っている[21]

この出来事は、その後も高校野球の投手の起用法やトーナメントでの戦術に関する議論において引き合いに出されるなど、問題に一石を投じることとなった[22]。なお、当の佐々木本人は試合後メディアの取材に対して「監督の判断なので、しようがないです。高校野球をやっていたら、試合に出たい。投げたい気持ちはありました」と答えている[23]

詳細情報[編集]

背番号[編集]

  • 17 (2020年 - )

同姓の佐々木千隼がいるので、ネームは区別の為「R.SASAKI」となる。

脚注[編集]

  1. ^ a b c 佐々木朗希”. 週刊ベースボールONLINE. ベースボール・マガジン社. 2019年10月16日閲覧。
  2. ^ 軟式野球部を引退した中学3年生がその秋に、高校から扱う硬式球の準備のため地域で結成する代表チーム。素材はゴムだが硬式球と同じ大きさ、重さの「Kボール」を使ってプレーする。
  3. ^ 大船渡・佐々木朗希 中学時代恩師たちが明かす「怪物前夜」”. NEWSポストSEVEN. 小学館. 2019年10月16日閲覧。
  4. ^ 大船渡・佐々木163キロ/高校生・主な球速上位”. 日刊スポーツ (2019年4月7日). 2019年10月19日閲覧。
  5. ^ 高校最速163キロの大船渡高・佐々木朗希 計測したスピードガン、実は…”. 中日スポーツ (2019年7月8日). 2019年10月19日閲覧。
  6. ^ a b c d 大船渡・佐々木朗希がプロ志望届を提出 きょう記者会見”. 朝日新聞 (2019年10月2日). 2019年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月3日閲覧。
  7. ^ 「ビッグ4」で唯一甲子園へ 星稜の「奥川劇場」開幕へ”. NEWSポストセブン. 2019年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年9月30日閲覧。
  8. ^ 「令和の怪物」佐々木朗希が挑む最後の夏 163キロ右腕の潜在能力”. 時事ドットコム (2019年7月12日). 2020年1月22日閲覧。
  9. ^ 大船渡・佐々木「163キロ超えたい」プロ志望表明”. 東京新聞 (2019年10月3日). 2019年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月3日閲覧。
  10. ^ ロッテ1位佐々木朗希、活躍する姿で被災者に元気を”. 日刊スポーツ (2019年10月17日). 2019年10月18日閲覧。
  11. ^ 163キロ右腕・佐々木朗希にドラ1の価値はあるか”. 日刊スポーツ (2019年10月16日). 2019年11月24日閲覧。
  12. ^ MAX163キロ右腕・佐々木朗希 変化球も怪物級 ブルペンで受けた捕手が語る 「フォークの落差見たことない」”. スポーツ報知 (2019年8月22日). 2019年11月24日閲覧。
  13. ^ 佐々木朗希が延長12回194球21奪三振完投勝利!打っては決勝弾!大谷翔平以来の160キロ計測!”. 高校野球ドットコム. 株式会社WoodStock (2019年7月21日). 2019年11月24日閲覧。
  14. ^ https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/201805190000844.html
  15. ^ a b c プチ鹿島 (2019年7月30日). “報道が過熱する「佐々木朗希」問題。各スポーツ紙はどこに注目したのか。”. Number Web. 株式会社文藝春秋. 2019年10月15日閲覧。
  16. ^ 張本氏、大船渡・佐々木は絶対投げさせるべき「けが怖がるならやめたほうがいい」”. SANSPO.COM. サンケイスポーツ (2019年7月28日). 2019年10月15日閲覧。
  17. ^ 「あれは稲尾さんのスライダー。佐々木君より奥川君が即戦力」張本氏がドラフト直前の直言”. 週刊文春オンライン. 株式会社文藝春秋 (2019年10月14日). 2019年10月19日閲覧。
  18. ^ シェンロンが一つ願いこと叶えてあげるって言ってきたら...”. ダルビッシュ有(Yu Darvish)Twitter (2019年7月28日). 2019年10月15日閲覧。
  19. ^ 佐々木・不起用問題、張本勲の監督批判に世界中から批判殺到…「根拠ない根性論」”. Business Journal (2019年7月29日). 2019年10月15日閲覧。
  20. ^ 「佐々木朗希」の登板回避、32歳監督はどうすべきだったのか 決断への“批判”“称賛””. デイリー新潮. 新潮社 (2019年8月8日). 2019年10月15日閲覧。
  21. ^ "「末代までの恥」発言の野々村元監督、大船渡・佐々木"登板回避"「あり得ない」「プロ育成所へ…」". Sponichi ANNEX. スポーツニッポン新聞社. 2019-08-11. 2019-10-19閲覧
  22. ^ 氏原英明 (2019年8月1日). “佐々木朗希から考える「年間日程」。センバツがエース依存の根本原因?”. Number Web. 2019年10月15日閲覧。
  23. ^ 佐々木朗希「あと1勝」で投げず、国保監督の重い判断”. 時事ドットコムニュース. 時事通信社. 2019年10月15日閲覧。

関連項目[編集]

登板回避問題関係を取り上げた外部リンク[編集]