信長の野望・全国版

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信長の野望・全国版
ジャンル 歴史シミュレーションゲーム
対応機種 PC-8801
PC-9801
FM-7
X1
X68000
MZ-2500
MSX
MSX2
Windows 98-XP[Win]
(25周年パックVol.1および定番シリーズとして:PC98エミュレータ)
ファミリーコンピュータ[FC]
スーパーファミコン[SFC]
メガドライブ[MD]
PCエンジン[PCE]
PlayStation[PS]
携帯電話
開発元 コーエー
発売元 コーエー
人数 1-8人
発売日 1986年10月[PC-8801]
1986年11月[X1]
1987年1月[PC-9801]
1987年4月[FM-7]
1987年5月[MZ-2500]
1987年7月[MSX]
1987年11月21日[MSX2]
1988年3月18日[FC]
1988年11月[X68K]
1993年8月5日[SFC]
1993年9月15日[MD]
1993年12月11日[PCE SUPER CD-ROM2]
1998年1月22日[PS]
2000年8月3日[PS・定番シリーズ]
2003年3月17日[携帯電話]
2003年8月1日[Win・コーエー25周年記念パック]
2005年7月22日[Win・定番シリーズ]
2010年8月18日[iPhone,iPod touch]
2017年1月25日[Steam]
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
その他 SFCは『スーパー信長の野望・全国版』
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信長の野望・全国版』(のぶながのやぼう・ぜんこくばん)は、1986年光栄(現・コーエーテクモゲームス)から発売された歴史シミュレーションゲーム。「信長の野望シリーズ」の第2作。タイトルロゴの「全国版」の部分が「全・国・版」と表記されているものもある。

前作『信長の野望』はBASIC言語で作られていたが、本作はC言語で開発された。PC-88(SR以降)版の発売後、他のパソコン機種に移植され大ヒットした。1988年には、同社の家庭用ゲーム機市場への初参入ソフトとして、ファミリーコンピュータに移植され、その後さまざまな家庭用ゲーム機に移植された。Windows版では「コーエー25周年記念パック」シリーズのVol.1にPC-98版の物が収録され、後に「コーエー定番シリーズ」での単品発売もされている。

後のシリーズでは、配下武将の導入や合戦仕様の細分化など、内容が複雑化しているが、本作のシステムはシミュレーションゲーム初心者にも簡単に理解できるシンプルなものであり、携帯電話向けコンテンツとしても移植されている。

内容[編集]

概要[編集]

戦国時代を舞台とした国取り合戦で、戦国大名が他の戦国大名と戦い国を奪っていき全国統一をしていくのが目的である。のちにシステムソフトが『天下統一』のタイトルで歴史シミュレーションゲームを発売したため、コーエーは「天下統一」の使用を避けるようになったと言われている。

基本的に、武将は大名しか登場しない他、能力は自分で決めて行き能力を高めていくというゲームである。このゲームにより信長シリーズの草分けとなっていった。また、歴史イベントとして本能寺の変が用意され、以降の作品にも受け継がれている。

また本作から、各大名の顔グラフィックが登場。台風や、飢饉暗殺などイベントごとにアニメーション静止画も表示されるようになった。ADPCMを標準搭載するX68000版では、当時のゲームでは珍しかった音声が静止画の表示とともに流れ、年貢率を下げた時には「バンザーイ!」、逆に上げた時には「ご無体な?」、一揆が発生した時には「もうがまんできねえ」など、ふんだんに使われている。なお、BGMは菅野よう子の作曲によるものである[1]

50ヶ国モード[編集]

本作では、北の蝦夷から南の薩摩大隅までの、ほぼ日本全国をカバーする50カ国が舞台となり、前作ではプレイヤー大名は織田信長武田信玄のみだったが、登場大名50人[2]の中から任意に選択する事ができる。これに伴い、システムからのメッセージが各地方の方言となる「方言モード」も導入されている。なお、九州地方等では方言のずれが見られる。前作から引き続き、尾張を中心とした関東から近畿地方までの17カ国を制覇するモードも搭載されている[3]。また、同時プレイ人数が8人までと大幅に拡大された。

大名死亡時の処理[編集]

前述の通り、本作には大名しか登場せず、配下武将や息子といった大名の後継者の概念が無いため、大名が死亡した場合の処理が後の作品とは大きく異なっている。

戦争で複数の領国を持っている大名本人を討ち取って決着した場合には、討ち取られた大名が生前統治していた国はすべて戦勝国の領国となる。次作『戦国群雄伝』からは大名が討ち取られても領国が残っていて配下武将がいる場合にはその武将が跡を継ぐようになったため、このシステムは消滅するが『蒼天録』において「総取り」システムとして復活している。

一方、病気・高齢や忍者による暗殺などで死亡した場合にはその大名の統治していた国はすべて空白地となり、謀反・一揆による死亡の場合にはその大名の元本国には新たな大名が誕生し、2国以上を持つ大名であった場合の本国以外の国はすべて空白地となる。空白地が発生した場合、その国に隣接する大名らによって入札が行われる。プレイヤーの隣接国に空白地が発生した場合は、入札に参加するか選択できる。ただし、空白地に隣接する大名が1人以下の場合、新たな大名が誕生する。新たに登場する大名の名前はランダムで決められる[4]。この入札システムについては、後の作品においても類似するものは見られない。このシステムを利用し、暗殺と入札を繰り返して領国を増やしていくことが可能である[5]が、プレイヤー大名よりIQ[6]が高い大名には、暗殺はまず成功しない。

プレイヤー担当であっても、大名死亡時には嫡子等に引き継げず、ゲームオーバーとなる。したがって、毛利元就等のように後の作品では統一が容易な有力大名でも、ゲーム開始年である1560年の時点で高齢の大名では全国統一が難しい。ただし、後述の「本能寺の変」イベントによる信長死亡の場合は例外で、秀吉に引き継がれる。

また、弱小大名は1ターンを待たずに一揆・謀反・敵国からの侵攻・暗殺で滅亡してしまうことがよくあり、プレイヤーの場合、その傾向は強く現れる。レベルが上がるほど、その傾向は顕著になる。

大名[編集]

各大名のパラメータは年齢のほか、病気にかかる度合いや寿命、訓練度などに影響する健康、不戦同盟や婚姻の成功率に関わる野心、災害の発生率や敵国が攻め込んでくる確率に影響する、一揆や謀反の発生率に関わる魅力、忍者コマンドの成功率や訓練などに関わるIQ(知能)がある[7]

内政[編集]

内政のコマンドは「開墾」、「治水」、「町づくり」、「施し」が基本である。「開墾」は、石高が上昇するが、治水と民財が低下する。「治水」は、最大100まで上げられる治水度を上昇させる事で年貢収入が増える。「町づくり」は、町の価値が増加するが民財が低下する。「施し」は、金・兵糧を民に施す事で民忠を上げ民財を増加させる。基本的に、金よりも兵糧を施した方が、民忠がより増加する。

領国を発展させていく過程で必要な場合は、商人から借金もできる。借入可能額はその国の町の価値と同額である。借金は毎年の秋に自動的に返済され、秋以外でも商人がいれば返済可能である。秋の借金返済は兵士への給料支払いより優先されるため、借金額や年貢率によっては支払うべき給料が足りず、不足分だけその国の兵士数が減少することもある。また、借金は大名単位ではなく国単位で計上されるため、負債を抱えている時点でその国を敵大名が奪った場合、その大名に借金返済義務が生じることになる。摂津和泉山城には商人が常駐している。

新たな領地を得たら、委任した方が国力は早く伸びるが、軍事国にすると百姓一揆が、生産国にすると謀反が起きやすい。PC-88版、MSX2版では、兵士数を0にすると謀反が起きなかったが、PC-98の後期版、ウィンドウズ版では兵士数0でも謀反が発生する。軍事国およびバランス国の場合、プレイヤーの意思と無関係に、勝手に敵国を攻撃することがある。

合戦[編集]

合戦は、各陣営最大5部隊同士で争われ、大将の部隊である第1部隊を全滅させるか退却させると勝利となる。第1部隊が残っていても、兵糧を切らした方は負けとなる。第1部隊を全滅させて勝利した場合、残った敵側の兵士は自国のものになる。また大将が大名であった場合は部隊の戦闘力が2倍となるが、この際第1部隊を討ち取れば、大名が持つ全ての国を手に入れることができる。逆にプレイヤー側が討ち取られればゲームオーバーである[8]

合戦では、どの部隊も1コマずつしか移動できない。また、隣接しないと攻撃できず、移動と攻撃も同じターンにはできない。このルールと戦場の地形を利用して、敵の部隊から逃げ回り、攻め手にあっては兵糧攻め、すなわち相手の兵糧切れ、守り手にあっては戦争の期限である1カ月が過ぎるのを待つという戦術も可能である。

部隊は「鉄砲騎馬足軽」の順に強い。ただし、鉄砲隊はその国の武装度を50以上に上げないと、20%以上の編成率にできない。

また、兵忠が低いと謀反が、民忠や民財が低いと一揆が起きることがある。謀反の場合はその国の兵士が正規軍と謀反軍に分かれて戦うが、一揆の場合は正規軍はその国の兵士がすべて動員され、一揆軍はその国の兵士とは無関係に兵士が動員される。したがって、戦い方によっては一揆によって兵士が逆に増えることもある。

本能寺の変[編集]

本作の50ヶ国モードでは、歴史イベントとして「本能寺の変」が発生するようになっている[9]

通常発生する謀反とは違い、織田方は山城に駐留する兵力がすべて動員されるが、対する明智軍の兵力は倍の兵力となる。戦闘では、織田軍は敗色濃厚となっても他国への退却ができない。明智軍の部隊編成は山城の部隊編成と同じものとなっている。信長が死亡すると、プレイヤーは羽柴秀吉でゲームを続行することとなり、旧織田領は羽柴秀吉・柴田勝家明智光秀の領地に3分される。

バージョン[編集]

本作品は様々な機種に移植されており、基本構造は同じながら、発売機種または発売時期によってかなり仕様が異なる。よってある機種、バージョンでは有効であった攻略方法が、別のバージョンでは通用しないこともある。

PC98版には、BGMの無い256KB版と、BGMの有る384KB版、そして起動ファイルがZEN.EXEとなっている復刻版の3通りがある。復刻版については、数値の計算や条件分岐が前2バージョンと比較してかなり異なっている。

コンシューマー移植版[編集]

スーパーファミコン移植版の『スーパー信長の野望全国版』以降はシナリオが増え、方言モードの復活など一部設定が変更されている。1571年開始のシナリオ3は織田家が5か国を支配し、武田家上杉家毛利家なども複数国を支配し力を付けてきている。本能寺の変の直前である1582年開始のシナリオ4では織田家の支配する国は実に18か国。武田信玄上杉謙信が既に死没しているのも特徴である[10]。 また、紀伊の大名が堀内氏善から雑賀孫市に変更されているなど[11]、一部の国では当主が変更されている。

なお、プレイステーション版のパッケージに描かれている人物は、後にプレイステーション2ソフト『決戦』の徳川家康のモデルになったものと思われる。同作のパッケージイラストと攻略本『決戦 コンプリートガイド』で描かれている設定画の家康は、兜と一部の細部を除いてほぼ同じデザインである。

音楽[編集]

CD[編集]

  • 信長の野望・全国版/三國志 H29E-20005
  • 光栄オリジナルBGM集Vol.1 歴史三部作+グレードアップ・ヴァージョン H27E-20007
  • 光栄オリジナルBGM集Vol.8 スーパー信長の野望・全国版/太閤立志伝 KECH-1048(※スーパーファミコン音源をそのまま使用)

脚注[編集]

  1. ^ 舟野治樹、松川純一郎、ソフト・コミュニケーションズ(編)、1993、『ゲーム・ミュージック大事典』 〈宝島コレクション〉 ISBN 978-4796605595 pp.61-62
  2. ^ 最初から複数国を領する大名はいない(後述のコンシューマー移植版を除く)。
  3. ^ 『スーパーガイドブック』p.18およびpp.4-7、p.75によれば、17カ国モードは50カ国モードのマップの一部を単純に切り出したものではなく、一部国境線が異なっている。より具体的には、17カ国モードでは「加賀越中」であった国は「加賀」「越中」に。「越前若狭」は「越前」「丹後若狭」に分割されている。また甲斐信濃の西部についても、木曾福島として分割されるなどしている。
  4. ^ ただし、前の大名の名前の最後の一字を引き継いでいる。例えば織田信長が死亡した場合、新たな大名の名前の最後の文字が「長」となる。
  5. ^ 一例として『ゲーム十字軍 vol.1』p.100などで、長宗我部元親がプレイヤー大名の場合、IQを高く設定しておけば、四国の大名はIQの低い者が多いため、暗殺と入札で四国統一を行なえるといった例が紹介されている。それどころか九州についても、かなりの大名が暗殺の標的として成立する。
  6. ^ 機種・バージョンによっては「知能」。
  7. ^ 『スーパーガイドブック』pp.20-21
  8. ^ 『スーパーガイドブック』p.33, p.42、『メガROMゲーム必勝本 3』p.75
  9. ^ 『ゲーム十字軍 1』p.97
  10. ^ 『スーパーガイドブック』pp.8-11, pp.18-19
  11. ^ 変更前の堀内については『メガROMゲーム必勝本 3』p.81などを(ゲーム開始直後ではないが『ゲーム十字軍 vol.1』p.97でも「堀内」が確認できる)。変更後の雑賀については『ハンドブック』p.108参照。

参考文献[編集]

  • 1993、『信長の野望 全・国・版スーパーガイドブック』、光栄〈スーパー攻略シリーズ〉 ISBN 978-4877190217 - コンシューマー向けの攻略・ガイドブック。
  • パラダイム、1987、『MSX メガROMゲーム必勝本』3、 JICC出版局
  • 徳間書店インターメディア(編)、1988、『ゲーム十字軍』1、 徳間書店 - 雑誌MSX-FANの裏技コーナーを中心とした別冊。