出場停止

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出場停止(しゅつじょうていし)は、主にスポーツにおいて競技者に対して直近の1ないし数試合に出場する事を禁じる処分のことである。

悪質なプレーや著しい違反行為、不祥事などが起こった場合に課される。出場停止の試合数(期間)はその悪質度に応じて決められるのが通例であるが、サッカーのようにルール化されている競技も存在する。

ゴルフやボクシングなどのライセンス制競技の場合、「資格停止」と表現することが多い。競馬の場合は「騎乗停止」と表現する。

競技別の出場停止[編集]

サッカー[編集]

サッカーにおいては国際サッカー連盟(FIFA)の規定より、退場処分(レッドカード)あるいは累積警告(イエローカード)となった場合に1試合の出場停止が課される。

FIFA主催及びそれに準ずる大会では退場あるいは累積警告2度で1試合出場停止となる。FIFAワールドカップにおいては準決勝で累積警告2度になった場合は次の試合(決勝戦または三位決定戦)に持ち越されないが、退場の場合は適用される。

国内リーグではそれぞれのリーグごとで扱いが異なっている。Jリーグにおける出場停止は、Jリーグにおける選手の出場諸条件#累積警告による出場停止を参照されたい。

プレミアリーグの場合累積警告5度と8度でそれぞれ翌試合より1試合、12度で3試合出場停止。警告2回による退場の場合は翌々の試合より1試合、一発退場の場合3試合出場停止となる。

より悪質なプレーや違反行為などは、上記とは別に一定期間の出場停止を課しており、リーグ及び内容によっては執行猶予付き出場停止処分もある。2008年の中華人民共和国の地域リーグで審判のイエローカードとレッドカードを取り上げた上、第4審判のマッチリポートも奪う行為に出た選手が10年間出場停止となった事例がある。

バスケットボール[編集]

ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグにおいては、懲罰規定第5条において、出場停止となる試合数が規定されている。

  • 失格・退場を命じられたもの(ディスクオリファイイング・ファウルや1試合にアンスポーツマンライク・ファウル、テクニカルファイルをいずれか2回またはそれぞれ1回宣告された場合)→シーズン1回目は最低1試合、2回目以降は最低2試合
  • アンスポーツマンライク・ファウル、テクニカルファイルを累積2回以上行った場合→シーズン1回目は最大1試合で、繰り返した場合最大2試合。
  • それ以外の不正行為の場合、事例ごとに1試合~無期限の出場停止が規定されている。


かつて行われていたプロバスケットボールbjリーグにおいては、「ルールブックArt33. 罰金と出場停止」にて出場停止の記述が記されていた。

暴力行為やスポーツマンらしくない振舞いにより失格・退場を宣告された場合、そのレベルに応じた出場停止が命じられる。レベル及び出場停止となる試合数は以下の通り。

  1. レベル1:スポーツマンらしくない行為(ハードファウルを含む)。→最低1試合
  2. レベル2:極めて危険な行為や相手チームを侮辱、審判に対して、失礼な態度で話しかけたり身体接触を起こす。→最低2試合
  3. レベル3:観客、他の競技者、チーム関係者やゲームに関係している者に対する乱暴な行為。→最低4試合

試合中にはわからなくても、試合後に上記の行為が発覚した場合や、試合終了後に非紳士的な口調で審判に話しかけた場合も出場停止の対象となる。

テニス[編集]

テニスにおいては「サスペンション・ポイント」と呼ばれる制度が適用されている。

何らかの違反行為(コード・バイオレーション)があった場合にその悪質度に応じたサスペンション・ポイントが加算され、同一レギュレーションの一定期間内に決められたポイント数に達した場合に一定大会数の出場停止が課される。

なお、サスペンション・ポイントの規定については各団体によって異なる。

国民体育大会テニス競技では、以下の通りにサスペンション・ポイントが課せられる。ポイントは2年で消滅となるが、その間5ポイントに達すると、発表直後から1年間出場停止が課される。

  • 申込書の著しい不備:1
  • 理由なく代表者・監督会議に遅刻:2
  • 理由なく代表者・監督会議を欠席:4
  • 理由なく、開始式・開会式・表彰式を欠席:4
  • 参加資格違反による失格:5
  • オーダー間違いによる失格:3
  • 遅刻による失格(個人):2
  • 遅刻による失格(チーム):3
  • 服装および用具の違反:1
  • 服装および用具違反による欠席:2
  • コート上の反倫理行為:2
  • コート外の反倫理行為(会場内):2
  • 試合における失格:4
  • 途中欠場:5
  • レフェリーにより認められた失格:1
  • ドーピング違反:規程による
  • その他倫理規定違反:レフェリーもしくはトーナメント委員会決定

相撲[編集]

大相撲では、不祥事で出場停止を受けた主な例として次のものがある。

  • 2006年平成18年)7月場所露鵬が勝負が付いた後の土俵上で千代大海とにらみ合いを演じ、その後取材をしようとしたカメラマンに暴行を加え、負傷させたことから3日間の出場停止。
  • 2007年(平成19年)5月場所前、旭天鵬が力士の自動車運転を禁止する規則を破った上に人身事故を起こし夏場所を出場停止となる。
  • 2007年(平成19年)7月場所後、横綱朝青龍が巡業を骨折を理由に休場しながら無断でモンゴルに帰国、さらにサッカーをしている様子が映像で日本全国に流れるという大騒動を起こし、9月場所11月場所の2場所を出場停止。
  • 2010年(平成22年)7月場所では、大相撲野球賭博問題に関して大量処分者が発生し、野球賭博に関与した多くの関取が謹慎、実質的な出場停止となった。特に大嶽親方大関琴光喜解雇処分となり、大関以上では前例のない「実質的な永久追放」となった。
    • 2010年(平成22年)7月場所後に賭博関与を認める上申書を出さず、賭博関与が発覚した松谷と同部屋の三段目力士が9月場所・11月場所の2場所を出場停止。
  • 2011年(平成23年)2月4日に発覚した大相撲八百長問題でも大量処分者が発生する。協会の調査に対し、八百長行為を認めた力士3名については出場停止2年の処分がくだされている[1]。出場停止を受けた3名は即日に引退する意向を明らかにしている。

また、不祥事以外による出場停止の有名な例として、1943年昭和18年)夏場所中に青葉山龍王山に科されたものがある。これは、この二人が対戦してがっぷり四つに組んで動かず引き分けとなった丁度その日に、連合艦隊司令長官山本五十六戦死のニュースが発表されたことから、相撲協会が軍部に迎合して「敢闘精神不足」として処分したものである。当初無期限だったが力士会の反発が強く2日で解除された。

将棋[編集]

将棋界では、反則及び当人の不注意による常習的な不戦敗に対する処分としての出場停止の例がある。

  • 2005年5月の第13期銀河戦加藤一二三阿部隆の対局で加藤が「待った」の反則をしたとして、次回第14期銀河戦への出場停止と対局料没収の処分を科された。なお、この対局は加藤の勝利で、次の対局が終了していたこともあり対局結果の変更はなかった(もともと反則がその場で指摘されずに勝敗が付いた場合は勝敗が優先するのが打ち歩詰め等も含めた原則である)。
  • 金沢孝史は2001年から2005年にかけて、対局の遅刻・不戦敗を常習的にし、特に2003年は1年間で3回の不戦敗。2005年8月15日の第54期王座戦高田尚平戦で通算5回目の不戦敗をしたため、理事会から半年間の公式戦出場停止、次期王座戦の出場停止の処分を科された。
  • 2007年8月6日、中田功及び武者野勝巳が対局の日程を勘違いし、第16期銀河戦で予選の当日に対局場に現れず不戦敗となった。両者共に過去20年間で当人の不注意により上述を含め6回不戦敗を犯しており、かねてより所属棋士から対応の甘さを指摘されていた日本将棋連盟は、罰金100万円及び次期銀河戦への出場停止の処分を下した[2]

なお、1952年陣屋事件では、第1期王将戦第6局の対局を拒否した升田幸三に対して1年間の対局禁止処分がいったん発表されたが、後に撤回された。

モータースポーツ[編集]

SUPER GTではドライビングモラルハザード制度が存在し、規定点数に達した場合出場停止となる[3]

また、1995年世界ラリー選手権にてトヨタが使用車両のセリカに重大なリストリクター違反があったため、1年間の出場禁止処分だけでなく1995年シーズンのポイントが剥奪されている。

プロ野球[編集]

日本のプロ野球(NPB)では、協約違反などの際にコミッショナーや球団から有期の出場停止処分を科されることがあり、現行制度では「出場停止選手」としてコミッショナーより公示される[4]

ある程度長期に及んだものとしては以下のものがある。

このほか、暴力行為や審判への侮辱行為による退場処分を複数回受けると、数試合の出場停止処分を課されることがある。また、オールスターゲームに選出された選手が出場辞退すると、オールスター後の10試合の間出場選手登録ができなくなる。

なお、いずれの場合も試合に出られない以上の制約はなく、ベンチ入りメンバー外や出場選手登録抹消の状態のままでも問題ない。

MLBではダニー・ガルデラが1946年メキシカンリーグ移籍が当時保留条項違反に当たったため5年間の出場停止となった事例がある。

短期の出場停止は25人枠に入った上でなければ消化できない。故障者リストに入れるには出場停止処分を終えてからでなければならず、逆に処分開始時点で故障者リストにいる場合は出場可能になった試合から出場停止処分が課される。

その他の競技[編集]

社会人スポーツの場合、チームを移籍する際に前所属の同意が得られなければ1年間の出場停止となる場合がある。また、追加登録締め切り後は同意あるなし関係なくシーズン終了まで出場が不可能となる。出場停止の対象は主にリーグ戦であり、リーグ戦以外の公式戦には出場可能である場合が多い。

学生スポーツにおいても、転校すると転居・廃校などの理由がない限り一定期間出場停止となる場合が多い。

マジック・ザ・ギャザリングでも、一定の処分を受けた場合に資格停止の追加処分が行われる場合がある。多くは警告の累積により半年程のものとなるが、大きなイベントで失格処分となった場合は1年以上の長期(極めて悪質な場合は永久追放)に及ぶ場合もある。資格停止となったプレイヤーは、小規模なイベントであっても認定イベントには一切参加できない。 また、商品の内容を漏洩したとして2年近くに及ぶ資格停止を受けたプレイヤーも存在する。

脚注[編集]

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  1. ^ 調査で八百長行為を認めたための情状酌量、認めなかったものはそれより重い引退勧告処分が下されている
  2. ^ 2007年8月10日読売新聞 20年間で不戦敗6回、中田七段と武者野六段に罰金百万円
  3. ^ トレルイエ出場停止! GTAが第6戦鈴鹿のモラルハザード適用ドライバーを発表
  4. ^ 出場停止選手 2017年度公示 - NPB.jp 日本野球機構
  5. ^ 山口俊投手に出場停止などの処分 - 2017年8月18日 読売巨人軍公式サイト
  6. ^ 巨人 篠原、河野を不適切行為で謹慎「軽率なことをしてしまった」裸の動画を知人限定でSNSに公開 - スポーツニッポン 2018年6月13日
  7. ^ 河野元貴選手、篠原慎平投手を処分 - 読売巨人軍公式サイト 2018年7月7日
  8. ^ 出場停止選手 2018年度公示 - NPB.jp 日本野球機構
  9. ^ “松ヤニ男”ピネダが今度は背中を負傷 長期離脱なら黒田博樹、田中将大へさらなる負担も - 2014年4月30日 Full-count
  10. ^ アストロズの元DeNAグリエル、左手手術で開幕絶望 5~6週間離脱へ - 2018年3月1日 Full-count

関連項目[編集]