階級 (生物学)

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生物学分類学において階級(かいきゅう、: rank, category: categoria)は、などの、分類の階層のこと。分類階級(ぶんるいかいきゅう)とも言う。タクソン(分類群)の階層的位置を表す。

下位の階級の分類群は上位の階級の分類群に含まれる。しかし、分類体系によっては含まれる階級が逆転することもある。たとえば、舌形動物の階級にされることもあるが、節足動物甲殻綱顎脚類(亜綱)に含まれるとする分類方法がある。

また、分岐学(分岐分類学)で生物を分類した場合、リンネ式の階級が当てはめにくい場合がある。

分類階級の一覧[編集]

接頭辞を持たないもの[編集]

命名規約で定められる階級は藻類菌類植物動物原核生物でそれぞれ差異があり、同一ではない。以下は藻類・菌類・植物の例を示す[1]

藻類・菌類・植物の分類階級
日本語 ラテン語 英語
regnum kingdom
phylum または divisio phylum または division
classis class
ordo order
familia family
(動物では族) tribus tribe
genus genus
sectio section
列、系 series series
species species
変種 varietas variety
品種、型 forma form

国際動物命名規約では、亜種より下位の階級は定められておらず、属の区分として節などの階級で提唱された分類名は亜属として扱われる[2]。一方で動物学では、綱と目の間に団 (legion) および区 (cohort) の階級を用いる分類体系もある[3]

界より上位の階級としてドメイン (domain) を置く説もある[4]真核生物の高次分類群としてはスーパーグループ (supergroup) が提唱されている[4]

接尾辞[編集]

属より上位の分類名については、国際藻類・菌類・植物命名規約(植物・藻類・菌類)及び国際動物命名規約(動物・原生動物)、国際細菌命名規約(細菌・古細菌)に基づき規則的な接尾辞が付けられている[5]

分類名の接尾辞
分類群
Taxon
植物
Plants
藻類
Algae
菌類
Fungi
動物
Animals
細菌古細菌
Bacteria, Archaea
Division/Phylum -phyta -phyta -mycota    
亜門 Subdivision/Subphylum -phytina -phytina -mycotina    
Class -opsida -phyceae -mycetes    
亜綱 Subclass -idae -phycidae -mycetidae    
Order -ales -ales -ales   -ales
亜目 Suborder -ineae -ineae -ineae   -ineae
上科 Superfamily -acea -acea -acea -oidea  
Family -aceae -aceae -aceae -idae -aceae
亜科 Subfamily -oideae -oideae -oideae -inae -oideae(現在使用されていない)
Tribe -eae -eae -eae -ini -eae(同上)
亜族 Subtribe -inae -inae -inae -ina -inae(同上)

なお、原生生物などでは分類の見直しで界レベルの変更が行われる例があり、その場合にはこのような接尾語も変更される。例えばラビリンチュラ類は当初は菌類に扱われたためLabyrinthulomycotaの様な菌類としての名を持っていたが、現在はストラメノパイルに属するとの判断が出ているので、これを使わないことが多い。このような場合、文献には幾通りかの名が流布することもある。 

接頭辞[編集]

階級が足りなくなった場合は、接頭辞を付けて階級を増やす。太字で書いたものをまず使い、それでも足りなければ他の接頭辞を使う。

  • 巨 Magn-
  • 上 Super-
  • 大 Grand-
  • 中 Mir-
  • 接頭辞なし
  • 亜 Sub-
  • 下 Infra-
  • 小 Parv-

国際ウイルス分類委員会による分類階級[編集]

ウイルスウイロイドサテライト核酸については、種より上位の高次分類群の階級および学名の接尾辞が国際ウイルス分類委員会の命名規約(ICTV Code)によって規定されている[6]

ICTV (2018) による分類群の階級と学名の接尾辞
分類階級
Taxonomic rank
ウイルス
Viruses
ウイロイド
Viroids
サテライト核酸
Satellite nucleic acids
Realm -viria -viroidia -satellitia
Subrealm -vira -viroida -satellita
Kingdom -virae -viroidiae -satellitiae
亜界 Subkingdom -virites -viroidites -satellitites
Phylum -viricota -viroidicota -satelliticota
亜門 Subphylum -viricotina -viroidicotina -satelliticotina
Class -viricetes -viroidicetes -satelliticetes
亜綱 Subclass -viricetidae -viroidicetidea -satelliticetidea
Order -virales -viroidales -satellitales
亜目 Suborder -virineae -viroidineae -satellitineae
Family -viridae -viroidae -satellitidae
亜科 Subfamily -virinae -viroidinae -satellitinae
Genus -virus -viroid -satellite
亜属 Subgenus -virus -viroid -satellite

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Turland, N. J., Wiersema, J. H., Barrie, F. R., Greuter, W., Hawksworth, D. L., Herendeen, P. S., Knapp, S., Kusber, W.-H., Li, D.-Z., Marhold, K., May, T. W., McNeill, J., Monro, A. M., Prado, J., Price, M. J. & Smith, G. F. (eds.) 2018: International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code) adopted by the Nineteenth International Botanical Congress Shenzhen, China, July 2017. Regnum Vegetabile 159. Glashütten: Koeltz Botanical Books. DOI https://doi.org/10.12705/Code.2018.
  2. ^ 動物命名法国際審議会『国際動物命名規約 第4版 日本語版 [追補]』日本動物分類学関連学会連合、2005年。
  3. ^ 日本哺乳類学会 種名・標本検討委員会 目名問題検討作業部会「哺乳類の高次分類群および分類階級の日本語名称の提案について」『哺乳類科学』第43巻 2号、日本哺乳類学会、2003年、127-134頁。
  4. ^ a b 島野智之「界, ドメイン, そしてスーパーグループ:真核生物の高次分類に関する新しい概念」『タクサ:日本動物分類学会誌』29号、日本動物分類学会、2010年、31-49頁。
  5. ^ 溝田浩二「門外漢のための「学名」のはなし」『化学と生物』42巻 2号、 日本農芸化学会、2004年、99-103頁。
  6. ^ ICTV Code”. International Committee on Taxonomy of Viruses (2018年10月). 2020年12月16日閲覧。

関連項目[編集]