切土
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切土(きりど)とは、高い地盤・斜面を切り取って低くし、平坦な地表を作る、あるいは周囲より低くするまたは斜面を切り取って法面を形成する建設工事。また、その工事で切り取った土砂のこと。山間部の工事では切土部分と盛土部分の体積を近づけ、切土を盛土に用いることで建設コストを安くできる。
連続的な切土により周囲の土地より低くして水路[1]、鉄道や道路を通した部分は掘割(ほりわり)という。
掘割[編集]
鉄道・道路を建設する際、丘陵地などで線路・道路の通る部分のみを深く掘り下げ、その底に線路・道路を建設することがあり、これを掘割という。丘などの斜面に左右されないため勾配が緩和されるほか、掘割区間では交差する交通とは必然的に異なる面に位置するため立体交差にできる。また、首都圏の東京外環自動車道や常磐自動車道、名古屋圏の名古屋高速や東名阪自動車道のように、都市近郊の高速道路では高架による日陰問題や騒音問題を回避する目的で掘割(もしくは蓋掛けの掘割)を採用する区間も多い。
特にニュータウンで鉄道やバイパス道路が建設される際には平面交差を防ぐ観点から掘割による区間が多く、鉄道では掘割と高架の利用によって踏切がない路線(例: 東急田園都市線、北総鉄道北総線)、道路では一般道でも高速道路と同等の設備を有する場合がある。
掘割に駅を作る場合を、掘割駅という。
なお、ロンドンでは都心部で鉄道を通すのに掘割が多く用いられており、英語では「shallow trench(浅い溝)」などと表現される[2]。
掘割式道路[編集]
都市高速道路では、密集した市街地の中を道路が走るので、一般に高架式で建設されるのが普通である[3]。高架式道路は、騒音、排気ガス、日照権などの環境問題が取りざたされることがあり、掘割式道路は、これら課題を解決する方法として考案された道路の構造である[3]。地面を掘って地下に高速道路を通し、トンネルのように密閉されたものではなく天井は全開にするか、あるいは一部分上だけに蓋(ふた)をして部分的に天井が開放される[3]。騒音のほとんどが遮断され、沿線住民の日照権が侵される恐れがない、蓋をした上の土地を通路や公園に整備するなどスペースを活用できるというメリットがあり、一方で、建設費は高架式よりもかかるというデメリットがある[3]。日本での採用例として、常磐自動車道の柏インターチェンジ付近がある[4]。