医中誌Web

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
医中誌Web
URL
https://www.jamas.or.jp/
タイプ 学術論文データベース
分野 日本国内発行の医学、歯学、薬学、看護学、獣医学などの関連分野
使用言語 日本語
項目数 1,100万以上[1]
閲覧 有料
登録 必要
著作権 コピーライト
運営元 医学中央雑誌刊行会
営利性 なし
設立 1903年
設立者 尼子四郎
現状 稼動中

医中誌Web(いちゅうしウェブ)とは、日本国内の医学関連分野の文献情報を収集した有料のオンラインデータベースである[2]。日本で発行される医学歯学薬学看護学獣医学分野の学術誌に掲載された原著論文会議録等を収載対象とし[3]、2017年9月現在1,100万件以上の文献情報の検索と閲覧が可能である[1]。1903年に創刊された抄録誌「医学中央雑誌」時代を含めると日本で最も長い歴史を持つ雑誌文献索引であり[4]、世界的にみても医学分野では1879年刊行の「Index Medicus」に続き2番目に古いとされる[5][6]

歴史[編集]

医学中央雑誌[編集]

1903年尼子四郎によって医中誌Webの前身にあたる医学中央雑誌が創刊された[5][6]。ドイツの「医学全科中央雑誌(Centralblatt für die gesammte Medicin)」を参考とした抄録誌であり[7][8][9][10]、日本の医学界に寄与すべく網羅性と速報性を重視していた[5]

事業が四郎の長男、尼子富士郎に引き継がれてからも、第二次世界大戦中に被災し一時的に休刊したほかは、外部からの支援を受けることなく編纂は続けられた[9]。この功績で富士郎には紫綬褒章日本医師会「最高優功賞」が与えられている[6][7]2002年まで医学中央雑誌の発行は続いた[9]

医学中央雑誌CD-ROM版[編集]

創刊号では64誌から1,886件の文献を収載していた医学中央雑誌だったが[5]1980年頃には収録文献数は約15万件に増大する[9]。それまで行ってきた手作業での出版は限界に近づき、インデクシングの効率化や索引誌発行までのタイムラグの解消、ユーザ側の要望でもあるデータベース化が課題となっていた[11]

そこで1983年、まず編集作業が電算処理による機械編集に切り替えられた[9]。このことにより情報が電子的に蓄積され、のちの医中誌Webの基本データとなった[12]。その後、ユーザ向けとして医学中央雑誌CD-ROM版が提供されはじめた。冊子に比べて検索の利便性は高く、1996年には冊子体とCD-ROMの契約数が逆転した[13]。CD-ROM版の提供は2006年まで続いた[9]

医中誌Web[編集]

PubMedが1997年に一般公開されるなど医学情報流通のあり方が変容する中、インターネット対応を望む声を受け、2000年にオンライン検索サービス「医中誌Web」がリリースされた[13]

2011年10月には、創刊号から410巻(1983年)までの紙面の画像が国立国会図書館デジタル化資料で閲覧可能となった[14]2014年11月以降は電算化以前のデータも「OLD医中誌データ」として医中誌Webに追加収載している。書誌事項からの検索が可能であり、国立国会図書館デジタル化資料の該当ページへリンクされている[15][16]

2015年時点で、約2,500機関に導入され、平日は一日平均1万9千回程度のログインがある[17]

データベース[編集]

医中誌Webは大学や病院、研究機関等による法人契約、および「医中誌パーソナルWeb」への個人契約により利用が可能である。

医中誌Webは、日本国内の医学関連分野の文献情報を収録している[1][2]。収録対象は日本で発行される医学、歯学、薬学、看護学、獣医学分野の学会誌、協会誌、研究会誌や会議録、紀要、商業誌などである[3][10]。これらの定期刊行物に掲載された会議録や原著論文、解説、総説等について、書誌情報のほか、論文種類・研究デザイン、キーワード、抄録を収載している[3][18]。一方でインタビュー、巻頭言、訪問記、 施設紹介、発表者が記載されていない文献などは採択されない[3][18]。全体のうち会議録の占める割合が50%を超える[10]。データは月に2回更新され、1970年から2017年9月現在までで約7,000誌の医学関連雑誌から1,100万件のレコードが索引付けられている[1]

MeSHに準拠した「医学用語シソーラス」を持ち、ある主題の文献を効率的・網羅的に検索するのに役立っている[19]。しかしシソーラスの体系から独立した「医中誌フリーワード」というオリジナルの統制語を持つほか、語の定義がシソーラス上で明示されていないなど、利用に注意を要する点もある[20]。シソーラスブラウザでは、同義語やMeSH用語を確認したり、該当のMeSH用語でのPubMed検索が可能である[21]

EBMの普及に対応し「メタアナリシス」「ランダム化比較試験」「比較臨床試験」「比較研究」「診療ガイドライン」の研究デザインによる絞込み機能も実装している[22]

論文本文を入手しやすいよう、所蔵目録やリンクリゾルバといった図書館システムや、電子ジャーナル機関リポジトリとも連携しているほか[23]、文献複写サービスも提供している[24]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d データ件数、更新情報”. 医学中央雑誌刊行会. 2017年9月21日閲覧。
  2. ^ a b 医中誌Webとは”. 医学中央雑誌刊行会. 2017年9月21日閲覧。
  3. ^ a b c d 編集方針に関するお知らせ”. 医学中央雑誌刊行会. 2017年9月21日閲覧。
  4. ^ “医学情報110年の蓄積―NPO法人「医学中央雑誌刊⾏会」三沢一成氏”. 日本経済新聞: p. 44. (2013年6月21日) 
  5. ^ a b c d 宮野昌明 (1999). “医学中央雑誌の成り立ちとその概要”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 46 (3): 282-286. doi:10.7142/igakutoshokan.46.282. NAID 130002019849. 
  6. ^ a b c 斎藤晴惠 (2006). “尼子四郎と夏目漱石”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 53 (1): 60-64. doi:10.7142/igakutoshokan.53.60. NAID 130002023781. http://www.jamas.or.jp/about/pdf/essay.pdf 2017年9月21日閲覧。. 
  7. ^ a b 江川義雄 (1986年). “廣島縣醫人傳 第1集:一般社団法人広島県医師会”. 2017年9月22日閲覧。
  8. ^ 井出唯敬 (1987). “新医学中央雑誌の分析:1984年版1号を対象として”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 34 (3): 219-223. doi:10.7142/igakutoshokan.34.219. NAID 130002021609. 
  9. ^ a b c d e f 松田真美 (2015). “医学中央雑誌110年の歴史を振り返って”. 薬学図書館 (日本薬学図書館協議会) 60 (1): 71-80. NAID 40020345949. 
  10. ^ a b c 諏訪部直子; 平紀子 (2013-10-25). わかりやすい医中誌Web検索ガイド:検索事例付. 日本医学図書館協会. ISBN 9784931222205. NCID BB13791205 
  11. ^ 宮野昌明 (1997). “医学中央雑誌の現状と課題”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 44 (3): 337-344. doi:10.7142/igakutoshokan.44.337. NAID 130002020288. 
  12. ^ 三沢一成 (2014). “医学中央雑誌 事業継承の歴史と変革”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 61 (1): 15-20. NAID 40020028775. 
  13. ^ a b 松田真美 (2014). “医学中央雑誌の電子化の歴史 : 医中誌CDから医中誌Webへ”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 61 (1): 21-28. NAID 40020028779. 
  14. ^ 松田真美 (2012). “Q&A 国立国会図書館における医学中央雑誌バックナンバー公開の意義とその利用法は?”. 医学図書館 (日本医学図書館協会) 59 (2): 142-145. NAID 40019325022. 
  15. ^ 白土裕子 (2015). “「医学用語シソーラス第8版」の改訂内容と医中誌Web (Ver.5) シソーラスブラウザの紹介, およびOLD医中誌データ収載について”. オンライン検索 (日本端末研究会) 36 (2): 75-91. NAID 40020521935. 
  16. ^ OLD 医中誌データの追加収録について (PDF)”. NPO 医学中央雑誌刊行会 電子出版課 (2014年11月1日). 2017年9月21日閲覧。
  17. ^ 松田真美 (2016年5月10日). “インターネットは強力な助っ人-医中誌Webの場合-”. 2017年9月25日閲覧。
  18. ^ a b 佐久間せつ子 (2007). “医学中央雑誌データベースの特徴”. 薬学図書館 (日本薬学図書館協議会) 52 (2): 124-130. doi:10.11291/jpla1956.52.124. NAID 130004177396. 
  19. ^ 浜田雅美 (2013). “医学用語シソーラス : MeSHとの関連性”. 情報の科学と技術 (情報科学技術協会 INFOSTA) 63 (5): 193-200. NAID 110009604001. 
  20. ^ 諏訪敏幸 (2013-01-01), 看護研究者・医療研究者のための系統的文献検索概説, 近畿病院図書室協議会, ISBN 9784990328412, NCID BB11316517 
  21. ^ 大崎泉 (2015). “医中誌Web シソーラスブラウザの紹介”. オンライン検索 (日本端末研究会) 36 (2): 92-96. NAID 40020521958. 
  22. ^ “医中誌のホームページでRCTの検索が可能に”. 日経メディカル (日経BP社) 8: 36. (2003). 
  23. ^ リンクについて”. 医学中央雑誌刊行会. 2017年9月25日閲覧。
  24. ^ 文献複写サービス”. 医学中央雑誌刊行会. 2017年9月25日閲覧。