名古屋をどり

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名古屋をどり(なごやをどり)とは愛知県名古屋市を中心に活動している、西川流家元西川鯉三郎(2世)1945年9月から始めた舞踊公演である。会場は御園座1968年2017年まで中日劇場2018年からは御園座。

毎年発表される、新作舞踊劇と古典の二本柱にしている。毎年9月の第1週目の土曜日が初日。10日間興行。一時期は1ヵ月興行も行われたという。1981年より現家元の西川右近に引き継がれる。

都をどり鴨川をどりなどの京都のおどり、浪速踊り、東をどりの地名を冠した三都舞踊公演が地元花柳界主催で芸妓が主に出演するのに対して名古屋をどりは地元の一流派主催による点が他と異なる。

2015年以降3部制になり、イヤホンガイドも導入[1]

新作舞踊劇の作家と出演者[編集]

名古屋をどりの新作舞踊劇は文壇の重鎮である川端康成小島二朔有吉佐和子谷崎潤一郎、田中青滋、邦枝完二円地文子高見順川口松太郎三島由紀夫内海重典水上勉水木洋子平岩弓枝北条秀司吉井勇松山善三木下順二らが新作舞踊劇の執筆に当たる。

1972年の第25回では、日替わりがゲスト出演した。

1978年には西川流門下生でハワイ在住の西川鯉四郎のもとで通いけいこしていたアグネス・ラムが初舞台として名古屋をどりに出演[2]

1980年の第33回で踊った素踊り、大和楽『三十石の夜舟』が名古屋をどりでは最後の舞台出演になった。

2011年[編集]

当初は9月3日から12日まで中日劇場で開催される予定であったが、東日本大震災の影響で、9月7日から12日までになった。

2010年[編集]

名古屋開府400年記念事業の一環として開催。

昼夜の狂言立て(番組の順番のこと)と上演時間を見直し、昼の部を12時開演、夜の部を18時開演にする。

昼の部は1979年の第32回にて上演。義経の愛を描いた北条秀司作の「雪の花」の再演と古典舞踊作品の予定。「新作舞踊劇」は川上貞奴と名古屋在住の福沢諭吉婿で、電力王の福沢桃介の話である。

脚本が荒俣宏、ゲストとして俳優加藤晴彦十世坂東三津五郎の長女・守田菜生が出演。

2010年 第63回名古屋をどり[編集]

昼の部 12時開演
題名 出演者 振付 備考 上演日程
長唄 元禄花見踊 9月4日〜5日
長唄 松竹梅 9月6日〜7日
長唄 三番叟 9月8日〜10日
長唄 たより 田中青滋作詞 三世今藤長十郎作曲。 江戸名古屋大阪の女に扮して踊る。 9月11日〜13日
名扇抄
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
長唄 漁樵問答 9月4日〜6日
大和楽 花だより 西川鯉三郎(2世)作舞 小島二朔作詞 宮川寿朗作曲  9月4日〜6日
清元 梅川[要曖昧さ回避] 9月4日〜6日
清元 築地明石町 西川鯉三郎(2世)作舞 川口松太郎作詞 清元榮三郎作曲  9月7日〜10日
長唄 須磨 9月7日〜10日
長唄 外記猿 9月7日〜10日
清元 お百度 西川鯉三郎(2世)作舞 林悌三作詞 清元榮三郎作曲  9月11日〜13日
清元 八朔 西川鯉三郎(2世)作舞 邦枝完二作詞 清元榮壽郎作曲  9月11日〜13日
長唄 知盛 9月11日〜13日
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
清元 十二段君が色音 初代西川鯉三郎 清元の大曲。「碁盤忠信」と言われている。大曲である故か、上演頻度が少ない作品。
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
舞踊劇 雪の花 守田菜生、西川流門弟 西川鯉三郎(2世)作舞 西川右近補作舞 北条秀司作 杵屋六左衛門作曲 住田長三郎作調 守屋多々志美術  
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
清元 お祭り 西川右近 西川右近構成 芸者の二人に半玉が大勢で踊る。

上演日程に日付がないものは、配役が10日間通し上演。

名扇抄は、3日交替で西川流の主力舞踊家が古典から二世西川鯉三郎の創作舞踊を踊る。

「清元 十二段君が色音」の佐藤忠信、花売り実ハ小女郎狐の出演者が配役を3日交替する。

夜の部 18時開演
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
大和楽 三十石の夜舟 西川右近 西川鯉三郎(2世)作舞 笹川臨風作詞 岸上きみ作曲  
題名 出演者 振付 備考 上演日程
大和楽  あやめ 女性舞踊家五人で踊る。 西川鯉三郎(2世)作舞 長田幹彦作詞 宮川寿朗作曲
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
長唄 棒しばり                       男性舞踊家で踊る。
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
おどりヴァヴリエテ マダム・ゑれくとりっく 加藤晴彦守田菜生西川右近、西川流門弟 西川右近作舞 荒俣宏作 西川右近脚本、構成 村治崇光作曲 住田長三郎作調 朝倉摂 美術

上演日程に日付がないものは、配役が10日間通し上演。

「長唄 棒しばり」の、太郎冠者役が3日交替する、大名役が4日交替する日がある。

2009年[編集]

2009年は62回目を迎え、二世鯉三郎の生誕100年を記念して全国の門弟が出演した。

二世鯉三郎の振付した、舞踊作品を中心とした番組が上演された(清元「傀儡師」、清元「武蔵野」、清元「京風流曙染」、長唄「都風流」、長唄「紀州道成寺」、長唄「鷺娘」など)。

鯉三郎の十八番だった清元隅田川を右近がお初役で、班女の前を演じた。

右近が「原作設定の子供を出したい」という念願が叶い、子供の門弟を中心とした、内海重典作のたけくらべが久し振りに上演された。

ゲストには、俳優の大沢健が出演、新作舞踊劇「穴」を右近と右近の長男千雅と共演した。

昼の部 11時開演  
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
二世西川鯉三郎生誕100年 名古屋をどりに歴史あり 上 大和楽「柳」を西川流の舞踊家の振付で踊る

華扇抄

題名 出演者 振付 備考 上演日程 
長唄 都風流 西川鯉三郎 (2世)作舞 久保田万太郎作詞 稀音家浄観作曲 5〜7日
長唄 鷺娘 5〜7日
清元 さざれの 初世西川鯉三郎作舞 清元斎兵衛作曲 8〜11日
清元 魂まつり 西川右近構成 九条武子作詞 清元榮壽郎作曲 8〜11日
長唄 喜三の庭 8〜11日
清元 京風流曙染 西川鯉三郎(2世) 吉井勇作詞 清元榮壽郎作曲 12~14日
清元 神田祭 12~14日
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
清元 隅田川 西川右近 西川鯉三郎(2世)振付 西川右近が初役で班女の前を演じた。
題名 出演者 振付 備考 上演日程
長唄 寿曽我物語 廓の対面 西川鯉三郎(2世)作舞 小島二朔舞踊脚色。曾我五郎曾我十郎兄弟が父の仇工藤祐経との出会いを描いた、歌舞伎「壽曾我対面」を舞踊脚色

「長唄 寿曽我物語 廓の対面」は、3日交替で配役が変わった。

題名 出演者 振付 備考 上演日程
舞踊劇 蔵の中〜うつし世は夢 大沢健西川右近、西川流門弟 西川右近作舞、演出 江戸川乱歩「人でなしの恋」より。久世光彦脚本 大和久満芳村伊十七)作曲、堅田喜三久作調、米川裕枝琴手付、沢田祐二照明、朝倉摂美術
夜の部 16時開演  
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
二世西川鯉三郎生誕100年 名古屋をどりに歴史あり 下 大和楽「柳」を西川流の舞踊家の振付で踊る
題名 出演者 振付 備考 上演日程 
舞踊詩 たけくらべ 西川鯉三郎(2世)作舞 内海重典作 宮川寿朗 作曲 右近が「原作設定の子供を出したい」という念願が叶い、原作通り子供の門弟を中心とした、配役になった。

名品集

題名 出演者 振付 備考 上演日程
清元 車引 5〜7日
清元 傀儡師 5〜7日
長唄 浦島 8〜11日
清元 四季三葉草 西川右近構成 千歳三番の三人ではなく、七人で踊る。 8〜11日
清元 玉川 12〜14日
清元 武蔵野 西川鯉三郎(2世)作舞 邦枝完二作詞 清元榮壽郎作曲 12〜14日 
題名 出演者 振付 備考 上演日程
長唄 紀州道成寺 西川鯉三郎(2世)作舞 二世西川鯉三郎が復活した。
題名 出演者 振付 備考 上演日程
新作舞踊劇 大沢健西川右近、西川流門弟 西川右近作舞、演出 青井陽治作、演出 沢田祐二照明 西川千雅音楽 住田長三郎作調 朝倉摂美術

  上演日程に日付がないものは、出演者が10日間通しで出演。

脚注[編集]

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  1. ^ 2018年5月1日中日劇場(中日新聞文化芸能局)発行「中日劇場全記録」
  2. ^ 2018年5月1日中日劇場(中日新聞文化芸能局)発行「中日劇場全記録」

参考資料[編集]

  • 名古屋をどりプログラム
  • 藤田洋『日本舞踊ハンドブック』2001年、ISBN 4-385-41046-1
  • 演劇出版社編『日本舞踊入門』2004年、ISBN 4-900256-89-7
  • 岡安辰雄編 『鯉三郎百話 西川鯉三郎』 中日新聞社 1977年
  • 『西川鯉三郎』(写真集) 監修北条秀司 1970年 淡交社
  • 『日本舞踊劇全集』(名古屋をどり、鯉風会、西川会で発表した舞踊劇をまとめたもの) 財団法人西川会 西川右近(近藤雅彦)監修 2002年

全国の図書館、大学、日本語研究所などで閲覧できる。