名鉄ミ1形電車

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ミ1形電車(ミ1がたでんしゃ)は、かつて名古屋鉄道が保有していた路面電車で、事業用車の一種(散水車)である。

概要[編集]

ミ1 - 4の計4両が存在した。名古屋鉄道では散水車をミ1形に一括しているが、実際にはその前身となる軌道線岐阜市内線美濃町線蘇東線岡崎市内線)の会社で異なる。

ミ1[編集]

美濃電気軌道が最初に導入した散水車で、1920年(大正9年)名古屋電車製作所の製造である。美濃電ではS型散水車1と呼称していた[1]。名古屋鉄道に合併後の1941年(昭和16年)にミ1に改番される。主に岐阜市内線、美濃町線で運用されたが、鉄道線の鏡島線でも運用されたという。

道路舗装が行き届いたことや、モータリゼーションの影響もあり、1962年(昭和37年)10月に廃車となる。名古屋鉄道で最後の散水車であった。

主要諸元[編集]

  • 全長:6,045mm
  • 全幅:1,830mm
  • 全高:3,647mm
  • 自量:6.6t
  • 積載水量:6.6m3
  • 電気方式:直流600V(架空電車線方式)
  • 軸配置:B
  • 台車形式:ブリル21-E
  • 出力:25PS×2基

ミ2[編集]

美濃電気軌道の散水車で、1926年(大正15年)名古屋岡谷製作所[2]の製造である。美濃電ではW型散水車2と呼称していた[3]。名古屋鉄道に合併後の1941年(昭和16年)にミ2に改番される。主に岐阜市内線、美濃町線で運用された。

1945年(昭和20年)の太平洋戦争空襲岐阜空襲)で焼失。この空襲で被害を受けた電車の多くは修復され、モ50形として復旧するが、ミ2はそのまま放置され、1953年(昭和28年)9月に廃車となった。

主要諸元[編集]

  • 全長:6,350mm
  • 全幅:1,829mm
  • 全高:3,134mm
  • 自量:6.6t
  • 積載水量:6.6m3
  • 電気方式:直流600V(架空電車線方式)
  • 軸配置:B
  • 台車形式:ブリル21-E
  • 出力:50PS×2基

ミ3[編集]

1929年(昭和4年)、名古屋鉄道(旧)が新川工場(現・新川検車区)で製造した散水車。台車や走行機器は廃車となったデシ500形の発生品を流用し、木造の車体と水タンクを取り付けたものである。蘇東線(後の起線)で運用される。

廃車時期は不明。一説では戦時中には休車していたという。1953年(昭和28年)6月1日に起線が休止していることから、それ以前に廃車と推測される。

主要諸元[編集]

  • 全長:7,912mm
  • 全幅:1,898mm
  • 全高:3,403mm
  • 自量:11.2t
  • 積載水量:8.6m3
  • 電気方式:直流600V(架空電車線方式)
  • 軸配置:B
  • 台車形式:マウンテン・ギブソン
  • 出力:50PS×2基

ミ4[編集]

岡崎電気鉄道の散水車で、1922年(大正11年)、岡谷合資会社製である。水タンクは円柱形で、直径1524.0mm、全長3632.2mm(6.6m3)であった。岡崎市内線で運用された。

1945年(昭和20年)7月の空襲(岡崎空襲)で被災し休車となり、1947年(昭和22年)に正式に廃車となった。

主要諸元[編集]

  • 全長:6,045mm
  • 全幅:1,765mm
  • 全高:3,134mm
  • 自量:6.5t
  • 積載水量:6.6m3
  • 電気方式:直流600V(架空電車線方式)
  • 軸配置:B
  • 台車形式:ブリル21-E
  • 主電動機:SS45W(25PS)×2基
  • 歯車比:4.86

脚注[編集]

  1. ^ Sは電装品がシーメンス製であったからという。
  2. ^ 岡谷合資会社のことと推測される。
  3. ^ Dは電装品がウエスチングハウス製であったからという。

参考文献[編集]

  • 藤井健 『名鉄岡崎市内線 -岡崎市電ものがたり-』 ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 48〉、2003年。ISBN 4-7770-5005-X。
  • 清水武 『名鉄岐阜線の電車(上) -美濃電の終焉-』 ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 129〉、2010年。ISBN 978-4-7770-5285-1。