国鉄DE15形ディーゼル機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
検索に移動
国鉄DE15形ディーゼル機関車
除雪を行うDE15形 (2008年1月 下沼駅 - 豊富駅間)
除雪を行うDE15形
(2008年1月 下沼駅 - 豊富駅間)
基本情報
運用者 日本国有鉄道
北海道旅客鉄道
東日本旅客鉄道
東海旅客鉄道
西日本旅客鉄道
十勝鉄道
秋田臨海鉄道
仙台臨海鉄道
西濃鉄道
製造所 日本車輌製造
川崎重工業
製造年 1967年 - 1981年
製造数 58両
主要諸元
軸配置 AAA-B
軌間 1,067 mm
全長 14,150 mm(機関車単独)
30,860 mm(複線形両頭車)
27,760 mm(単線形両頭車)
全幅 2,950 mm
全高 3,965 mm(機関車単独)
4,077 mm(除雪時)
台車 DT131(動力台車)
TR101B(付随台車)
動力伝達方式 液体式
機関 DML61ZA(基本番台・2053号機)
DML61ZB(上記以外)
機関出力 1,250 ps / 1,500 rpm(基本番台・2053号機)
1,350 ps / 1,550 rpm(上記以外)
変速機 DW6
制御装置 電磁式および電磁空気式
制動装置 DL15B形
自動空気ブレーキ・手ブレーキ
最高速度 85 km/h
テンプレートを表示

DE15形ディーゼル機関車(DE15がたディーゼルきかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が開発・設計・製造した中型液体式除雪用ディーゼル機関車ラッセル式)。

概要[編集]

まりも」を牽引するDE15 1501

ラッセル式除雪機関車としては1961年昭和36年)にDD15形が登場していたが、除雪装置を装着した際の軸重が15.5トンとなるために、線路等級の低い丙線以下の線区には入線することが不可能であった。したがって、これらの低規格線区では、旧来からの雪かき車を機関車で推進して除雪する方式で行わざるを得なかった。そこで除雪車両の高性能化と近代化をはかるため、DD20形をベースにし、ラッセル除雪装置を機関車に固定したDD21形1963年に試作されたが、除雪装置を装着したままでのローカル線運用や入換作業に不便があり1両のみの製造にとどまった。DD21形の欠点を是正し、DE10形をベースに開発された低規格線区に入線可能な除雪用機関車が本形式であり、1967年から1981年までの間に計58両が製造された。除雪時には機関車本体の前後に2軸台車を使用したラッセルヘッドを連結する。除雪期以外には停車場構内での入換作業や本線の客貨列車牽引にも使用されることを考慮し、ラッセルヘッドの連結解結作業は簡略化・省力化できるように設計された。

構造[編集]

機関車本体とラッセルヘッドとの連結部

機関車本体の基本的な構造はDE10形とほぼ同じであるが、ラッセルヘッド連結のための装備が設けられている。ラッセルヘッドとは3箇所の密着連結リンクで連結されるため、ナンバープレート部分中央の1箇所と下部にある2つの後部標識灯(尾灯)の内側の2箇所に密着連結リンクが装着されている。また、ナンバープレート中央部のそれには電気連結器が装備されたため、ナンバープレートは中央部分が分割されており、後部標識灯もDE10形に比べ外方に寄せて取付られている。なお、これらのリンクは取外し可能である。これらの装備によりラッセルヘッド車運転台から機関車の運転操作が可能となっている。

製造開始時は単頭式ラッセルヘッド(機関車の片側のみにラッセルヘッドを連結)で、折り返し時にラッセルヘッドの車体を台車の中心を支点に油圧で180度方向転換させて、機関車本体を反対側に連結する構造であった。そのため、側線を使って機関車本体の機回しをする手間を要した。ところが、終端駅の側線が雪で埋没することで方向転換不能に陥るケースやラッセルヘッドの回転スペース確保のため線路脇の除雪が必要となる等の問題点が生じたため、その改善策として、1976年からは両頭式(機関車の両側にラッセルヘッド車を連結)で製造された。また、ラッセルヘッド車の形状には単線形(進行方向の両側に雪を掻き分ける方式)と複線形(進行方向の左側に雪を掻き分ける方式)がある。

製造期によって一部仕様が違い、後に改造による改番も発生している。

形態区分[編集]

基本番台
1967年(昭和42年) - 1969年(昭和44年)に日本車輌製造で製造された、DE10形0番台に相当するグループ。機関はDML61ZA (1,250 ps/1,500 rpm) が搭載されている。1 - 2と4 - 6が複線形の単頭式、3が単線形の単頭式として製造された。客車暖房用蒸気発生装置(SG)を装備している。後に1 - 3・6が両頭式に改造されたが、単線形であった3は2053に改番されている。
1000番台
1971年(昭和46年) - 1973年(昭和48年)に日本車輌製造で製造された、DE10形1000番台に相当するグループ。機関はDML61ZB (1,350 ps/1,550 rpm) に変更され、SGを装備。1001・1003 - 1006が複線形の単頭式、1002が単線形の単頭式で製造された。後に1002・1004・1006は両頭式に改造され、1002は2052に改番された。
1500番台
DE15 1541(美濃太田車両区)
1971年(昭和46年) - 1973年(昭和48年)に日本車輌製造・川崎重工業で製造されたグループで、SGの代わりに死重を搭載した、DE10形1500番台に相当する機関車である。1501 - 1504・1507・1509 - 1512・1514 - 1516・1518が複線形単頭式、1505・1506・1508・1513・1517が単線形単頭式で、1976年(昭和51年)製の1519 - は複線形両頭式で製造された。しかし単頭式で製造されたが後に両頭式に改造されたものがあり、単線用両頭化改造車は2550番台に改番された。
2050番台
DE15 2052(後藤総合車両所所属)
SG装備の単線形単頭式車を単線形両頭式に改造したグループである。2052・2053の2両が存在するが、それぞれ種車が異なるため同番台でも機関出力が異なる。
  • DE15 1002・3→DE15 2052・2053
2500番台
DE15 2525(1982年 豊岡駅)
1977年(昭和52年)から1981年(昭和56年)に日本車輌製造・川崎重工業で単線形両頭式として製造されたグループである。SG非搭載のため該当分の死重を搭載している。27両が製造された。
2550番台
1500番台車のうち、単線形単頭式で製作されたものを単線形両頭式に改造したグループである。種車の番号に1050を加えた番号になっている。

運用・現況[編集]

国鉄分割民営化時は北海道旅客鉄道(JR北海道)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、東海旅客鉄道(JR東海)、西日本旅客鉄道(JR西日本)の4社に計84両が承継された。

2000年代以降は、保線要員のみで操作できるという簡便さや経費の面から除雪用モーターカーが使用されることが多く本形式の稼働率は落ちており、余剰車の一部は日本貨物鉄道(JR貨物)へ売却され、DE10形3000・3500番台に改造されている。

2015年平成27年)3月14日の北陸新幹線長野駅 - 金沢駅間開業に伴い、JR西日本に配置されていた2両(1004, 1518号機)が北陸新幹線の並行在来線である北陸本線の富山県区間を経営するあいの風とやま鉄道へ譲渡された[1]。JR以外の鉄道事業者でラッセルヘッドがついた状態のDE15形が運用される初のケースとなる。

JR北海道[編集]

JR北海道発足時点では36両が承継された。2021年令和3年)4月現在では旭川運転所に12両が配置されており[2]、冬季は全道の運転所・主要駅に配置され除雪作業に使用される[注釈 1]。1520と2510を除く全車にGPSが取り付けられている。このGPSは、踏切橋梁など除雪作業の障害となるものの位置を知ることにより、ウィング開閉などの作業をスムーズに行えるように導入されたものである。排雪作業を行わない春期 - 夏期に関しては、SL列車補機、SLおよび客車等の回送列車、臨時列車の牽引機として使用される。かつてはバラストレールの冷却水等散布に使われることもあった[注釈 2] [3]

なお、JR北海道では、本系列の老朽化を踏まえ、大型除雪機械をベースとした新形ラッセル車の開発を進めており、2019年度に量産先行車が投入される予定である [4]

DE15 1520
旭川運転所の所属で、SL列車の補機などが運用の中心となっていた。この車両はラッセルヘッドとの連結器を撤去し、DE10形とほぼ同形態となった[5]。2016年3月31日付で廃車[6]
DE15 1533・1534・1535
旭川運転所の1533及び1534は緑色を基本とした「ノロッコ号」塗装となっている[注釈 3]。1534号機は、従来の「ノロッコ号」塗装であった2516号機が引退したことにより2005年4月に新たに「ノロッコ号」塗装に変更された[7]。その後2019年度より1535号機がノロッコ号仕様の新塗装となった[8]
DE15 2510
釧路運輸車両所に所属していた2510は、イベント用として車体上部が黒で残りが赤の塗装(湿原号塗色)に変更されている。機関車単体のみの塗装変更のため、ラッセルヘッドは従来塗装のままである。降雪期間に運行される「SL冬の湿原号」の川湯温泉駅延長運転時に、ラッセルヘッドを切り離して同列車の補機として運用される場合もあった[注釈 4]。2016年3月31日付で廃車[6]
DE15 2527
釧路運輸車両所の所属で、ノロッコ号本来の牽引機であるDE10形(1660)の故障により、ノロッコ号塗装となった。2016年3月31日付で廃車[6]

JR東日本[編集]

JR東日本発足時には33両が承継されたが、前述の除雪用モーターカーの使用や新型の除雪車ENR-1000型の登場などにより、廃車が進行した。2009年4月時点では17両が在籍していたものの、14両が廃車され日本貨物鉄道(JR貨物)へ売却された。JR貨物では、機関車本体部のラッセルヘッドとの連結機能を撤去し、DE10形3000・3500番台として使用している。2020年10月4日付で長岡車両センターに配置され保留車となっていた1538が廃車され[2]、配置が無くなった。

JR東海[編集]

JR東海発足時に1531・1541の2両が承継されて美濃太田車両区に配置され、高山本線および東海道本線大垣~米原間の排雪に使用された。2011年冬季の運用をもって1541はJR西日本金沢総合車両所富山支所へ転属。2012年3月29日に美濃太田車両区から猪谷駅へ回送され、4月2日深夜から3日にかけて金沢へ回送された。1531は保留車として浜松工場に留置されていたが、2013年に入って解体された。これを以ってJR東海の機関車はすべて消滅した。

JR西日本[編集]

後藤総合車両所所属のDE15 2558

JR西日本発足時には13両が承継された。2021年4月現在では金沢総合車両所富山支所に3両、後藤総合車両所に1両の計4両が配置されている[2]。JR西日本では新型の除雪気動車キヤ143形の登場により順次置き換えられていく予定である。

DE15 6
富山地域鉄道部富山運転センター車両管理室に0番台で唯一残るDE15 6が配置されていたが、2013年11月11日をもって廃車となり、0番台の形式は消滅した。
DE15 2558
後藤総合車両所に所属する2558は、木次線の観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」の牽引専用のため専用塗色になっており、冬季には機関車本体が「奥出雲おろち号」色、ラッセルヘッドが一般色で除雪作業を行っている。

あいの風とやま鉄道[編集]

JR北陸本線の富山県区間のJR西日本からの移管に際し、同社から2両(1004, 1518号機)が譲渡された。

2020年度および2022年度にENR1000形を1両ずつ、計2両の増備を行って置き換えられる予定である[9]

秋田臨海鉄道[編集]

秋田臨海鉄道には十勝鉄道から購入したDE10-1250と、JR北海道から購入したDE10-1251が在籍した[注釈 5]

1250号機は1976年(昭和51年)製の元DE15 1525で [10]、 承継したJR東日本青森車両センターで2008年(平成10年)に廃車された後 [11]JR北海道苗穂工場でラッセルヘッドなどの除雪用機器を撤去し、十勝鉄道へ譲渡された。2012年(平成24年)5月に十勝鉄道が鉄道貨物輸送から撤退したことに伴い、同年11月に秋田臨港鉄道へ譲渡された(DE10-1250への改番時期は不詳)[10]

1251号機は1981年(昭和56年)製の元DE15 2526で、釧路運輸車両所時代には釧網本線の貨物列車や「DL冬の湿原号」の牽引 [12] 、「SL冬の湿原号」の補機も担当した [13]。 (SL冬の湿原号では、釧路転属前の旭川運転所時代にも川湯温泉延長運転で補機を務めている。) [14]。 2016年(平成28年)4月にJR北海道苗穂工場に入場 [15]、 1250号機同様に除雪用機器を撤去し、秋田臨海鉄道には2016年(平成28年)12月に入線、運用を開始した [16]

同社では、十勝鉄道から購入したDE10-1543(2014年〈平成26年〉3月入線)[17]とともに使用された[18]

2021年(令和3年)3月12日の秋田臨海鉄道南線廃止を受け、1250号機は同年2月22日に運用を離脱、同月28日に輸送を開始し、3月1日付で仙台臨海鉄道へ譲渡された[19][10]

1251号機は同年5月1日、2日に行われる「最初で最後の国鉄型ディーゼル機関車運転体験会」に使用される予定[12] その後、同機は同年5月10日西濃鉄道に譲渡されることが発表され、海路および陸路で輸送され同年6月22日美濃赤坂へ到着した。

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 旭川運転所以外では苗穂運転所南稚内駅長万部駅東室蘭駅岩見沢駅遠軽駅等にそれぞれ配置され、夜間を中心に除雪作業に使用される。また旭川から名寄北見網走方面は旭川駅より排雪列車の設定が組まれて昼間除雪される。留萌本線ではモーターカーによる排雪が行われている。
  2. ^ バラスト散布は道央圏・道北管内を中心、散水作業は夏期を中心として散水貨車とともに岩見沢運転所に配置され、主に札幌圏函館本線室蘭本線等を中心に稼働していた。
  3. ^ 基本的に夏期はノロッコ号の運行に使用されるが、冬期においてはラッセル運行にも使用される。
  4. ^ 降雪等による除雪作業の状況等により、冬の湿原号の補機は場合によっては旭川運転所の1520号機が代行する場合もある。
  5. ^ 秋田臨港鉄道の公式ウェブサイトでは、形式称号の形式と車番の間にハイフンが入っているが、現車は国鉄での表記と同様に空白で分かたれていた。

出典[編集]

  1. ^ 『鉄道ファン』通巻651号付録、JR旅客会社の車両配置表p.47
  2. ^ a b c 「JR旅客各社の車両配置表」『鉄道ファン』2021年7月号、交友社
  3. ^ 散水列車運転の取りやめについて - 北海道旅客鉄道 2014年7月9日
  4. ^ 岩本隆市 (2018-05-10). “北海道旅客鉄道株式会社 新型車両等の整備計画について”. 鉄道界 (鉄道界図書出版株式会社) 59 (5): pp.50-53. 
  5. ^ 鉄道ファン』2008年12月号 p.160
  6. ^ a b c 「鉄道車両年鑑2016年版」『鉄道ピクトリアル』2016年10月臨時増刊号、p.207
  7. ^ 『レイルマガジン』通巻262号、p.120
  8. ^ “富良野・美瑛ノロッコ”,新デザインの機関車とヘッドマークで運転開始 - 鉄道ファンrailf.jp(2019年6月9日)
  9. ^ 利便性向上及び安全対策のための投資について第15回あいの風とやま鉄道利用促進協議会、2020年6月
  10. ^ a b c 佐藤正樹 (2021年3月2日). “3月末限りで廃止の秋田臨海鉄道、国鉄型機関車の1両が仙台へ…ラッセル式改造のDE10-1250”. Response.. 2021年3月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。
  11. ^ DE15 1525が甲種輸送される”. 鉄道ファン (2010年8月11日). 2010年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。
  12. ^ a b 最初で最後の国鉄型ディーゼル機関車運転体験会 (PDF)”. 秋田臨海鉄道 (2021年4月13日). 2021年4月30日閲覧。
  13. ^ DE15 2526が苗穂へ”. 鉄道ファン (2016年4月20日). 2021年4月30日閲覧。
  14. ^ "SL冬の湿原号",今季2度目の川湯温泉延長運転”. 鉄道ファン (2012年3月20日). 2021年4月30日閲覧。
  15. ^ "SL冬の湿原号",が車掌車なし補機付きで運転”. 鉄道ファン (2013年3月4日). 2021年4月30日閲覧。
  16. ^ 会社のあゆみ”. 秋田臨海鉄道 (2021年). 2016年4月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月30日閲覧。
  17. ^ DE10 1543が甲種輸送される”. 鉄道ファン (2014年3月16日). 2014年3月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月30日閲覧。
  18. ^ 機関車諸元”. 秋田臨海鉄道 (2021年). 2015年6月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。
  19. ^ 仙台臨海鉄道(株)への機関車譲渡”. 秋田臨海鉄道 (2021年3月1日). 2021年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月21日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]