地生態学

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地生態学(ちせいたいがく)とは、地形・土壌・水文、気候などの地因子の相互作用などを景観として把握し研究する分野。景観に対する診断的研究のみではなく、予測的研究も行われており環境・自然保護などの分野における社会貢献が期待されている。

学史[編集]

地生態学のはじまりは、1939年にドイツの学者カール・トロールが、熱帯地域の景観研究をもとに景観生態学として造語したことである[1]

1960年代になると、景観生態学の研究が地理学分野へと広まり、さらに地理学に隣接する分野へと広まった[1]。これを受けて、トロールは「景観生態学」を国際語とすることを目的に、翻訳しやすい用語として「地生態学」(Geookologie, geoecology)に変更した[1]

地理学分野では、呼称として地生態学が使われるようになったが、依然として景観生態学が用いられるという混乱もあった[1]。また、生態学造園学などの分野では、地生態学に呼称が改められることはなかった[1]

日本[編集]

日本では、1951年に西川治がトロールの『地理的景観とその研究』を紹介し、1953年には辻村太郎が『地理学序説』でトロールの景観生態学を取りあげたが、受け入れられなかった[2]。その後、1974年頃に水津一朗杉浦直により改めて紹介されたが、当時は大きな影響は表れなかった[2]

日本で地生態学の研究が発展した背景として、小泉武栄による研究が挙げられる[3]。例えば、小泉 (1974)では、木曽駒ヶ岳における植物群落構造土の分布とそのプロセスが考察されている[4]。この他、岩田修二による研究を含めて、高山地域における自然地理学的な調査をもとに景観の分析が行われていった[5]

1990年代以降になると、地理学の中で、環境問題への対応と関連しながら地生態学の研究が拡大していった[6]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 横山 2002, p. 2.
  2. ^ a b 小泉 2002, p. 39.
  3. ^ 中村ほか 2006, p. 42.
  4. ^ 目代 2012, p. 367.
  5. ^ 目代 2012, p. 368.
  6. ^ 渡辺 2004, p. 181.

参考文献[編集]

  • 横山秀司「景観生態学・地生態学とは」『景観の分析と保護のための地生態学入門』横山秀司 編、古今書院、2002年、2-9頁。ISBN 4-7722-3017-3。
  • 小泉武栄「木曽駒ケ岳高山帯の自然景観―とくに,植生と構造土について―」『日本生態学会誌』第24巻第2号、1974年、 78-91頁、 doi:10.18960/seitai.24.2_78
  • 小泉武栄「日本における地生態学の研究」『景観の分析と保護のための地生態学入門』横山秀司 編、古今書院、2002年、39-50頁。ISBN 4-7722-3017-3。
  • 目代邦康「日本における地生態学の誕生と発展」『地学雑誌』第121巻第2号、2012年、 367-383頁、 doi:10.5026/jgeography.121.367
  • 渡辺悌二「山岳地生態系の脆弱性と地生態学研究の現状・課題」『地学雑誌』第113巻第2号、2004年、 180-190頁、 doi:10.5026/jgeography.113.2_180

関連項目[編集]