変曲点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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y = x3 のグラフは (0, 0) に変曲点(停留点でもある)を持つ。
The roots, turning points, stationary points, inflection point and concavity of a cubic polynomial x3 − 3x2 − 144x + 432 (black line) and its first and second derivatives (red and blue).

実解析における変曲点(へんきょくてん、: inflection point, point of inflection, flex, inflection, inflexion)は、連続平面曲線上の点で、その点において曲線が(上に凸)から(下に凸)へあるいはその逆へ変化するものを言う。

考える曲線がC2-級フランス語版函数 y = f(x)グラフの場合には、f の二階導函数が零となる点で、かつその点の前後で二階導函数の符号が変化するような点と言うことができる。二階導函数が零となるがその前後で符号が変化しないような点は起伏点 (point of undulation, undulation point) などと呼ばれることもある。

代数幾何学においてはもう少し一般に、接線と三次以上の接触を持つような正則点として変曲点は定義される。四次以上の接触を持つならば、起伏点あるいは超変曲点 (hyperflex) と呼ぶ。

定義[編集]

変曲点はその曲線の曲率が符号を変える点である[1][2]

可微分函数 f(x, f(x)) に変曲点を持つための必要十分条件は、一階導函数 f′x において孤立した極値を持つことである(これは f が極値をとると言っているのではないことに注意する)。「孤立した」というのは、x の適当な近傍において、唯一 x のみで f′ が極大値または極小値をとるようにできることを意味する。f のすべての極値が孤立しているならば、f のグラフ上の点で接線がその点でグラフと交叉している点が変曲点である。

下降変曲点 (falling point of inflection) は導函数が極小値をとる変曲点を言い、上昇変曲点 (rising point of inflection) は導函数が極大値をとる変曲点を言う。

  • 代数曲線に対しては、非特異点が変曲点となる必要十分条件は、接線と曲線との(接点における)交わりの重複度2 より大きい奇数となることである[3]
  • 曲線が媒介変数表示で与えられているならば、その上の点が変曲点となるのは、その曲線の符号付き曲率がその点の前後で符号を変えるときである。
  • 二回微分可能な函数の場合、変曲点はその函数のグラフ上の点で、二階導函数がその点に孤立零点を持ちかつその点の前後で二階導函数が符号を変えるような点である。
Plot of f(x) = sin(2x) from −π/4 to 5π/4; note f’s second derivative is f″(x) = –4sin(2x). Tangent is blue where the curve is convex (above its own tangent), green where concave (below its tangent), and red at inflection points: 0, π/2 and π

ある必要条件について[編集]

f の二階微分係数が点 x0 において存在し、x0 が変曲点であるならば、f″(x0) = 0 が成り立つが、これは(任意階数の微分係数が存在する場合でさえ)変曲点を持つための十分条件とはならない。持つためには、さらに(二階より上の)零でない微分係数で最も階数の低いものが奇数階でなければならない。最も低い非零微分係数の階数が偶数階のときには、その点は変曲点ではなくて、起伏点 (undulation point) になる。ただし、代数幾何学においてはここでいう変曲点と起伏点の両者を合わせて「変曲点」と呼ぶのが通例である。起伏点の例として、f(x) = x4 で与えられた函数 f に対する x = 0 が挙げられる。

上の注意において、fx において十分多くの非零高階微分係数を持つと仮定したことは、この場合必要な条件ではない。いまの場合において、非零微分係数の最も低い階数が奇数であることは、x近傍において x の前後で f′(x) の符号が変わらないことを意味するから、この符号がならば上昇変曲点、ならば下降変曲点となる。

命題 (変曲点が存在するためのある十分条件について)
  1. f(x) が適当な点 x の近傍で k-回連続的微分可能(ただし、k ≥ 3 は奇数であるとき、f(n)(x0) = 0 (n = 2, ..., k − 1) かつ f(k)(x0) ≠ 0 ならば f(x)x0 に変曲点を持つ。
  2. x の適当な近傍において f′′(x + ε)f′′(xε) の符号が逆になるならば f は変曲点を持つ[4]

変曲点の分類[編集]

y = x4x(0, 0) における二階微分係数が零となるが、三階微分係数も同じく零で、四階微分係数が最初の非零高階微分係数となるから、変曲点でない。

変曲点は f(x) がその点で零か否かで分類できる:

  • f′(x) が零ならば、その点は停留変曲点 (stationary point] of inflection) と言う。
  • f′(x) が零でないならば、その点は非停留変曲点 (non-stationary point of inflection) と言う。

停留変曲点は極値をとらない。より一般に、実多変数函数英語版の文脈において、極値点でない停留点は鞍点と呼ばれる。

停留変曲点の例は、y = x3 のグラフにおける点 (0, 0) である。この点での接線は x-軸で、グラフはこの点で接線のそれぞれの側にある二つに分けられる。

非停留変曲点の例は、y = x3 + axa ≠ 0 は任意)のグラフにおける点 (0, 0) である。このグラフの原点における接線は直線 y = ax でこの点でグラフは接線の両側に分けられる。

不連続函数の場合[編集]

変曲点を持たずとも凸性が変化する函数もある。実際、不連続点や垂直漸近線の前後で凸性は変化しうる。例えば、逆数函数 x1x は負の x に対して凹かつ正の x に対して凸となるが、0 は定義域に含まれないから変曲点は持たない。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ Problems in mathematical analysis. Baranenkov, G. S.. Moscow: Mir Publishers. (1976) [1964]. ISBN 5030009434. OCLC 21598952. https://www.worldcat.org/oclc/21598952. 
  2. ^ Bronshtein; Semendyayev (2004). Handbook of Mathematics (4th ed.). Berlin: Springer. p. 231. ISBN 3-540-43491-7. 
  3. ^ Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), "Point of inflection", Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4
  4. ^ Bronshtein & Semendyayev 2004, p. 231.