変身忍者嵐 (漫画)

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変身忍者嵐』(へんしんにんじゃあらし)は、日本漫画。本項では、大都社版コミックスを元に、

の4作を扱う。なお、同タイトルの特撮テレビ番組については『変身忍者 嵐』を参照。

共通設定[編集]

江戸時代を舞台にした忍者作品。主人公はハヤテという青年で、という鳥人変身(化身)する。

ハヤテの協力者には、名張のタツマキ(名張の竜巻)、その子供であるカスミツムジ姉弟の伊賀忍者の親子がいる。

敵は血車党(ちぐるまとう)という忍者集団で、ハヤテ(嵐)と同じ変身(化身)能力を持つ。首領は血車魔神斎、幹部(副首領)は骸骨丸(がいこつ丸、ガイコツ丸とも表記)。

テレビ版は『仮面ライダー』の時代劇版を目指して製作されたが、本コミック版は、刀や斧などの武器を手にしており、首が切り落とされるシーンなども多く、よりスプラッター描写の多い作品となっている。

石森章太郎版[編集]

敵は血車党のみであり、テレビ版の西洋妖怪は登場しない。タツマキ親子は途中で退場し、ハヤテの一人旅になる[注釈 1]

エピソードはテレビ版とは異なる独自のものであり『変身~』『新~』も違う内容となっている。嵐の姿で止めを刺さない、あるいは嵐に変身しないエピソードも存在し最終回もテレビ版と異なっており2作それぞれのどんでん返しが用意されている。

書籍『変身ヒーロー大全集』では、石ノ森による2誌での連載は『仮面ライダー』に続くヒットを見込んでのものと推測されている[1]

変身忍者嵐[編集]

『週刊少年マガジン』1972年10号から41号に連載された。全12話。単行本は朝日ソノラマサンワイドコミックス版、大都社STコミックス、秋田書店秋田文庫版が存在する。

第1話は読み切りとして掲載され、『別冊少年マガジン』'72年春の特大号にも読み切りが掲載された[1]

基本的に一話完結であるが、梅雨道軒、李徴子の妻子のようにエピソードをまたいで登場するキャラクターがレギュラー以外にもいる。化身忍者の姿は、テレビ版のような獣人タイプの他、動物そのものの外見に変身する者もいる(ゾウトラなど)。また、骨餓身丸は本作では骨餓身丸ほねがみまるという名称で、そのどちらとも違うタイプに化身している。

後年のインタビューで石ノ森は、自身が手掛けた時代劇作品の中でも本作品の嵐が登場しない部分をたいへん気に入っており、嵐を出さなくてはならない状況に苦しんでいたことを述べている[2]

特筆するエピソード、最終回[編集]

以下、モデルのあるエピソードや、時系列の書かれているエピソード、最終回などについて。

第2話
鍋島の猫騒動1607年)がモデル。鍋島直茂1538年 - 1618年)も登場。
第3話
葛の葉がモデル。
第8話
1660年万治3年)の大阪城が舞台。
第2話とは53年の時間差がある。
第9話
李徴子は中島敦の『山月記』がモデル。
李徴子の出自に絡み、鄭芝竜1604年 - 1661年)の名前が出てくる。
第11話
骨餓身丸の過去と、その最期が描かれる。照手姫の名が登場する。
第1話に登場し、以後長らく出番の無かった梅雨道軒もハヤテに倒される。
第12話(最終話)
果ての無い戦いに疑問と虚無感を持ったハヤテは、ある里に辿り着く。そこには犬丸を始めオオカミに変身する大勢の子供たちと、血車魔神斎がいた。ハヤテは全てを斬るが、魔神斎はハヤテの父、鬼十だった。
鬼十は、かつて本物の魔神斎を斬ったが、負傷で記憶を失い、以後は魔神斎として生きてきたのだった。ハヤテは、残った女たち(魔神斎=鬼十の妻たち)により「親殺し」「兄弟殺し」と罵られる。ハヤテは犬丸がそのことを自分に伝えようとしていたと知るも時既に遅く、血を分けた父や兄弟たちをこの手で皆殺しにしてしまった事実に慟哭、絶叫した場面で物語の幕は閉じる。

サブタイトル[編集]

  1. 化身忍群、闇に踊る
  2. 青い猫の夜
  3. 白い狐、枯れ野を走る
  4. 視よ 蒼ざめたる馬 その名は死
  5. 地の底で黄金の牛が鳴く
  6. 蜜蜂の羽音は地獄の子守唄
  7. 菩薩の牙が霧を裂く
  8. 獺祭りの雷太鼓
  9. 虎落笛の遠い夏
  10. 呪いの孔雀曼陀羅
  11. 血車がゆく、餓鬼阿弥の道
  12. 犬神の里に吠える

単行本[編集]

  • 朝日ソノラマ(サンコミックス)全3巻[3]
    1. 1972年11月15日発行
    2. 1972年11月15日発行
    3. 1972年11月30日発行
  • 朝日ソノラマ(サンワイドコミックス)全2巻
    1. 1984年10月25日発行 ISBN 4-257-96017-5
    2. 1984年11月30日発行 ISBN 4-257-96018-3
  • 大都社(STコミックス)全2巻
    1. 1997年12月5日発行 ISBN 4-88653-098-2
    2. 1997年12月5日発行 ISBN 4-88653-099-0
  • 秋田書店(秋田文庫)全2巻
    1. 2007年7月1日発行 ISBN 978-4253171144
    2. 2007年7月1日発行 ISBN 978-4253171151

関連項目[編集]

  • スカルマン - 島本和彦によるリメイク版の最終回において登場するハヤテは、『変身忍者嵐』版をモデルとしている。
  • 変身忍者嵐 SHADOW STORM - 『週刊少年マガジン』連載版の延長線上を描いたリメイク漫画。

新・変身忍者嵐[編集]

『希望の友』1972年4月号から1973年3月号に連載。全12話。1998年、大都社より初めて単行本化される。

一話完結。ハヤテとカスミの恋愛描写がなされる[1]。化身忍者の姿は、テレビ版のような獣人タイプの他、雪女など動物以外に変身する者もいる。また狼男ミイラの姿をした化身忍者の登場、血車魔神斎の正体が機械仕掛けの人形、最終盤に空飛ぶ円盤が出現する等、テレビ版後半の西洋妖怪編以降の展開を彷彿とさせる設定が導入されている。

特筆するエピソード、最終回[編集]

以下、モデルのあるエピソード、最終回などについて。

第7話
『堤中納言物語』の『虫愛づる姫君』がモデル(本作では「虫愛る姫」と表記)。
第11話
『雪女』がモデル。
第12話(最終話)
血車党(化身忍者)は宇宙人であり、化身忍者の技術は「地球人の姿に留めておく」ための技術であり人間体の方が変身後の姿であるという事実が判明する。かつて宇宙船の事故により地球に不時着したが、血車党としての活動で確保した資材により修理が終わったため、地球を去る。
がいこつ丸(骸骨丸)は以上の真実を明かし、ハヤテにも帰郷を促す。しかしハヤテが断ったため、がいこつ丸らはハヤテを置いて帰還する。ハヤテは血車党が差し向けた血車魔神斎を倒すが、それはロボットにしか過ぎなかった。

サブタイトル[編集]

  1. 嵐 見参!!
  2. 河童子ものがたり
  3. 化身忍者ヂグモンド
  4. ガマ四次元ただいま参上!!
  5. 千年杉の大鴉
  6. 化身忍者また化身
  7. 虫愛ずる姫
  8. 血闘!!変幻狼男
  9. 化身ミイラ忍者の怪
  10. ムササビは夜空をとぶ
  11. 雪女郎が戸をたたく夜
  12. さらば変身一族

単行本[編集]

  • 大都社(STコミックス)全1巻
    • 1998年6月8日発行 ISBN 4-88653-105-9
  • 秋田書店(秋田文庫)全1巻
    • 2007年10月1日発行 ISBN 978-4253171168

石川賢版[編集]

大都社版コミックスは、『変身忍者嵐』(全2巻)と、後発の『変身忍者嵐外伝』(全2巻)があるが、本項では『変身忍者嵐外伝』を元にする。第8章、第13章、第15章、第17章は原稿が紛失しており、『変身忍者嵐』には収録されていなかった。『変身忍者嵐外伝』は、全17章で構成されている。

西洋妖怪編以降のキャラクター等については、変身忍者 嵐#主な登場人物を参照。

変身忍者嵐外伝[編集]

『冒険王』1972年5月号から1973年3月号、1972年夏の増刊号、1972年お正月増刊号、および『別冊冒険王』1972年夏季号から1973年春季号に連載。

テレビ版に準拠した内容となっている。第3章から複数の怪人が登場するようになり、第9章以降はほぼ毎回、複数の怪人がサブタイトルに登場し、オリジナル色が出てくる。

第7章より「西洋妖怪編」に移行、第8章ではガイコツ丸(骸骨丸)が戦死する。西洋妖怪、悪魔道人、大魔王サタン、月ノ輪(フユテ)、百地三太夫、新生嵐も登場。ツムジは最終回まで登場するが、タツマキとカスミはテレビ同様、途中で退場する(第10章、百地三太夫のエピソードまで)。

終盤は簡素化されており、ハヤテの母シノブ、カゲリ、ツユハは登場しない。またTV版は潮健児演ずる中年男性イタチ小僧は第15章のみのゲスト出演で、小僧に相応しい外見になっている。

石ノ森版もスプラッター描写があるが、石川版はさらに過激な描写が多い。

掲載誌の違いにより、第16章は『別冊冒険王』、第17章は『冒険王』と最終回が2種類ある。第16章は大魔王サタンが登場せず、クンバーナと再生怪人軍団を倒して終了する、第17章の方がテレビ版に近い内容である。

サブタイトル[編集]

  1. ネコマンダラ
  2. 死人ふくろう
  3. 吸血ムカデ
  4. 人食いカラス
  5. 顔なしカワウソとキバギツネ
  6. ノミドクロ
  7. ドラキュラ
  8. 鬼目の幻十郎
  9. オオカミ男フランケン
  10. スフィンクスとタランチュラ
  11. マーダラとメドーサ
  12. モズマとワーラス
  13. サイレンとバラーラ
  14. 月の輪の正体
  15. ジャワラとインディゴ
  16. 西洋怪人復活
  17. 大魔王サタン

単行本[編集]

  • 『変身忍者嵐』秋田書店(サンデーコミックス)全2巻[4]
    1. 1972年8月15日発行
    2. 1972年12月25日発行
  • 『変身忍者嵐』大都社(スターコミックス)全2巻
    1. 1986年6月30日発行 ISBN 4-88653-324-8
    2. 1986年6月30日発行 ISBN 4-88653-325-6
  • 『変身忍者嵐外伝』大都社(STコミックス)全2巻
    1. 1999年12月8日 ISBN 4-88653-133-4
    2. 1999年12月8日 ISBN 4-88653-134-2

にわのまこと版[編集]

にわのまこと作画による『変身忍者 嵐Χ』(へんしんにんじゃ あらし カイ)は、『コミック乱』(リイド社)2016年8月号より連載している。原作を踏襲しながらも、第二次上田合戦関ヶ原の戦いにハヤテ=嵐をからませ、にわの独自の視点で描かれる。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『変身~』には、第1話のみ登場。『新~』は第2話から第7話まで。

出典[編集]

  1. ^ a b c 変身ヒーロー大全集 1995, p. 154, 「変身ヒーローコミック書誌 変身忍者嵐」
  2. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 152, 「原作者インタビュー 石ノ森章太郎」.
  3. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 153, 「石ノ森章太郎変身ヒーロー・コミックス」.
  4. ^ 変身ヒーロー大全集 1995, p. 157, 「変身ヒーローコミックス」.

参考文献[編集]

  • テレビマガジン特別編集 変身ヒーロー大全集』 講談社〈大全集シリーズ〉、1995年11月30日。ISBN 4-06-178419-6。