女は女である
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女は女である | |
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Une femme est une femme | |
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監督 | ジャン=リュック・ゴダール |
脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
原案 | ジュヌヴィエーヴ・クリュニー |
製作総指揮 |
ジョルジュ・ド・ボールガール カルロ・ポンティ |
出演者 |
ジャン=クロード・ブリアリ アンナ・カリーナ ジャン=ポール・ベルモンド |
音楽 | ミシェル・ルグラン |
主題歌 |
挿入歌 アンナ・カリーナ 『アンジェラのシャンソン』(Chanson D'Angela) |
撮影 | ラウール・クタール |
編集 |
アニエス・ギュモ リラ・エルマン |
製作会社 |
ローマ=パリ・フィルム ユーロ・インタナショナル・フィルム |
配給 |
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公開 |
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上映時間 | 84分 |
製作国 |
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言語 | フランス語 |
製作費 | 16万米ドル |
『女は女である』(おんなはおんなである、Une femme est une femme)は、1961年(昭和36年)製作・公開、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・イタリア合作の長篇劇映画である。
概要[編集]
ゴダールの長篇劇映画第3作である。女優のジュヌヴィエーヴ・クリュニーの話をもとにゴダールが脚本を書き、ジャック・ドゥミのミュージカル映画『ローラ』(1961年)のスコアを書いたばかりのミシェル・ルグランがスコアを書きおろした、ゴダールのミュージカル・コメディ第1作、『小さな兵隊』(1960年)についでアンナ・カリーナが出演したゴダール作品の第2作、カリーナとの結婚後第1作、ゴダールのカラー映画第1作でもある。フランスの首都パリ市内、フォブール=サン=ドニ街、サン=ドニ門等で撮影された。現在もサン=ドニ街はセックスショップの立ち並ぶ通りであるが、通過する程度だったら問題はない[1]。
カリーナのセリフ「コレオグラフはボブ・フォッシー、共演はシド・チャリシーとジーン・ケリー」[2]にもあるように、アメリカ映画狂のゴダールがメトロ・ゴールドウィン・メイヤーのダンス映画に憧れ、ドゥミが白黒映画『ローラ』に迎えたようにジーン・ケリーを迎えることはできないが、イーストマンカラーのシネマスコープ(フランスコープ)でスタンリー・ドーネンばりのミュージカルコメディに、ゴダールなりに迫ろうとする。セットの赤を基調としたデザイン[2]は、本作の2年後に製作されたドゥミの『シェルブールの雨傘』(1963年製作)で部屋ごとに色彩を変えてみせるベルナール・エヴァンである。
カメオ出演でバーに登場する女優ジャンヌ・モローに、フランソワ・トリュフォーと撮影中の『突然炎のごとく』について、アルフレードを演じるジャン=ポール・ベルモンドが尋ねるシーンが存在する。ほかにもモローとベルモンドが主演したマルグリット・デュラス原作の『雨のしのび逢い』、トリュフォー監督の『ピアニストを撃て』に言及するセリフがあり、「早くしてくれ、テレビで『勝手にしやがれ』が見たいんだ」とのセリフも存在する[2]。また喫茶店のシーンでベルモンドがカリーナに聞かせる話は、そのままオムニバス『パリところどころ』の一篇『モンパルナスとルヴァロア』のストーリーである。アルフレードのフルネーム「アルフレード・リュビーシュ Alfred Lubitsch」は、イギリス出身のアメリカの映画監督アルフレッド・ヒチコックの名とドイツ出身のアメリカの映画監督エルンスト・ルビッチの姓を合わせたものである。前年の1960年(昭和35年)に公開されたルイ・マル監督の『地下鉄のザジ』に主演したカトリーヌ・ドモンジョは、「ザジ」のまま出演している。モローが登場するバーのオーナー役で出演しているエルネスト・メンツェルは、本作でスクリーンに登場以来、ゴダールの「ジガ・ヴェルトフ集団」時代の『ウラジミールとローザ』(1970年)に至るまで、ゴダール作品の常連となる。
1961年6月23日 - 7月4日、西ドイツのベルリンで行なわれた第11回ベルリン国際映画祭で、本作は金熊賞にノミネートされコンペティションで正式上映された。結果、銀熊賞最優秀女優賞をアンナ・カリーナが、銀熊賞特別賞をゴダールが、それぞれ獲得した。ゴダールの銀熊賞受賞は、前年の第10回ベルリン国際映画祭での『勝手にしやがれ』から2年連続の受賞である。
1964年(昭和39年)9月18日には、アメリカ合衆国のニューヨークで行なわれたニューヨーク映画祭で上映された。
ストーリー[編集]
エミール(ジャン=クロード・ブリアリ)は、パリの小さな書店に勤める青年である。彼は、コペンハーゲンから来たばかりで、フランス語の「R」がうまく発音できないストリップ・ダンサーのアンジェラ(アンナ・カリーナ)といっしょに暮らしている。ある日アンジェラが、突然、赤ちゃんが欲しいと言いだす。それも24時間以内に。ふたりは意見が合わず、アンジェラは、「それならほかの男に頼む」と啖呵を切る。エミールは動揺するが、勝手にしろと答えてしまう。
アンジェラもアンジェラで、彼女の住むアパルトマンの下の階に住む、駐車場のパーキングメーター係のアルフレード(ジャン=ポール・ベルモンド)に頼むと宣言する。アルフレードはなにかとアンジェラにちょっかいを出していた。ある日、アンジェラはついにアルフレードと寝てしまう。
深夜、アンジェラがエミールと住むアパルトマンに帰ってくる。ふたりはベッドで黙り込む。エミールは、試しに自分の子をつくってみようとアンジェラを抱く。フレッド・アステアのダンスミュージカルが幕を閉じて終わるように、アンジェラは寝室のカーテンを閉じてみせる。
スタッフ[編集]
- 監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール
- 原案 : ジュヌヴィエーヴ・クリュニー
- 撮影監督 : ラウル・クタール
- 美術 : ベルナール・エヴァン
- 録音 : ギ・ヴィレット
- 編集 : アニェス・ギユモ、リラ・エルマン
- 音楽 : ミシェル・ルグラン
- 挿入歌 :
『のらくらもの] Tu t'laisses aller (作・歌:シャルル・アズナヴール、編曲・演奏ポール・モーリア、1960年発売)
『アンジェラのシャンソン』 Chanson d'Angela (歌:アンナ・カリーナ) - スクリト・ガール : シュザンヌ・シフマン
- スチル写真 : レイモン・コシュティエ
- 助監督 : フランシス・コニャニー
- 製作主任 : フィリップ・デュサール
- プロデューサー : ジョルジュ・ド・ボールガール、カルロ・ポンティ
- 製作 : ローマ=パリ・フィルム、ユーロ・インタナショナル・フィルム
キャスト[編集]
- ブリアリ : ジャン=クロード・ブリアリ (エミール・レカミエ)
- カリーナ : アンナ・カリーナ (アンジェラ)
- ベルモンド : ジャン=ポール・ベルモンド (アルフレード・リュビーシュ)
- ノンクレジット
- マリー・デュボワ (アンジェラの友人)
- ニコル・パカン (シュザンヌ)
- エルネスト・メンツェル (バーのオーナー)
- ジャンヌ・モロー (バーにいる女)
- カトリーヌ・ドモンジョ (ザジ)
- マリオン・サロー (売春婦その1)
- ジゼル・サンドレ (売春婦その2)
- ドロテ・ブランク (売春婦その3)
- ドミニク・ザルディ (偽盲目者その1)
- アンリ・アタル (偽盲目者その2)
- カリン・バルム
関連事項[編集]
- en:File:1961 Une femme est une femme.jpg - ポスター画像
- ジャン=リュック・ゴダール監督作品一覧
- フォブール=サン=ドニ街 (en:Rue du Faubourg-Saint-Denis、fr:Rue du Faubourg-Saint-Denis)
- サン=ドニ門 (en:Porte Saint-Denis、fr:Porte Saint-Denis)
- サン=ドニ街 (en:Rue Saint-Denis (Paris)、fr:Rue Saint-Denis (Paris))
註[編集]
- ^ en:Rue Saint-Denis (Paris)、fr:Rue Saint-Denis (Paris)の記述を参照。
- ^ a b c DVDシネフィル・イマジカサイト内の小沼純一のコラム「第22回 ルグランそしてゴダール」の記述を参照。
外部リンク[編集]
- Une femme est une femme - BiFi (フランス語)
- 女は女である - allcinema
- 女は女である - KINENOTE
- Une femme est une femme - インターネット・ムービー・データベース(英語)