完全なる報復

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完全なる報復
Law Abiding Citizen
監督 F・ゲイリー・グレイ
脚本 カート・ウィマー
製作 ルーカス・フォスター
ジェラルド・バトラー
アラン・シーゲル
マーク・ギル
カート・ウィマー
ロバート・カッツ
製作総指揮 ニール・サッカー
マイケル・ゴーゲン
出演者 ジェイミー・フォックス
ジェラルド・バトラー
音楽 ブライアン・タイラー
撮影 ジョナサン・セラ
編集 タリク・アンウォー
製作会社 The Film Department
Warp Film
Evil Twins
配給 アメリカ合衆国の旗 Overture Films
日本の旗 ブロードメディア・スタジオ / ポニーキャニオン
公開 アメリカ合衆国の旗 2009年10月16日
日本の旗 2011年1月22日
上映時間 108分(劇場公開版)
117分(ディレクターズカット版)
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $50,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $126,690,726[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $73,357,727[1]
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完全なる報復』(かんぜんなるほうふく、原題: Law Abiding Citizen)は、2009年アメリカ映画。妻子を無残に殺され、復讐に燃える間接殺人のエキスパートの男と、彼が起こす事件を担当し、また自らも復讐対象であるベテラン検事の駆け引きを描く、ヴィジランテスリラーサスペンス映画。原題の "Law Abiding Citizen" は、「(法を遵守する)模範的市民」の意。

ストーリー[編集]

ペンシルベニア州フィラデルフィア。優秀なエンジニアであるクライド・シェルトンは、愛する妻と幼い娘と共に幸せな家庭を築いていた。ある日、家を2人組の強盗に襲われてクライドは目の前で妻子を惨殺され、自身も重傷を負う。間もなく犯人たちは逮捕されるが、確実に有罪にできるほどの証拠はなく、司法に熟達し、野心家でもある担当検事ニック・ライスは、自身の高い有罪率を維持するためにクライドの意向を無視し、一方的に主犯であり直接妻子を殺害したダービーと司法取引を行う。結果、従犯に過ぎなかった気弱な青年エイムスに死刑判決が下る一方で、ダービーは数年の刑期に留まり、さらに法廷では「運命には逆らえない」と嘯く。裁判所前でのマスコミのバッシングの中で、ニックは上司で上級検事のキャントレルよりお前の選択は正しかったと讃えられる。一方、クライドはニックと司法制度に裏切られたと考える。

10年後。薬物注射によるエイムズの死刑が執行されるが、臨席していたニックの目の前でエイムズは激しく苦しみ絶命する。すぐに薬物がすり替えられていたことが発覚し、そこに「運命には逆らえない」と書かれていたことから、ダービーが容疑者として浮上する。警察がダービーを逮捕すべく動く中、彼の携帯電話に何者からか警察が迫っていることを伝える連絡がくる。ダービーは、警察の包囲網が迫る中で、謎の声の主の命令に従って逃げ出し、彼が用意したという、意識を失っていた運転主の警官1名が乗るパトカージャックする。この警官を人質にして捜査網を脱したダービーは、この警官を奪った拳銃で殺そうとするも、トリガーを引いた瞬間に身動きができなくなってしまう。実は、警官の正体は変装したクライドであり、謎の声の主の正体でもあった。さらに奪った拳銃は、トリガーを引くとフグ毒(テトロドトキシン)を注入され、全身を麻痺させる仕掛けが施されていた。廃工場においてダービーは意識を保ったまま、なるべく長く苦しむように凄惨な拷問を受けて殺される。その後、ダービーの遺体が発見され、状況からクライドが捕まるが、彼はその状況を喜んで迎え、刑務所に移送される。

一連の事件をニックが担当することとなり、直接証拠はないためクライドを自白させようと策を練る。しかし、クライドはのらりくらりと躱し、逆に自身の監房に新しいマットレスを入れることを要求する。ニックは断るが、するとニック宅に新しいマットレスと共にダービー殺しのビデオが届く。翌日、保釈条件を巡る予審審問が開始されるが、弁護士を依頼しなかったクライドは豊富な判例や法知識で自己弁護を行ってニックを論駁し、判事に自分の保釈を認めさせる。ところが直後に、自分のような危険人物を保釈するのはありえないと裁判の決定を嘲笑し、怒る判事は法廷侮辱罪で収監の継続を決定する。

刑務所に戻ったクライドは今度は一転してニックの質問に答え、殺人を認める。その上でダービーの弁護士を誘拐していることを明かし、居場所を知りたければ1時までにTボーンステーキを用意するよう要求する。人命優先のため、しぶしぶ刑務所長は要求を飲むが、セキュリティの関係で指定時刻は過ぎてしまう。クライドが話した場所に急行するニック達であったが、弁護士は既に亡くなっていた。ただし、1時までにステーキを用意できていれば助かっていた事実を知り、ニックはショックを受ける。一方、クライドは何故か同房の囚人をステーキの骨で殺し、独房送りとなる。

やがてクライドの正体がCIAの秘密工作員であり、様々なギミックを用いた遠隔殺人のプロであることが判明する。ニックはキャントレルと共に判事の下に趣き情報を伝えるが、彼らの目の前で判事の携帯電話が鳴る。それに出た瞬間、電話が爆発し、判事は即死する。ニックはクライドを批判し、復讐を止めるように要求するが、クライドはこれは復讐ではなく司法制度の失敗であると言う。そのうえで、6時までにすべての告訴を取り下げ自分を釈放しなければ今度は皆殺しにすると脅す。前もって罠を仕掛けていない限り、独房にいる現状ではもはや何の脅威もなく、検事局はこれを単なる脅しと考え、黙殺を決める。6時を過ぎて何も起こらず、ニックは同僚らと帰宅しようとするが、駐車場の車が次々と爆発し、ニックの十年来の部下であったサラを含め大勢の同僚たちが彼の目の前で爆死する。

激しい怒りに燃えるニックはクライドを殴りつけ、あの時、司法取引しなければダービーもエイムズも無罪になっていたと指摘する。しかし、クライドは仮にそうであっても司法の正義を成すべきであったと反論する。殺人を止め、共犯者を明かす要求に対しても、腐った司法制度を破壊するためさらなる計画があることをほのめかす。数日後、ニックとキャントレルは同僚たちの葬儀のため防護車で墓地を訪れるが、遠隔装置による重機関銃と小型ミサイルでキャントレルの乗った車両が襲われ、惨殺される。市長は非常事態宣言を出し、ニックを亡きキャントレルの代わりとして昇進させる。

ニックは、生前のサラが残した調査結果より、クライドが刑務所近くのガレージを所有していることを知る。ニックの調査の結果、ガレージとすべての独房が秘密のトンネルで繋がっており、変装道具や武器などが隠されていることがわかる。実は共犯者がいると見せかけて、すべてがクライドによる単独犯であった。その上で、クライドの次の狙いが市長だとわかり、ニックは市議会の議場に巧妙に仕掛けられた電話で起爆する爆弾を発見する。

クライドが秘密のトンネルで独房に戻ってくると、そこにニックが待っており驚く。秘密に気づかれたと悟ったクライドは新たな取引を持ちかけるが、ニックはお前のことはすべて理解したと言い、もはや殺人者とは取引しないと宣言する。クライドは携帯電話をかけて爆弾を起動させるが、ニックはそのまま独房を去る。間もなく、クライドは設置したはずの爆弾が自分の独房に移されていることに気づく。しかし、もはや対処のしようがなく、運命を受け入れ自らが起動した爆弾で爆死する。

事件後、ニックは中々参加できなかった娘の演奏会に行き、その演奏を聞きながら微笑む。

キャスト[編集]

※括弧内は日本語吹き替え

スタッフ[編集]

  • 監督:F・ゲイリー・グレイ
  • 製作:ルーカス・フォスター、ジェラルド・バトラー、アラン・シーゲル、マーク・ギル、カート・ウィマー、ロバート・カッツ
  • 製作総指揮:ニール・サッカー、マイケル・ゴーゲン
  • 脚本:カート・ウィマー
  • 撮影:ジョナサン・セラ
  • 音楽:ブライアン・タイラー
  • 編集:タリク・アンウォー

評価[編集]

公開初週の興行収入は21,039,502ドルで、『かいじゅうたちのいるところ』に次いで2位であった。全世界では1億2660万ドルの興行収入を記録した[2]

批評家たちからは概ね否定的なレビューを受けた。Rotten Tomatoesによれば平均評価4.3/10の159のレビューに基づいて26%のスコアを与えた。同サイトの批評的コンセンサスでは「不必要に暴力的で不条理な完全なる報復(Law Abiding Citizen)は劣悪な演技と理性を無視したストーリーに悩まされる」[3]。Metacriticにおける加重平均スコアは26人の批評家を基準には100点満点中34点とし、「全般的に好ましくないレビュー」を示している[4]

シカゴ・サンタイムズ紙のロジャー・イーバートは星4つ中3つを与えた。「完全なる報復(Law Abiding Citizen)は、後で振り返るより、観ている時に好きなるような映画」と述べ、続けて「それでも、その時に十分に楽しめた映画には、それなりのものがある」と評した[5]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c Law Abiding Citizen” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2013年8月25日閲覧。
  2. ^ Law Abiding Citizen (2009)”. Box Office Mojo (2010年2月4日). 2010年12月31日閲覧。
  3. ^ Law Abiding Citizen (2009)”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. 2018年3月15日閲覧。
  4. ^ Law Abiding Citizen Reviews”. Metacritic. CBS Interactive. 2018年3月15日閲覧。
  5. ^ Ebert, Roger (2009年10月14日). “Law Abiding Citizen”. Chicago Sun-Times (Chicago, Illinois: Sun-Times Media Group). https://www.rogerebert.com/reviews/law-abiding-citizen-2009