寝屋川市中1男女殺害事件

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寝屋川市中1男女殺害事件
場所

日本の旗 日本大阪府

  • 寝屋川市(被害者2人が失踪)
  • 高槻市内の物流会社駐車場(被害者Aの遺体発見)
  • 柏原市内の山林(被害者Bの遺体発見)
日付 2015年平成27年)8月13日
概要 大阪府寝屋川市内在住の中学生男女2人が行方不明になった後にそれぞれ遺体で発見され、過去に強制わいせつなどで懲役12年に処された前科を持つ男が殺人容疑で逮捕・起訴された。
死亡者 中学1年生の男女2名
犯人 男Y(逮捕当時45歳)
対処 逮捕・起訴
謝罪 あり(殺害に関しては無罪を主張)
刑事訴訟 死刑(控訴取り下げで確定・未執行)
管轄

大阪府警察

大阪地方検察庁
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寝屋川市中1男女殺害事件(ねやがわし ちゅういちだんじょさつがいじけん)とは、2015年平成27年)8月13日大阪府寝屋川市に住む中学1年生の女子A男子Bが行方不明となり、それぞれ遺体となって発見された事件。

事件の概要[編集]

2人が最後に目撃された寝屋川市駅周辺

2015年8月12日午後9時ごろ、BがAに会いに行くと母親に告げて外出。午後9時半ごろ、AとBらしき男女が2人の自宅近くのコンビニエンスストアで目撃されていた。

8月13日未明、京阪本線寝屋川市駅前のアーケードを歩く2人の姿が防犯カメラの映像として残されており、午前5時ごろに防犯カメラに映ったのを最後に2人の足取りが途絶える。午前5時11分と午前5時17分に、当時45歳の男Yの軽ワゴン車が走行するのを近くの防犯カメラが捉えていた[4]

8月13日午後11時半ごろ、高槻市の物流会社駐車場でAの遺体が発見された。遺体は粘着テープで縛られ、左半身を中心に30箇所以上の切り傷があった。司法解剖により死亡推定時刻は午後7時半ごろ、死因は窒息と判明[5]。この遺体発見の直前である午後10時34分から11時10分ごろまで不審な車が停車しているのを現場近くの防犯カメラが捉えている[6]

捜査本部は防犯カメラの映像などから、不審な車の所有者がYであることを特定[7]。Yは過去に同じ様な前科があり、2014年10月に出所したばかりだった[8]

8月21日午前1時15分ごろ、大阪府警は大阪市北区駐車場でYの車を発見し追跡を開始、午前中にYが数分間だけ立ち寄った柏原市の竹林を捜査員捜索したところ、Bの遺体を発見し、夜になってB本人と確認。午後8時20分ごろ、大阪市城東区の路上でAに対する死体遺棄の容疑でYを逮捕。Bの遺体は死後数日が経過して一部白骨化しており、死因も特定できなかったが、後に死因は首の圧迫と判明している。

逮捕後[編集]

Yは逮捕当初「助手席には同乗者がおり、同乗者が女の子を殴るなどし、知らないうちに死んでいた」「(同乗者の)名前や年齢は言いたくない」などと供述した後に黙秘に転じた。捜査員が確認した複数の防犯カメラからは「同乗者」の存在は確認できなかった[4][8][9]

9月12日、Aに対する殺人容疑でYを再逮捕。Yが黙秘に転じ、直接証拠が得られていない中、防犯カメラの映像や聞き取りから事件当日にBとAに接触できた人物はY以外にあり得ないとして、Y単独による犯行と断定。また、Yの車内から検出した血液がAのDNA型とほぼ一致した[10]

10月2日、大阪地方検察庁被害者Aに対する殺人罪被疑者Yを大阪地方裁判所起訴した[11]

12月22日、大阪地検は被害者Bに対する殺人罪で被疑者・被告人Yを大阪地裁に追起訴した[12]。被害者2名の遺体から睡眠薬の成分が検出され、Yの車から数十錠の錠剤が発見されていた。その一方で被害者Aの死体遺棄容疑に関しては「被害者Aが遺棄された時点における生死がわからない」として嫌疑不十分で不起訴処分となった[12]

Yが黙秘を続けたことにより凶器・被害者の所有物など物的証拠が発見されなかった上に殺害場所・殺害方法などが明らかにならず事件の全貌特定が困難を極めたため、大阪地検は防犯カメラの映像を中心とした間接的な状況証拠のみで被告人Yを起訴した[13]

裁判員裁判を前にYが知人に送った手紙には「I'm alone and Lonely…」と綴られ、「検察は私を起訴・死刑にするのが仕事」「裁判員に悪印象をもたれている。”名誉挽回”やるだけやって、裁判頑張るつもり」と裁判への意気込みなどが語られていた。一方で、これまでの取り調べで検察などに暴言を吐かれ国家賠償訴訟を検討しているとも明かした[14]

経過[編集]

  • 2014年10月
    • 懲役12年の刑に服したYが出所。
  • 2015年8月11日
    • Yが盆休みを利用して職場の福島県から大阪に車で戻る。
  • 8月12日
    • 午後9時 - BがAに会いに行くと母親に告げて外出。
    • 午後9時30分 - AとBらしき男女2人を自宅近くのコンビニエンスストアで住民が目撃。
  • 8月13日
    • 午前5時ごろ - 防犯カメラに映ったのを最後に2人の足取りが途絶える。付近の防犯カメラにYの車が捉えられていた。
    • 午前中 - 堺市大阪刑務所に立ち寄り、知人と面会。
    • 午後0時 - 柏原市のコンビニで粘着テープを購入する姿が防犯カメラに捉えられる。
    • 午後11時25分 - 枚方市の実家に帰宅。
    • 午後11時30分ごろ - 高槻市の駐車場でAの遺体が発見される。
  • 8月14日から20日ごろまで
  • 8月20日
    • 再び大阪に戻ってくる[16]
  • 8月21日
    • 午前1時15分 - Yの車を大阪市北区で発見。尾行開始。
    • 午前中 - Yが柏原市の竹林に立ち寄る。
    • 午後 - Yが立ち寄った竹林を捜索したところ、Bの遺体を発見。夜になって本人と確認。
    • 午後8時20分ごろ - 大阪市城東区の路上でAに対する死体遺棄容疑でYを逮捕
  • 10月2日
    • Aに対する殺人罪で起訴。
  • 12月22日
    • Bに対する殺人罪で追起訴。
  • 2018年11月1日
    • 大阪地裁で初公判。
  • 12月19日
    • 大阪地裁がYに死刑判決を言い渡す。弁護側は即日控訴した。
  • 2019年5月18日
    • Yが控訴取り下げ、死刑判決が確定。

刑事裁判[編集]

第一審・大阪地裁(裁判員裁判)[編集]

公判前整理手続は2018年(平成30年)10月26日時点で32回開かれ、2016年に第一審判決が言い渡された事件の平均6.1回に比して異例の長期手続きとなった[17]

初公判(2018年11月1日)から結審(11月21日)までの3週間で計9回の公判が開かれた[18]

初公判[編集]

2018年11月1日に大阪地方裁判所(浅香竜太裁判長)で裁判員裁判の初公判が開かれた[19]

被告人Yは遺族に土下座し、「このたび、経緯がどうであれ、すいませんでした。ずっと謝りたかった。病院に連れていけばよかった。ごめんなさい」と謝罪した[20][21]

罪状認否[編集]

一方で、Aについては「殺すつもりはなかった。大声を出すので、静止しようと思い口を抑えていたところ、手がずれ込んでしまい首を絞めていた。ショックを与えると蘇るかと思い、カッターで傷つけた」と殺意を否定し傷害致死を主張[22]

Bについては「車内で痙攣を起こし、熱中症などの体調不良で動かなくなった」と無罪を主張して、起訴内容を否認した[21]

2018年11月6日、2人の死因を鑑定した法医学者が証人尋問で「絞殺された被害者に見られるピンク色の歯の特徴ほか、頭蓋底のうっ血もあった」と証言。Bの側頭部に殴られた時にできるような内出血があったことも明らかにした[23]

2018年11月19日に公判にて行われた被告人質問で、被告人Yは逮捕当初「車内に同乗者がいた」と供述したことについて「当時は頭の中が混乱していた」と述べ、供述が虚偽だったことを認めた[24]。また、少年Bを遺棄した場所の周辺にコンドームなどがあった事については、「大阪市内のサウナで、ごみ箱から他人の精液が入ったコンドームやティッシュを拾った。柏原市の現場で少年のズボンにコンドームを入れようとしたが、腐敗が進んでいたので、近くに置くだけにした」と答え、「他人のせいにしたかった」と偽装工作を認めた[16]

死刑求刑[編集]

2018年11月21日、検察側(大阪地検)は「極めて重大、悪質で社会的影響は大きい。荒唐無稽な弁解に終始しており、更生の余地もない」として被告人Yに死刑求刑した[25][26][27][28][29]

被告人Yは最終意見陳述で「当時の記憶に基づいて、本当のことを話した」「本当に申し訳ありませんでした」と謝罪した[30]

結審から判決まで協議が開かれたが、裁判員1人・補充裁判員2人の計3人から大阪地裁へ辞任の申し立てがあったため、大阪地裁は2018年11月(21日・30日付)で補充裁判員2人を、12月3日付で裁判員1人を解任した[31][32]。しかし他に2人いた補充裁判員のうち1人を新たに選任したため判決は予定通り言い渡された[31][32]

死刑判決・確定[編集]

2018年12月19日に判決公判が開かれ、大阪地裁(浅香竜太裁判長)は「被告人Yは被害者2人を殺意を有した上で殺害しており完全責任能力を有していた」と殺意を認定。

また、Yの供述を「信用できないというにとどまらず、虚偽だと言わざるを得ない」「成り立ちようがなく、作り話だ」と指摘し、検察側の求刑通り被告人Yに死刑判決を言い渡した[33][34][35]

被告人Yの弁護人は判決を不服として同日付で大阪高等裁判所に即日控訴したほか[36]、被告人Y本人も2018年12月31日付で大阪高裁へ控訴する手続きを取った[37]

被告人Yは収監先・大阪拘置所にて判決直前の2018年12月7日に『朝日新聞』記者・畑宗太郎の取材を受けた際に「裁判は第一審では終わらないだろう。死刑判決が出れば弁護人が、それ以外の判決でも検察官が控訴するだろう」と語っていたほか[38]2019年令和元年)5月までに『読売新聞[39]・『毎日新聞』記者から複数回取材を受けた際にもそれぞれ引き続き係争する意向を示していた[40]。しかし被告人Yは2019年5月18日に大阪拘置所内で刑務官とトラブルになり憤慨したことをきっかけに「もうどうでもいい」と自暴自棄になり、弁護人を含めて誰にも相談することなく控訴取下書を書いて大阪高裁に提出し[40]、同日付で受理されたため死刑判決が確定した[41]。これにより本事件は詳細な経緯・動機が未解明のまま幕切れすることとなり[40][42]、日本において2019年5月1日の令和改元後では初めての死刑確定となった。

死刑確定直後の2019年5月21日、死刑囚Yは収監先・大阪拘置所内で『毎日新聞』記者との接見に応じ、前述の控訴取り下げに至る経緯・弁護人に事前に伝えなかったことなどを明かした[40][42]。死刑囚Yの弁護人は2019年5月30日付で大阪高裁へ「死刑囚Y自身による控訴取り下げは無効であり控訴審を再開すべきである」とする申し入れをした[43][44]

加害者・死刑囚Y[編集]

前科[編集]

加害者Yは1970年昭和45年)4月4日生まれ[注 1]。事件の舞台となった寝屋川市に隣接する大阪府枚方市出身で[46]、少年期から犯罪を繰り返し窃盗などで少年鑑別所などに入所しており、過去に被害者を死亡させた例はなかったが事件までに前科8犯だった[47]

被告人Yは本事件より13年前の2002年2月 - 3月にかけて男子中高生ら7人に対するわいせつ目的の監禁事件を起こした前科があった[48]。同事件では寝屋川市内の[49](本事件と同様)京阪寝屋川市駅前など周辺の京阪沿線にて男子中高生らに道案内を頼んで車に誘い込み[48]、ナイフを突きつけて手錠をかけ[49]、手錠や粘着テープで両手足を縛って連れ回すというもので[48]、Yは逮捕監禁などの容疑で大阪府警に逮捕された[46]

加害者Yは逮捕監禁強制わいせつ強盗銃刀法違反など[48]8件の事件で起訴され[49]、2003年5月に大阪地裁で懲役12年(求刑・懲役15年)の実刑判決を受け、大阪高裁に控訴するも2003年10月に控訴棄却の判決を受けて確定し[48]、2014年10月に出所するまで徳島刑務所で服役していた[47]。なお控訴審当時の弁護人は加害者Yの精神鑑定を求めたが認められなかった[48]

逮捕まで[編集]

事件直前の2015年8月11日未明、加害者Yは東京都千代田区内(秋葉原)で警視庁の警察官から職務質問を受けた際にスタンガン・手錠が発見されたため警察署任意同行されたが、Yはスタンガンを「護身用」と主張した上、スタンガンには電池が入っておらずすぐに使用できる状態ではなかったことから「犯罪性はない」と判断され解放された[50]。なおこの手錠・スタンガンはYが逮捕された後の家宅捜索などで発見に至っていない[51]

徳島刑務所を出所後は福島県福島第一原子力発電所事故除染作業員として働いており、8月13日前後に盆休みを利用して大阪に戻っていた[52]

その他[編集]

  • 被害者BのズボンのポケットからはBの死亡時期より後に採取されたYとは別人の体液が発見されたため、大阪府警はYが事件とは無関係な第三者の体液をなんらかの方法で入手し、21日の午前中に遺体発見現場の竹林に入った際にこの体液を残して第三者の関与を偽装した可能性があるとみて捜査した[53]
  • 13日午後0時39分にBの遺体遺棄現場から1.5キロ離れたコンビニエンスストアで粘着テープ2本を購入するYの姿が防犯カメラに残されており、この時に購入された粘着テープは被害者の遺体に巻かれたものと酷似していた[6]

脚注[編集]

注釈

  1. ^ 月刊『創』編集部宛ての手記で「2019年4月4日に49歳の誕生日を迎える」と述べている[45]

出典

以下の出典において、記事名に事件当事者の実名が使われている場合、この箇所を本記事で用いている仮名とする

  1. ^ 府警 身元確認手間取る「可能性は低い」繰り返す」『スポニチアネックス』スポーツニッポン新聞社、2015年8月19日。2015年9月24日閲覧。, オリジナルの2015-09-24時点によるアーカイブ。
  2. ^ 【大阪・高槻の少女遺棄】8~15歳の少女か 手縛られ、顔にはテープ、傷数十カ所も」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年8月14日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。
  3. ^ 【高槻少女殺害】同級生の男子生徒も不明に、友人関係でトラブルか(1/2ページ)」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年8月18日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。
  4. ^ a b 【中1男女殺害遺棄】2人はどこで監禁されていたか…「寝屋川~堺~松原~奈良~枚方~高槻」事件当日、45歳“縦横無尽”(1/3ページ)」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年8月26日。2019年1月8日閲覧。, オリジナルの2019-01-08時点によるアーカイブ。
  5. ^ 【高槻少女殺害】逮捕されたのは寝屋川市の45歳、Y容疑者(1/2ページ)」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年8月21日。2019年1月8日閲覧。, オリジナルの2019-01-08時点によるアーカイブ。
  6. ^ a b 【中1男女殺害遺棄】2人はどこで監禁されていたか…「寝屋川~堺~松原~奈良~枚方~高槻」事件当日、45歳“縦横無尽”(2/3ページ)」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年8月26日。2019年1月8日閲覧。, オリジナルの2019-01-08時点によるアーカイブ。
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  8. ^ a b 【衝撃事件の核心】「ゲイタウン」で謎の滞在7時間半 中1遺棄容疑者、偽装体液入手? 「前科」との奇妙な酷似(1/5ページ)」『産経新聞』産業経済新聞社、2015年9月8日。2019年1月8日閲覧。, オリジナルの2019-01-08時点によるアーカイブ。
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  51. ^ 【衝撃事件の核心】「ゲイタウン」で謎の滞在7時間半 中1遺棄容疑者、偽装体液入手? 「前科」との奇妙な酷似(3/5ページ)」『産経WEST』産業経済新聞社、2015年9月8日。2019年1月8日閲覧。, オリジナルの2019-01-08時点によるアーカイブ。
  52. ^ 寝屋川公判 突然土下座し涙、真意はどこに」『産経WEST』産業経済新聞社、2018年11月1日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。
  53. ^ 少年遺体から第三者「体液」…偽装工作の可能性も(1/2ページ)」『産経WEST』産業経済新聞社、2018年8月29日。2018年12月19日閲覧。, オリジナルの2018-12-19時点によるアーカイブ。

関連項目[編集]

死刑判決を受けた被告人が控訴を自ら取り下げたため、弁護人が控訴取下げの無効を主張して裁判所に異議を申し立てた事件