小屋

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小屋こや: hut ハット、: Hütte ヒュッテ)とは、小さくて簡単な造りの建物[1]

概要[編集]

小屋の基本の意味は「小さい建物」であり、結果として一般的には、小さくて、比較的簡素なつくりの建物を指している。さまざまな小屋があり、使用目的や設置場所などで分類されている。

小屋の中には簡易的な住居として利用されるものもある。小屋の内部空間は比較的小さいが、たとえばアメリカの森林や山奥、また日本の里山などで、(独り暮らしの人などで)小屋を建ててかなり快適に暮らしている人もいる。[2] ただし(独りで住むのはともかくとして)、多人数で長期間住むにはあまり向かない。

歴史

考古学的には、最古の小屋跡は、フランスの地中海沿岸部にあるテラ・アマタ遺跡英語版であり(参考・後述書)、約38万年前のもので、火を使った痕跡もあり、時代的に考えて、ホモ・ハイデルベルゲンシスが作った可能性が高いとされる(出典:更科功 『絶滅の人類史』 NHK出版新書 2018年 p.160)。

工法・構造[編集]

さまざまな工法がありうる。

地中海地域欧州では伝統的には、壁を構造体として組み立てる方法が建築の基本中の基本であるので、壁をつくり、その上に屋根を乗せるということになる。

たとえば、基礎の上に丸太ログ)の一部を削っておいてそれを積み上げて壁を作り、その上に同じく丸太で屋根構造を作り、その上に雨を防ぐ素材ならべる。 あるいは石(や土)を積み上げて壁を作り、その上に木材で屋根構造を作る。

極東アジアでは、軸組工法のほうが広まったので、小屋づくりでもまず木材ばかりを組み合わせて骸骨のような構造体をつくり、とってつけたような壁を足すという方法がとられることも多い。

20世紀後半以降は、プレハブ工法を採用し、工場で作られた部品をひと揃い用意しておいて、まとめてトラックで現場に運び込み、プラモデルのような感覚で、わずか数時間~半日 程度で組み立てる手法もある。

さらに近年では、あらかじめコンテナを加工してなどをつけておいたものを、トラックで移動して(コンクリートブロックなどの上に)ただ降ろすだけで小屋として設置完了という方法もある。

小屋の内部は分割されず部屋数が1つまたは2つのものが多い、まれに分割される場合でも、一般的に言うと、部屋数は少ない。

比喩表現としての「小屋」[編集]

小さくて簡易的で素朴な建物を「小屋」の意味の基本なのであるが、さまざまなものを「小屋」に喩えることもある。 日本人の多くの人々が住んでいる家屋(の中で 比較的小さなもの)が「ウサギ小屋」と喩えられることもある。[3]

大きなウェブサーバーや大きなウェブサイトの中に、一個人が設けた小さな領域(比較的少ないページ数の、作りが簡素な、ページのまとまり)を「○○小屋」と呼ぶ人も一部にいる。

また、士業などの個人事務所において、執務を行うための小さな部屋を「小屋」と呼ぶ人も一部にいる。

うさぎ小屋と日本の住環境[編集]

1979年(昭和54年)、欧州諸共同体(EC)が出した『対日経済戦略報告書』の中で、日本人の住居が「rabbit hutch」(うさぎ小屋)と表現されたことから、「日本の住居は、欧米に比べて狭小」という意味で広まった。だが、原文はフランス語の「cage a lapins」(ウサギ、「Cage pour lapins」ではない。)で、これはフランスでは集合住宅を指し、「画一的な」という意味がある。『この言葉を英訳するときに誤って「狭い」という意味で「rabbit hutch」(うさぎ小屋)を当てたことで、「日本の住居は狭い」という誤解が広まった』とする説がある。

実際には、住宅産業新聞社「住宅経済データ集」によると、持ち家・借家を合わせた一戸あたり床面積の国際比較では、日本は95平米であり、米国(148平米)より狭いものの、フランス(99平米)、ドイツ(95平米)とは余り変わらず、英国(87平米)よりは広い。また、別のソースでは日本(94.85平米)は、同様の国際比較で世界第5位に位置し、1位の米国(162平米)などより狭いものの、フランス(7位 90平米)、英国(8位 87平米)より広い[4]。日本の住宅面積を客観的に言い表すならば、よくいわれる「欧米より狭い」ではなく、「アメリカよりは狭く、欧州主要国と同程度」となる。

出典[編集]

  1. ^ 大辞林「小屋」
  2. ^ 日本では、禅宗で「座して半畳、臥して一畳」などと言い、また、俗に「起きて半畳、寝て一畳」や「「座って半畳、寝て一畳」などとも言い、「生きる」ということであれば、実際には小屋程度の空間があれば、工夫しさえすれば、人間は快適に生きてゆくことができる。また、洋の東西を問わず、「小欲知足」(しょうよくちそく、おのれの内に起こる欲を小さくして、むしろ わずかなもので足りることをさとり、それによって深い幸福感を実感して暮らすこと。)で幸せに暮らしている人々がいる。
  3. ^ ひとつには、ECの対日経済戦略報告書において、「日本は、ウサギ小屋に住む仕事中毒者の国だ」と記述された、と理解されたからである。ただし(ウサギ小屋を)「『小さく狭い家』、と訳すのは誤訳だ」という人もいて、「本来は集合住宅を指す用語だった」と言う人もいる。後述。なお、アメリカでは郊外に家を持つ人々では、たしかに通常 広い家に暮らしている人は多いが、大都市では家賃は高く、狭い部屋に住んでいる人々もいる。日本でも、田舎では、昔から現代まで、かなり広い家屋に暮らしている人々もいる。
  4. ^ 『日本は世界で第何位?』(岡崎大五著・新潮新書)

関連項目[編集]