小電力セキュリティシステム

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小電力セキュリティシステム(しょうでんりょくせきゅりてぃしすてむ)とは、免許を要しない無線局の内の小電力無線局の一種である。 電波法による無線局の免許を受けることなく利用することができる。

定義[編集]

総務省令電波法施行規則第6条第4項第3号に「主として火災、盗難その他非常の通報又はこれに付随する制御を行うものであつて、F1D、F2D若しくはG1D電波426.25MHz以上426.8375MHz以下の周波数のうち、426.25MHz及び426.25MHzに12.5kHzの整数倍を加えたもの(占有周波数帯幅が8.5kHz以下の場合に限る。)又は426.2625MHz及び426.2625MHzに25kHzの整数倍を加えたもの(占有周波数帯幅が8.5kHzを超え16kHz以下の場合に限る。)を使用し、かつ、空中線電力が1W以下であるもの」と定義[1]している。

促音の表記は原文ママ

概要[編集]

一般家庭や事業所などで侵入者や火災を検知し通報する機器で、電気通信回線に接続し遠隔地へ通報することができるものもある。

小電力無線局の一種であるので、使用する機器は技術基準適合証明の認証を受けた適合表示無線設備でなければならない。 技術基準は、無線設備規則第49条の17及びこれに基づく告示にあり、「一の筐体に収められており、容易に開けることができないこと(電源設備、制御装置など一部例外あり)」とされ、特殊ねじなどが用いられているので、利用者は改造はもちろん保守・修理の為であっても分解してはならない。

制度化当初から、電波システム開発センター(略称 RCR)(現電波産業会(略称 ARIB))が、総務省令・告示の技術基準を含めて標準規格「RCR STD-30 小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備」を策定している。

表示[編集]

適合表示無線設備として技適マークが表示されていなければならない。 また、技術基準適合証明番号又は工事設計認証番号も付され、小電力セキュリティシステムを表す記号は、 これらの番号の英字の1~2字目のAZ [2] である。 但し、2011年(平成23年)12月16日以降の工事設計認証番号(番号の4字目がハイフン(-))に記号表示は無い。

技術的条件[編集]

用途

電波法施行規則の定義を受け、RCR STD-30では一般家庭や事業所などの屋外および屋内において防犯・非常通報の目的に使用するものとしている。 取り扱う信号はデジタル形式で、センサー系の信号だけではなく、電子鍵などの制御系信号も含まれる。但し、電気通信回線への選択信号は扱わない。

RCR STD-30の中では標準システムとして、四つのモデルをあげている。

区分 伝送速度 占有周波数帯幅 周波数間隔 応用
I型 1200bps程度 4kHz以下 12.5kHz 小規模で情報量の少ないシステム用
II型 2400bps程度 4kHzを超え8.5kHz以下 12.5kHz 中規模で情報量の少ないシステム用
III型 4800bps程度 8.5kHzを超え12kHz以下 25kHz 大規模で情報量の多いシステム用
IV型 9600bps程度 12kHzを超え16kHz以下 25kHz 大規模で情報量の多い複雑なシステム用
周波数

占有周波数帯幅に応じ、48波又は24波が割り当てられている。これに基づき、RCR STD-30では二種類のチャネル構成を設定している。

番号 周波数(MHz) 周波数(MHz)
占有周波数帯幅
8.5kHz以下
占有周波数帯幅
8.5kHzを超え16kHz以下
1 426.2500 426.2625
2 426.2625 426.2875
3 426.2750 426.3125
4 426.2875 426.3375
5 426.3000 426.3625
6 426.3125 426.3875
7 426.3250 426.4125
8 426.3375 426.4375
9 426.3500 426.4625
10 426.3625 426.4875
11 426.3750 426.5125
12 426.3875 426.5375
13 426.4000 426.5625
14 426.4125 426.5875
15 426.4250 426.6125
16 426.4375 426.6375
17 426.4500 426.6625
18 426.4625 426.6875
19 426.4750 426.7125
20 426.4875 426.7375
21 426.5000 426.7625
22 426.5125 426.7875
23 426.5250 426.8125
24 426.5375 426.8375
25 426.5500
26 426.5675
27 426.5750
28 426.5825
29 426.6000
30 426.6125
31 426.6250
32 426.6375
33 426.6500
34 426.6625
35 426.6750
36 426.6875
37 426.7000
38 426.7125
39 426.7250
40 426.7375
41 426.7500
42 426.7625
43 426.7750
44 426.7875
45 426.8000
46 426.8125
47 426.8250
48 426.8375
通信方式 電波の型式 空中線電力 混信防止機能
単向通信方式
単信方式
同報通信方式
F1D
F2D
G1D
1W以下 通信時間制限装置
(電波を発射してから3秒以内に発射を停止し、2秒経過した後でなければ送信を行わない。)

技術基準適合認定との関係[編集]

電気通信回線に接続する機器は電気通信事業法の端末機器でもあり技術基準適合認定も要する。 この場合、技適マークの表示は単数でよい。

旧技術基準による機器の使用期限[編集]

無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正 [3] により、「平成19年11月30日」までに認証された適合表示無線設備の表示は「平成34年12月1日」以降は表示されていないものとみなされる[4]。 すなわち、旧技術基準で認証された機器は、技適マークがあっても2022年12月1日以降は使用できない

沿革[編集]

1992年(平成4年)- 小電力セキュリティシステムの無線局が制度化 [1]された。

  • 呼出名称記憶装置の搭載が義務付けられていたが、メーカー記号と製造番号を送信するもので具体的な使用者を特定できるものではない。[5]

1998年(平成10年)- 呼出名称記憶装置の搭載が廃止され、混信防止機能の搭載が義務付けられた。 [6]

  • 通信時間制限装置が搭載されることとなった。 [7]

2005年(平成17年)

  • 「平成17年11月30日」までに認証を受けた適合表示無線設備は、「平成34年12月1日」以降は使用できないとされた。[3]
  • 電気通信回線への接続は義務とされなくなった。[8]

2006年(平成18年)- 電波の利用状況調査の中で、770MHz以下の免許不要局の出荷台数が公表された。 [9]

  • 以降、三年周期で公表される。なお、周波数の境界は平成24年度より770MHzから714MHzに改められた。[10]

2014年(平成26年)- 空中線電力が最大1Wに緩和された。 [11]

出荷台数[編集]

平成14年度 平成15年度 平成16年度 出典
284,955 451,831 608,765 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[12]
平成17年度 平成18年度 平成19年度 出典
1,289,224 1,501,872 1,565,150 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[13]
平成20年度 平成21年度 平成22年度 出典
542,310 920,288 1,104,668 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[14]
平成23年度 平成24年度 平成25年度 出典
1,180,885 1,077,601 1,128,269 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[15]
平成26年度 平成27年度 平成28年度 出典
1,720,602 1,890,339 1,565,321 第2章 電波利用システムごとの調査結果(免許不要局)[16]

脚注[編集]

  1. ^ a b 平成4年郵政省令第21号による電波法施行規則改正
  2. ^ 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則様式7
  3. ^ a b 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  4. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第1項
  5. ^ 平成4年郵政省令第22号による無線設備規則改正
  6. ^ 平成10年郵政省令第86号による電波法施行規則改正
  7. ^ 平成10年郵政省令第87号による無線設備規則改正
  8. ^ 平成17年総務省令第187号による電波法施行規則改正
  9. ^ 「平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)」の公表及び「平成17年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成18年6月8日)(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  10. ^ 平成24年総務省令第100号による電波の利用状況の調査等に関する省令改正
  11. ^ 平成26年総務省令第69号による電波法施行規則改正
  12. ^ 平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)平成18年6月 p.1811(平成17年度電波の利用状況調査の調査結果(暫定版)及び評価結果の概要(案)」の公表及び「平成17年度電波の利用状況調査の評価結果の概要(案)」に対する意見の募集(総務省 報道資料 平成18年6月8日))(2007年8月8日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  13. ^ 平成20年度電波の利用状況調査の調査結果(770MHz以下の周波数帯)平成21年5月 p.1101(「平成20年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成20年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成21年5月14日))(2009年7月22日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  14. ^ 平成23年度電波の利用状況調査の調査結果(770MHz以下の周波数帯)平成24年5月 p.969(「平成23年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成23年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成24年5月18日))(2012年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  15. ^ 平成26年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHz以下の周波数帯)平成27年4月 p.1059(「平成26年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成26年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成27年4月9日))(2015年5月2日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)
  16. ^ 平成29年度電波の利用状況調査の調査結果(714MHz以下の周波数帯)平成30年5月 p.1203(「平成29年度電波の利用状況調査の調査結果」の公表及び「平成29年度電波の利用状況調査の評価結果(案)」に対する意見募集(総務省 報道資料 平成30年5月25日))(2018年6月1日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project (PDF)

関連項目[編集]