平成書体

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平成書体の見本。

平成書体(へいせいしょたい)は、財団法人日本規格協会文字フォント開発普及センターで開発された平成明朝(へいせいみんちょう)、平成角ゴシック(へいせいかくゴシック)、平成丸ゴシック(へいせいまるゴシック)の総称。日本語の標準的なフォントとして開発された。平成フォントとも呼ばれる。

平成明朝[編集]

特徴[編集]

平成明朝の当初の設計指針は次の通りである。

  1. 他のフォントと独立した、オリジナルの明朝体
  2. 本文での使用を主な用途とし、横組みにも縦組にも適する
  3. 拡大と縮小に耐える
  4. 電子機器で使いやすい
  5. 高品質なアウトラインフォント化ができる

原案として採用されたリョービイマジクスによるデザインコンセプトは、上記の指針を満たすとともに、視覚的重心を低めにする、縦線を太めにするなどの横組での使用を重視するものであった[1]

経緯[編集]

平成明朝の開発が行われた文字フォント開発普及センターは、1988年(昭和63年)に工業技術院の主導により日本規格協会内に組織された。当時の日本ではDTPの普及に伴う需要の高まりに対してフォントの供給が遅れていたため、標準的なフォントを開発して供給するとともに、フォント製作を振興するのがその狙いであった。

開発は、デザインコンペティションによって選ばれたリョービイマジクスによるデザインコンセプトに基づき、同社と複数のコンピュータメーカー、印刷会社が共同して行った。

有名な利用例として、同時期に策定された JIS X 0212(補助漢字)の例示用字体としての採用[1]がある。 文字フォント開発普及センターにおける開発ではアウトライン化はなされなかったが、リョービイマジクスが後継となるアウトラインフォント「本明朝」を製作した [2]ほか、各社がこの書体に由来するフォントを開発している。

歴史[編集]

1958年に晃文堂 (後のリョービイマジクス) の金属活字書体として「晃文堂明朝」が登場し、1970年にそれが写植書体の「細明朝」となった[3]。しかし金属活字そのままの「細明朝」の評判は良くなく[4][要検証]杉本幸治の手によって改刻され1982年に「本明朝-L」となり[3]、その後、「本明朝-M」や「本明朝-B」などの書体バリエーションが追加されていった[3]。1987年に「本明朝-L」がデジタル化された[3]

1988年、文字フォント開発普及センターにより「オリジナルな明朝体」を条件とする平成明朝体のデザインコンペティションが行われ[5]、本明朝の製作元であるリョービイマジクスが広いふところなどのモダンな特徴を持つ新明朝体を提案し採用された[5]。この新明朝体が「平成明朝体W3」となる。平成明朝体は本明朝の硬さを残している[6]

平成明朝体は1990年に完成し、1991年より関係者に配布された[7]。1991年、初の平成明朝体搭載ワープロであるNECの文豪mini5SX/mini7SX/mini7SDが登場し[8]、その後も平成書体を搭載するワープロが増えていった[7]

また、平成明朝体は一部のパソコンにも搭載されるようになった。1992年にClassic Mac OS向けとして出た「漢字TrueType」パッケージでは明朝体に旧来の「本明朝-M」が採用された[9]ものの、同年末の漢字Talk 7.1では「本明朝-M」及び「リュウミンL-KL」と共に「平成明朝体W3」も搭載された[10][9]。一方、1993年の日本語版Windows 3.1では標準明朝体フォントとして旧来の本明朝-Lをベースとする「MS 明朝」ファミリーが採用され[11]Microsoft Officeでも付属する明朝体フォントは平成明朝でなく本明朝ベースの「MS 明朝」を元にした「HG 明朝」ファミリーとなっていた[12][13]

なお、1990年のJIS X 0208-1990 (通称90JIS) 及びJIS X 0212-90の例示字体において平成明朝体が採用され[7]、これによって多くのフォントベンダーが平成書体の字体を参照するようになり、フォントの字体差が減っていったとされる (平成書体現象)[14]

平成明朝由来のフォント[編集]

ソフトウェアに付属するもの[編集]

その他[編集]

  • タイプバンク
    • 平成明朝体
  • ダイナフォント
    • DF平成明朝体/DFP平成明朝体 - Adobe-Japan 1-6準拠版がある
  • タイプラボ
    • えれがんと平成明朝 - 装飾フォント

参考文献[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 『活字の歴史と技術 2』加藤美方、森啓、藤田三男、樹立社、2005年3月、p.147, p.149。ISBN 4-901769-39-1。
  2. ^ 『タイポグラフィ・タイプフェイスの現在—5人の書体設計家と3人のタイポグラファーの思い (女子美術大学講義録 書物を構成するもの)』女子美術大学、日本エディタースクール出版部、2007年5月、p.20。ISBN 978-4888888332。
  3. ^ a b c d 杉本幸治 本明朝を語る P.29 リョービイマジクス 2008年1月25日
  4. ^ 『逍遥本明朝物語』 片塩二朗 2004年8月1日 ISBN 978-4947613394
  5. ^ a b 平成フォント誕生物語(2)─フォント千夜一夜物語(13) 日本印刷技術協会 2002年10月19日
  6. ^ 書体のはなし・平成明朝体 亮月製作所
  7. ^ a b c 平成フォント誕生物語(3)─フォント千夜一夜物語(14) 日本印刷技術協会 2002年11月9日
  8. ^ 【日本電気】 文豪mini5SX,文豪mini7SX,文豪mini7SD コンピュータ博物館
  9. ^ a b 『CJKV日中韓越情報処理』 P.401-402 ケン ランディ 2002年12月 ISBN 978-4873111087
  10. ^ a b Mac OS漢字Talk 7.1とTrueTypeの登場─フォント千夜一夜物語(9) 日本印刷技術協会 2002年8月10日
  11. ^ Windows 3.1とTrueType─フォント千夜一夜物語(11) 日本印刷技術協会 2002年9月7日
  12. ^ MS ゴシック、MS 明朝相当のフォントについて知る リコー
  13. ^ Office の各バージョンに付属するフォント Microsoft
  14. ^ 小形克宏の「文字の海、ビットの舟」 ――文字コードが私たちに問いかけるもの 特別編15 JIS文字コードの例示字体変更は、大きな混乱を招かないのか(1) Impress 2003年2月14日
  15. ^ a b 一太郎12に添付されているフォントの種類について ジャストシステム
  16. ^ a b 花子に添付されているフォントが知りたい ジャストシステム
  17. ^ 実用が始まったUnicodeの現状と課題 日本印刷技術協会 2004年8月20日
  18. ^ 第一水準、第二水準以外の漢字を使用する ジャストシステム

関連項目[編集]