平敷屋朝敏

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平敷屋 朝敏(へしきや ちょうびん、1701年1月1日尚貞32年11月23日) - 1734年7月26日尚敬22年6月26日[1])は、琉球王国の士族で和文学者、平敷屋の脇地頭(親雲上)。

1734年、王府の高官だった友寄安乗(ともよせ あんじょう)らとともに、当時首里王府において実権を握っていた蔡温を批判した文を薩摩在番奉行の川西平佐衛門の宿舎に投げ入れるなどして捕らえられ、安謝港近くにて磔刑に処せられた(平敷屋・友寄事件[2]

著作[編集]

和歌琉歌にすぐれ[3]、和文の物語『苔の下』・『若草物語』・『万歳』・『貧家記』などを著した。恋物語をよくしたので「琉球の業平」とも呼ばれ[1]組踊の演目『手水の縁』の作者ともされる。[4]沖縄三十六歌仙の一人。

年譜[編集]

  • 1700年(康煕三十九年)11月23日 首里金城村で生まれる。
  • 1706年 父朝文の死去により朝敏が家を継ぐ。
  • 1708年 この頃から龍洞寺の心海和尚について和文学を学び始める。
  • 1714年 将軍家継襲奉賀のため、島津に従い江戸に上る。
  • 1718年 八代将軍徳川吉宗の慶賀使越来王子朝慶に随行し、薩摩の太守公とともに江戸に上る。深川の本誓寺で仏教を学ぶ傍ら『源氏物語』『伊勢物語』などの和歌を学ぶ。
  • 1720年 里主となる。この頃『若草物語』を発表。
  • 1721年 知花親方安寿の長女、亀(二十一歳)と結婚する。
  • 1722年 尚敬王妃の思亀樽金が朝敏を慕い金城村の家に密かに訪ねて絹の衣を贈ったとされる。この事で家屋敷を没収され、首里の西森あたりに住居を構える。後に那覇の天久にも住んでいたとされる。
  • 1725年 この頃『苔の下』を発表する。
  • 1727年 経済的困窮から平敷屋村に移る。水不足に苦しむ領民のために「心字型」の溜池を掘らせる。(勝連・平敷屋タキノー)
  • 1728年 王妃との密通の疑いが晴れて、首里へ戻る。随筆『貧家記』で平敷屋村での生活と、首里へ戻るまでの様子が書かれている。
  • 1731年 和文学愛好の同志が、朝敏を師として塾を開く。塾には三十名ほど集まる。『まんざい』はこの頃の作。
  • 1732年 当時の支配体制の矛盾が深刻化したと、三司官蔡温の改革に対する反発を強める。この頃、組踊『手水の縁』が完成。
  • 1733年 蔡温の改革により政治の貧困と混乱が悪化したとして、社会的変革を指向した組織作りと政治活動を秘密裏に進める。薩摩在番所へ再三にわたって投書を行う。
  • 1734年 惣慶親雲上の口から社会変革の計画が漏れ平等所の知るところとなり、一味全員が逮捕される。
  • 1734年6月26日 安謝港にて同志と共に処刑(磔刑)される。
  • 1918年(大正七年) 長らく上演禁止だった組踊『手水の縁』の上演が許可される。 

系譜[編集]

  • 父:禰覇親雲上朝文
  • 母:真鍋(朝文の正室ではなかったとされる)
  • 姉:真加戸樽
  • 妹:思乙松
  • 弟:禰覇里之子
  • 祖父(母方):屋良宜易
  • 室:亀
  • 長男 朝良
  • 次男 朝介
  • 義父 知花親方安寿

長男の朝良は妻子もないまま31歳でこの世を去り、次男の朝介は嵩原家の嫁を取り、一族の墓である里之子墓(多良間村指定重要文化財・史跡)を建立する。のちに朝敏夫妻の遺骨も同墓に収められた。また朝敏は尚真王の嫡子・尚維衡(浦添王子朝満 )の子孫であるとされる。

引用文献[編集]

  • 『沖縄まんが物語Ⅱ―文化・観光 篇―(沖縄学習漫画全集)』インターフェース, 2012年.
  • 屋嘉宗克『琉球文学―琉歌の民俗学的研究―』近代文藝社, 1995年.
  • 比嘉加津夫『平敷屋朝敏 上(比嘉加津夫文庫⑯)』サザンプレス, 1991年.
  • 池宮正治『近世沖縄の肖像―文学者・芸能者列伝― 上』ひるぎ社, 1982年.
  • http://blog.goo.ne.jp/peaceorange/e/be8a662dfc3529a35039eae68682cbe9

参考文献[編集]

  • 又吉洋士「平敷屋朝敏-琉球独立論の系譜」でいご出版
  • 玉栄清良「平敷屋朝敏の文学」東海出版
  • 組踊のはじまり-玉城朝薫の世界」国立劇場おきなわパンフレット

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 朝日日本歴史人物事典
  2. ^ 新城俊昭「琉球・沖縄史」
  3. ^ ブリタニカ国際大百科事典
  4. ^ 手水の縁(てみずのえん、ティミジヌイン) - 文化デジタルライブラリー