強姦

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強姦
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分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
救急医学
ICD-9-CM E960.1
MedlinePlus 001955
eMedicine article/806120
MeSH D011902
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強姦(ごうかん)とは、一般に相手の意志に反し、暴力脅迫、相手の心神喪失などに乗じ性行為強要すること[1][2][3]強かん[注 1]と表記されることもある。性暴力[4](せいぼうりょく。別表現:性的暴力[5])の一種。性的暴行(せいてきぼうこう)の一種との捉え方もある。

典型的には男性が強制的に女性の腟内に男性器を挿入したり、口腔内に舌を入れキスをしたりすることであるが[6]、「強制」の定義や行為の具体的態様については時代的、国際的にも差異がある。

定義[編集]

ローマ法では、他の男性の管理下にある女性を拉致した男性はラプスの罪に問われた。拉致の時点で既遂となり、姦通は要件ではなかった。ラプスはレイプの語源である。「強姦」が持つ本来の意味は「双方の合意なしに行われる姦通」であるが、現在は広く「相手の合意なしに行われる性行為一般」を指す場合がほとんどである。かつては夫婦間における一方的な行為は性犯罪とは見なされない事が多く、先進国においても20世紀末近くまでそのようであった。

治療[編集]

強姦された場合の対処[編集]

強姦され腟内に射精された場合、避妊を優先するべきである。被害後、72時間以内に産婦人科を受診し、性病妊娠の検査をする。検査費用は警察へ被害を届け出た場合は、公費負担がある。産婦人科では妊娠の防止のための緊急避妊が行われる。また、この際に同意があれば強姦を証明するのに必要な加害者の陰毛精液などの証拠収集が行われる。多くの地域で、性被害者を支援する機関があり、こうした機関からの紹介や、警察の紹介で産婦人科を選択する[7]

その後のカウンセリングなど精神的サポートも極めて重要である。被害者は、強姦時の強い恐怖から、被害後に、精神不安定や不眠心的外傷後ストレス障害などの精神反応が多くみられ人間不信に陥ることも多いためである。サポートを1か所で提供しているワンストップ支援センターが全国各地に所在している[7]

周囲にいる者は、被害者にも責任の一端があったかのような言動は避ける。性被害にあった被害者に対し、周囲の人間がさらに傷つける言動を行うことは、「二次被害」、「セカンドレイプ」と呼ばれる。また、本人がすぐに病院や相談機関へ行きたがらない場合は、無理やり連れていくようなことは避ける[7]

予防[編集]

大阪府警察は性犯罪にあうリスクを減らす防犯対策を紹介している[8]

道路上

  • 帰宅途中に被害にあうケースが多いため、人通りの多い道、明るい道を選ぶ。やむを得ず、一人で人気の無い暗い道を歩かなければならないときは、周囲の状況に注意を向け、顔を上げて毅然とした態度で、早足で通り抜ける。また、防犯ブザーをいつでも使えるようにしておく。
  • スマートフォンを操作しながらや音楽プレーヤーを聴きながら歩くと、不審者が近づく音が聞こえなかったり、スマホや音楽に集中することで「上の空」状態になったりし、とっさの出来事に対する対応が遅れる。歩きスマホなどは避ける。
  • 見知らぬ人に声をかけられたら、相手との距離を開けて対応する。「一緒に連れて行ってほしい」「車に乗って案内してほしい」などと言われても、安全性が保障されない見知らぬ人間と行動することは避ける。

帰宅

  • マンション等の共同住宅内では、エントランス、階段、通路、エレベーター内で性犯罪が発生している。マンションがオートロックドアであっても、居住者が入る後ろからつけて行くなどの方法で侵入することが可能であるため、注意が必要である。
  • エレベーター内では、操作盤付近に同乗者に背を向けずに立つ。危険を感じたら、ボタンを全部押して止まった階で降りる。また、見知らぬ男性と自分だけの場合は、一旦降りてやりすごすのも対策の1つである。

自宅

  • ドアの鍵は家に入ったらすぐに締める。就寝中も必ず戸締まりをする。
  • 在宅中に人が尋ねて来たときは、相手の身分を確認できるまでドアを開けない。
  • ドアチェーンやU字ロックは施錠の代わりにはならない。ドアチェーンやU字ロックをしてドアを開けっぱなしという状態は危険である。

統計[編集]

日本
日本での平成30年の強姦事件の認知件数は1,307件である[9]。認知件数は、昭和39年に6,857件と戦後最多を記録した後、長期減少傾向を経て横ばい傾向にあった[10]。近年では平成9年から平成15年まで増加傾向にあったが、平成16年から平成28年まで減少傾向に転じた[11][12]
日本の人口10万人あたりの強姦の発生件数は2018年で1.0である[9][13]。アメリカ合衆国は42.6[14]と日本の約42.6倍である。ただ、強姦罪の定義は国によって大きく異なる点もある。例えば、日本の強制わいせつを加えた場合、2018年は10万人当たり5.3件となり、アメリカ合衆国との差は約8.0倍となる。日本では12歳以下との性行為は同意のうえでも強姦に定義されるためそれも考慮する必要がある。

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 日本報道などでは、当用漢字による漢字制限で「強かん」と表記されることもあるが、2010年代(※記述時)では「強」とそのまま表記するようになってきている(※『NEWS23』などでは『強姦』の字を採用している)。

出典[編集]

  1. ^ 小学館『デジタル大辞泉』、三省堂大辞林』第3版. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
  2. ^ 平凡社世界大百科事典』第2版、. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
  3. ^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “強姦”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
  4. ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』、平凡社『百科事典マイペディア』、ほか. “性暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
  5. ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “性的暴力”. コトバンク. 2019年10月23日閲覧。
  6. ^ 広辞苑
  7. ^ a b c ケイヒルエミ (2014年7月24日). “もしもレイプ被害に遭ってしまったら? 専門家に聞く正しい相談先、届け出、ケア対応など”. 公式ウェブサイト. wotopi(ウートピ). 2019年10月23日閲覧。
  8. ^ 性犯罪の被害にあわないために”. 公式ウェブサイト. 大阪府警察 (2018年). 2019年8月19日閲覧。
  9. ^ a b 平成30年1~12月犯罪統計【確定値】 訂正版”. e-Stat 統計で見る日本(公式ウェブサイト). e-Stat(cf. 政府統計共同利用システム) (2019年3月8日). 2019年10月23日閲覧。
  10. ^ 大塲 2006, pp. 28-34.
  11. ^ 安藤 2010.
  12. ^ 2 強制性交等・強制わいせつ - 平成30年版 犯罪白書 第1編/第1章/第2節/2”. 犯罪白書(公式ウェブサイト). 法務省 (2018年). 2019年1月31日閲覧。
  13. ^ 総務省 統計局統計調査部 国勢統計課 (2019年3月20日). “人口推計 各月1日現在人口 「全国:年齢(5歳階級),男女別人口」及び「(参考表)全国人口の推移」平成30年10月確定値、平成31年3月概算値”. e-Stat 統計で見る日本(公式ウェブサイト). e-Stat. 2019年3月22日閲覧。
  14. ^ FBI. “Uniform Crime Reports>2018 Crime in The United States>Violent Crime>Table1”. 2019年10月3日閲覧。

参考文献[編集]

書籍
  • 松永榮治・ほか著「第44巻 第1号 平成18年12月」『罪と罰』第44巻第1号、日本刑事政策研究会、2006年12月、 NAID 40015243368
  • 大塲玲子「性犯罪の現状と対策 (平成18年版犯罪白書)」 pp. 28-34
  • 石田仁・ほか著『セクシュアリティと法─身体・社会・言説との交錯』谷口洋幸・綾部六郎・池田弘乃 編、法律文化社、2017年10月17日。ISBN 4-589-03872-2。OCLC 1007131073ISBN 978-4-589-03872-2。
ウェブサイト

関連項目[編集]