後流

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回転する円筒の周りで流体が流れている様子。円筒の背後に乱流となった後流領域が生じている。

流体力学において、後流(こうりゅう)もしくは伴流(はんりゅう、: wake)とは、流体中を運動するか、流れの中で静止している鈍い物体(流線型ではない物体)の背後に現れる乱れた領域[1]。物体と流体との間の粘性力によって生じる。境界層剥離乱流、流速の低下[2]を伴うことがある。

粘性による後流の効果[編集]

後流とは、流体中で流れに対して相対的に運動する物体の下流側に生じる乱れた領域を指す。物体に沿った流体の流れから生じ、多くの場合乱流となる。

音速以下の流速を持つ外部流れの中に鈍い形の物体を置くと、大きく境界層剥離が起こり、後流は物体に向けて流体が流れる逆流領域となる。そのような物体の例にはアポロ宇宙船オリオン宇宙船の降下・着陸用カプセルがある。この現象は航空機の風洞試験でもしばしば発生する。またパラシュートでも重要であり、ラインが短すぎてキャノピー(傘)を逆流領域の外に出すことができなれば、パラシュートは開かずに潰れてしまう可能性がある。後流の中へ展開されたパラシュートは、動圧が不足するため、本来受けるはずの抗力が減少する。

高忠実度計算流体力学シミュレーションによる後流のモデル化がしばしば企てられるが、非定常流れの効果や、乱流モデルレイノルズ平均モデル英語版)とラージエディシミュレーション英語版)など)の選び方による不確かさを避けられない。応用例としては、多段ロケットの分離や、航空機からの懸架装備の分離などがある。

空気中で円筒の後流に発生したカルマン渦。円筒の近くの空気にオイルミストを発生させることで流れを可視化英語版したもの。

脚注[編集]

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  1. ^ V. L. Streeter「後流」『世界科学大事典』6、講談社出版研究所、講談社、1977-1985、146頁。
  2. ^ 『明解入門流体力学』杉山弘、森北出版、2012年。ISBN 9784627674110。

関連項目[編集]