性的同意年齢

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性的同意年齢(せいてきどういねんれい)は、性行為の同意能力があるとみなされる年齢の下限をさす。単に同意年齢ともいう。性交のみに限った場合は性交同意年齢ともいう。近代社会においては、おおむね医学的な観点からして児童性愛にならない年齢と一致しているが、一部の国家ではより低い場合もある。

概説[編集]

全世界における性的同意年齢
第二次性徴を以って、 10歳以下、 12歳、 13歳、 14歳、 15歳、 16歳、 17歳、 18歳、 19歳、 20歳、 21歳以上、 州・地域による、 婚姻を以って、 規定なし、 データなし

性的同意年齢は、法域ごとに大きく幅がある。おおむね16 - 18歳に設定されていると見てよいであろうが、12歳や21歳とする法も実際には存在している。

イスラエルでは、被後見者及び直系子孫との関係における性的同意年齢を21歳としているが、法域の中には近親相姦そのものを違法化している場合もある。

多くの法域では、性的同意年齢は「精神的・機能的に発達した年齢であることを意味するもの」と解釈される。性的虐待は同意年齢に満たない者に対してなされるものであるから、あらゆる年齢に被害者がいることになる。法的な婚姻以外の性行為を一切禁じる法域もある。この同意年齢は、性行為の形式や行為主体の性別、責任のある立場の濫用など他の制限によっても変わりうる。

同意年齢に達していない者への性行為は認められていないが、未成年者同士の性行為はある程度認める法域もある。法を犯したことに対する罪は、略取、誘拐の罪程度の軽いものから、法定強姦の罪とするものまで幅がある。

日本[編集]

絶対的年齢[編集]

日本の刑法176条(強制わいせつ罪)及び177条(強制性交等罪)の規定においては、性的同意年齢は男女とも13歳以上に設定されている。旧刑法346条の規定においては男女とも12歳以上であったが、女子の発育の状況を考慮した結果、現行刑法は1歳引き上げられた。性的同意年齢未満の相手と姦淫または猥褻をした場合は法定強姦等(法定強制性交等、法定強制わいせつ等)に該当する。

なお、監護者の立場に乗じて18歳未満の男女にこれらの行為を働いた場合(同意を問わない)にも監護者性交等罪監護者わいせつ罪に問われる。

以上の法定強姦等や監護者性交等については重犯罪と扱われ、要件も一定の年齢、定型的な状況および行為だけを要件とし、相手方の意志は不問とすることから絶対的なものである。

相対的年齢[編集]

いっぽう児童福祉法18歳未満を児童と規定し、「児童に淫行を“させる”行為」について刑事罰を規定している。また、単に自己の性的欲求を満たすことを目的にした18歳未満との性的行為に対しては、淫行条例で刑事罰が規定されている。

風俗営業法では性風俗関連特殊営業の従事者と客は18歳以上と規定されており、年齢違反を把握しながら対処をしない事業者には罰則が規定されている。出会い系サイト規制法ではインターネット異性紹介事業を利用して、18歳未満の児童を性交等の相手方となるように誘引することを禁止し、違反者には罰則が規定されている。

なお、民法上の婚姻可能年齢は、男性18歳、女性16歳以上であるが、2018年3月13日に閣議決定された成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案(国会での成立後2020年4月1日施行予定)で、男女共に18歳となる[1]

古典イスラーム法(シャリーア)[編集]

古典イスラーム法(およびそれによって導かれる保守的イスラーム)では、結婚以外のセックスは基本的に死罪に値すると定められているため、結婚最低年齢が事実上近代法における性的同意年齢に対応する。

イスラーム法では、預言者ムハンマドが9歳の少女アーイシャと結婚を行いセックスをしたとするハディース[2]に従い、女児の結婚最低年齢を9歳とする解釈が主流である。

男児は地域によっても違いがあるが、おおむね10 - 14歳で結婚が可能とされる。このため、現代においては医学的に見て児童の範疇に属する少女と成人男性との性行為も、イスラーム法上は合法(ハラール)である場合が少なからず見られる[3]。ただしこれは前近代の他の地域の法体系も同様であり、社会的な人権保障の水準が現在とは比べ物にならないほど低かったことを示すもので、イスラームの特殊性に帰せられるものではない。

このような性行為は、現代社会においては肉体的・倫理的観点からして児童性的虐待に分類されるのが通常であり、現代イスラーム社会でも、多くの国において、性的同意年齢は非イスラーム諸国同様の水準に落ち着いている。しかし一部にはいまだにイスラーム法の厳格な適用を行う国家が存在しており、12イマーム派のイランワッハーブ派サウジアラビアでは女児の結婚最低年齢(性的同意年齢)は9歳である。そして実際にそのような早婚も存在している[4]

その他[編集]

伝統的なポリネシア社会では、12歳を過ぎると性行為の同意能力があるとみなされ、多くの女性が12歳から15歳の間に最初の出産を経験していた。現代でも一部の地域ではこの社会通念が通用しており、ピトケアン諸島少女性的暴行事件のような事例もある。サブサハラアフリカにおいても同様の状況にあると言われている。

脚注[編集]

  1. ^ 「18歳成人」民法改正案を閣議決定 女性の結婚年齢上げ”. 日本経済新聞 (2018年3月13日). 2019年1月16日閲覧。
  2. ^ ブハーリーハディース集成書『真正集』「婚姻の書」第39節第1項(アーイシャ自身からの伝)、同第40節(アーイシャおよび伝承者ヒシャームからの伝)その他。ハディース中の「9歳で婚姻を完成させた」という一文が実際に性行為を行ったという意味とされるのは集成書の注記による。
  3. ^ 預言者ムハンマド自身、アーイシャと結婚した際は50を過ぎていた。
  4. ^ サウジで10歳の少年と9歳の少女が結婚!! ただしこの場合児童同士の結婚であり、成人男子と女児との結婚と同列には議論できない。

関連項目[編集]