恋文の技術

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恋文の技術
著者 森見登美彦
発行日 2009年3月5日
発行元 ポプラ社
ジャンル 書簡体小説
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 単行本
ページ数 332
公式サイト 恋文の技術:森見登美彦|ポプラ社
コード ISBN 978-4591108758
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恋文の技術』(こいぶみのぎじゅつ)は、森見登美彦による小説。単行本はポプラ社より2009年3月6日刊行(ポプラ文庫にもなっている)。いわゆる書簡体小説であり、物語は全て、ある人物から別の人物への手紙の形式で書かれている。

登場人物[編集]

守田一郎
クラゲの研究のため、京都から能登半島の付け根にある能登鹿島駅近くの、人里離れた実験所へ送り込まれた大学院生。「文通武者修行」と称して、友人・先輩・妹などへ大量の手紙を書き始める。将来の目的は、手紙一本で女性を篭絡する「恋文の技術」を会得し、恋文代筆のベンチャー企業を興すこと。だが、伊吹に対する恋文だけはなかなか思うように書けない。
小松崎友也
守田一郎の友人。周囲の人間から「マシマロマン」「阿呆のパイオニア」と評されている。守田一郎の文通相手第一号だが、何を思ったか自らの恋愛相談を持ちかける。おっぱい星人である。
大塚緋沙子
守田一郎が所属する大学院の研究室の先輩。研究室に君臨する女帝。自らの楽しみのために、周囲の人間を振り回すのが趣味。般若心経を貼り付けた谷口とお揃いのマンドリンを所持する。「洛北マンドリン四天王」の一人。守田がのとじま水族館イルカに話しかけて孤独な心を癒していると聞いて、「雌のイルカを追い回している」という噂を流す。
谷口誠司
能登鹿島臨海実験所に勤める研究員で、その厳しさから「軍曹」と恐れられる。日々、実験に失敗する守田一郎を罵倒しつつ、謎の腔腸動物を浸した怪しげな「精力剤」を愛飲しては般若心経を貼り付けたマンドリンをかき鳴らして自作の歌を歌う。「洛北マンドリン四天王」の一人。
森見登美彦
守田一郎の大学部時代のクラブの先輩。現在は作家をしているが、後輩である守田一郎からは『京都近辺のことしか書かないから、そのうち自家中毒になる』『自己管理能力が無い』『自分へのファンレターを恋文と勘違いしているに違いない』などの評価を手紙で送りつけられる。
守田薫
守田一郎の妹。高校3年生。翌年に大学受験を控えているが、ニーチェ著作権の本を読んだりと、その知的好奇心の範囲は兄をも驚かせる。将来の夢は高等遊民または宇宙飛行士、でなければ何にもなりたくない。「大日本乙女會」の会員。
三枝麻里子
小松崎が恋焦がれている女性。偶然だが、守田一郎の後に間宮少年の家庭教師となる。「大日本乙女會」の会員。
間宮少年
守田一郎がかつて家庭教師をしていた小学4年生の少年。守田一郎曰く「見どころのある少年」。新しい家庭教師であるマリ先生(=三枝麻里子)を好きになり、小松崎を恋敵とみなしている。
伊吹夏子
守田一郎の大学部時代の同輩、かつ片恋の相手。大学院へは進学せずに就職した。「大日本乙女會」の会員。

あらすじ[編集]

  • 第一話:外堀を埋める友へ
小松崎からの恋愛相談に手紙でこたえる守田一郎だが、小松崎は狙い澄ましたように誤手ばかり打つ。そしてついに迎えた恋の結末に、守田一郎は激怒する。
  • 第二話:私史上最高厄介なお姉様へ
悩める小松崎の背後に大塚緋沙子の暗躍を感じ取った守田一郎は、慇懃無礼な手紙を大塚緋沙子へ送りつける。それに対する返事に、守田一郎の心はおおいにかき乱される。
  • 第三話:見どころのある少年へ
かつての教え子との文通の中で、守田一郎は小松崎が恋する相手の正体を知る。そして守田一郎は、暴走しかけた少年を思いとどまらせようと苦労する。
  • 第四話:偏屈作家・森見登美彦先生へ
プロの作家が持っているはずの「恋文の技術」を狙う守田一郎は、執拗にその伝授を迫る。そうこうしているうちに、守田一郎は知らず知らずのうちに作家の妄想の片棒をかつぐことになる。
  • 第五話:女性のおっぱいに目のない友へ
再び送られてきた小松崎からの手紙に返答する守田一郎。その返事の中で、守田一郎は小松崎の弱点を看破するが、それは己の弱点でもあった。それを克服せんとする試みは、ついに悲劇を呼び起こす。
  • 第六話:続・私史上最高厄介なお姉様へ
女帝大塚緋沙子への謀反を企てる守田一郎。全ては順調にいくかと思われたが、事態は思わぬ経過を辿り、結果守田一郎は屈辱にまみれる。
  • 第七話:恋文反面教師・森見登美彦先生へ
追い詰められた守田一郎は、藁にもすがる気持ちで、偏屈作家に助けを求める。
  • 第八話:我が心やさしき妹へ
兄としての威厳を保つべく、手紙で妹に説教を垂れる守田一郎だが、程無くして馬脚が現れ、守田家では今日も本人不在の家族会議が開かれる。
  • 第九話:伊吹夏子さんへ 失敗書簡集
文通武者修行の成果を発揮せんと、守田一郎は己の持てる技術の全てを費やして恋文をしたためるが、一片としてまともに書き上げることはできなかった。
  • 第十話:続・見どころのある少年へ
間宮少年からの純粋な気持ちのこもった手紙を読んだ守田一郎は、少年が少しだけ大人になったことを感じ取る。
  • 第十一話:大文字山への招待状
様々な人から人へ、大文字登山への誘いの手紙が送られる。だが、それらの手紙には奇妙な共通点があった。
  • 第十二話:伊吹夏子さんへの手紙
能登へ旅立ってから今日までの全てを、守田一郎はあらためて書き記す。その中で、ついに守田一郎は「恋文の技術」についてのある結論に達する。