悪の枢軸発言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

移動: 案内, 検索
     アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国      ブッシュ大統領による「悪の枢軸」、イランの旗 イランイラクの旗 イラク朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮      ボルトン国務次官による「悪の枢軸を越えて」演説で指定された国々
ウィキソース
ウィキソースブッシュ大統領の2002年1月29日一般教書演説の原文があります。

悪の枢軸発言(あくのすうじくはつげん)とは、アメリカ合衆国ブッシュ大統領が、2002年1月29日一般教書演説で、反テロ対策の対象として北朝鮮イランイラクの3か国を名指し、これらの国を「悪の枢軸 (axis of evil) 」と総称して批判したものである。

目次

概要

アメリカはこの前年に対テロ戦争の一環としてアフガニスタンに侵攻した。「悪の枢軸」発言はこれが一定の成果を収めた翌年の一般教書演説において、当時テロ支援国家(あるいはならずもの国家)とされていた国々を念頭にして発言されたものである。

当時、イラク、イラン、北朝鮮は大量破壊兵器を開発もしくは保持しているものと見られており、またテロ組織を支援しているものと看做されていた。イラクは湾岸戦争後の取り決めで大量破壊兵器の破棄および国連による査察団の受け入れが課されていたにも関わらず、1999年の武器査察団に非協力的態度を示していた(イラク武装解除問題)。また、北朝鮮は国際原子力機関 (IAEA) の査察団を追放し、国際条約を破棄して核開発に乗り出す(北朝鮮核問題)など、特にこの2か国が注目された。

そして、約1年後の2003年3月19日イラク戦争が米国の先制攻撃によって勃発する。

「悪の軸」という表現は第二次世界大戦における「枢軸国」と、ロナルド・レーガンの「悪の帝国発言」を組み合わせたものと見られる。また、イラク戦争後の2006年2月30日にワシントンで行った講演でも再び「悪の枢軸」という表現を用いて、イランと北朝鮮を批判している。

影響

イラクは反発したものの、同年、4年ぶりの全面査察に応じた。しかし、米国はこれを不十分だとして、国連会議での対立などを経てイラク戦争へと発展した。

北朝鮮は、同年10月に米国との協議中に「われわれは悪の枢軸の一員だ」と開き直るような発言をするなど、北朝鮮の態度硬化を招く結果となり、批判があった。また、その後の米国の外交姿勢では、イラク問題には強行的な態度を貫いたのに対して、北朝鮮問題には外交ベースの折衝を行ったとして、「米国が中東の石油問題に介入したいという真意を隠すために北朝鮮を混ぜた悪の枢軸発言を行ったのではないか」と疑われ非難されることにもなった。

一方で、イラク、イランと言ったイスラム国家の他に非イスラム国家である北朝鮮を混ぜたことで、これがキリスト圏イスラム圏の争いではないと主張する意味を持つことに肯定的な評価もある(湾岸戦争などが十字軍に見立てられるなど、米国とイスラム圏の対立については極めてデリケートな宗教問題が背景にある)。

「善の枢軸」

ベネズエラウゴ・チャベス大統領は、悪の枢軸をもじって、ベネズエラ、キューバカストロ)、ボリビアエボ・モラレス)の連携を善の枢軸 (axis of good) と表現した。

これらの国は、中南米反米左翼政権であり、アメリカが進める新自由主義グローバリズムと言った点に対抗するための協調を行っている。

イスラエルによる「悪の枢軸」発言

2008年2月28日イスラエル首相(当時)エフード・オルメルトが日本の記者クラブの講演で、「北朝鮮とイラン、シリアヒズボラハマースは悪の枢軸だ」だと発言した。

これに対し北朝鮮は「イスラエルと言えば、中東地域で侵略と破壊、殺人などの悪事を働くもっとも危険な反動勢力である」「シオニストの巨頭が、犯罪的な反パレスチナ侵略行為やアラブ領土占領政策などで自らに注がれる世界の鋭い視線を他にそらそうとしているが、それは逆に自分の首を絞める愚かな行為である」と激烈に批判した[1]。ただ、北朝鮮がイランやシリアと武器輸出などで懇意なのは確かであり、また、米議会調査局によると、ヒズボラの兵士が1980年代後半から北朝鮮当局の招待に応じて訪朝し、北朝鮮国内での軍事訓練を受けていたとされる。

2010年5月12日には、イスラエル外相アヴィグドール・リーバーマン(リーベルマン)が、日本の記者クラブの講演で、イラン、シリア、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、国際社会が核や大量破壊兵器の拡散防止のために連携するよう訴えた[2]

脚注

  1. ^ “〈論調〉 イスラエルこそ危険な反動勢力”. 朝鮮新報. (2008-3-14). http://www1.korea-np.co.jp/sinboj/j-2008/05/0805j0314-00003.htm 2010-2-1閲覧。 
  2. ^ . 毎日新聞. (2010-5-12). イスラエル:外相がイラン、シリア、北朝鮮を「悪の枢軸」 2010-5-12閲覧。 

関連項目


過去1時間の間にもっとも読まれた記事
生田絵梨花 歩いて帰ろう 糸状菌 飯山裕太 純と愛 麻実れい 坂下麻衣 歩いても歩いても 森下愛子 天野なな実 平野綾 西田ひかる 鈴木蘭々 田宮二郎 高部あい 瀬戸方久 菊池梨沙 立花裕大 フォーリン・アフェアーズ 歩いてる
「悪の枢軸発言」のQ&A
1  悪の枢軸とハルノートのアナロジー
2  北朝鮮への経済援助
3  ブッシュと小泉
モバイル版goo wikipedia提供中!
↓↓↓下記QRコードからアクセス↓↓↓
モバイル版goo wikipedia QRコード
Wikipedia記事検索について