携帯基地局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

携帯基地局(けいたいきちきょく)は、無線局の種別の一つで携帯局と通信する陸上に固定された無線局である。 携帯電話とは関係無い。

定義[編集]

総務省令電波法施行規則第4条第1項第7号に「携帯局と通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局」と定義している。 ここでいう「陸上」とは、第3条第1項第5号により「河川湖沼その他これらに準ずる水域を含む」ものである。 また、第3条第1項第8号の2には、携帯移動業務を「携帯局と携帯基地局との間又は携帯局相互間の無線通信業務」と定義している。

実際[編集]

船舶航空機に随意に持ち込んで運用される無線局である携帯局と通信を行う陸上の移動しない無線局をいう。 相手方の無線機がもっぱら陸上で用いられるものであれば、陸上移動局として免許され、これと通信をするのは基地局だからである。 陸上局の一種でもある。

通信の相手方は原則として事業者の携帯局、通信内容も事業者内の用途に限られ、海岸局・航空局の代用になるものではなく、海上交通・航空交通の管制といった安全運行にかかわる用途には使用できない。 その為、船舶・航空機との通信が業務上で随時に必要な事業者でなければ免許されない。 例えば、船舶・航空機の製造・修理業者、内航海運業者、ヘリコプターを有する警察消防官署や新聞社放送事業者電力会社などである。 業務の性質上、海岸局や航空局と、また陸上の通信網との接続の為に固定局や基地局と併設されているものもある。 廃止されたマリネットホンも携帯移動業務であり、その親局も携帯基地局であった。

用途[編集]

局数の推移に見るように、その他国家行政用(警察用、海上保安用を含む。)、電気用(電力会社の送電線パトロール用)、放送用が多数を占める。

免許・登録[編集]

外国籍の者に免許は原則として与えられないことは電波法第5条第1項に定められているが、第2項に例外が列挙され

  • 第8号 電気通信業務を行うことを目的として開設する無線局

が規定されているので、外国籍の者にも免許されることがある。

5GHz帯無線アクセスシステムの携帯基地局は、登録局である。

種別コードFP。免許の有効期間は5年。免許・登録の有効期間は5年。但し、免許は当初に限り有効期限は4年をこえて5年以内の5月31日 [1] となる。

局数[編集]

無線局登録状に局数は記載されない。

通信の相手方[編集]

電波法第52条の目的外使用として同条第6号の「その他総務省令で定める通信」を受けた電波法施行規則第37条に規定するもの(官公庁およびこれに準ずる団体にしか認められないもの、 同一免許人所属の陸上移動局など携帯移動業務以外の移動局との通信などに限定される。)を除き、免許人所属の携帯局(異免許人間通信を同意した他の免許人所属の携帯局を含む。)に限られる。 上述のように、携帯移動業務の無線局は原則として同一免許人内の通信に利用するものであることによる。

ヘリテレシステムなどの受信設備が受信基地と呼ばれることがあるが、受信のみを目的とするものは無線局ではない [2] ので、携帯基地局ではない。

操作[編集]

携帯基地局は、陸上の無線局であり、最低でも第三級陸上特殊無線技士以上の無線従事者による管理(常駐するという意味ではない。)を要するのが原則である。 例外を規定する電波法施行規則第33条の無線従事者を要しない「簡易な操作」から携帯基地局に係わるものを抜粋する。

検査[編集]

  • 落成検査は、適合表示無線設備を用いたものであれば簡易な免許手続が適用され省略される。これ以外でも一部を除き登録検査等事業者等による点検が可能でこの結果に基づき一部省略される。
  • 定期検査は、電波法施行規則第41条の2の6第5号により空中線電力が1Wを超えると行われる。周期は別表第5号第22号により5年。一部を除き登録検査等事業者等による検査が可能でこの結果に基づき省略される。
  • 変更検査は、落成検査と同様である。

沿革[編集]

1950年(昭和25年)- 電波法施行規則制定[4]時には、携帯基地局という種別は定義されておらず相当する無線局は陸上局として、相手方となる携帯局に相当する無線機は移動局として免許された。免許の有効期間は5年。 但し、当初の有効期限は電波法施行の日から2年6ヶ月後(昭和27年11月30日)までとされた。

1952年(昭和27年)- 11月30日に最初の免許が更新された。

  • 以後、5年毎の11月30日に満了するように免許された。

1958年(昭和33年)- 電波法施行規則に定義され、従前の陸上局が携帯基地局とみなされた。免許の有効期間は3年。 なお、携帯局、携帯移動業務についても同時に定義された。 [5]

  • 以後、3年毎の11月30日に満了するように免許された。

1971年(昭和46年)- 免許の有効期間は5年とされた。 [6]

  • 以後、5年毎の11月30日に満了するように免許された。

1993年(平成5年)

  • 電気通信業務用および公共業務用以外の携帯基地局は無線業務日誌の備付けを要しないものとされた。[7]
  • 携帯移動業務の無線局は、毎年一定の告示[8]で定める日が免許の有効期限となった。[9]
    • 以後、携帯基地局の免許の有効期限は免許の日から4年を超えて5年以内の5月31日までとなる。

1997年(平成9年)- 空中線電力1W以下の携帯基地局は定期検査を要しないものとされた。 [10]

1998年(平成10年)- 外国籍の者が電気通信事業用携帯基地局を開設できることとなった。 [11]

2009年(平成21年)- 携帯基地局は全て無線業務日誌の備付けを要しないものとされた。 [12]

2012年(平成24年)- 5GHz帯無線アクセスシステムの携帯基地局は登録局となった。 [13]

局数の推移
年度 平成11年度末 平成12年度末 平成13年度末 平成14年度末 平成15年度末 平成16年度末 平成17年度末 平成18年度末
総数 3,238 3,310 3,369 3,404 3,304 3,187 3,215 3,286
その他国家行政用 632 673 701 703 706 711 717 735
電気用 596 602 607 607 608 609 611 662
放送用 504 512 517 527 531 529 537 552
年度 平成19年度末 平成20年度末 平成21年度末 平成22年度末 平成23年度末 平成24年度末 平成25年度末 平成26年度末
総数 3,186 3,155 3,125 3,133 3,161 3,240 3,285 3,327
その他国家行政用 714 711 724 745 798 871 878 884
電気用 661 660 663 672 683 689 692 696
放送用 554 552 554 554 542 546 590 593
年度 平成27年度末 平成28年度末 平成29年度末 平成30年度末    
総数 3,384 3,220 3,167 3,099    
その他国家行政用 920 853 786 780  
電気用 711 711 716 716  
放送用 606 593 598 597  
総務省情報通信統計データベース
  • 地域・局種別無線局数[14](平成12年度以前)
  • 用途・局種別無線局[15](平成13年度以降)

による。 平成24年度より免許局と登録局が合算される。
各年度の地域・局種別無線局数または用途・局種別無線局数[16]による。

旧技術基準の機器の免許[編集]

無線設備規則スプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準改正 [17] により、旧技術基準に基づく無線設備が条件なしで免許されるのは「平成29年11月30日」まで [18]、 使用は「平成34年11月30日」まで [19] とされた。

旧技術基準の無線設備とは、

  • 「平成17年11月30日」[20]までに製造された機器、検定合格した検定機器または認証された適合表示無線設備
  • 経過措置として、旧技術基準により「平成19年11月30日」までに製造された機器[21]、検定合格した検定機器[22]または認証された適合表示無線設備[23]

である。

2017年(平成29年)12月1日以降の旧技術基準の無線設備に対応する手続き [24] は次の通り

  • 新規免許は不可
  • 検定機器以外の再免許はできるが有効期限は「令和4年11月30日」までとなる。
  • 検定機器は設置が継続される限り検定合格の効力は有効[25]
    • 検定機器は、周波数割当計画に割当期限がある等の他に条件が無ければ、設置され続ける限り再免許できる。

諸外国の相当種別[編集]

無線局の免許制度は、国によって異なり細部に相違がある。

米国[編集]

米国では、FCC rules title47 Part80 Stations in the Martime Services Section80.5 Definition(定義)及びPart 87 Aviation Services Section87.5 Definitionにある”Operational fixed station”が相当する。

脚注[編集]

  1. ^ 平成19年総務省告示第429号 電波法施行規則第8条第1項の規定に基づく陸上移動業務の無線局等について同時に有効期間が満了するよう総務大臣が毎年一の別に告示で定める日 第1号(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)に6月1日とあることによる。
  2. ^ 電波法第2条第5号参照
  3. ^ 平成2年郵政省告示第240号 電波法施行規則第33条の規定に基づく無線従事者の資格を要しない簡易な操作第3項第5号(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  4. ^ 電波監理委員会規則第3号
  5. ^ 昭和33年郵政省令第26号による電波法施行規則改正
  6. ^ 昭和46年郵政省令第31号による電波法施行規則改正
  7. ^ 平成5年郵政省告示第217号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  8. ^ 平成5年郵政省告示第601号(後に平成19年総務省告示第429号に改正)
  9. ^ 平成5年郵政省令第61号による電波法施行規則改正
  10. ^ 平成9年郵政省令第75号による電波法施行規則改正
  11. ^ 平成9年法律第100号による電波法改正の施行
  12. ^ 平成21年総務省告示第321号による昭和35年郵政省告示第1017号改正
  13. ^ 平成24年総務省令第15号による電波法施行規則改正
  14. ^ 平成12年度以前の分野別データ 総務省情報通信統計データベース - 分野別データ(2004年12月13日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
  15. ^ 用途別無線局数 同上 - 用途別無線局数
  16. ^ 用途別無線局数 総務省情報通信統計データベース
  17. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正
  18. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第2項および平成19年総務省令第99号による同附則同条同項改正
  19. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第3条第1項
  20. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正の施行日の前日
  21. ^ 平成19年総務省告示第513号 無線設備規則の一部を改正する省令附則第3条第2項の規定に基づく平成29年11月30日までに限り、無線局の免許等若しくは予備免許又は無線設備の工事設計の変更の許可をすることができる条件(総務省電波利用ホームページ - 総務省電波関係法令集)
  22. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第4条第2項
  23. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第5条第4項
  24. ^ 新スプリアス規格への対応に関する手続き (PDF) p.2 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値(総務省電波利用ホームページ - 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値)
  25. ^ 平成17年総務省令第119号による無線設備規則改正附則第4条第1項ただし書き

関連項目[編集]