散り椿

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散り椿
著者 葉室麟
発行日 日本の旗 日本 2012年2月29日
発行元 日本の旗 日本 KADOKAWA
ジャンル 時代小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 355
コード ISBN 978-4041101193
ISBN 978-4041023112(文庫本
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散り椿』(ちりつばき)は、葉室麟による日本の時代小説、及びそれを原作とした2018年9月28日公開の日本映画である[1]

概要[編集]

本作に登場する扇野藩は架空ので、後に書かれた『さわらびの譜』や『はだれ雪』にも登場し[2][3]、葉室麟の時代小説の中では「扇野藩シリーズ」とも呼ばれている[4]。 藩を追われた主人公・新兵衛が身を隠していた地蔵院は京都に実在するお寺で、前庭の五色八重散椿が由来となり、作中で新兵衛が自分を散った椿に例える場面も登場する[5][6]。 物語は新兵衛の甥にあたる坂下藤吾の目線で描かれている。

ストーリー[編集]

武士の瓜生新兵衛は、妻であると地蔵院に身を寄せていた。病気を患う篠は散り椿を眺めながら、故郷の散り椿がもう一度見たいと呟くがその願いは叶う事は無かった。篠は亡くなる直前、自分が死んだあと夫に故郷に戻ってほしいと頼み、妻の言う通り故郷の扇野藩に戻る。18年前、新兵衛は藩の不祥事を追及し故郷を逐われた過去があったためそれはとても過酷なものだった。藩では、事件の巻き添えで亡くなった者もいたが、栄進した者もいた。新兵衛の帰郷により藩内では再び抗争が巻き起こり、友人だった榊原采女と新兵衛は対決することとなる。そして過去の事件の真相や篠が託した言葉の本意を突き止めていく。

登場人物[編集]

瓜生 新兵衛
若い頃は一刀流平山道場の「四天王」の武士の一人で、負け知らずの「鬼の新兵衛」と呼ばれるほどの剣豪だった。かつては扇野藩の勘定方で藩の不正を暴こうとして故郷を逐われた過去を持ち、各地を転々とした後、妻の篠とともに地蔵院の庫裏で暮らしていた。現在は40代半ばで無精髭を生やし浪人者のような風貌。

榊原 采女
新兵衛の以前の親友。新兵衛と同じく一刀流平山道場で「四天王」と呼ばれた一人でその中でも新兵衛と采女は剣の腕前は図抜けていた。現在は側用人となり、いずれは家老にまで昇りつめるだろうと見込まれている。かつては篠に好意を寄せていて周りからも夫婦になると思われていた。

瓜生 篠
新兵衛の妻。新兵衛と采女とは生まれ育った屋敷が垣根越しに並んでいた昔馴染み。藩を追われた夫の新兵衛とともに地蔵院で暮らしていたが、亡くなる直前、夫に故郷に戻るよう頼む。

坂下 藤吾
新兵衛の甥で自決した坂下源之進の嫡男。父の後を継いで坂下家の当主となった若侍。家禄を取り戻そうと出世を望み、実績を積み重ねてきた采女に憧れを持っている。藩に追放された身の新兵衛を居候として迎える事を厄介に思っていたが次第に伯父を慕うようになる。
坂下 源之進
扇野藩の勘定方で、坂下家の当主だったが横領の罪を着せられて無実を主張するも切腹に追い込まれてこの世を去る。かつて一刀流平山道場で「四天王」と呼ばれた一人。
坂下 里美
篠の妹で源之進の妻。義兄の新兵衛を昔から深く信頼している。
篠原 三右衞門
かつて一刀流平山道場で「四天王」と呼ばれた一人だったが、現在は馬廻役となっている。四天王と呼ばれるには似つかわしくないほど穏やかな人柄。当時を知らない藤吾に新兵衛の事や不正事件の事情を明かす。
篠原 美鈴
三右衞門の娘で藤吾の許嫁。母を亡くしたばかりのため藤吾との婚礼は翌年に持ち越されている。
千賀谷 親家
扇野の藩主だったが病に倒れ藩主の座を嫡男の政家に譲り隠居をする。
千賀谷 政家
親家の嫡男で跡を継ぐ、扇野藩の若殿。
小杉 十五郎
平山道場で代稽古を務める馬廻役。
榊原 平蔵
采女の養父で、かつての扇野藩の勘定組頭。新兵衛らが不正を訴えた後に何者かに斬殺された。
榊原 滋野
采女の養母。かつて恋仲だった采女と篠の結婚を反対し破談させた。
石田 玄蕃
藩の家老で、采女の政敵。
宇野 十蔵
石田玄蕃に協力する組頭。藤吾の先輩にあたる。

書籍情報[編集]

  • 単行本(2012年2月29日 角川書店) ISBN 978-4041101193
  • 文庫本(2014年12月25日 角川文庫) ISBN 978-4041023112

映画[編集]

散り椿
監督 木村大作
脚本 小泉堯史
原作 葉室麟「散り椿」
製作 上田太地
佐藤善宏
臼井真之介
ナレーター 豊川悦司
出演者 岡田准一
西島秀俊
黒木華
池松壮亮
緒方直人
新井浩文
柳楽優弥
芳根京子
駿河太郎
渡辺大
麻生久美子
石橋蓮司
富司純子
奥田瑛二
音楽 加古隆
撮影 木村大作
編集 菊池智美
制作会社 東宝映画
ドラゴンフライエンタテインメント
製作会社 「散り椿」製作委員会
配給 東宝
公開 日本の旗2018年9月28日
上映時間 111分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 8.1億円[7]
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2017年9月に完成し[8]、公開は2018年9月28日[1]。主演は岡田准一、監督は木村大作[9]

第42回モントリオール世界映画祭で最高賞に次ぐ審査員特別グランプリを受賞[10]

キャスト[編集]

スタッフ[編集]

制作[編集]

本映画は、監督の木村大作にとっては初の時代劇作品となる[11]。脚本は、同じく葉室麟の作品を原作とする映画『蜩ノ記』の監督も務めたことのある小泉堯史である[11]。木村と小泉には、いずれもかつて黒澤明のスタッフだったことがあるという共通点がある[11]

時代劇としては珍しく、セットを用いるのではなく、すべてロケーション撮影で撮影が行われた[11]。ロケ地についても、京都のような他の映像作品でしばしば使用されている場所を避けて、あえて富山を選び、重要文化財の浮田家住宅などを使用している[11]

原作では篠の妹・里美は亡くなった坂下源之進の妻であり藤吾の母で年齢は38歳、藤吾は主人公の新兵衛の甥にあたる設定になっているが、映画では源之進は坂下家の嫡男で篠と里美と藤吾は兄弟で、藤吾は新兵衛の義弟という設定になっている[12]

脚注[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 散り椿 - 映画・映像”. 東宝. 2018年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月14日閲覧。
  2. ^ さわらびの譜 葉室 麟:文庫”. KADOKAWA. 2018年5月16日閲覧。
  3. ^ はだれ雪 葉室 麟:文庫”. KADOKAWA. 2018年5月16日閲覧。
  4. ^ 散り椿 葉室 麟:文庫”. KADOKAWA. 2018年5月16日閲覧。
  5. ^ 散り椿 葉室麟著 日本の伝統的な美意識貫く”. NIKKEI STILE. 2018年5月16日閲覧。
  6. ^ 椿寺(地蔵院)(駒札)”. 京都観光Navi (2012年3月8日). 2018年5月16日閲覧。
  7. ^ 『キネマ旬報』2019年3月下旬特別号 p.41
  8. ^ 木村大作監督・撮影「散り椿」完成 「念願の美しい時代劇」”. 産経新聞. p. 1 (2017年9月29日). 2018年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月14日閲覧。
  9. ^ 岡田准一×西島秀俊の時代劇『散り椿』が2018年に公開!監督は巨匠・木村大作”. T-SITEニュース. TSUTAYA (2017年5月26日). 2018年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月14日閲覧。
  10. ^ “岡田准一主演「散り椿」が特別賞 モントリオール映画祭”. SANSPO.COM (産経デジタル). (2018年9月4日). http://www.sanspo.com/geino/news/20180904/geo18090413080023-n1.html 2018年9月4日閲覧。 
  11. ^ a b c d e 古賀重樹 (2017年8月1日). “黒澤流「美しい時代劇」志す 木村大作監督『散り椿』”. 日本経済新聞夕刊. 2018年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月14日閲覧。
  12. ^ 岡田准一、愛のために剣を振るう! 木村大作監督「散り椿」ポスター&特報完成』”. 映画.com (2018年5月14日). 2018年4月14日閲覧。