日本の鉄道信号機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

日本の鉄道信号機(にほんのてつどうしんごうき)で、日本における鉄道信号のうち、信号機および信号について説明する。

日本の「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」では、鉄道信号を信号・合図(汽笛やブザー、旗やランプの色など)・標識に分類している。この省令において信号は、係員に対して、列車または車両を運転するときの条件を現示するものと定義している。

この項目で特に断りなく白灯と書いてある場合は、厳密な純白ではない。

日本では、当初イギリスから技術を取り入れて鉄道を発展させたため、イギリス流のルートシグナルの考えが基本になっている。しかし、その後鉄道の発展の中での技術的な必要性に迫られたり、アメリカの技術的な影響を受けたりして信号システムを改良してきた結果、現在の信号の方式はルートシグナルとアメリカ流のスピードシグナルの概念を混在させたものとなっている。

この項目ではを扱っています。
閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。
腕木式信号機

目次

信号機の種類

常置信号機

主信号機

主信号機は、その信号機が防護する(他の列車がいないことを保障する)防護区間を持つ。主信号機の防護区間を、信号機の「内方」と呼ぶ。主信号機よりも手前側は「外方」と呼ばれる。ただし、非自動閉塞方式の場合の出発信号機は防護区間を持たず、信号機の先の進路が開通しているか(ポイントがきちんと切り換っているか)を示すだけである。非自動閉塞方式の場合は信号機が進行でも、通票がなければ(通票等を用いない連査閉塞式・連動閉塞式・双信閉塞式は除く)駅を出発することができない。

日本の鉄道においては通常、場内・出発・閉塞の各信号機は緑色・橙黄(とうおう)色・赤色の三色を組み合わせた形態(色灯式信号機)をしている。道路信号に似ているように見えるが、点灯している色の組み合わせ(信号現示)によってその先の区間の制限速度を表示することが道路信号との最大の違いである。

色灯式信号機の例。
左:五灯式信号機の現示順序。
右:点滅信号の事例(京急・北総鉄道で採用)

緑色をG (Green)、橙黄色をY (Yellow)、赤色をR (Red) という。

●● 緑+緑(GG現示):高速進行
北越急行ほくほく線のみ使用されており、特急「はくたか」において130km/hを超える速度での運行を指示する。京成成田新高速鉄道線でも採用予定である。
当初は130km/hをこえ140km/hまでとされていたが、1998年12月から150km/hに、2002年3月からは160km/hに引き上げられている。
緑(G現示):進行
速度制限無し。ただし路線ごとに定められた最高速度および標識等による制限には従わなければならない。なお、ほくほく線と成田新高速鉄道線では130km/h以下での運行を指示する。
緑+橙黄の点滅(YGF現示、1分間に80回):抑速
京浜急行電鉄品川横浜間(1995年より)と北総鉄道北総線(2009年より)において使われる。105km/h以下への減速を指示する。フリッカー信号ともいう。京成成田新高速鉄道線でも採用予定である。
緑+橙黄(YG現示):減速
前方が警戒信号現示の場合、または注意信号でも閉塞長や確認距離が短い場合に現示。50km/h~75km/h以下。制限速度は鉄道事業者や路線により異なる(例外:近鉄95km/h以下、名鉄85km/h以下)。
橙黄(Y現示):注意
40km/h~55km/h以下。制限速度は鉄道事業者や路線により異なる(例外:近鉄・名鉄共に65km/h以下)。
橙黄+橙黄(YY現示):警戒
閉塞区間が短い場合や、前方の停止信号内方の分岐器を他の列車が通過中であったり過走距離が極めて短いなど、停止信号の冒進が許されない場合に現示。25km/h以下。制限速度は鉄道事業者や路線により異なる(例外:近鉄・阪急共に30km/h以下[1])。
赤(R現示):停止
その信号機を超えて進行してはならない。ただし、信号機故障などにより運転指令からの指示があれば停止現示をこえて運転することができる。[2]
  • 警戒信号・注意信号・減速信号・進行信号・高速信号・誘導信号(後述)は、その信号現示を越えて運転することができることから、進行を指示する信号ともよばれる。
くりはら田園鉄道(2007年3月で廃止)での腕木式信号機

なお、信号現示が消灯している場合は、その信号機が現示可能な最も制限される現示として扱われる。つまり、停止信号を現示することができる信号機が故障して一部でも点灯しない場合(カラスと呼ばれる)は、列車はその信号機の外方で停止することとなり、その後は代用信号ないしは閉塞方式の変更により進行指示があるまで進むことを許されない。

古くは手動での信号リバー操作に連動して動作する腕木式信号機が用いられたが、日本国内で現存するものはわずかである。2005年6月28日、JRで最後まで腕木式信号機が残っていた八戸線陸中八木駅の腕木式信号機が色灯式に置き換えられJRの全ての駅から腕木式信号機が消滅し、腕木式信号機の残存箇所は津軽鉄道福島臨海鉄道黒山駅分岐新潟東港専用線の数駅を残すのみとなった。


場内信号機
近鉄古市駅の第二場内信号機(停止現示)
単灯の信号機は誘導信号機

停車場内への進入の可否を指示する信号機。後述の閉塞信号機とは違い場内信号機は駅の管理下であり駅長の意思を表す信号機なので、この信号機には絶対に逆らえない(無閉塞運転はできない)。このような信号機を絶対信号機と呼ぶ。また駅によっては構造上、複数の場内信号機が設置される駅もあり、その場合は停車場から最も遠い場内信号機から停車場に向かって第一場内信号機、第二場内信号機、第三場内信号機…と続く。

待避線や折り返し設備のない駅には場内信号機の代わりに、閉塞信号機(事業者によっては、場内相当の閉塞信号機と呼ばれる)が設置されている場合もある。

なお、JRの一部の稠密ダイヤ線区では、ホーム内にも場内信号機が設置されている場合があり、閉塞信号機としている事業体もある。

出発信号機
小田急電鉄相模大野駅の出発信号機(進行現示)

停車場から列車が出発することの可否を指示する信号機であり、場内信号機と同様逆らうことはできない絶対信号機である。運転士の「出発進行」という喚呼は、出発信号機が進行を現示していること(右写真)を確認したということであり、もし出発信号機が注意信号を現示していれば「出発注意」、警戒ならば「出発警戒」、減速ならば「出発減速」となる。また駅によっては構造上、複数の出発信号機が設置される駅もあり、その場合は停車場に最も近い出発信号機から第一出発信号機、第二出発信号機、第三出発信号機…と続く。なお、待避線や折り返し設備の無い駅では、出発信号機が存在せず、閉塞信号機が置かれている場合もある。


閉塞信号機
小田急電鉄下北沢駅の第0閉塞信号機(減速現示)
3位式2現示(Y・R)閉塞信号機(上下方向の信号機を背面に取り付け1本の柱で兼用している)
JR西日本の一部線区の閉塞信号機

自動閉塞式を施行する閉塞区間の始端に設ける信号機[3]。前方を走る列車への追突を避けるためにある。

閉塞信号機は主に番号により区別される。

  • 場内信号機の外方より第一閉塞信号機、第二閉塞信号機、第三閉塞信号機…とする場合
  • 路線の距離程に固有番号を組み合わせた番号とする場合

動作は前方の信号機と連動しているため、場内・出発信号機と違って人為的操作はできない。ある閉塞信号機がどのような現示をするかは、その内方の列車の有無と信号現示によって左右される。

稠密輸送路線のうち、ラッシュ時に特に混雑する駅においては駅ホーム中央付近にも閉塞区間を設けて閉塞信号機を配置することで、先行列車が発車したときにすぐホームに進入できるようにしたものがある。この場合は「ホーム中間信号機」もしくは「第0閉塞」となる(写真)。一部の駅では同種の信号機を場内信号機に分類し、ホーム手前の場内信号機から連番で「第○場内」と呼ばれる。また、ATOS導入線区では場内信号機及び出発信号機を設けていない駅(停留所)においては閉塞信号機の番号を改めずに通し番号となっており、また信号機の間隔も狭いため、「第○十○閉塞信号」のように2桁の番号を持つ閉塞信号機も珍しくない。この場合も出発相当・場内相当の閉塞信号機が決められている。

一方、JR西日本の一部線区では停留所の手前にある閉塞信号機を第0閉塞とし「場内信号機相当の閉塞信号機」と呼んでいるが、閉塞信号機と同じ正面を向いた番号(右の写真では4)の運転用と横を向いた番号(右の写真では7)が設置されており、停車場間では閉塞信号機の番号を改めずに通し番号となる。

私鉄においては、第○閉塞といった称番を使わずに路線起点からの距離数を上下線で奇数・偶数に分けて付番するなど、独自の方法によっている鉄道事業者が多い。

場内・出発・閉塞信号機の図

下に、場内・出発・閉塞信号機の中で代表的な種別を表示する(「──灯式」は信号のランプの総数を表す)。四灯式にはランプの色の配列が二種類あるので便宜上AとBで区別してあるが、A・Bという名称自体には特に意味はない。なお、この他にも単灯式(現在廃止)、六灯式(北越急行ほくほく線および採用予定の京成成田新高速鉄道線のみ)が存在する。

場内・出発・閉塞信号機

  • 二灯を同時に点灯させる現示の際には視認性を確保するために灯火間を二灯以上離しているので、このような灯火の配列順となっている。
  • ランプにLEDを使った四灯式には、五灯式と同じ5現示を現示できるものも存在する。
  • 二灯式は単線区間の出発信号機を中心に使用することができる。
  • 二灯式には、黄と赤の組み合わせもある。これは進行表示の必要がない終着駅手前の場内信号機や待避線進入用の場内信号機などに利用される。また、旧近鉄養老線など、路線最高速度が注意信号の制限速度(65km/h)とほぼ同等の場合、閉塞信号として利用されることもある。
  • 遠方信号機などに用いられる色灯信号には、上の画像に準じているが赤灯の存在しないものがよく使用される。その場合、本来赤灯のはいる場所には色灯1個分のスペースが設けられている。
  • 四灯式は現示パターンの違いからAを「警戒(現示)型」、Bを「減速(現示)型」と呼ぶ場合がある。

高速信号機
高速進行現示の例 (五灯式)

六灯式と五灯式があり、緑を2つ点灯させることができるようにした信号機。六灯式は、普通の五灯式の一番上の黄色の上に緑を追加したもので、五灯式は普通の五灯式の一番上の黄色を緑に変更したもの(このため五灯式では警戒現示をしない)。3灯または4灯の間隔を空けて緑2つを点灯させる「高速進行」が制限なし、緑1つの「進行」が制限130km/hを示す。

1997年に開通した北越急行ほくほく線で初めて導入され、2010年には京成成田新高速鉄道線でも大手私鉄で初めて採用される。なお、「高速進行」の信号現示が可能なのは、北越急行線においては681系0番台・2000番台683系8000番台をが充当される特急「はくたか」に、京成成田新高速線では2代目AE形スカイライナー」に対してのみとなっている。

北越急行、京成ともに地上設備は同車に備えられたトランスポンダの信号を受信(北越急行では3閉塞手前)し、130km/h以上での進行が可能な場合に高速進行現示を行っている。

誘導信号機
誘導信号機の例 (灯列式・場内信号機の下の斜め2灯)

通常1閉塞には1列車しか入れない。これによって鉄道は安全を保っている。しかしこのルールを守っている限り、2つの列車(車両)が連結することはできない(2車両共には当該閉塞に入れないので連結しようがない)。このような場合、この誘導信号機の進行現示がある場合は特例として1閉塞に2列車(または1列車1車両)が入れるようになる。

誘導信号機は原則、ないしは信号場場内信号機または入換信号機の下部に併設される。誘導信号機による誘導を受けた列車は、併結するまでは15km/h以下で進行することができる。予讃線松山駅南海高野線橋本駅のように、閉塞を分割していない1つの乗り場に2本の列車が向かい合わせで停車する駅でも前途のように1閉塞に2列車を入れることになるので、誘導信号機が設置されている。京阪電鉄京阪本線淀屋橋駅のように閉塞を分割して1線に2列車を進入させる場合には設置されない。

灯列式と色灯式の2種類があり、どちらも普段は消灯している。列車を進入させる場合だけ点灯する。灯列式では斜め45度に白灯を2つ点灯させる。色灯式では黄灯を点灯させる。


入換信号機
入換信号機(灯列式)
入換信号機(色灯式)

車両基地や駅構内などで入れ換え作業を行う車両に対する信号機。運転中の列車には使われない。入換信号機(入信、いれしん)は防護区間を持ち、入換信号機の内方は45km/h(非鎖錠ポイントを通過する場合は25km/h)以下で進行することができる。

入換信号機には灯列式と色灯式の2種類がある。灯列式は2つの白色灯の配列で進行・停止を現示する方式で、JRや第3セクターで採用される場合が多い。近鉄では一部の箇所において2つの白色灯で進行・制限・停止を現示する入換信号機を設置している。色灯式は緑灯で進行(又は、橙黄で注意)、赤灯で停止を現示する方式で、大手民鉄や地下鉄で採用される場合が多い。特に地下鉄の場合は狭いトンネル内のため幅の狭い縦型を使うことが多い。

灯列式
信号現示 2位式 3位式
停止信号 白色灯水平 白色灯水平
注意信号 なし 白色灯斜め
進行信号 白色灯斜め 白色灯垂直

なお、制度改正に伴い、右写真のように停止信号時には停止球を赤色灯にして2色による現示(LEDを使用)をすることも可能となった(進行信号時は白色灯2灯(斜め並び)で表示される)。

新幹線鉄道では、地上信号機(地信、ちしん)と称し、灯列式を使用している。 ATC車内信号現示機能に入換えモードとしての入換信号現示機能が無い線区では、駅毎には非常入換え用として、車両基地では通常用として建植されている。

灯列式の場合は、入換信号機識別標識の紫灯(右写真の下部の単色灯火)が点灯しているときが入換信号機で、消灯しているときは入換標識である。但し、新幹線鉄道においては意味が逆になり、これを区別するための灯を入換標識識別標識という。 この紫灯は電球色の光をレンズの紫で中和するので、明るさや角度がちょうどよければ純白に見える。また、LEDを使った入換標識ではわずかに紫がかった白を使用している。

入換標識(灯列式)

入換標識(入標、いれひょう)は鉄道信号では、信号ではなく標識に分類され、防護区間を持たない。入換標識については、鉄道標識#入換標識を参照のこと。

なお、鉄道事業者によっては入換信号機識別標識を省略し、入換信号機の白色灯を紫灯とすることで入換標識としていたり、「入換」・「入換標識」と表示をしている鉄道事業者もある。

従属信号機

従属信号機とは、ある信号機の現示に連動して、その信号機の現示を予告するための信号機である。従属信号機は主信号機とは異なり、防護区間は持たない。

鉄道車両は自動車と違い、ブレーキをかけても減速するのに時間がかかるので、高速で走行中に警戒信号・停止信号を認めて減速・停止しようとしても減速が間に合わず、速度超過や信号冒進(停止現示の信号機の内方に冒進すること)を招くことがある。そのため信号機から離れた場所で予告信号を出し、前方の信号に従うことができる速度まで減速するよう、運転士に注意を促す。

遠方信号機
遠方信号機(減速現示)中央は場内信号機(警戒現示)左奥が出発信号機(停止現示) 色灯式は背板を四角にして場内信号機と区別している
遠方信号機(減速現示)
中央は場内信号機(警戒現示)
左奥が出発信号機(停止現示)
色灯式は背板を四角にして場内信号機と区別している

主として単線区間の閉塞区間を持たない駅間(もしくは閉塞区間が連続した1区間の駅間)の場内信号機の外方に設置される。地形などの利用で前方の見通しが悪く、場内信号機の確認距離が確保できない場合に、場内信号機に従属して設置され、場内信号機の現示を予告する。なお、従属信号機であるが、その内方では主信号機と同様に現示による制限がかかる。

場内信号機の現示とそれに従属する遠方信号機の現示との対応は以下の通りである[4]

場内信号機が停止現示
遠方信号機は注意を現示
場内信号機が警戒現示、注意現示
遠方信号機は減速を現示(二位式では進行を現示)
場内信号機が進行現示、減速現示
遠方信号機は進行を現示

なお、遠方信号機は停止を現示することはないため、停止の赤色灯は存在しない。また、場内信号機が複数の場合は、場内信号機が全て停止現示の場合は遠方信号機は注意または警戒信号を現示し、それ以外の場合は場内信号機のうち停止現示以外のもの(の現示)に従属する。

通過信号機

駅構内で、前方の見通しが悪く、出発信号機の確認距離が確保できない場合に、出発信号機に従属して設置される信号機。出発信号機に従属して、出発信号機の現示を予告する。通過信号機は、場内信号機と同一地点に垂直に設置される。なお、自動閉塞・特殊自動閉塞を行わない駅構内で場内信号機が二位式(停止・進行のみ)の場合にのみ設置される。

出発信号機の現示とそれに従属する通過信号機の現示との対応は以下の通りである。なお、場内信号機の現示にも影響される。

場内信号機が停止現示
出発信号機の現示にかかわらず、通過信号機は注意を現示
場内信号機が進行現示で、出発信号機が停止現示
通過信号機は注意を現示
場内信号機が進行現示で、出発信号機が停止現示以外
通過信号機は進行を現示

なお、通過信号機は停止を現示することはないため、停止の赤色灯は存在しない。出発信号機が複数の場合は、出発信号機1機に対し通過信号機を1機ずつ設置する。

中継信号機

中継信号機は、自動閉塞・特殊自動閉塞を行う区間において、場内・出発・閉塞の各信号機に従属して、地形や雪、霧といった天候などにより見通しが悪く信号現示を確認すべき地点から主体の信号機の信号現示が確認できないとき、確認距離を補う目的で設ける信号機のことである。

灯列式
中継信号機(灯列式)

3つの白色灯の配列によって主体の信号機の現示が分かる。

中継信号現示 配列 主体の信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯垂直 進行信号
制限中継信号 白色灯左下向き45度 減速信号・注意信号・警戒信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号

この現示は主体の信号機の現示を中継するものなので、中継信号機の現示箇所で速度制限がかかることはない。また、多くの場合中継信号機の設置箇所が、主体の信号機の確認(喚呼)箇所である。

高速進行が存在する北越急行ほくほく線ではこの形の信号機が2つ並んでおり、高速信号の場合には両方が縦に並んで現示するが、進行以下の現示の場合には上の信号機は点灯せず、下のもののみで現示する。

新幹線鉄道では、地上中継信号機と称し、主体の地上信号機を中継している。

信号現示 配列 主体の地上信号機の信号現示
進行中継信号 白色灯左下向き45度 進行信号
停止中継信号 白色灯水平 停止信号
色灯式
中継信号機(色灯式)

地下線などで、円形の中継信号機を設置することが困難な場合は、通常の色灯式信号機に中継信号標識(常に点灯している紫色灯1つ)中継信号機とすることがある。この場合は主体の信号機と同じ現示をおこなう(重複現示)。

なお、阪急電鉄では中継信号機は1基も存在していない。だが、阪急電鉄の完全子会社である能勢電鉄には中継信号機が数基、乗入先である神戸高速鉄道には設置されている。

信号附属機

場内信号機、出発信号機および入換信号機に付属するもの。

進路表示機
進路表示機(2進路用) 進路表示機(多進路式)JR東西線から3番線に開通。
進路表示機(2進路用)
進路表示機(多進路式)JR東西線から3番線に開通。

停車場の場内信号機・出発信号機は、通常1つの進路につき1基ずつ設置するが、スペースが確保できない等の事情により進路数と同じ数の信号機を設置することが困難な場合、1つの信号機で複数進路への信号現示を行う。このときにどの進路への進入を許可するかを表示するのが進路表示機である。

表示方法には、設置位置からの相対的な位置関係で進路を表示する灯列式(最大で3方向まで対応)と、開通している線路の番線や矢印を表示する方式がある。3進路以上ある場内信号機に対して進路表示機(多進路用)として進路を数字で表示するものも使用されている。いずれも灯列の形状や文字により進路の開通状態を表示するもの。構造は、場内信号機用に進路3進路用または進路表示機(多進路用)、出発信号機用に進路2進路用が使われる。また、入換信号機に進路表示機として線路3進路用、信号用表示器(多進路用)が使われる。


線路表示器
線路表示器

入換標識に付属するものを線路表示器と呼ぶ。構造は、帯状灯列式の線路3進路用となる。


進路予告機
進路予告機(灯列式)

場内・出発信号機が複数機設置されている、つまり進路が複数に分かれる場合で確認位置からの距離が短い場合は、1閉塞手前の主体となる信号機に1つ先にある場内信号機、出発信号機の進路の予告を表示する。その信号機の閉塞区間では進路が分岐しないので、信号機の複数設置ではなく灯具の点滅の組合せで次の信号での進路と現示を予告している。

右図では、進路が主要な線路より右方に開通しているときを表示している

点灯状態 分岐方向
本線と左右に
3分岐する場合
本線から左にのみ
分岐する場合
本線から右にのみ
分岐する場合
左右両方が点灯 本線が開通 本線が開通 本線が開通
左側の1つだけ点灯 左方に開通 左方に開通 なし
右側の1つだけ点灯 右方に開通 なし 右方に開通

私鉄では「」「」「」など矢印による表示が用いられる場合も多い。なお進路予告機では3進路までしか予告できないため、進路予告機の機能を補い数字による進路の予告を行う進路予告機番線表示灯がある。

変わった例として、京成電鉄の青砥-京成高砂間では、「」(上野方面)、「」(押上方面)、「」(金町方面)のように、片仮名・漢字による進路予告機が設置されている(「金」は京成高砂駅の出発信号機の開通予定方向を予告)。

名古屋鉄道でも、近年、路線予告では例えば「」(名古屋本線)、「」(津島線)、また待避線に於いては「」(本線)、「」(上り副本線)のように表示されるようになった。

進路予告機番線表示灯
進路予告機番線表示灯

進路予告機では3進路までしか予告できないため、進路予告機の機能を補い数字による進路の予告を行う。進路表示機との混同を避けるため、緑色で数字を表示する。(入線するのが3番線ならば3と緑色表示される)。

列車種別表示灯

大手私鉄などの優等列車停車駅あるいは副本線や折り返し設備が置かれた駅の出発信号機に設置されており、列車選別装置に対応して停車中または通過予定の列車の種別を表示する。点灯するのは出発信号機が停止信号現示以外の時である。表示方法は事業者によって様々で、「」、「」などの文字を使う場合の他、列車種別ごとにあらかじめ決められた数字や記号を使う場合がある。


信号機の使用停止

信号機の使用停止

常置信号機の使用を停止するときは信号機を消灯し、次のいずれかの取り扱いを行っている。

  • 信号機の前面に白色の木片を×形に取り付ける
  • 信号機を木片またはビニールなどで覆う
  • 信号機を側方に向ける

なお信楽高原鐵道信楽線では、信号機は信楽駅の出発信号機以外は1991年の列車衝突事故以来使用停止になっており、現在ではそれ以外の全ての信号機に上記の施策が図られている。

車内信号機

車内信号機

詳細は「車内信号」を参照

車内信号機とは、山手線、京浜東北線、新幹線地下鉄などATCを使用している路線で使われる車両の運転席速度計周辺にある信号機である。たとえば山手線の場合、速度計を取り囲むように多数のランプが設置されており、その中で現在の最高速度を示すランプが点灯する。新幹線では、列車が高速で運行するため車外の信号灯などを目視で確認することができないことから採用された。なお、一部の車内信号機には1つ先のATC指示も現示できるものが存在する。

臨時信号機

工事などで一時的に列車の速度を制限する必要がある場合に臨時に設置される。見た目は標識のようなものであるが、扱い上信号機とされる。

徐行予告信号機

この先に徐行信号機が設置されていることを予告する。徐行信号機よりも手前に、必要に応じて設置される。白と黒の三角形で表され、その下には規制速度が表示される。事業者によっては白の部分を蛍光オレンジにしているところもある。白の部分がスリーダイヤ三菱グループのロゴマーク)に似ているため、一部では「三菱」と通称される。

徐行信号機

速度を制限する区間の始点に設置される。黄色い丸印で表され、その下には規制速度が表示される。

徐行解除信号機

速度を制限する区間の終点に設置される。緑色の丸印で表される。ただし速度制限解除標識と同じく、列車の最後尾が徐行解除信号の設置位置を過ぎるまで、徐行を続けなければならない。例えば編成長160mの列車は信号設置位置から160m進まないと、徐行制限速度以上に加速する事ができない。また運転士の負担を容易にする為、運転士の位置から見て、何両編成の列車の最後尾が徐行解除信号を過ぎたか、標識(例えば10両編成なら、緑枠に「10」など)を設置しているケースも存在する。

信号

手信号

手信号代用器 代用手信号現示位置
手信号代用器
代用手信号現示位置

信号機が故障したときや信号機が設置されていない場合に、手旗合図灯を用いて信号を現示する。

代用手信号

場内信号機、出発信号機やそれにあたる車内信号機を使用することができないときに、手信号の代用として使用する。なお、駅により手信号代用器を設置して手信号を現示したり、代用手信号現示位置があらかじめ決められている駅も存在する。

通過手信号

通過信号機を使用することができないときに、その代わりに使用する。

臨時手信号

代用手信号、通過手信号以外で手信号が必要なときに使用する。臨時手信号には、停止信号・徐行信号・進行信号がある。

特殊信号

特殊信号は、列車防護を行うときに使用するもの。種類と現示方式として、

  • 発炎信号:火炎により列車を停止させるもの。信号炎管の赤色火炎。
  • 発報信号:警音により列車を停止させるもの。防護無線機による警音。
  • 発光信号:灯火により列車を停止させるもの。明滅する赤色灯。
  • 信号雷管:警音により列車を停止させるもの。信号雷管の爆音。

がある。また、発炎信号は、列車に対して停止する限界を示す必要のある場合(例えば、伝令法で救援列車を運転し故障列車の手前に停止する時、救援列車を停止させる限界を示す)に使用することができる。

発炎信号

発炎信号とは、信号炎管の赤色火炎により停止信号を現示するもので、係員が携帯する携帯用信号炎管、列車の屋根上に設置している車両用信号炎管、踏切付近などに設置している地上用信号炎管の3つがある。信号炎管は自動車用の「発炎筒」とは別物。

発報信号

発報信号とは無線通信による警報音で停止信号を現示するもので防護無線ともよばれることもある。乗務員が人身事故などの非常時に、乗務員室に搭載された列車防護無線装置のボタンを押下することにより無線を発報し、半径約1km周辺の列車がその無線を受信することにより警報音を発する。詳しくは、列車防護無線装置を参照。

発光信号

発光信号とは、赤色灯の明滅により停止信号を現示するもの。

特殊信号発光機
特殊信号発光機。左は回転形(I形)、右は点滅形(II形)(点滅形は雪の少ない暖地では形状が異なる場合がある)。 特殊信号発光機。左は回転形(I形)、右は点滅形(II形)(点滅形は雪の少ない暖地では形状が異なる場合がある)。
特殊信号発光機。左は回転形(I形)、右は点滅形(II形)(点滅形は雪の少ない暖地では形状が異なる場合がある)。
LED型特殊信号発光機(II形) LED型特殊信号発光機(II形)
LED型特殊信号発光機(II形)

特殊信号発光機は、踏切など沿線で発生した異常を運転士に伝えて列車に停止信号を現示するための装置で、特発(とくはつ)と略される場合もある。私鉄では踏切非常警報機踏切非常警報灯と称する場合もある。在来線の非常停止距離600m以上から運転士に緊急性を伝えるため、非常に明るい光を放つ。発光素子としては高輝度LEDが用いられることが多い。

現示方式は、五角形に並んだ赤色灯が連続2灯ずつ反時計回りに回転しながら点灯する「回転形」(I形)のほか、棒状に点滅する「点滅形」(II形)や2灯点滅式など、私鉄を中心に異なるデザインが存在する。

また、私鉄においては踏切が正常に動作し、列車が進入可能であることを表示する、踏切合図標識の設置が義務付けられている。多くの私鉄では×型を点灯するが、西武鉄道南海電鉄など異なるデザインもある。詳細は「踏切#踏切動作反応灯」を参照。

特殊信号発光機は、さまざまな使用用途がある。

使用用途 機能
踏切用 非常ボタンの取り扱いや踏切内に自動車などが立ち往生した際に、踏切を挟むようにして設置されている踏切障害物検知装置が自動車を検知し、停止信号を現示する。
落石警報用 危険がある崖下に落石検知線等を張り、これが切れると落石検知として停止信号を現示する。
強風用 橋梁上に、規定の風速より高い強風が吹いたときに停止信号を現示する。
ホーム用 ホーム用は主に場内信号機付近に「ホーム中継」として設置され、ホームの列車非常停止装置や転落検知マットに連動して停止信号を現示する。
限界支障用 複々線区間等列車の運転本数が多い区間に設置して、列車の脱線事故等が発生した際に二次災害が起こらないよう事故を検知して停止信号を現示する。

このほか、長大トンネル箇所などでトンネル支障による事故から列車を防護するためトンネル入口に設置しているもの、工事用、船が橋梁に衝撃しその影響で線路がゆがんだことを検知する橋梁偏位用などもある。

発雷信号

発雷信号とは、信号雷管の爆音により停止信号を現示させるもの。列車の車輪が信号雷管を踏み潰すと、爆発して大きな音を立てるようになっている。詳しくは、信号雷管を参照。

日本の鉄道信号メーカー

関連項目

脚注

  1. ^ 阪急では信号の制限速度-5km/hが運転上の制限速度となっており、実質的には25km/h以下での運転である。
  2. ^ 閉塞信号機であれば外方で1分間停止した後、15km/h以下で運転継続する無閉塞運転(旧鉄道運転規則第169条)を行うことができたが、2002年に無閉塞運転下で起きた鹿児島線列車追突事故を受けて国土交通省鉄道局が出した指示により指令の許可のない無閉塞運転が禁止され、JRを始め日本の多くの鉄道事業者では列車との通信手段を整備して「指令の許可による無閉塞運転」=「閉塞指示運転」が行われている
  3. ^ 旧普通鉄道構造規則第143条
  4. ^ 旧鉄道運転規則第190条

ウィキメディア・コモンズ

今日は何の日(1月20日

もっと見る

「日本の鉄道信号機」のQ&A