日本航空46E便エンジン脱落事故

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日本航空 46E便
Japan Airlines Flight 46E damage.jpg
損傷を負った左翼
事故の概要
日付 1993年3月31日
概要 山岳波に起因する乱気流によるエンジンの脱落[1]
現場 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 アラスカ州 テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港付近
乗客数 2
乗員数 3
負傷者数
(死者除く)
0
死者数 0
生存者数 5 (全員)
機種 ボーイング747-121A/SF
運用者 日本の旗 日本航空
機体記号 N473EV[2]
出発地 アメリカ合衆国の旗 テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港
目的地 アメリカ合衆国の旗 シカゴ・オヘア国際空港
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日本航空46E便エンジン脱落事故(にほんこうくう46Eびんえんじんだつらくじこ)は1993年3月31日に発生した航空事故である。テッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港シカゴ・オヘア国際空港行きの日本航空46E便(ボーイング747-121A/SF、以下46便)が、アンカレッジ国際空港からの離陸直後に乱気流に遭遇し、想定以上の負荷がかかったため、第2エンジンが脱落した。パイロットは旋回しアンカレッジ国際空港へ緊急着陸を行った。乗員乗客5人は全員無事だった[1][3]

事故機[編集]

同型機のボーイング747-100

事故機のボーイング747-121A/SF(N473EV)は、エバーグリーン航空からのリース機材で、1970年4月に製造され、1989年7月にエバーグリーン航空の機材となっていた[4]。エンジンは、プラット・アンド・ホイットニー社製の JT9D-7Dを4基搭載していた。また、事故機は、事故後修理され運用に復帰した[1]。なお、この機体はダイ・ハード2の撮影に用いられた機体だった[5]

事故の経緯[編集]

46便が離陸する前、同じB747貨物機の日本航空42E便(以下、42便)が、2,000フィート (610 m)付近で乱気流に遭遇したと報告していた。46便は現地時間12時24分にアンカレッジを離陸した。2,000フィート (610 m)付近で、46便は乱気流に遭遇した。機体は左に50度近く傾斜し、対気速度は75ノット (139 km/h)近く変動した。直後に、パイロットは大きなヨーイングを報告し、第2エンジンが脱落した[3]:10-11

付近を飛行していたアメリカ空軍所属のF-15戦闘機2機が、46便から何か巨大な物体が落下したと報告した。管制官はこの報告を受け、46便に機体から何かが脱落したことを伝えた。また、目撃者達は、エンジンが脱落する前に機体が、激しいローリングが起こっていたと証言した[3]:11[6]

エンジンの脱落直後、副操縦士はチェックリストを開始し、機長は緊急事態を宣言した。しばらく機長は高度維持が出来ず、機体は降下したため、機長は第1エンジンを全開にしたが、コックピットではスティックシェイカーとバンク角の警報が作動していた[3]:11

脱落した左翼側の高揚力装置

2機のF-15は、46便の損傷を確認し、左翼側の後縁フラップなどが複数脱落していることを報告した。機長は、左旋回で滑走路6Rへの引き返しを行った[3]:11

ダウンウィンド・レグを行う際、機体は40度近い角度での旋回を行った。機体は、最大着陸重量を45t近く超過していたが、12時45分に、46便は滑走路06Rへの緊急着陸に成功した[3]:11

事故調査[編集]

直前に出発した便の損傷[編集]

46便の離陸する約5分前に、同じ滑走路から離陸した42便も、第2エンジンのヒューズピンが変形している事が検査で判明した[3]:23

目撃証言[編集]

第2エンジンが脱落する以前に、機内火災の兆候は無かった。地上の目撃者は、エンジンが脱落した際に火の玉か閃光のようなものを見たと証言した。地上に落下したエンジンから火災は起こらなかったが、最初に脱落したエンジンを目撃した人物は、蒸気のようなものが立ち上っていたと話した。そのため、アンカレッジの消防隊はエンジンに水を噴射した[3]:23

事故調査[編集]

アンカレッジにあるNTSBの北西支部に、アンカレッジ国際空港から46便からエンジン1基が脱落し、緊急着陸したことが通達された。調査官が空港に到着し、ワシントンD.Cから派遣された調査官も加わった[3]:49

調査には、FAAボーイング、エバーグリーン航空、日本航空、プラット・アンド・ホイットニーが加わった[3]:49

シカゴ条約のAnnex13に従い、日本の航空事故調査委員会にも通達された[3]:49

推定原因[編集]

1993年10月27日、NTSBは最終報告を発行した[7]。推定原因として、激しい乱気流により第2エンジンに想定以上の横方向への負荷がかかった結果、パイロンが破損したと結論付けた。また、パイロン前方に生じていた2インチの疲労亀裂により、耐久値が10%程度減少していたことが判明した[3]:52-53[8]

安全勧告[編集]

NTSBは10個の安全勧告を発行した。内容は以下の通り[1]

  • 空港が山岳地域にある場合の気象ハザードプログラムの開発[9]
  • アンカレッジ国際空港における気象情報による危険性の調査、及びそれに基づく進入・上昇経路の設定[10]
  • 激しい乱気流に遭遇した際の負荷を考慮した設計荷重の再設定[11]
  • エンジンのパイロンの設計変更[12][13]
  • ボーイング・サービス・ブリテン 747-54-2160の順守を勧告する耐空性指令の発行[14]
  • 機体が低高度で激しい乱気流に遭遇しないよう考慮した上昇経路の設定[15]
  • WSR-88Dドップラーレーダーの使用、及びそれによる低高度での乱気流に関する情報の提供[16]
  • 同型機のメンテナンスマニュアルの改訂[17]
  • 他機のエンジン設計の検査が必要かどうかの精査[18]

類似事故[編集]

エンジン脱落[編集]

-2件ともボーイング747でのエンジン脱落事故だったため、46E便の調査当初には同様の原因ではないかと疑われた[3]:41[8]

山岳波が原因になった事故[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Accident description Japan Airlines Flight 46E”. 2018年10月19日閲覧。
  2. ^ "FAA Registry (N473EV)". Federal Aviation Administration.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m https://www.ntsb.gov/investigations/AccidentReports/Reports/AAR9306.pdf 国家運輸安全委員会による航空事故報告書 (PDF)
  4. ^ N473EVの機材概要”. 2018年10月19日閲覧。
  5. ^ DETAILS FOR N473EV (EVERGREEN INTERNATIONAL AIRLINES) 747-121”. www.planespotters.net. 2020年5月22日閲覧。
  6. ^ Japan Airlines 46E CVR”. 2020年4月14日閲覧。
  7. ^ In-Flight Engine Separation Japan Airlines, Inc., Flight 46E Boeing 747-121, N473EV”. 2019年11月16日閲覧。
  8. ^ a b 2-Inch Crack Cited in Plane That Lost an Engine”. 2020年4月14日閲覧。
  9. ^ Safety Recommendation A-92-058”. 2019年11月4日閲覧。
  10. ^ Safety Recommendation A-93-136”. 2019年11月4日閲覧。
  11. ^ Safety Recommendation A-93-137”. 2019年11月4日閲覧。
  12. ^ Safety Recommendation A-93-138”. 2019年11月4日閲覧。
  13. ^ Safety Recommendation A-93-139”. 2019年11月4日閲覧。
  14. ^ Safety Recommendation A-93-140”. 2019年11月4日閲覧。
  15. ^ Safety Recommendation A-93-141”. 2019年11月4日閲覧。
  16. ^ Safety Recommendation A-93-142”. 2019年11月4日閲覧。
  17. ^ Safety Recommendation A-94-009”. 2019年11月4日閲覧。
  18. ^ Safety Recommendation A-94-010”. 2019年11月4日閲覧。