旧下関英国領事館

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旧下関英国領事館
旧下関英国領事館
情報
旧名称 下関英国領事館、下関市考古館
用途 記念館、ギャラリー、カフェ
旧用途 領事館
設計者 ウィリアム・コーワン(英国政府工務局上海事務所建築技師長)
建築主 イギリス帝国
管理運営 下関市
構造形式 レンガ造、桟瓦葺、本館2階建、附属屋平屋建
敷地面積 558.03 m²
建築面積 248.2(本館170.6、附属屋ギャラリー77.6) m²
延床面積 410.91(本館329.97、附属屋ギャラリー80.94) m²
着工 1906年(明治39年)1月
竣工 1906年(明治39年)8月9日上棟
所在地 750-0005
山口県下関市唐戸町4-11
座標 北緯33度57分25秒 東経130度56分35.5秒 / 北緯33.95694度 東経130.943194度 / 33.95694; 130.943194座標: 北緯33度57分25秒 東経130度56分35.5秒 / 北緯33.95694度 東経130.943194度 / 33.95694; 130.943194
文化財 国の重要文化財
指定・登録等日 1999年平成11年)5月13日
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旧下関英国領事館(きゅうしものせきえいこくりょうじかん)は山口県下関市唐戸町に現存する国内最古の領事館用途の建築である。1906年(明治39年)12月に竣工した煉瓦造2階建。1999年(平成11年)5月に国の重要文化財に指定された。

歴史[編集]

日清戦争後、朝鮮半島の政治経済的重要性に鑑み、駐日英国公使アーネスト・サトウの本国への具申により、1901年(明治34年)9月13日、英国政府は下関赤間町26番地に領事館を開設した[1]。管轄区域は山口、広島、福岡、大分の4県で、初代領事はフランク・ウィリアム・ウオルター・プレイフェア(Frank William Walter Playfair)[2]。ほどなく西南部町の瓜生商会内へ移転、手狭になったため下関市から提供された敷地に建てられたのが現在の旧下関英国領事館である[3]

領事館建設にあたっては、英国工務局上海事務所の建築技師長ウィリアム・コーワン(William Cowan)が当地を訪れ、敷地調査の上、設計に取りかかった。工務局のロンドン本局は1903年の設計案を却下、1905年の案に対してはベランダペディメントの変更を指示した。しかし、本局生え抜きの技師長だったコーワンは1905年案を押し通し[4]、クィーン・アン様式[要出典]の設計を完成させた。日露戦争終戦後の1906年(明治39年)1月に神戸から[要出典]工事管理者を雇い着工、同年12月に竣工した。

大陸の権益に関わる日英同盟(1902年締結、1923年失効)と、大陸との交通の接点である下関に置かれた領事館の活動期間はほぼ一致する。1922年(大正11年)5月、下関英国領事館は長崎英国領事監督下の領事事務館になり、下関英国瓜生商会支配人のロバート・マッケンジー(Robert Mckenzie)が下関領事事務官、同商会のトーマス・キャンベル・ロバートソン(Thomas Campbell Robertson)が領事事務官不在中の領事事務官代理として執務した[5]。1940年(昭和15年)11月には臨時在長崎英国領事館出張所となり事務を執る者を置かなくなった[6]

第二次世界大戦後の1954年(昭和29年)、建物は下関市に300万円[7][8]で買収された。以降、下関警察署唐戸地区出張所(1958~1968年)、下関市考古館(1970~1986年)として使用された[8]。1987年に下関市指定有形文化財(建造物)に指定、1989年から一般公開された。1999年5月13日には国の重要文化財の指定を受け、2008年からの保存修理に伴う休館を経て2014年7月の再オープン後は記念館・市民ギャラリー等、公共の施設として利用されている。

平成の保存修理工事[編集]

工事中の旧下関英国領事館(2009年8月)

2008年(平成20年)11月から2014年(平成26年)2月[8]にかけて保存修理工事が行われ、同年7月にリニューアルオープンした[7]。2014年(平成26年)3月末までの総事業費は8億7829万6883円[9]、その内国庫補助は4億2914万6000円である。保存修理は仮設工事、半解体工事、調査を行う第1期工事[10]と、構造補強を主とする第2期工事[11]に分けて行われた。工事の落札金額はそれぞれ1億5200万円[12]、4億9673万4000円[13]である。

第2期工事では、建設当初の姿への復元や構造補強の他、約50cmの揚屋が行われた[3]。これは、国道路面の嵩上げにより階段下部(本館西側・北側階段2段、東側1段)や基礎部が埋没、雨水が床下換気口から侵入する状態であったためである。西面玄関の鉄扉は地表面の上昇で開閉不能になったため1986年(昭和61年)に撤去されていたが、揚屋の結果、復旧が可能となった。液状化対策と揚屋時の反力確保のためCCP(Chemical Churning Pile)による地盤改良も行われた。なお、支持地盤は地下約12mの風化礫岩である。 構造補強としては、直径19 mmのアラミドFRP製差し筋が煉瓦壁の要所に挿入された。また、劣化したモルタルの目地の表層30~60 mmを削り取り、高強度無収縮モルタルを用いて直径3 mmのアラミドFRP製ロッドが埋め込まれた。

2013年(平成25年)10月25日に終わる予定だった工期は2回延長された。1回目は、揚屋のリスクとなる附属屋の基礎と壁のずれが発見された[14]ことによる12月25日完了への計画変更である。2回目は新旧の漆喰蛇腹の不整合が原因[15]で、結局翌年2014年(平成26年)2月28日の工事完了となった。いずれも第1期工事の調査で把握しきれなかった位置や寸法のずれが原因である。

施設[編集]

  • 本館
    • 1階 - 展示スペース
    • 2階 - ミーティングルーム、喫茶&パブ
    • 屋根裏部屋
  • 附属屋 - ギャラリー

利用情報[編集]

  • 開館時間 - 本館1階:9時~17時、2階喫茶&パブ:10時~18時、附属屋ギャラリー:9時~22時
  • 休館日 - 火曜、年末年始、臨時休館あり
  • アクセス - JR山陽本線 下関駅から サンデン交通バスで7分、「唐戸」下車すぐ

周辺[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 官報 第5467号 下ノ関英国領事館開館, 大蔵省印刷局, (1901-09-20), p. 260, doi:10.11501/2948766, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2948766 2020年9月13日閲覧。 
  2. ^ 官報 第5413号 英国領事御認可, 大蔵省印刷局, (1901-07-19), p. 322, doi:10.11501/2948712, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2948712 2020年9月14日閲覧。 
  3. ^ a b 太田英一「重要文化財旧下関英国領事館 本館ほか二棟の保存修理工事について」『建築史学』第62巻、2014年、 102-115頁。
  4. ^ 泉田英雄「研究ノート 東アジアの初期イギリス公館建築の営繕について その2」『建築史学』第16巻、1991年、 78-91頁、 ISSN 2189-8537
  5. ^ 官報 第2940号 在下関英国領事館竝館員変更, 大蔵省印刷局, (1922-05-23), p. 572, doi:10.11501/2955057, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2955057 2020年9月12日閲覧。 
  6. ^ 官報 第4173号 在下関英国領事事務官事務所移転, 大蔵省印刷局, (1940-12-03), p. 53, doi:10.11501/2960671, https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2960671 2020年9月13日閲覧。 
  7. ^ a b 旧下関英国領事館100年のあゆみ”. 下関市. 2020年9月13日閲覧。
  8. ^ a b c 文化財建造物保存技術協会 『重要文化財 旧下関英国領事館本館ほか2棟 保存修理工事報告書』 下関市、2014年3月、1-17頁。全国書誌番号:22403281 
  9. ^ 『保存修理工事報告書』、19-32頁。 
  10. ^ “下関市議会”. 平成21年第2回定例会. (2009-06-24). p. 415 
  11. ^ “下関市議会”. 平成23年文教厚生委員会. (2011-09-07). p. 1 
  12. ^ “下関市議会”. 平成20年第4回定例会. (2008-12-19). p. 431 
  13. ^ “下関市議会”. 平成22年第4回定例会. (2010-12-17). p. 332 
  14. ^ “下関市議会”. 平成24年文教厚生委員会. (2012-12-07). p. 1 
  15. ^ “下関市議会”. 平成25年文教厚生委員会. (2013-12-05). p. 1 
  • 「重要文化財旧下関英国領事館」(入館案内)
  • 泉田英雄『旧下関英国領事館建築に関する文献調査報告書』、下関教育委員会、2011年。

関連項目[編集]