星座シリーズ

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星座シリーズ』(せいざシリーズ)は、日向章一郎小説ライトノベルのシリーズの通称。

1990年第1巻発行(コバルト文庫集英社)。イラストはみずき健。

概要[編集]

主人公が星座占いを駆使し、学校を中心に起きる事件に挑む「ユーモアミステリー」の一つ。

毎回さまざまな事件が起こるが、殺人にまでは至らない。しかも犯人が改心、被害者と和解する事案もかなり存在する平和的な描写が多い。

基本的には黄道12星座がテーマになるが、黄道13星座が話題になった時は「へびつかい座」がテーマになった。また、星座占いに登場しない「白鳥座」もテーマになっている。

執筆当時の有名人やTV番組などが実名で登場するが、そのために作品の時代設定が曖昧になっている部分がある。

なお、作品の一部は絶版となっており、図書館や中古本専用の書店等に行かないと閲覧できなくなっている。

星座占い[編集]

ここで言う星座占いは、西洋占星術を簡略化したもので、現在もウェブサイトも含め、様々なコンテンツで用いられている。
ただし同じ星座でも生年月日や誕生時間によって結果が大きく変わってくる。そのため、(自分達もそうだが)星座上は相性が良くないカップルの事例に出くわし、麦倉先生が悩む場面がある。
一方、話が進むにつれ、本来星座に懐疑的なはずのノリミやリョウが正義感や優しさから不意に星座に沿った行動をとり、新たな危機を回避する場面も増えてくる。

シリーズタイトル[編集]

第1部
第2部
  • 火の星座・恋愛ラプソディー (1995年4月第1刷発売 ISBN 978-4086140669)
  • 白鳥座の恋愛童話(メルヘン)(1995年12月第1刷発売 ISBN 978-4086141383)
  • 地の星座・恋愛革命のススメ (1996年3月第1刷発売 ISBN 978-4086141673)
  • へびつかい座の恋愛課外授業 (1996年9月第1刷発売 ISBN 978-4086142281)
    (※主役は麦倉先生)
  • 牡羊座(アリエス)の恋愛教習所・冒険少女編 (1996年12月第1刷発売 ISBN 978-4086142700)
  • 双子座(ジェミニ)の恋愛千夜一夜・冒険少女編 (1997年4月第1刷発売 ISBN 978-4086143141)
  • 獅子座(レオ)の恋愛ミステリ-・ツアー・冒険少女編 (1998年4月第1刷発売 ISBN 978-4086144513)
  • 天秤座(ライブラ)の殺人試験・本格推理編 (1999年3月第1刷発売 ISBN 978-4086145619)
  • 射手座(サギタリアス)の殺人手毬唄・本格推理編 (1999年12月 第1刷発売 ISBN 978-4086146586)
  • 水瓶座(アクエリアス)の殺人迷路(ラビリンス)・本格推理編 (2000年12月 第1刷発売 ISBN 978-4086147910)

1巡目は発行された順番に時間が経過していたが、2巡目となると、巻ごとに若干時間軸が異なる。

ちなみに現時点で時間的に一番後になるのが『へびつかい座』(高3の8月)である。

ストーリー[編集]

都立T高校入学が近い大野ノリミは、新島出身の青年に一目惚れする。

家に戻ると何とその青年、麦倉ナオトがいた。彼はノリミの祖母と彼の祖父が決めた婚約者であると同時に、都立T高の新任教師でもあった。そのため、二人はお互いの立場から周囲に公表できなくなってしまう。

更に入学早々、まるで追い打ちをかけるように二人の周りで様々な事件が発生する。そこで麦倉先生は高校生の時習得した星座占いを使って事件解決に乗り出すが、ノリミは星座には否定的。なぜならノリミは同じ蟹座でも獅子座に近い生まれで、相性面では星座占いがほとんど通用しないからである。

しかし心優しく芯の強いノリミは、大好きな麦倉先生と共に多くの難解で時に危険な事件に立ち向かう。

ノリミは解決した様々な事件から多くのことを学び、数多い恋の障害に真正面から立ち向かう様になる。そして麦倉先生の恋人ではなく、唯一無二のパートナーとして着実に成長する。

主な登場人物[編集]

大野 ノリミ(おおの のりみ)
この作品の主人公。本名は範美。7月19日生まれの蟹座放課後シリーズ渡辺ミサコのいとこで、ミサコより3歳下。
15歳で母を亡くし父と弟とL.A.に移住するはずだったが、自らの意思で日本に残り渋谷区の代々木で祖母と暮らしている。
入学前に麦倉ナオトに一目惚れし、その後彼が自分の許婚者であると同時に自分が入学する都立T高の新任教師と知る。やがて両思いになるがお互いの立場上公表できない。ただT高は制服が無く、関係者以外にはバレにくいのが救いである。
身長が156センチ。ストレートのロングヘア(ただし、中1まではショートヘア)の持ち主で、図らずも男子によくモテる。学業は真面目に励んでおり、ずば抜けてはいないが優等生の部類に入る。性格は優しいが少々卑屈でお人好し。しかも星座に懐疑的なために受難に遭いやすいが、生来芯が強く少々の受難ならすぐに立ち直る。ただし我慢の限界に達した時やいざと言う時は周囲が驚く様な行動に出る。
秘密に関しては本当はきちんと公表したいと思っており、秘密を知る細川朱子が来た直後の「アクエリアス」(高2の3月)で初めて、麦倉先生の宿敵である連城龍希にカミングアウトする。その後も多くの恋愛の障害に対処していくが、クラスメイトの山本リョウや親友でもある岸幹世などT高関係者相手には思う様にはいかず、遂に「ジェミニ」(高3の5月)で婚約破棄の危機と朱子の横恋慕の二重の危機に見舞われる。しかしこれを機に最も苦手だった自己主張ができる様になる。「レオ」(高3の7月)で麦倉先生に朱子との仲を疑い怒りをぶつけるが、逆に自身の二股疑惑を完全に晴らす。一方、朱子が自滅したと知ると速やかに敵意が消え、体調が戻るまで自宅で療養させる。更に一番厄介だった級友達への対応にも変化が見られ始める。幹世には普段の口調で朱子の見舞を断り、本当は自宅へ押しかけようとしていたのを諦めさせる。リョウに至っては彼の失策が元で精神的に解放されると、彼から卒業が危ないと聞かされ大喜びするあまり、今まで言えなかった本音をぶつけ、事実上彼を振ってしまう。
朱子の帰郷後、麦倉先生が浮気をしていなかったと知った彼女は安心すると同時に、「どんなに親しい相手でもナオトさんは渡さない」と改めて決意する。
「へびつかい座」(高3の8月)では、将来はカウンセラーを目指し、そのためにも麦倉先生の母校W大合格に向け受験勉強に励む姿が見られる。受験のせいか幹世とは別行動が更に増えているが、しつこく迫るリョウに彼女一人で容赦ない反撃を喰らわせている。
麦倉 ナオト(むぎくら なおと)
本名は直人。ノリミより8歳上で3月31日生まれの牡羊座。ノリミの通う都立T高の国語教師で天文部の顧問。
伊豆諸島の新島出身。月島の高校を経てW大卒業、ノリミの入学と同時にT高に赴任する。
中学生[1]の頃、かつて相思相愛だった彼の祖父(故人)とノリミの祖母によってノリミの許婚者となる。女所帯を不安視するノリミの祖母の願いもあり、大野家でノリミの父の部屋を借り暮らしている。
星座にはまったのは、高校時代の片思いだった女子生徒の影響。彼女が通っていた占星術の佐郷先生に師事し、本格的に学んでいる[2]。なお、当時は頭も素行も相当悪く[3]、教職も志願して就いたわけではないらしい[4]
身長183センチの好青年で女性によくモテるが、祖母麦倉うらら[5]と同じ火の星座の女性は苦手。少々気が弱い所があり、ノリミ以上に秘密がバレることを恐れている。そして「ジェミニ」(高3の5月)ではノリミとリョウの関係を誤解してついに婚約破棄を口にし、ノリミが失踪騒ぎを起こすが、帰って来たノリミが朱子のアパートにいたことを知ると一転、大喜びする大人気のない一面も見せている。更に「レオ」(高3の7月)では遂に自分が朱子との関係を誤解したノリミに怒られるが、これでノリミが二股していないと知り、内心安心する[6]
しかし本編で事件を解決できるのは事実上彼だけで、逆上した犯人も一撃してしまう腕っ節の強さも併せ持つ。「魚座」(高2の3月)でT高の生徒を殴打してノリミを救うが、当事者以外に気づかれることは無く、結果誰にも責められずに済んでいる。更にノリミが次第に強く成長していくことを心から歓迎できる点も彼の長所と言える。
彼もまた多くの事件を通じて教師としても一人の男性としても成長していく。そして自身が主役の「へびつかい座」(高3の8月)になると、ノリミの弟の周一郎にも本当の意味で認められ、自分は大野家の家族の一員になれたことを実感する。
山本 リョウ(やまもと りょう)
本名は。5月22日生まれの双子座。中学からのノリミのクラスメート。モノクロでは髪色がトーン処理の小柄な少年。第1部の「蟹座」(高2の10〜11月)では主役を務める。モデルは著者自身で、名前はデビュー前のペンネームに由来。両親は小型スーパー経営のため留守がち。4つ上の兄シュウがいる。
中学のときは委員長などを務めていたが、高校入学後は不真面目な言動が目立つ。一応陸上部所属だが幽霊部員。短気な上にハレンチで嘘つきだが、実は軟弱で相手に強い態度に出られると怖気付いてしまう。また、嘘も利己的なものはすぐバレる。
ノリミのことが大好きで毎回アタックするが、そのやり方は悪質ないじめも同然で、ノリミにとっては天敵以外の何者でもない。当然彼女の祖母を始め周囲からも敵視されている。ただし不埒行為は未遂のうちに必ず誰かに制裁され、加えて強くなるノリミにも拒絶されることが多くなり[7]、その都度酷く落ち込む様になる。
こんな彼も「蟹座」では強い正義感を始め、高い社交力や公正な判断力など多くの長所を持つことが判明、中盤以降敢えて外されたノリミの代役として活躍している。しかし本領を発揮できるのはノリミ不在の時だけで、その上活躍するほどノリミと麦蔵先生の仲を応援する結果になってしまう。また、一人になった時一連の不埒行為を酷く後悔するなど良心と恋心の間で苦悩している。実は彼にも卒業後はノリミと一緒にいることすら許されない事情があるらしい。
しかしどうしてもノリミを諦めきれず不埒な行為を続けた結果、「レオ」(高3の7月)で駆け引きのつもりで放った大失言が元で幹世を激怒させ、ノリミを精神的束縛から解放してしまう。幹世に留年話を自白させられると、話を聞いたノリミには狂喜されてしまう。その時ノリミの残酷な本心を知った彼はその場から逃げ出してしまう。
「へびつかい座」(高3の8月)では一見元の鞘に収まった様に見えるが、周囲の状況も、そして彼自身の心情も少しずつ変化している。「蟹座」の時に途中でやめたセリフ[8]を言い切る日も近い。
岸 幹世(きし みきよ)
ノリミの中学時代からの親友で、リョウとは小学時代からの遊び仲間。星座は牡羊座だが誕生日は不明。
女子にしては長身で、黒髪をセミショートのワンレングス(ただし、中1まではロングだった)。高校ではノリミと同じ天文部員。
両親が揃っている以外家族構成などは不明だが、家庭は厳格であるらしい。性格は勝気で男勝り、小さい頃から遊び相手の多くは男子だった。学力優秀で面倒見も良いが、一部の大人からは不良少女と睨まれている。また、T高で本当に友人と言えるのはノリミやリョウなど限られているらしいが、ノリミを精神的に束縛している部分があり、リョウも腕力で負ける為彼女には頭が上がらない。
麦倉先生のことが大好きで、強引なアタックでノリミを心配させるが、当の麦倉先生からは火の星座であることを理由に内心苦手に思われている。一方で他の男子にも次々と目移りしているが上手くいかず、ノリミ目当ての男子からは疎まれている。
しかし「蟹座」(高2の10月)で受難に遭った時、実は非常に打たれ弱く麦倉先生のパートナーには不適格であることが露呈する。彼女の方も麦倉先生を真剣に愛していないらしく、むしろノリミのことばかり口にしている。この段階で彼女はノリミの精神的成長に気づいているが、それ故に自身が置き去りにされることを恐れており、決して歓迎していない。
高2の1月(『アリエス』)、ノリミが自分に無断で女子の細川朱子と仲良くなったことに憤慨するが、高3になると今度は自分が進学コースの関係で一人別行動を余儀なくされる。彼女の気持ちは次第に不安定になり、「レオ」(高3の7月)ではリョウに本心を露呈してしまう[9]。しかし1学期末、朱子を預かるノリミに門前払いにされてしまい、納得できずに追求しても相手にしてもらえない[10]。何としても夏休み中ノリミの家に居候したい彼女は、待ち伏せていたリョウに留年話を自白させるも、これを聞いて狂喜したノリミが実質彼を退散させてしまう。
「へびつかい座」(高3の8月)では麦倉先生が主役にも関わらず一度も姿を見せていない。受験戦争が本格化する中、ノリミとも別行動が増えている描写がある。
細川 朱子(ほそかわ あかね)
「冒険少女編」のシンボルキャラクター。4月4日生まれの牡羊座。奈良の名家のお嬢様で、一人娘なので婿養子を取ることが決まっている。
両親は仕事で海外を飛び回っており、家では祖父と二人暮らし。幼稚園からずっと女子校で、良くも悪くも男子をほとんど知らずに育つ。
窮屈な生活が嫌で家出、渋谷までやって来るが、彼女の通う私立K学院は単位制のため、事前に卒業前の作文以外の単位を全部取得している。また、担任が麦倉先生の大学時代の友人で、始めからノリミたちの秘密を知っている[11]
体格は言及がないことから女子のほぼ平均、モノクロではリョウと同じ髪色のショートボブが特徴。明朗快活で行動力と社交力が高く、ノリミとはすぐ親しくなるが、幹世からは快く思われていない。一方、リョウと接触があったかどうかは不明。
麦倉先生に横恋慕するが、直後に事件に巻き込まれ倒れてしまう。療養中、自分は逃げてばかりだったと反省した彼女は、回復後ノリミに謝罪と感謝の手紙を渡し帰郷した。
「冒険少女編」だけの登場だが、ノリミに与えた影響は大きい。
連城 龍希(れんじょう たつき)
「本格推理編」のシンボルキャラクター。高校生だがプロのミステリー作家で、幹世が彼の作品の大ファン。誕生日は不明だが星座は射手座
幼い頃に両親を亡くし、中学までは施設で育つ。猛勉強の末、進学校として知られるP学園に学費免除で入学する。その後公募のミステリー大賞で大賞を受賞、プロデビューしてヒット作を連発、自活できるまでになっている。ただし執筆のために寝坊が多く1年落第している。なお、学園では作家活動の事を内緒にしている。
外見は麦倉先生をやや幼くした感じ。モノクロではスミベタの長髪を後ろで結わえている。基本的には善良で正義感が強いが、出自の関係で少々世間擦れしている上、己の知性に少々天狗になっており、余計な敵を作りやすい。
ノリミたちと同じように、担任の佐郷由真[12]と共に学園内の事件を解決してきたが、「ライブラ」(高2の7〜8月)で由真が事件の責任を取るため退職、コンビは解散となってしまう。
ノリミに横恋慕して次第に二人を追いつめるが、星座に疎いためにノリミの心を見抜けず、逆に彼女から落ち着いた口調でカミングアウトされてしまう。
まさかの事態に大混乱しながらも何とか良心を取り戻すが、この日を最後にノリミの前から姿を消す。

脚注[編集]

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  1. ^ ちなみにノリミは幼稚園児。
  2. ^ 「ライブラ」(高2の7〜8月)より。
  3. ^ 「へびつかい座」(高3の8月)より。
  4. ^ 「牡羊座」(高1の4月)より。
  5. ^ 「火の星座」(高3の4月)に登場。
  6. ^ 実は麦倉先生はラスト近くで「失礼な子だ」と発言している様に、朱子のことは内心快く思っていない。
  7. ^ ノリミも我慢しているだけでは無く、「乙女座」で「私、リョウ君のお嫁さんにはならない」、「蟹座」で「犯人よりリョウ君の方が怖いよ」などと明言している。
  8. ^ 「自分の都合で相手を振り回すなんて愛じゃない・・・」、このセリフを最後まで言い切ると、リョウは必要な時に本領を発揮できる様になり、精神的にも大きく成長するが、一方で自分の恋を完全に否定することにもなり、結果ノリミを諦めざるを得なくなってしまう。
  9. ^ この場面で幹世はお茶のペットボトルを握りしめながら「私のノリミを抱きしめてるの!」とリョウに向かって叫び、慌てたリョウとペットボトルの奪い合いになっている。ここで漠然とだが幹世がノリミに対して友情以上の感情を持っている事が証明される。
  10. ^ ノリミは秘密を知らない幹世に対し、必要な意思表示をできるようになったに過ぎない。
  11. ^ 以上、「アリエス」(高2の1月)より。
  12. ^ 彼女は麦倉先生の師匠の娘であり、麦倉先生の高校時代の1年後輩でもある。