時の終わりの劇

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時の終わりの劇』(De temporum fine comoedia)は、カール・オルフが作曲した声楽、合唱と大編成の管弦楽のための作品。オルフの最後の劇作品で、「終末劇」と呼ばれている。

概要[編集]

オルフの終末劇は、1960年代には「アンティゴネ」から「縛られたプロメテウス」に至る古典ギリシャ劇を題材とした劇作品で最終的な形となり、その最後の劇作品である「時の終わりの劇」へ通じる途上の節目ともいえる。

「時の終わりの劇」は1960年から1971年の長期間にわたってスコアの基本的な部分は作曲された。世界初演は1973年8月20日に、ザルツブルク音楽祭の祝祭大劇場で、ヘルベルト・フォン・カラヤンの指揮とケルン放送交響楽団、で行なわれ、この「時の終わりの劇」が、当時78歳のオルフの最後の大規模な作品となった。また、1979年ミュンヘンでの演奏を前に、スコアとテクストに変更が加えられた。

初期の作品「カルミナ・ブラーナ」と「縛られたプロメテウス」との間に書かれた合唱や管弦楽のための作品から得た経験は、「時の終わりの劇」のスコアの中にはっきりと現れており、楽器の構成では打楽器が支配的で、その中には日本の寺院のや、その他多くの異国風の楽器が含まれている(これらの楽器は、オルフがオーバーバイエルンのアマー湖畔の自宅に収集したものである)。

また、弦楽器の中でも最も目立たない4台のヴィオーレが、第3部の最終場面で、オルゲルプンクトの上で4声からなる楽節を演奏されるが(これには中世のオルガヌムを思い出させる)、メロディJ.S.バッハコラール「汝の御座の前に今ぞ進み出で」から採られている。

作品は1973年の初演以降、演奏される機会がほとんどない状態である。これは作品がかなり難解であることと、編成が巨大であることが理由のひとつと思われる。

初演について[編集]

1973年8月20日、ザルツブルク音楽祭にて。

舞台と演出[編集]

ギュンター・シュナイダー=ジームセンによる舞台、アウグスト・エヴァーディングによる演出。

演奏[編集]

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ケルン放送交響楽団、ケルン室内合唱団、RIAS室内合唱団、テルツ少年合唱団

楽器編成[編集]

フルート6(全員ピッコロ持ち替え)、Ebクラリネット6(3人Bb持ち替え)、コントラファゴット1・ホルン6、トランペット8、トロンボーン6、チューバ1・打楽器10人、ハープ3、チェレスタピアノ3、電子オルガン教会オルガン、ヴィオーレ四重奏(アルタ、コントラアルタ、テノーレ、バッサ)、コントラバス8

更にバンダとして予算削減のために予め楽器などで演奏されたテープが加えられるがアドリブの部分もある。その内訳はピッコロ、チューブラーベルマリンバプネウマソプラノテノールの合唱、トランペット2、アンティックシンバル、ティンパノ(ティンパニー:一個)、ピアノ3、コントラバス3。

このスコアの初稿はピッコロ8、トランペット10、トロンボーン4、ピアノ2、オルガン、更に多数の打楽器群であった。

演奏時間[編集]

約60分。

構成[編集]

全3部の構成で、第1部と第2部は、世界の終末について悲観的なイメージを予言してみせ、第3部では宇宙の霊化という概念を中心に置いている。

  • 第1部 シビュラ
    神をも畏れぬ悪魔の永遠の罰について予言する場面。シビュラは古代の巫女のことで、オルフは世界の終末の予言と救世主の登場についての14の本に書かれた、シビュラによる神託をもとにしている。シビュラはソプラノメゾソプラノアルトから成っている。
  • 第2部 隠者
    ここでいう隠者とは、ギリシャ語で隠遁生活を送っていた世捨て人を意味している。テクストは、柔軟なギリシャ語と簡潔なラテン語が交互に用いられている。
  • 第3部 その日
    世界の終末が訪れる場面。グレゴリオ聖歌を思わせる「ディエス・イレ(怒りの日)」の旋律が歌われる。

参考文献[編集]

  • ショット社のフルスコア