ゲッケイジュ

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ゲッケイジュ
Laurier.jpg
ゲッケイジュ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: クスノキ目 Laureales
: クスノキ科 Laureaceae
: ゲッケイジュ属 Laurus
: ゲッケイジュ L. nobilis
学名
Laurus nobilis L.[1]
和名
ゲッケイジュ(月桂樹)
英名
Bay laurel

ゲッケイジュ(月桂樹、学名:Laurus nobilis)は、クスノキ科ゲッケイジュ属常緑高木に芳香があり古代から用いられた。乾燥した葉は香辛料ローリエになり、葉と小枝は丸く編んだ月桂冠がよく知られている。

名称[編集]

英語のノーブル・ローレル (Noble Laurel) を中国語に訳して「月桂樹」と名付けられ、それを日本では音読みしてゲッケイジュ和名がつけられた[2]。別名、英語名からローレル(英語: Laulel[3]、ベイツリー(英語: Bay Tree) [4] 、スイート・ベイ (英語: Sweet Bay) [2] 、ベイ (英語: Bay) [5]、フランス語名からローリエ (フランス語: Laurier) [2][3]とよばれる。

特徴[編集]

地中海沿岸地域の原産といわれ、日本へは明治時代に渡来し[5]、関東地方から九州までの範囲で植栽される[3]。萌芽力が強く、海岸や屋上などの条件が悪いところでも、丈夫に育つ[5]雌雄異株であるが、日本には雌株が少ない[6]

常緑広葉樹中高木で、高さは9メートルほどになる[2]。枝葉に独特の芳香がある[2]。葉身は、長さ5 - 12センチメートル (cm) の狭長楕円形で、濃緑色の革質で光沢があり、葉縁は波打つ[3]。葉裏はやや硬い[3]

花期は(4 - 5月)で、葉腋に短い花柄を出して、その先端に黄白色の小花を群がって咲かせる[2][3]。果実は直径1 cmほどの球形で、10月頃に黒紫色に熟し香りがある[5][3]

利用[編集]

庭木、公園樹としての利用のほか、ハーブとして、葉は香辛料として煮込み料理の香味づけに、葉や果は薬用として利用される。刈り取った枝葉を採集して、陰干ししたものが月桂葉(英:ローレル、またはベイリーブス、仏:ローリエ)である[2]

葉には精油1 - 3%が含まれており、精油成分はシネオール約50%、オイゲノール約1.7%、ゲラニオールピネンテルピネン、セスキペルテンなどである[2]。果実には、ラウル酸のグリコシドを主成分とする脂肪油約25%と、シネオール、ピネン、ラウル酸などの精油約1%を含んでいる[2]。ゲッケイジュに含まれる精油は、ヒトの味覚神経を刺激し、唾液や胃液の分泌を促して、食欲増進作用があるほか、浴湯料として血液循環作用がある[2]

植栽[編集]

庭木や生け垣に植栽される。生長が早く、剪定にも強いという特徴があり、刈り込みすぎや形が不揃いであっても、それを早くリカバリーすることができ、トピアリーを容易に作ることもできる[3]

食用・薬用[編集]

葉、実は、それぞれ月桂葉月桂実という生薬名を持つ。

葉にはシネオールと呼ばれる芳香成分が含まれ、葉を乾燥させたものをローリエフランス語: laurier)、ローレル(英語: laurel)、ベイリーフ(英語: bay leaves[7]などと呼び、香辛料として広く流通している。カレーシチューなどの煮込み料理に、好みの応じて1 - 3枚ほどのローリエが使われる[2]

浴湯料として月桂葉を布袋に入れて風呂に浮かべておくと、肩こり神経痛リウマチ冷え症腰痛筋肉痛などの痛みを和らげたり、疲労回復に役立つ[2]。果実は、日本薬局方アルコールやローションに1週間ほど浸した液が、頭髪の発毛・育毛剤として利用できる[2]

ゲッケイジュ葉には強いアルコール吸収抑制活性が認められる。その活性本体は、α-メチレン-γ-ブチロラクトン構造を有するコスチュノリド(costunolide)などのサポニンであるセスキテルペン類であり、その作用機序として、胃液分泌の亢進や胃排出能抑制作用などが関与している[8]

2001年、カゴメ株式会社総合研究所は、月桂樹の中に、血管を拡張する作用を示す物質が含まれていることを明らかにした。なお、人体への効果については検証されていないという情報もある[9]

果実を搾って得られるローレルオイルは主に石鹸の原料として使われ、ニキビ・フケ・体臭等を抑える効果が謳われている[10]

栽培[編集]

水はけの良い土を選び、日なたから半日陰地で育てる[5]。土質は全般で、適度に湿度を持たせた土地に、根を深く張る[5]。植栽適期は、4月下旬 - 5月、6月下旬 - 7月とされる[3]。生長は早く、剪定期は3月 - 4月上旬か7月下旬 - 8月上旬とされ[5]、庭などの日当たり良い場所に植栽すると、枝葉を伸ばすため、年に2 - 3回ほど刈り込む[2]。施肥は1 - 2月に行う[5]。ゲッケイジュは風通しが悪いと虫がつきやすくなるため、風通しの良いところに植えるようにする[11]

文化[編集]

ゲッケイジュは、ギリシャ神話アポロンダフネの物語に由来し、ギリシャやローマ時代からアポロンの聖樹として神聖視された樹木である。古代ギリシアでは葉のついた若枝を編んで「月桂冠」とし、勝利と栄光のシンボルとして勝者や優秀な者達、そして大詩人の頭に被せた。特に月桂冠を得た詩人は桂冠詩人と呼ばれる。聖書では、大洪水の後にハトがくわえてきた縁起の良い木とされている[5]

ゲッケイジュを由来とする名称[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Laurus nobilis L.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年6月5日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n 田中孝治 1995, p. 144.
  3. ^ a b c d e f g h i 山﨑誠子 2019, p. 48.
  4. ^ Useful Tropical Plants Database 2014
  5. ^ a b c d e f g h i 正木覚 2012, p. 58.
  6. ^ 正木覚 2012, p. 59.
  7. ^ 「ベイリーフ」はシナニッケイの葉に対しても使われる言葉である。
  8. ^ 吉川雅之、薬用食物の糖尿病予防成分 『化学と生物』 2002年 40巻 3号 p.172-178, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.40.172
  9. ^ 「健康食品」の安全性・有効性情報
  10. ^ アレッポの石鹸」HPより、石鹸の原料
  11. ^ 山﨑誠子 2019, p. 49.

参考文献[編集]

  • 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、144頁。ISBN 4-06-195372-9。
  • 正木覚『ナチュラルガーデン樹木図鑑』講談社、2012年4月26日、58頁。ISBN 978-4-06-217528-9。
  • 山﨑誠子『植栽大図鑑[改訂版]』エクスナレッジ、2019年6月7日、48 - 49頁。ISBN 978-4-7678-2625-7。