札幌市交通局10形電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
札幌市交通局10形電車
札幌市交通資料館で展示中の22号
札幌市交通資料館で展示中の22号
基本情報
運用者 札幌市交通局
テンプレートを表示

札幌市交通局10形電車は、1918年大正7年)に登場した札幌市電路面電車である。

概要[編集]

車両番号 廃車年月
11号 1936年4月
12号 1934年3月
14号 1936年8月
15号
16号 1936年4月
17号 1934年3月
18号 1936年4月
19号 1936年8月
20号 1934年3月
21号 不明
22号 1936年8月
24号 1934年3月
25号 1930年7月
26号
27号 1934年3月
28号
29号
(現22号)
1936年8月
30号 1934年3月
31号 1936年4月
32号 不明
34号 1936年4月
35号 1930年7月
36号 1936年8月
37号 1930年7月

1918年(大正7年)の札幌電気軌道株式会社開業に伴い、1898年(明治31年)から1907年(明治40年)にかけて東京の月島井上工場、日本車輌及び名古屋電気鉄道の自社工場で製造された[1]名古屋電気鉄道名古屋市交通局ならびに名古屋鉄道の前身)の第1号形電車(名電1号形)及び増備型の第13号形電車を購入したものである。木造4輪単車で11 - 37号(13・23・33は欠番)の24両。

第1号形では台車と電装品には米国製の部品が使用され、鋼板リベット組のペックハム7B台車とウォーカー社製の制御器及び25psモーター1基を備える[1]1900年(明治33年)以降に増備された17号からは電装品をゼネラル・エレクトリックの800E型モーター(25ps)と同社のR2型制御器に変更された[1]

名電では大正時代に入ってから、より大型・高出力の電車の就役が進んだため、小型で低出力な1号・13号形は徐々に仕事の場を失っていた。札幌譲渡と前後する1918年内に1号形と13号形は全車が廃車され、計37両のうちの24両が改造を受けて札幌に引き渡された。[2]

札幌電気軌道では開業にあたり、当初はイギリスのデッカー社より1372mm軌間の車輌を輸入することを目論んでいたが、第一次世界大戦の混乱で同年開催の北海道博覧会に間に合わないと判断されたため、1067mm軌間を有する中古車輌の購入となったとされている。 購入にあたり1917年(大正6年)から名古屋電車製作所にて改造が施され[3]、当時名電にて増備中だった168号形電車(後の名古屋市電SSA形電車)を参考に[4]して車体改造が実施される。裾絞り形状の車体は絞りのない直線の羽目板の車体となり、オープンだった運転台には窓ガラスが取り付けられた。なお、後年の札幌市交通局側の説明では名古屋電車製作所が製造所と記されているが、諸元表の改造所を製造所と誤解していたとされる[5]。 運転台は窓ガラスを取り付けたとは言え、は装備されていなかったため冬季の運転は乗務員にとって厳しいものであった。

1927年昭和2年)の市営化後、1930年(昭和5年)から1936年(昭和11年)にかけて全車廃車となったが、1両が車籍を復帰し保存されている。

改造・転用[編集]

市営化の時点で3両が未届けで除雪車に改造されていた。 ほかに散水車水1 - 2号(初代)、ササラ電車雪11 - 13号の種車となったほか、コントローラーほか電装品はササラ電車のロータリーブルーム駆動や中央車庫のクレーンにも流用された。

保存車[編集]

29号が廃車後車庫内で保管されていたが、1951年(昭和26年)の円山動物園開園にあたり、遊戯物として園内に展示された。1960年(昭和35年)に円山動物園より返還され、廃車となっていた40形の部品を利用して運転可能に整備され車籍を復帰、復元時に台車部から見つかった名電時代の番号と思しき22号[3]に改番された。イベント等で数回運転されたが、その後は札幌市交通資料館での静態保存となった。現状では営業線上の走行は不可能であり、書類上においても1993年(平成5年)に正式に除籍されている。

上記の通り1901年(明治34年)に製造され、1907年(明治40年)まで名古屋で使用された。その縁で、2015年(平成27年)3月に迎える明治村開村50周年に合わせて2014年(平成26年)6月28日[6]から「名電1号形 里帰りプロジェクト」として特別展示されることとなり、これに当たって2013年(平成25年)に明治村に輸送された。2020年(令和2年)3月札幌市に返却予定[7][8][9][10][11]

主要諸元[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b c 服部 14, p. 105.
  2. ^ 服部 14, p. 106.
  3. ^ a b 服部 14, p. 108.
  4. ^ 服部 14, p. 107.
  5. ^ 服部 14, p. 109.
  6. ^ アーカイブされたコピー”. 2014年8月5日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年8月2日閲覧。
  7. ^ 中日新聞2013年12月3日付朝刊
  8. ^ 〜博物館明治村開村50 周年〜「名電1号里帰りプロジェクト」が始動します (PDF) - 名古屋鉄道、2013年11月19日。[リンク切れ]
  9. ^ アーカイブされたコピー”. 2014年2月7日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年6月1日閲覧。
  10. ^ 50週年記念事業「名電1号形」特別展示 - 博物館明治村(2015年版 / 2015年11月19日閲覧)
  11. ^ 里帰りした「名電1号形」。編集長敬白・鉄道ホビダス - ネコ・パブリッシング(2014年07月01日 23:59版 / 2015年11月19日閲覧)

参考文献[編集]

  • 『鉄道ピクトリアル』2014年10月号 通巻895号、鉄道図書刊行会、2014年。
    • 服部重敬、2014、「明治村で展示中の名電1号形電車に寄せて」 pp. 105-109