朱成虎

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朱成虎
Zhu Chenghu 2005.jpg
プロフィール
出生: 1952年1月
出身地: 中華人民共和国の旗 中国安徽省当塗県
職業: 軍人
各種表記
繁体字 朱成虎
簡体字 朱成虎
拼音 Zhū Chénghǔ
和名表記: しゅ せいこ
発音転記: ヂュー・チョンフー
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朱 成虎(しゅ せいこ、ヂュー・チョンフー、1952年1月 - )は、中華人民共和国解放軍の軍人、国防大学教授、中国解放軍少将。

経歴[編集]

公式には1952年安徽省当塗県生まれ。旧姓は劉であり、中国建軍の父と呼ばれ一時国家元首格を有した朱徳元帥の4番目妻の外孫(朱徳は公式に6回結婚している)。成虎の命名は祖父朱徳で「人を食らう虎」の意。

4歳のころ祖父が政府最高首脳に列し、14歳の頃に文革が始まり攻撃を受け左遷させられている。

祖母に対して「性乱豪放女」との批判報道が存在する。国家の政治中枢に関与する家族の元で育ち、その特殊な環境と祖母らの性的スキャンダル攻撃が後の核恫喝に結び付いたとの報道が一部ある[1]

朱徳がさらに降格させられた1969年に中国解放軍入隊。中国人民解放軍南京国際関係学院および軍事学院参謀班および国防大学を卒業。国防大学の戦略研究所副所長、外訓系主任(系は日本の学部に相当)、広州軍区空軍副参謀長などを歴任。1988年米国国家戦略研究所に半年間客員研究員として留学。1993〜1994年イギリスのロンドン大学アジア・アフリカ学院に1年間客員研究員。

軍事教育と研究に30余年のキャリアを持ち、諸外国訪問しての講演等は20カ国を超え、中国国内でのメディア露出も多い。2015年1月現在、国防大学の防務学院院長および教授。空軍少将の地位をもつ中国解放軍士官の教育指導者である[2]

核攻撃発言[編集]

2005年7月14日、香港にてウォールストリート・ジャーナル、フィナンシャル・タイムズなど各国の報道機関を前に、アメリカ合衆国が台湾海峡の武力紛争に介入した場合、中国は核戦争も辞さないと発言し、個人の見解とした上で、米国の数百の都市と引き換えに西安より東の都市すべてが壊滅することも厭わないと述べた[3]。また、「世界の人口は無制限に迅速に増加している。今世紀中に爆発的増加の極限に到達するはずだ。しかし地球上の資源は有限なのだから、核戦争こそ人口問題を解決するもっとも有効で速い方法である。(世界人口在无限制地迅速增长,在本世纪内就要达到爆炸的极限,而地球上的资源是有限的,核战争是解决人口问题最有效最快速的方法)」と、核戦争を賛美する発言を行った[4]

即座に7月15日アメリカでも一斉に報道され[5]、ヨーロッパ諸国、台湾などでも物議をかもし新聞などで一斉に報道された[6]。産経新聞ワシントン支局長などを務めた古森義久は、この発言を「衝撃的というか、驚愕というか、びっくり仰天し、そのあとに肌寒い恐怖に襲われる。」と述べている[7]

事態を重く見たアメリカ議会は即座に反発し、7月22日に発言に対し発言撤回と朱成虎少将の罷免を求める下院決議を採決した[3]。それを受けて、中国外交部は、朱の発言は中国政府の立場を表すものではないとのコメントを出し、中国人民解放軍は同年12月、朱に「行政記過」(過失を記録に残すの意)処分を下し、1年間の昇進停止とした。これは2番目に軽い罰則と報じられている[8]。米議会が求めた罷免は行われず、国防大学からも更迭は行わなかった為、その後も教鞭をとっている。

先制核攻撃論[編集]

黄文雄によると1995年ごろから過激な発言を繰り返しており、中国当局はそれに昇進をもって報いていると述べている。それらの朱少将の核攻撃論をまとめたものは以下の通り。

「国連の統計によれば、今世紀中葉ごろには世界人口は一五〇億人に達し、今世紀中には人口過剰の問題が爆発する。  すでに中国、インド、東南アジア等が人口過剰問題を抱え特にインドは、人口、経済、パキスタンとの領土紛争をめぐり  核戦争をおこなう可能性はきわめて高い。そのドミノ現象で世界核戦争が起こる」

「だからこの未来の核大戦に対し、我々は受動的ではなく、主導的に出撃すべきだ」

「人口問題を解決するには、核がもっとも有効にして手っ取り早い方法だ」

「なるべく他国の人口を減らし、自国の人口を多く生き残らせるべきだ。」

「もし我々が受動的ではなく主導的に出撃し、計画的に全面核戦争に出れば、情勢はきわめて有利である。 なぜなら他の国と比べ、我々の人口の絶対多数は農村にあり、 しかも我が国の国土、地形は非常に複雑で隠匿しやすい。だから政府が核大戦を 用意周到に計画さえすれば、人口を広大な農村に移して絶大な優勢を保つことができる。 しかも我々が先制攻撃をすれば、他国の人口を大きく減らし、我々が再建する場合には、人口的な優勢を保つことができる」

「我が国の目下の任務は経済発展であって軍拡でないと主張する人もいるが、経済発展はすでにピークに達し  人口を有効に制限できない状況下では、貧窮人口を増やし、一握りの富裕階層の生活を維持していくだけだ」

「だから政府はすべての幻想を捨て、あらゆる力を集中して核兵器を増やし、10年以内に地球人口の半分以上を消滅できるようにしなければならない。  人口制限の愚策は早く捨て、人口をもっと増やし、そして計画的に周辺諸国に浸透させるべきだ。  たとえば密入国や、シベリア、モンゴル、中央アジアなど人口の少ない地域への大量移民を行わせる。  もし大量移住が阻止されたら、軍隊を派遣して先導させるべきだ。  全面核戦争が起きたら、周辺諸国に疎開した人口の半分と、農村へ疎開した人口の半分があるから、他国に比べて多くが生き残ることができる」

「我々にとってもっとも敵対する隣国は、人口大国のインドと日本である。  もし我々が彼らの人口を大量に消滅できない場合は、核大戦後は中国の人口が大量に減少し、日本とインドが我が国に大量移民することができるようになる」

「アメリカは強大な国力を保っているので、徹底的に消滅させないと、将来大患になる。  アメリカに対しては、我が国が保有する核の一〇分の一で充分だ。  台湾、日本、インド、東南アジアは人口密集の地域であり、人口消滅のための核攻撃の主要目標となる。  モンゴル、ロシア、中央アジアは人口が少ないので、核攻撃よりも通常地上部隊の占領だけで十分だ」

「中国人がもし大量に移民し、ロシア人と共棲すれば、ロシアは我が国に核攻撃はできなくなる。そのためには五億人ぐらいがシベリアに移民するだけで充分だ」

「核の第一撃があれば、利害関係を持つ国家間で核攻撃が起こる。もし事前に計画と準備があれば、我々にとってはきわめて有利だ」

「以上のことは数年後、必ず起こる。なぜならば人口問題は、いかなる人間にも根本的な解決は不可能だからだ。  歴史は必ず私の所説の正しさを証明してくれる」

「核大戦のなかで、我々は一〇〇余年来の重荷をおろし、世界のすべてが得られる。中華民族は必ず核大戦のなかで、本当の復興を得られる」


— 朱成虎、黄文雄著日本人が知らない中国「魔性国家」の正体p43~46より引用[9]

著書[編集]

「中米関係の発展変化及び趨勢」、「当代米国軍事」他多数。論文発表も200件を超える。

脚注[編集]

関連項目[編集]