東アジア地域包括的経済連携

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東アジア地域包括的経済連携
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通称・略称 RCEP
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東アジア地域包括的経済連携(ひがしアジアちいきほうかつてきけいざいれんけい、英:Regional Comprehensive Economic Partnership、略称:RCEP、アールセップ、域内包括的経済連携)は、東南アジア諸国連合加盟10ヶ国に、日本中国韓国インドオーストラリアニュージーランドの6ヶ国を含めた計16ヶ国でFTAを進める構想。英題のRCEPには「東アジア」の語は含まれないが、日本政府は、EAFTA、CEPEAと議論されてきたこと等から「東アジア地域包括的経済連携」という呼称をもちいている[1]

概要[編集]

従来、中国が2005年4月から提唱してきた「東アジア自由貿易圏(EAFTA(英語); ASEAN+3)」と、日本が2006年4月から提唱してきた「東アジア包括的経済連携(CEPEA; ASEAN+6)」が併存しており、双方について、これまで、民間研究および政府間の検討作業が実施されてきた。

2011年8月の日中共同提案「EAFTAおよびCEPEA構築を加速させるためのイニシアチブ」を受け、同年11月に、ASEAN首脳は両構想を踏まえ、ASEANとFTAを締結しているFTAパートナー諸国とのRCEPを設立するためのプロセスを開始することで一致した[2]

2012年4月に、ASEAN首脳は2012年11月の交渉立上げを目指すことで一致し、2012年11月20日カンボジアプノンペンでのASEAN関連首脳会議で交渉立ち上げ式が開催され、交渉開始が宣言された[3]

会合の日程[編集]

2013年5月9日5月13日の日程でブルネイにおいてRCEP第1回交渉会合が開催された[4][5]

2013年8月19日ブルネイにおいて第1回RCEP閣僚会合が開催され、今後の交渉の取り進め方等について議論が行われた[6]

2013年9月24日9月27日の日程でオーストラリアブリスベンにおいてRCEP第2回交渉会合が開催された[7]

2014年1月21日1月24日の日程でマレーシアにおいてRCEP第3回交渉会合が開催された[8]

2014年3月31日4月4日の日程で中国南寧においてRCEP第4回会合が開催された[9]

2014年6月21日6月27日の日程でシンガポールにおいてRCEP5回交渉会合が開催された[10]

2014年8月27日ミャンマーのネーピードーにおいて第2回RCEP閣僚会合が開催された[11]

2014年12月1日12月5日の日程でインドにおいてRCEP第6回交渉会合が開催された[12]

2015年2月9日2月13日の日程でタイにおいてRCEP第7回交渉会合が開催された[13]

2015年6月8日6月13日の日程で日本京都においてRCEP第8回交渉会合が開催された[14]

2015年7月13日マレーシアにおいてRCEP閣僚中間会合が開催された[15]

2015年8月3日8月7日の日程でミャンマーにおいてRCEP第9回交渉会合が開催された[16]

2015年8月24日マレーシアにおいて第3回RCEP閣僚会合が開催された[17]

2015年10月12日10月16日の日程で韓国釜山においてRCEP第10回交渉会合が開催された[18]

2016年2月15日2月19日の日程でブルネイにおいてRCEP第11回交渉会合が開催された[19]

2016年4月24日4月29日の日程でオーストラリアにおいてRCEP第12回交渉会合が開催された[20]

2016年6月12日6月18日の日程でニュージーランドにおいてRCEP第13回交渉会合が開催された[21]

2016年8月15日8月19日の日程でベトナムにおいてRCEP第14回交渉会合が開催された[22]

2016年10月17日10月20日の日程で中国の天津においてRCEP第15回交渉会合が開催された[23]

2016年11月3日11月4日の日程でフィリピンのセブ島において第2回RCEP閣僚中間会合が開催された[24]

2016年12月6日12月10日の日程でインドネシアにおいてRCEP第16回交渉会合が開催された[25]

2017年2月27日3月3日の日程で日本の神戸においてRCEP第17回交渉会合が開催された[26]

2017年5月2日5月12日の日程でフィリピンにおいてRCEP第18回交渉会合が開催された[27]

2017年5月23日ベトナムのハノイにおいて第3回RCEP閣僚中間会合が開催された[28]

2017年7月18日7月28日の日程でインドにおいてRCEP第19回交渉会合が開催された[29]

2017年9月10日フィリピンにおいて第5回RCEP閣僚会合が開催された[30]

2017年10月17日10月28日の日程で韓国の仁川においてRCEP第20回交渉会合が開催された[31]

2017年11月12日、フィリピンでRCEP交渉に参加する16ヵ国が閣僚会合を開き2018年以降も交渉を継続することを確認した[32]。当初目標としていた2017年内の合意は断念した[32]

2017年11月14日フィリピンマニラにおいてRCEP首脳会議が開催された[33]。同会合後、「RCEP交渉に係る共同首脳声明」[34][35]が発出された。

2018年2月2日2月9日の日程でインドネシアのジョグジャカルタにおいてRCEP第21回交渉会合が開催された[36]

2018年3月3日シンガポールにおいて第4回RCEP閣僚中間会合が開催された[37]

2018年4月28日5月8日の日程でシンガポールにおいてRCEP第22回交渉会合が開催された[38]

2018年7月1日、日本の東京において第5回RCEP閣僚中間会合が開催された[39][40]

2018年7月17日7月27日の日程でタイバンコクにおいてRCEP第23回交渉会合が開催された[41]

2018年8月30日8月31日の日程で、シンガポールにおいて第6回RCEP閣僚会合が開催された[42]

2018年10月13日シンガポールにおいて第6回RCEP閣僚中間会合が開催された[43]

2018年10月18日10月27日の日程でニュージーランドオークランドにおいてRCEP第24回交渉会合が開催された[44]

2018年11月12日、シンガポールにおいてRCEP閣僚会合[45]が開催された[46]。同会合では、年内の実質的な妥結に向けて、関係国と議論がおこなわれたが妥結にいたらなかった。

2018年11月14日、シンガポールにおいてRCEP首脳会議が開催された[47]。同会合後、「RCEP交渉に係る共同首脳声明」[48][49]が発出された。

2019年2月19日2月28日の日程でインドネシアバリにおいてRCEP第25回交渉会合が開催された[50]。この会合では、高級実務者レベルの貿易交渉委員会(Trade Negotiating Committee)会合に加え、物品貿易、サービス貿易、投資等の分野で市場アクセス交渉が行われるほか、原産地規則、知的財産、電子商取引等の分野で交渉が行われる予定とされている。

2019年3月2日カンボジアシェムリアップにおいて第7回RCEP中間閣僚会合が開催された[51]

2019年6月22日7月3日の日程でオーストラリアメルボルンにおいてRCEP第26回交渉会合が開催された[52]

2019年7月22日7月31日の日程で中国の鄭州においてRCEP第27回交渉会合が開催された[53]

2019年8月2日及び8月3日の日程で中国の北京において第8回RCEP中間閣僚会合が開催された[54]

2019年9月8日、タイのバンコクにおいて第7回RCEP閣僚会合が開催された[55][56]

2019年9月19日9月27日の日程でベトナムのダナンにおいてRCEP第28回交渉会合が開催された。高級実務者レベルの貿易交渉委員会(Trade Negotiating Committee)会合に加え,物品貿易,サービス貿易,投資等の分野で市場アクセス交渉が行われるほか,原産地規則,知的財産,電子商取引等のルール分野で交渉が行われた[57]

2019年10月12日、タイのバンコクにおいて第9回RCEP中間閣僚会合が開催された。各分野の交渉の現状が報告されるとともに,11月のRCEP首脳会合に向けた議論が行われた[58]

2019年11月1日、タイのバンコクにおいて閣僚準備会合が開催される。昨年の首脳合意を受け、年内の妥結に向けて閣僚間で議論を行う」[59]。従来、閣僚による会合は「第7回RCEP閣僚会合」とか「第9回RCEP中間閣僚会合」と命名されていたが、この会合は「閣僚準備会合」とされているがその理由は、開催発表には記載されていない。この会合には、日本から牧原秀樹 経済産業副大臣が出席[59]する。梶山弘志経済産業大臣が出席しない理由は、経済産業省の公式HPには掲載されていないが、新聞報道では「国会対応のため」と表明したとなっている[60][61]。なお日本経済新聞は、梶山経済産業大臣が「牧原副大臣は経産省にいた経験があり通商・交渉のプロ。成果を託す」と発言したと報道している[60]。これは、牧原副大臣が1995年に大学卒業後、1997年に弁護士となり国際通商分野の業務を行ったのち、2003年から2005年まで経済産業省において通商交渉、紛争担当となったこと[62]を指している。2019年11月1日の記者会見で、梶山経済産業大臣は「衆議院の経済産業委員会が予定をされておりまして、私の所信質疑[注釈 1]が行われる可能性があります。RCEPの閣僚会合の出張は、そのために見合わせました。」と表明した[64]。RCEPの閣僚会合のため日程の変更を申し入れた等の発言はなかった。

2019年11月4日、タイのバンコクにおいて第3回[注釈 2]RCEP首脳会議が開催された[65][67]。なお日本政府の発表文では「安倍総理は、ASEAN関連首脳会談に出席するため、11月3日から5日までタイを訪問します。また、この機会にRCEP首脳会議と日メコン首脳会議にも出席をする予定」[67]と付随的な扱いになっている。同会合後、「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)に係る共同首脳声明」[68][66]が発出された。

2020年2月4日に、インドネシアバリにおいて首席交渉官会合が開催された。インドは会合を欠席した。[69][70]。なおこの会合について日本国政府のHPでの発表は確認できない。

2020年4月8日及び4月9日の日程で、ベトナムダナンにおいて予定されていたASEAN首脳会議を、6月末に延期することを決定、その旨をASEAN各国首脳に連絡したと、2020年のASEAN議長国であるベトナムが発表した[71]。直接の発表はないが、RCEP首脳会議は、ASEAN首脳会議に合わせて行われていることから、RCEP首脳会議も6月に延期となる。

2020年4月20日4月24日の日程でRCEP第29回交渉会合が開催される。今回の会合は、新型コロナウィルス感染症をめぐる状況に鑑み、テレビ会議の形で行われる[72]。日本経済新聞の報道によるとインドは欠席した[73]。4月30日になって首席交渉官会合共同声明の発出がされた[74]。これによりインドの欠席及び会合が4月20日,22日及び24日に行われたことが公式に確認された。

2020年5月15日5月20日の日程でRCEP第30回交渉会合が開催される。第29回交渉会合と同じく、新型コロナウィルス感染症をめぐる状況に鑑み、テレビ会議の形で行われる[75][76]

進捗状況[編集]

第23回交渉会合(2018年7月)[編集]

第23回交渉会合が2018年7月17日から27日までの日程でタイ・バンコクにおいて開催され、物品の関税分野や貿易・投資のルール作りなどで協議を進めた。今回の会合で新たに「税関手続き・貿易円滑化」「政府調達」の2分野で実質的に妥結。これら主要な2分野の決着により、年内の実質妥結を目指すスケジュールが維持された。

2013年5月に交渉を開始してから、全18の交渉分野中、既に「経済技術協力」「中小企業」の2分野が妥結されており、今回の妥結で残る交渉分野は14分野となった [77]

第6回RCEP閣僚会合(2018年8月)[編集]

第6回RCEP閣僚会合が2018年8月30日から8月31日までの日程で、シンガポールにおいて開催された[78]。会合終了後の共同メディア声明により発表された会議の結果の主要な部分は次のようである[78][79]

閣僚は、第23回交渉会合において、更に2つの章、すなわち、税関手続・貿易円滑化章及び政府調達章の妥結を歓迎した。現在までに妥結した章は、全体で4となった。閣僚は、他の章の交渉も軌道に乗っており、幾つかの章が妥結に近いことを評価するとともに留意した。 閣僚は、貿易交渉委員会が作成した年末の成果パッケージを採択するとともに、パッケージに定められた目標を達成するための計画を歓迎した。閣僚は、交渉官に対して、前向きなモメンタムを活用し、互恵的で公正な妥結に向けて交渉を迅速に進めるよう指示した。この目的のために、閣僚は、交渉官に、本年末までにパッケージの各目標を達成すべく、最大限努力するよう指示した。閣僚は、パッケージの達成が本年のRCEP交渉の実質的な妥結を意味するものとなることにつき、期待を表明した。

RCEPを妥結させるとともに、包括的な、質の高い、互恵的な経済連携協定を達成するというコミットメントを再確認した。

採択された「成果パッケージ」の具体的な中身は明らかにされていないが、時事通信は「成果パッケージの達成がRCEPの実質的な妥結を意味するとしており、参加国は年内の妥結に向けて交渉を加速する」と報道している[80]

第6回RCEP閣僚中間会合(2018年10月)[編集]

第6回RCEP閣僚中間会合が2018年10月13日に、シンガポールにおいて開催され、会合終了後の共同メディア声明により会議の結果が次のように発表された。

閣僚は、市場アクセス交渉の強化を歓迎した。閣僚は、懸隔が一定程度縮まったことを評価する一方で、更なる改善の必要性を強調した。閣僚は、ルールに関する他の章の交渉の進捗に留意するとともに、全てのRCEP交渉参加国が年末の成果パッケージの各目標の達成のために引き続き最大限努力をするよう促した[81][82]

時事通信は、次のように報道した。

会合に出席した世耕弘成経済産業相は会合終了後、記者団に「前回8月のシンガポールでの閣僚会合から相当な進展があった。年内妥結に向けていよいよ大詰めの段階に入った」との認識を示した[83]

今後の予定については、経済産業省はHPにおいて次のように公表した。

今後は、10月18日~27日にニュージーランドで首席交渉官レベルの交渉会合を行った後、11月に開催予定のRCEP首脳会議に先立ち、首脳への報告内容について議論を行うため、RCEP閣僚会合を開催することで一致した[84]

第24回交渉会合(2018年10月)[編集]

第24回交渉会合が2018年10月18日から10月27日までの日程でニュージーランドオークランドにおいて開催され、物品の関税分野や貿易・投資のルール作りなどで協議を進めた。今回の会合で新たに「紛争解決」の分野で実質的に妥結。この決着により、年内の実質妥結を目指すスケジュールが維持された。

2013年5月に交渉を開始してから、全18の交渉分野中、既に「経済技術協力」「中小企業」「税関手続き・貿易円滑化」「政府調達」の4分野が妥結されており、今回の妥結で残る交渉分野は13分野となった[85]

RCEP閣僚会合(2018年11月)[編集]

第6回RCEP閣僚会合が2018年11月12日に、シンガポールにおいて開催された。閣僚会議についての公式声明は発表されておらず、経済産業省のHPは、つぎのように議論を行ったことのみの発表を行った。

これまでの交渉の進捗を踏まえ、残された論点について閣僚間で集中的に議論するとともに、14日のRCEP首脳会議でいかに首脳に成果を報告するかについて議論を行いました。

毎日新聞は、次のように報道した。

インドが交渉進展に慎重な姿勢を示したため、各国閣僚は目標としてきた年内の「実質妥結」を断念せざるを得ないとの認識で一致した。各国は来年もRCEP交渉の協議を続け、早期妥結を目指す[86]

RCEP首脳会議(2018年11月)[編集]

RCEP首脳会議が2018年11月14日に、シンガポールにおいて開催され、2018年におけるRCEP交渉の実質的な進展を歓迎するとともに、現代的で、包括的な、質の高い、かつ互恵的なRCEPを2019年に妥結する決意が示された[46]。会合後、「RCEP交渉に係る共同首脳声明」[48][49]が発出され、このなかで、7つの章,すなわち経済技術協力章、中小企業章、税関手続・貿易円滑化章、政府調達章、制度的規定章、衛生植物検疫措置章及び任意規格・強制規格・適合性評価手続章が妥結したことを明記するとともに、市場アクセス交渉について「妥結は手の届くところまできているが、残された懸隔を解消するための作業は必要である。16か国の交渉参加国間における地域のサプライチェーンの潜在的な拡大及び深化を阻害しないようにしつつ、全ての交渉参加国が他の交渉参加国と必ずしも二国間の自由貿易協定を有しているわけではないことについて特別な配慮を行う必要がある可能性がある。」とした[注釈 3]

第7回RCEP閣僚中間会合(2019年3月)[編集]

第7回RCEP閣僚中間会合が2019年3月2日カンボジアシェムリアップにおいて開催され、直前まで行われた第25回交渉会合の結果を受けて、市場アクセス及びルール交渉の進展を評価する一方、今後取り組むべき作業について確認をし、今後は、特に議論の加速が必要な分野について追加的に交渉会合を開催するとともに、今年8月に次回閣僚会合を開催することが合意された[87]。会合終了後の共同声明[88][89]によると、市場アクセス及びテキスト交渉の双方について、これまでの良い進展を評価する一方で、双方の交渉を進めるために取り組むべき多くの作業があることを認識したとなっている。

第8回RCEP閣僚中間会合(2019年8月)[編集]

第8回RCEP閣僚中間会合が2019年8月2日および8月3日の日程で中国の北京において開催された。共同声明では「過去3回の交渉会合における市場アクセス及びテキスト交渉が進展したことを評価した」「特に、電気通信サービス附属書、金融サービス附属書及び自由職業サービス附属書が妥結し、これまでに7つの章と3つの附属書が妥結し、残りの一部の章及び附属書が妥結に近いことを留意し、市場アクセス交渉の3分の2以上が相互に満足のいく結果に至り、残りの分野についても、あらゆるレベルにおける建設的なエンゲージメントを通じて、交渉が活性化していることを評価した」と発表された。2019年9月にタイ・バンコクにおいて次回閣僚会合を開催することとなった。[90][91][92]

第7回RCEP閣僚会合(2019年9月)[編集]

第7回RCEP閣僚会合が2019年9月8日に、タイのバンコクにおいて開催された。閣僚会合共同メディア声明では「閣僚は交渉官に、交渉を終結させるために必要なリソースや権限を与えることを約束し、今月後半に行われるダナン交渉会合に臨ませることとした」と発表された[93][94][95]

時事通信は、「新たに合意した分野はなく、目標とする11月の首脳会合で妥結できるかは予断を許さない[96]」と報道した。また同じ報道のなかで、世耕弘成経済産業相は会合後の記者会見で、「論点は絞られている。合意に持っていかなければならないという各国の決意は非常に強い」と発言したと報じるとともに発言について「強調した。」との創作性のある表現をした[96]

第28回交渉会合(2019年9月)[編集]

RCEP第28回交渉会合が2019年9月19日9月27日の日程でベトナムのダナンにおいて開催された。「大きな進展には至らなかった。10月12日にバンコクで閣僚会合を開き、局面の打開を図るが、目標とする年内妥結へ明確な道筋は依然見えていない」[97]という報道と「約20分野のうち利害が対立する関税など残る半数の項目を中心に議論を進めた。年内の大筋合意に向け10月12日にタイのバンコクでの閣僚会合を新たに設定し各国がギリギリの調整を進める」というやや前向きな報道[98]とがあった。日本の外務省の吉田泰彦経済局審議官は27日の会合終了後に「引き続き年内に妥結するため努力していく」と述べたが、今回の会合での進展については明らかにしなかった[98]

第9回RCEP中間閣僚会合(2019年10月)[編集]

第9回RCEP中間閣僚会合が2019年10月12日に、タイのバンコクにおいて開催された。「共同声明は見送りとなり閣僚、重要分野合意至らず、16カ国は11月初めの首脳会合での妥結を目指しているが、実現できるかどうか不透明な情勢」と悲観的な報道[99]と、「あと一歩のところまできた。(年内妥結に向けて)20ある交渉のうち18分野まで合意に達した」と楽観的な報道[100][101]が錯綜している。日本の経済産業省HPは、「閣僚間では、前回の閣僚会合以降、新たに7つの章、1つの付属書が妥結するなど、交渉に相当の進展があったことを歓迎」と発表[102]したが具体的にどれが合意したかは発表していない。RCEP中間閣僚会合に関連して、インドはセーフガード導入を求める方針を明らかにしているが、同時に「関係筋によると、インドはセーフガードの導入で一部の国と基本合意」と報道されいるため合意に促進要因であるか阻害要因であるか不明である[103]

閣僚準備会合(2019年11月)[編集]

閣僚準備会合が2019年11月1日に、タイのバンコクにおいて閣僚準備会合が開催された。関税、投資などの重要分野を協議したが閣僚会合では合意にいたらなかった。これについては、2019年10月の中間閣僚会合の報道では楽観的な方向であった時事通信が「年内妥結困難」と伝える一方[104]、共同通信は「首脳会合での妥結は不透明」と中間閣僚会合の報道と同様なトーン[105]であるが、各報道も最後の争点は、関税についての中印の意見の隔たり、なかんずくインドが妥協するかであることでは一致している[106][107]

その後非公式の交渉が継続されたが、妥協にいたらず、年内妥結困難で報道が一致した[108][109][110][111][112][113][114]

第3回RCEP首脳会議(2019年11月)[編集]

共同声明[編集]

第3回RCEP首脳会議が2019年11月4日に、バンコクにおいて開催され、共同声明で「全20章に関する条文ベースの交渉及び15か国の基本的に全ての市場アクセス上の課題への取組みを終了したことに留意し,2020年における署名のために15か国による法的精査を開始するよう指示した。」[68]とインドを除く15カ国が全20分野の交渉を妥結したとして2020年中の協定署名に向けた手続きを進めることが発表された[115]。この共同声明により、15カ国がいわゆる「大筋合意」に達したと言ってよいという見方もされている[116]。インドに対しては、共同声明は「インドには、未解決のまま残されている重要な課題がある。全てのRCEP参加国は,これらの未解決の課題の解決のために,相互に満足すべき形で、共に作業していく。インドの最終的な決断は,これらの未解決の課題の満足すべき解決にかかっている。」[68]とした。

インド離脱表明[編集]

インド外務省のビジェイ・シン局長は首脳会議後の記者会見で、「インド政府は首脳会合でRCEPに参加しない決定を伝えた」と述べ、交渉から撤退する考えを明らかにした[117][118]。中国が主導するRCEP交渉で市場アクセスを巡る懸念が対応されず、自国の農業、消費部門が影響を受けるとして参加を見送るもの。好調な経済成長を続けてきたナレンドラ・モディ政権で初めて景気が減速し[119][120]、莫大な対中貿易赤字も抱えていることから参加に慎重なインドを除外した枠組みを主張していた中国の要求[121]通りになったと報じられた[122]。インドの離脱を受けて「インド抜きの協定となる可能性が高まってきた」[117]との報道もされる一方で、「離脱なら枠組み瓦解」とする報道[123]もされ、見通しは不透明である。日本の梶山経済産業大臣は、11月5日の閣議後記者会見で、引き続き「インドを含めた16カ国で署名を目指す」と述べた[124][125]。また、梶山経済産業大臣は「インドがRCEP交渉から離脱・撤退するといった事実関係は確認ができていない」とも発言した[125]。また時事通信は「日本政府は「(離脱言及は)交渉戦術上の話だ」(関係者)と受け止めており、インドの残留を重要課題と位置付けて他国への働き掛けを強める構え」[126]と伝えた。

インド離脱表明への反応-日本の各紙の社説[編集]

インド離脱表明を受けての日本の各紙の社説は、インドへの対応については、「インドが離脱しないよう粘り強く働きかける(毎日)」[127]、「粘り強くインドに復帰を促すことが重要(読売)」[128]、「インドを取り込む努力を続け、16カ国による完全なRCEPを何とか実現してほしい(日経)」[129]、「各国はインドを孤立させてはならない。国内事情にも配慮して交渉につなぎ止めるべきだ。(京都)」[130]「インドが離脱しないよう粘り強く働きかける(産経)」[131]、とインドを含む合意が必要であるという意見では一致している。しかし、具体的な方法については、京都新聞が「各国の現実に即した交渉を進めてほしい。自由貿易一辺倒ではなく、緩やかな連携でいいはず」[130]と更なるインドの自由化水準の引き下げも必要と論じたほかは、日経の「参加国の交渉妥結に尽力してほしい[129]」、「インドが離脱しないよう粘り強く働きかけるべき(産経)[131]」等、抽象的な努力を求めるにとどまっている。なお朝日新聞は、首脳会議以後、社説でRCEPについて言及していない[132]

インド離脱の論評、分析[編集]

インド離脱については、ウォールストリートジャーナルのコラム「ハード・オン・ザ・ストリート」は、「アジアのRCEP、インド離脱で張り子の虎に」の見出しのもと、「中国にとって環太平洋経済連携協定(TPP)の代わりになる可能性を秘めたものであり、マンモスと評されていたが、マンモスよりもネズミに近いものに向かっている」と論評した[133]

日本経済新聞電子版2019年11月16日に掲載されたシンガポール国立大学リー・クワンユー公共政策大学院のJ・クラブツリー准教授は「インドの離脱姿勢は、歴史的な大失態としか言いようがない」「もちろん、離脱姿勢は、譲歩を引き出すために強硬に臨むという交渉戦術かもしれない。ただ、RCEPがインド抜きで前進し、経済的な指導力を発揮したいというインドの目標に大きな疑問が生じる公算のほうが大きそうだ。」と評した[134]

東洋経済は、次のように状況をまとめている。「RCEPの交渉開始時に、中国が提唱したASEAN+日中韓に対抗して、日本がインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた16か国による交渉を提唱し、かつ、TPP並みの高い自由化を求めていたとし、中国、インドが消極的であった。これが、米中摩擦の激化によって中国はRCEPに活路を求め、交渉に積極的になったのに対し、インドはなお消極的であったが、最近のインドはRCEP交渉にがぜんやる気を見せてTPP並みとはいかずとも日本政府も納得できる水準で交渉はまとまり、2020年2月までには妥結が可能と思われた。それがドタキャンと表現するインドの姿勢の急変で合意の見通しが白紙となった。12月には安倍首相のインド訪問が予定されており、日本がインドにどんなボールを投げるかを参加国は注視している。一貫してインドを重視してきた安倍首相のスタンスからすれば、インドのRCEP交渉復帰に向けて経済協力などさまざまな手土産を持参するとみられる。(要約)」[135]

安倍首相のインド訪問については、2019年12月15日から3日間の日程であると日印外交筋が19日、明らかにしたとの報道がある[136]。インドの離脱については、「関税引下げ問題というより、関税引き下げに見合う専門職業の相互承認協定(MRA)等インドの関心事項に十分な手当てをしてきたとは言えないことが原因であり、MRAについてASEAN+6のなかで最も消極的なのはおそらく日本であり、もし日本が、RCEPにMRAを重要な要素として取り入れる努力をするとコミットするなら、インドは交渉に戻ってくるであろう、専門職業の移動の自由でさらなる譲歩ができないか再検討すべきである、との指摘がだされている[137]。この指摘は更に、「インド抜きではRCEPが瓦解するとの見通しもあるが、むしろインド抜きで交渉がラスト・スパートに入るであろう。中国は是が非でもRCEP交渉を来年中に纏めようとするだろう。中国はインドの参加よりも、RCEPの交渉妥結を重視したわけであるが、今後、日本の参加よりもRCEPの交渉妥結を重視するかもしれない。」としている。

ジェトロのビジネス短信は、11月11日付の複数の地元紙が報じたとして「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の交渉からインドが離脱したとしても、2020年の協定署名を目指す残り15カ国が妥結すれば、フィリピン経済にとってプラスとなる、とフィリピンの複数の専門家や政府高官、企業が主張している」と伝えた[138]

日本経済新聞電子版2019年11月27日は、ニューデリー発として「国内景気の減速でモディ政権の支持が急落し、農家がさらに離反することへの焦りが背景にある。大票田に目配りする一方、対外向けには交渉に残る」との記事を掲載し、「まだインドから交渉を離脱するという正式な通知は何も来ていない」。インドネシア政府のRCEP交渉筋は首をかしげる。もし本当に離脱するなら窓口である同国政府に外交文書で伝える必要があるが、首脳会合後も連絡がなく、「インドは来年も交渉に参加する可能性が残る」とみる。」との記事を掲載し今後まだ事態が流動的であることを報道した[139]

今後の見通し[編集]

今後の見通しについては、ネットコラムにある分析では、「中国が主張する15か国による先行合意となる可能性が高まっている(野村総合研究所)[140]」、「インドの離脱はRCEPの意義を減じることになるため、16カ国による合意に向けた努力は続けられるべきだが、15カ国による先行署名によってインドの参加を促すという方法も検討すべきではないか[116]」と先行合意の可能性が高くなっている分析がされている。先行合意後でも「今後の条件次第では、インドが改めて交渉に復帰する可能性もある(ニューズウィーク)[141]」、「インドは脱退の意向を示したが、国内経済の回復に伴って再びRCEPに加入する公算が大きい(ロイター)[142]インドの復帰の可能性は十分にあるとされており、その場合、法的な手続として先行協定では「門戸を開くべきとの見地からまったくの新規加盟の扱いではなく、関税について約束をしたインドについての付属書を添付してメンバーになる方式(関税と貿易資料室[143]」となるのではないかとされている。

オーストラリアは、政府のHPにおいて、”Australia will work towards signature of the RCEP Agreement in 2020.”(オーストラリアは、2020年のRCEP協定の署名に向けて作業する。)と表明した[144]。バーミンガム外交貿易大臣は“Substantial progress has been made with 15 of the 16 RCEP countries committing to finalise minor outstanding matters within months and proceeding to signing this deal next year,”( RCEP16カ国のうち15カ国が、数カ月以内に未解決の重要な問題を最終決定し、来年にこの協定に署名することを約束し、大きな進展があった。)と表明し15か国による合意を強調した。さらに“Australia will also look to expand the value of RCEP by working with India on its outstanding issues, with a view to having it also sign the deal, while continuing to actively pursue implementation of our India Economic Strategy.”(オーストラリアはまた、インドとの間で未解決の問題に関する協力を行うことでRCEPの価値を拡大し、インドとの間でも協定に署名することを目指している。)[145]、としインドの復帰をめざすことも表明したが、インドの復帰がない場合に全体の合意をしないということにはしていない。

2019年11月22日のニューデリー発の共同通信は、(RCEP)交渉を巡り、インドは200品目の緊急輸入制限(セーフガード)を要求し、中国からの輸入品に他の交渉参加国より高い関税を課すことも主張したと伝えた[146]。記事は「中国は強く反発。交渉は一段と難航しそう」との見通しを行い、また「参加国は2020年中のRCEP協定署名を目指すがインドは交渉に期限を設けない方針」とも伝えた[146]。インド抜きに15か国で先行合意となるか16か国の合意を目指して更に交渉が長期化するかの見通しについてはこの記事はふれていない。

2019年11月29日、牧原秀樹経済産業副大臣は、ブルームバーグのインタビューで、RCEPについて、インド抜きでの妥結は「全く考えていない」との考えを示した。更に交渉の見通しについて「15カ国はほぼ間違いなく合意ができる」とする一方、インドを巡る状況は国内事情などで「大変シビアになってきている」と述べた[147]

2019年12月10日、経済産業省のHPによると、梶山経済産業大臣は、インドを訪問し、ゴヤル商工大臣と会談し、RCEP及びインドの産業競争力強化に向けた協力について意見交換し、梶山大臣より、RCEPについて、インドの参加に向けてともに課題に取り組む旨を述べた上で、率直な議論を行った[148]。HPでは結果については記述はない。

報道では、朝日新聞が「反応はつれない。」、「ゴヤル氏は会談直後の議会で、「貿易赤字の問題がありRCEPには参加しない」との見解を改めて表明。会談後のインド政府の発表資料では「日本との貿易赤字が問題だと指摘した」とし、今回の支援策だけでは日本の説得には応じない姿勢を見せた。」と報道[149]した。

安倍首相は、12月17日までインド訪問し、アッサム州のグワハティで、モディ首相との首脳会談のほか、両国の経済団体による会合への出席も予定していた。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)についても、インドを含む16カ国での妥結に向けて交渉をリードしたいと意欲を見せていたが、現地の治安悪化を理由に延期された[150]

日本経済新聞電子版2019年12月11日は、マレーシア貿易産業相のインタビューとして「「インド抜きで妥結が可能か前向きに考えるべきだ」と述べ、まず15カ国での妥結をめざす考えを明らか」にしたとの記事を掲載し、更に「一方で「妥結から発効までにも猶予はある。対話を続けることが重要だ」と語り、インドが妥結後に参加する可能性を示唆した」と報道した[151]

更に同じ日本経済新聞電子版2019年12月11日は、オーストラリアのバーミンガム貿易・観光・投資相のインタビューとして「インドが残留するよう最善を尽くすが、そうでない場合にも対処する」と、インド抜きでの合意の可能性を示唆した。同時に「インドが離脱しても、豪州や残る国には恩恵がある」との見方を示した。」と報道した[152]

2019年12月22日に北京で第12回日中韓経済貿易大臣会合が開催された。日本の経済産業省は「RCEPについては、16カ国でのRCEPの早期署名に向け、今年11月に発出された共同首脳声明に基づいてより一層の努力をすることで一致」と発表した[153]。ただし発表された共同声明では「2019年に発表されたRCEPに関する共同首脳声明におけるコミットメントを再確認する。」という表現[154][155]であり、16カ国での署名に明言した表現はない。毎日新聞は「今回の会合で梶山氏は「15カ国で署名すれば、後から参加することが難しくなる」と指摘し、インドを含めた16カ国での署名を目指す考えを示した」と報道した[156]

2020年2月20日の産経ニュースは、「日本政府、難航するRCEP交渉でインド取り込む“プランB”を模索」と伝えた[157]。ここで、プランAとは、あくまでもインドを含めた16カ国による完全な合意であるが、日本政府もインドの反対で今年も妥結できなければ、RCEP交渉そのものが漂流しかねないとの危機感を抱き始めているとの前提で、次善策として“プランB”、具体的な内容としては、「中国とインドの間で関税協定を設けない」、「15カ国によるRCEPの枠外でインドと日本・オーストラリアなどが貿易協定を結び、その上で将来的なインドのRCEP合流を目指す」案を「頭の体操として練り始めている」(経済官庁幹部)と報道している。日本政府がプランAであるインドを含めた完全合意を目指す考えに変わりはないとも報じているが、記事の内容からプランBは、形式的にインドをRCEPに残すが、実質的にはインド抜きでの合意を目指すものだとの論評が発表されている[158]

2020年3月11日、ベトナム中部ダナンでASEAN10カ国のみの関係閣僚会合が開催された。これについて日本経済新聞電子版2020年3月11日は、「交渉離脱を示唆したインドの参加の有無を問わず年内妥結をめざし、インドの交渉復帰を促しつつも、「インド抜き」でも参加国に大きなメリットがあることを確認。 」と報道した[159]

第29回交渉会合(2020年4月)[編集]

RCEP第29回交渉会合がテレビ会議の形で2020年4月に行われると発表されているが[72]、これに関連してバンコックポスト電子版は、タイの貿易交渉局長であるオーラモンシュータウィートゥム氏の発言として「協定の法的文書の精査を扱う作業部会はすでに6つの章を終えており、残りの14の章について作業している」と伝えた[160]。バンコックポストの報道は更に「協定の法的文書の精査は7月までに終了する必要があるため、RCEPメンバーは、ベトナムのアセアンサミットで年末に協定に正式に署名する前に、十分な検討の余地がある」と述べた[160]と伝えている。また発言の引用でなくンコックポストの報道は記事自体で「インドの有無にかかわらず、RCEPは今年の公式署名が予定されており、2021年中または2022年1月に発効」とも伝えている[160]

RCEP第29回交渉会合の結果について、日本経済新聞は、「インドを含めた16カ国での妥結をめざすことや現時点の交渉の進捗、今後の進め方を確認した」と報道する一方「日本はインドを含めた交渉妥結をめざす立場だが、交渉参加国の中にはインド抜きの妥結を容認する声もある」とも伝えた[73]。会合終了後6日後の4月30日、会合共同声明(英文仮訳)の発出がされた。会合終了から共同声明の発出まで時間を要した理由及び会合での交渉の進捗については、声明においてふれられていない。声明は、「2020年におけるRCEP協定の署名へのコミットメントを再確認」、「インドをRCEPの貴重な当初からの参加国であることを認識し,インドがRCEP交渉に復帰することを歓迎する」などと述べている。なお共同声明の発出については外務省HP[74]のほか、経済産業省HP[161]でも公表されたが、いずれも発出の事実と声明の仮訳を掲載しているのみである。

2020年5月4日のインドのThe Economic Timesは、「RCEPの印度以外の15のメンバーが、インドが復帰するための関税と特別セーフガードについての提案をまとめ、インドに5月15日までに最初の対応を伝えるように求めた。」と報じた[162]。これは同時に「この提案は4月にインドの復帰を求めた声明後に行われた」とも伝えており、会合の終了後6日後の共同声明の際に、インド向け提案の協議が行われたことを示唆した。

2020年5月17日のインドのThe Defence Newsは、「インドが、RCEPへの復帰についての提案を拒否し、RCEPに参加しないという決定を強化し、再検証した」と報道した[163]

2020年5月18日の中国の人民網日本語版は、商務部(省)副部長兼国際貿易交渉副代表の王受文氏の記者会見での発言として北京青年報が伝えたとして、、RCEPの進捗状況について「15ヶ国はRCEP協定文書の交渉をすでに終え、市場参入に関する全ての交渉を実質的に終えており、各方面に文書の法的精査を行うよう要求し、2020年の調印を目指している。文書の法的精査はすでに80%近くが終わっており、6月末までに完了することを目指す」と報道した[164]

第30回交渉会合(2020年5月)[編集]

RCEP第30回交渉会合の結果について、日本経済新聞は、「20年中の合意をめざし、交渉からの離脱を昨年示唆したインドへの対応や2国間の具体的な関税削減率などについて協議」と報道したが、具体的な進展については触れていない。また「外務省によるとインドは4月に続き欠席した」とも伝えた[165]。。

RCEPの構成・内容[編集]

RCEPの全20章となる構成のタイトルが、2019年11月4日のRCEP首脳会議の共同声明で初めて以下のように公表され[68]た。

(1)冒頭の規定及び一般的定義、(2)物品の貿易、(3)原産地規則(品目別規則に関する附属書を含む)、(4)税関手続及び貿易円滑化、(5)衛生植物検疫措置、(6)任意規格、強制規格及び適合性評価手続、(7)貿易上の救済、(8)サービスの貿易(金融サービス、電気通信サービス、自由職業サービスに関する附属書を含む。)、(9)自然人の移動、(10)投資、(11)知的財産、(12)電子商取引、(13)競争、(14)中小企業、(15)経済及び技術協力、(16)政府調達、(17)一般規定及び例外、(18)制度に関する規定、(19)紛争解決、(20)最終規定

条文が公表されていないもの、断片的な情報からは、RCEPが自由化とルールについて、CPTPPの水準に可能な限り近づけたい先進国と、より緩やかなものを望む新興国との妥協による内容となっているものの、一定程度「質の高い」協定となっていることが期待される、との分析がだされている[116]

オーストラリアは、政府のHPにおいて各章の概略を公表した。具体的な内容までは発表していないが合意のレベルについておおまかな言及をしている[166]。そのなかでも知的財産権については”RCEP’s Intellectual Property Chapter reflects a shared commitment by RCEP Parties to effective and balanced intellectual property systems, consistent with Australia’s existing intellectual property regime. RCEP will not require any changes to Australian intellectual property laws or policies and does not include specific commitments in relation to pharmaceutical patents or products.”(RCEPの知的所有権章は、オーストラリアの既存の知的所有権制度と整合的な、効果的でバランスのとれた知的所有権制度に対するRCEP参加国の共通のコミットメントを反映している。RCEPはオーストラリアの知的所有権法や方針の変更を要求するものではなく、医薬品特許や医薬品に関連する特定の約束を含んでいない。)とかなり踏み込んだ発表を行い、医薬品特許に関する懸念に対応している。

問題点[編集]

秘密裏交渉[編集]

TPPと同様に交渉過程や内容が非公開であり、リークに頼る以外は市民がRCEPについて知ることができない[167]

薬価高騰[編集]

地球の全人口の約半分(特にサブサハラ地域)がインドや中華人民共和国からの低価格のジェネリック医薬品に頼っている[168]。そして国境なき医師団結核マラリアおよびHIVといった病気に対処するために購入する全薬品の66パーセントがジェネリック医薬品である[168]。RCEPの特許・知的財産権条項は、アジア・アフリカの人々のジェネリック医薬品へのアクセスを遮断しうる。リークされた文書によると、ジェネリック医薬品の流通を抑え、薬価高騰へとつながるような条項を日本と韓国がRCEPに入れようとしているのだという。それはWTO基準をこえて製薬企業に特許の権限を与えるような条項である。

試験データ保護は薬剤に関して言えば特許を超える法的な独占的保護であり、保護期間は政府は特許薬剤と似たようなデータを使う薬剤を認可できず、ジェネリック医薬品の市場への流通が遅れるのである[169]

インド政府は薬剤特許に規制を設け、薬へのアクセスを維持し製薬会社の収益に干渉することが可能である。だが投資分野ではISDSのような条項が含まれており、製薬会社がそのインド政府を訴えることが可能になる[168]。インドは「発展途上地域の薬局」として知られているが、国境なき医師団によればもしRCEPが合意にいたると、インドはこの地位を失うのだという[169]

関連項目[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 所信表明は、2018年10月30日の衆議院経済産業委員会で行われている[63]
  2. ^ 外務省HP[65]で、「第3回RCEP首脳会議の開催」、共同発表[66]でも"3rd RCEP Summit."とされているが、2017年11月[33]、2018年11月[47]の首脳会議では、「第〇回」とはされず、単に「首脳会議」とされいる。
  3. ^ 主としてインドと中国の関係を念頭に二国間の自由貿易協定のない国間において、関税引下げ撤廃の例外扱いを許容する可能性を示唆しているものと見られる。

出典[編集]

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