東京市史稿

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東京市史稿』(とうきょうししこう)は東京市及び東京都によって継続して刊行されている編年体歴史書。平成25年(2013年)現在で全11篇177巻に及び、現在も産業篇の編纂が続けられている。

本来は東京市の歴史を編纂する事業であったが、江戸時代以前の歴史も参考として収められることとなり、実際にはこちらが内容の大半を占めている。

沿革[編集]

明治34年(1901年)1月21日、東京市参事会員中鉢美明建議による「東京市政ニ関スル沿革史ヲ調査編纂スルノ議」が25日可決され、東京市沿革史編纂委員が設置された。編集の中心となったのは史論史学の系譜を引く歴史家・塚越芳太郎である。内容は「明治元年ヨリ三十四年度ニ至ル本市ニ関スル制度ノ沿革ヲ調査編纂スル」ことであった。翌年3ヶ年事業とされ、毎年予算が配分されたが、明治37年(1904年)には日露戦争により予算が縮小し、延期を余儀なくされた。

明治40年(1907年)には資料が整い、4月に起稿、具体的な編集方針が定められた。篇立はとりあえず以下の通りとし、全篇の完成を待たずに脱稿した篇から「東京市史稿」と題して出版されることとなった。

昭和18年(1943年)の東京都制施行後も事業は東京都に引き継がれ、現在は東京都公文書館が産業篇の編纂を継続している。

計画時の構成[編集]

  1. 総記 東京市史
  2. 各記第一 東京市地史
    • 総記
    • 前記一 立市前ノ沿革
    • 前記二 徳川氏時代ノ沿革
    • 本記 維新以来ノ沿革
    • 附記 東京市地史年表
    • 各記一 皇城史
    • 各記二 市街史
    • 各記三 港湾史
    • 各記四 河渠史
    • 各記五 池沼史
    • 各記六 道路史
    • 各記七 橋梁史
    • 各記八 上水史
    • 各記九 下水史
    • 各記十 遊園史
    • 各記十一 墓地史
    • 各記十二 変災史
  3. 各記第二 東京市政史
  4. 各記第三 東京市産業史
  5. 各記第四 東京市交通史
  6. 各記第五 東京市教育史
  7. 各記第六 東京市宗教史
  8. 各記第七 東京市衛生史
  9. 各記第八 東京市兵事史
  10. 各記第九 東京市救済史
  11. 各記第十 東京市文芸史
  12. 各記第十一 東京市風俗史
  13. 各記第十二 東京市外事史
  14. 各記第十三 東京市民史
  15. 附記 東京市発達年表

明治の市政史のみを記述する当初の計画から、東京の歴史全体に対象が拡大したことがわかる。また、あくまで「前記」としてではあるが、江戸時代以前の歴史も記述の対象となった。

この内実際に刊行されたものは一部であるが、基本的な枠組みは変わっていない。もっとも時代が下ると目次の数字も乱れている。

実際に刊行された各篇[編集]

一般的には「東京市地史」以下の各記と「産業史」「宗教史」「救済史」も同列に並べられる。

  • 『皇城篇』全5巻 - 明治44年(1911年)から大正7年(1918年)にかけて刊行、江戸城やそれ以前の時代も含め、明治28年(1895年)5月までを収める。
  • 『御墓地篇』全1巻 - 大正2年(1913年)刊行。『皇城篇』から分立した。元治元年(1864年)の山陵奉行設置から明治19年(1886年)までの記事を収める。
  • 『変災篇』全5巻 - 大正3年(1914年)から大正6年(1917年)にかけて刊行、第1巻に震災、第2,3巻に風水災、第4,5巻に火災を収める。
  • 『上水篇』全4巻 - 大正8年(1919年)から大正12年(1923年)にかけて明治26年(1893年)5月までの記事が収められ、昭和29年(1954年)、明治34年(1901年)まで追加された。
  • 『救済篇』全4巻 - 大正10年(1922年)から翌年にかけて刊行、慶応3年(1867年)までを収める。
  • 『港湾篇』全5巻 - 大正15年(1927年)から昭和2年(1927年)まで刊行、大正2年(1913年)4月までを収める。
  • 『遊園篇』全7巻 - 昭和4年(1929年)から昭和11年(1936年)にかけて明治24年(1891年)3月23日まで、昭和28年(1953年)に明治31年(1898年)までが追加された。
  • 『宗教篇』全3巻 - 昭和7年(1932年)から昭和15年(1940年)にかけて刊行され、慶長7年(1602年)で止まっている。
  • 『橋梁篇』全2巻 - 昭和11年(1936年)と昭和14年(1939年)に刊行され、安永3年(1774年)2月16日の記事で止まっている。
  • 『市街篇』全87巻 - 大正3年(1914年)に刊行開始、昭和3年(1928年)以降戦時中を除き毎年刊行が続けられ、平成8年(1996年)に明治27年(1894年)7月30日までの記事が完成した。
  • 『産業篇』現在54巻 - 昭和10年(1935年)刊行開始、昭和29年(1954年)以降ほぼ毎年刊行され、平成25年(2013年)現在で天保12年(1841年)12月までが完了している。

現在は『産業篇』のみ編纂が続けられている。

東京市史外篇[編集]

昭和初年に第一輯と第二輯が計画されたが、実際に刊行されたのは第一輯の4冊のみである。昭和63年(1988年)聚海書林によって復刊された。

第一輯[編集]

  1. 会所
  2. 札差
  3. 安藤直方著『講武所』昭和5年(1930年)
  4. 安藤直方著『天下祭』昭和14年(1939年)
  5. 木村荘五著『徳川時代の金座』昭和6年(1931年)
  6. 鷹見安二郎著『日本橋』昭和7年(1932年)
  7. (江戸の俳諧
  8. 隅田川
  9. (江戸の寄席
  10. (江戸の名物考)
  11. 『集註小田原衆所領役帳』全4冊、昭和11年(1936年)

第二輯[編集]

参考文献[編集]

  • 「東京市史編纂事業沿革」『皇城編』第1巻

関連項目[編集]