東京都交通局8500形電車

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都電8500形電車
一次車である8501(右)と三次車の8504 (2007年9月15日 :王子駅前停留所)
一次車である8501(右)と三次車の8504
(2007年9月15日 :王子駅前停留所)
基本情報
運用者 東京都交通局
製造所 アルナ工機
製造年 1990年 - 1993年
製造数 5両
主要諸元
軌間 1,372 mm[1]
電気方式 直流600V(架空電車線方式
最高運転速度 40 km/h
起動加速度 3.0 km/h/s[1]
減速度(常用) 4.6 km/h/s[1]
減速度(非常) 5.0 km/h/s[1]
車両定員 8501:64人(うち座席20人)[1][2]
8502:62人(うち座席20人)[2]
8503:59人(うち座席18人)[2]
8504・8505:61人(うち座席18人)[2]
自重 18.5 t[2]
全長 13,000 mm[1]
全幅 2,200 mm[1]
全高 3,680 mm[1]
台車 FS91 (8501)[2]
FS91-A (8502-8505)[2]
主電動機 かご形三相誘導電動機[1]
三菱電機 MB-5016-C[2]
主電動機出力 60 kW × 2[1]
駆動方式 WN駆動方式[1]
歯車比 13:85 (6.54) [1]
定格出力 120 kW
制御方式 VVVFインバータ制御[1]
制動装置 回生発電併用電気指令式電磁直通ブレーキ
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東京都交通局8500形電車(とうきょうとこうつうきょく8500がたでんしゃ)は、1990年平成2年)に登場した東京都交通局路面電車都電車両

概要[編集]

老朽化した車両の置き換え、および都電荒川線の活性化とイメージアップを目的に、1990年から1993年(平成5年)にかけて5両(8501 - 8505)[2]が製造された。都電では1962年昭和37年)登場の7500形以来、大規模な路線廃止もあり新型形式が登場しなかったことから、実に28年ぶりの新型車両となった[3][4]

登場当初は6000形6152(イベント用、2001年廃車)を除く荒川線の全車両を本形式で置き換える計画であったが、交通局の財政難などの理由から5両で製造が打ち切られた。その後、2009年(平成21年)から2010年(平成22年)にかけて8800形を導入することで、7500形を代替している。

車体構造[編集]

車体は全鋼製軽量構造によるもので、従来の7000形や7500形よりも車体の窓を大きくし、塗装もそれまでの都電と異なるパールホワイトをベースに車体下部に緑の帯を配するなど、明るくスマートなイメージを強調した[5]。走行機器には、都電初のWN駆動方式VVVFインバータ制御を採用した。また、運転台には1軸2ハンドル式マスコンを装備した[3]。集電装置にはZパンタグラフを採用している[3]

行先表示器は、正面が行灯(字幕)式、側面がLED式である。この形式から落成と同時にLED式車内案内表示器が1両につき4か所設置され、それぞれ運転席裏側と降車口上部に2か所ずつ設置されている。運転席裏側のものは乗車マナーなどを、降車口上部のものは駅名などを表示する。また、運転席裏側のものはデジタル時計(8501号を除く)を、降車口上部のものは地図式表示器を併設していたが、後者は後に使用されなくなった。

荒川線の車両としては初めて、登場当初から自動案内放送を流している。当時の荒川線の車内放送は男声のテープで流されていたが、本形式は当初から女声による音声合成方式となった。他形式も1991年後期から女声のテープとなっている。

スムーズな乗降を図るため、乗車口を1,000mmの片開きドア、降車口を1,200mmの両開きドアとし、降車口周辺を運転台のモニタで監視できるよう収納式のITVカメラが設置された[3]。また、客室内の座席は在来車同様ロングシートが採用されている[6]。床面高が他形式より30mm高いため、駅によってはホームとの段差が生じることがある[7]

増備[編集]

1992年(平成4年)に8502・8503、1993年(平成5年)に8504・8505のそれぞれ2両ずつが増備された[2]。この増備車4両は停止ランプの位置変更[6]など前面の一部設計を変更し、新たに東京都のシンボルマークであるステンレス製の「いちょう」マークを装着した。(8502・8503落成時に8501にも装着)車内は全席ロングシートだった8501から配置が変更され、8502では車椅子スペースの補助席をクロスシートに、8503 - 8505では補助席のみロング―シートとし、それ以外はクロスシートとした[6]。車内中央部には折りたたみ式の補助椅子が設けられていたが、後年撤去された。8501で採用された降車口監視用のITVカメラは廃止された[6][3]

8501で採用された1軸2ハンドルマスコンは、加減速を頻繁に行う荒川線では運転操作しにくいなどといった理由から、8502以降の増備車に関しては縦軸2ハンドル式が採用され、8501も1992年初頭に2ハンドル式に改造されている[6][4]

改造[編集]

集電装置のシングルアーム型への換装[編集]

従来のZパンタグラフ型から、9000形・8800形で用いられているシングルアーム型への換装が行われており、2011年4月現在8502・8505を除く3両で施工済である[2]

表示器類の交換[編集]

2011年(平成23年)より車両内・外に設置されている表示器類の交換工事が行われた[8]。施工内容は、前面行先表示器のLED化[8][注釈 1]と側面行先表示器の書体の変更[注釈 1][要出典]、車内運転席裏側のLED式車内案内表示器の交換(7000形と同型)[8]、降車口上部の車内案内表示器の撤去[8]、自動案内放送の交換(8800形と同型)[8]で、8505号車(2011年1月)→8503号車(2011年2月)→8504号車(2011年3月)→8502号車(同)→8501号車(2012年3月)の順に施工された[要出典]

走行機器類の換装[編集]

2013年度以降、VVVFインバータ装置や主電動機などの走行機器類の更新が順次進められており、これらの機器類は全て三菱電機製から東洋電機製造製のものに換装されている。2013年度に1両、2014年度に2両の更新が完了し、2017年度以降は残りの2両を更新する予定である[9]

ラッピング広告について[編集]

2000年(平成12年)の荒川線ラッピング広告開始以降、本形式は広告車の対象にしていなかったが、2009年6月29日から8503と8505に警視庁のラッピング広告が施された[10]。一時期8501以外の車両が警視庁のラッピング車両となっていたが、2010年9月に8503が一般スポンサー(演歌歌手山川豊デビュー30周年シングル「わが娘へ」/「喜びの日に」のプロモーション[11])のラッピング車となった。その後8503は他の一般スポンサー(あらかわの伝統技術伝)のラッピング車となっている。

現状[編集]

2011年現在、5両(8501 - 8505)が荒川電車営業所に在籍する[12]

脚注[編集]

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  1. ^ a b 従来からLED式であるが、改修時に書体を明朝体からゴシック体に変更した。
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 鉄道ファン』第30巻第7号、交友社、1990年7月、 103-105頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 堀切・史絵 2011, p. 168.
  3. ^ a b c d e 江本 1995, p. 61.
  4. ^ a b 遠藤 1994, p. 154.
  5. ^ 久保 1995, p. 15.
  6. ^ a b c d e RJ 3091, p. 113.
  7. ^ 都民の声2011年(平成23年)11月 都電荒川線の停留場のことについて
  8. ^ a b c d e 都電8500形に前面表示器交換車 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2011年2月16日、2017年1月25日閲覧
  9. ^ [1]
  10. ^ 都電荒川線8500形に広告車両が登場 - 『鉄道ファン交友社 railf.jp鉄道ニュース 2009年7月1日
  11. ^ 山川豊「娘の結婚式では…」 - デイリースポーツ 2010年9月7日
  12. ^ 堀切・史絵 2011, p. 168-169.

出典・参考文献[編集]

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  • 「RAILWAY TOPICS 都電荒川線に8500形増備車が2ハンドルで登場」『鉄道ジャーナル1992年7月号』第26巻第7号、鉄道ジャーナル社、1992年7月、 113頁。
  • 遠藤哲夫「東京都交通局」『鉄道ピクトリアル1994年7月増刊号』第44巻第7号、鉄道図書刊行会、1994年7月、 152‐155。
  • 久保大「都電と呼ばれて50年 - 東京都における軌道事業のあらまし -」『鉄道ピクトリアル1995年12月号』第45巻第12号、鉄道図書刊行会、1995年12月、 10-16頁。
  • 江本廣一「東京市電~都電 車両大全集」『鉄道ピクトリアル1995年12月号』第45巻第12号、鉄道図書刊行会、1995年12月、 41-61頁。
  • 堀切邦生・史絵「東京都交通局荒川線」『鉄道ピクトリアル2011年8月臨時増刊号』第61巻第8号、鉄道図書刊行会、2011年8月、 165‐170。