殺生丸

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殺生丸(せっしょうまる)は、高橋留美子作の漫画作品『犬夜叉』に登場する架空の人物。アニメ版での声優は成田剣[1]。舞台での演者は佐奈宏紀

人物[編集]

犬夜叉異母兄で、犬の大将の長男。一人称は「私」。初登場時で200歳以上生きている。人間換算年齢19歳[2]

犬夜叉と異なり、大妖怪である両親の血を色濃く受け継ぐ完全な妖怪。自身の力に対する絶対的な自信から、四魂の玉にも関心がない。

人間形態では膝裏ほどもある長い銀髪の美男子の侍の姿をしており(神楽曰く「優男」)、額に三日月の紋、腕と頬に二本の紋様が入っている。また、当初は表情豊かで台詞も多かったが、登場を重ねる度に無表情かつ無口になっていった。原作では14巻以降(りんに出逢ってから)は、彼の冷酷さは徐々に薄れ、天生牙の冥道残月破を広げた際には、天生牙の成長よりもりんの命を最優先にしていた。

大妖怪である父親への誇りに強いこだわりを見せ、一族の血統を重んじるが故に半妖や人間を見下している。犬夜叉に対しても、当初から一貫して冷淡な態度を取っている[3]。外見は人間とさほど変わらないが、犬夜叉以上の鋭い嗅覚を有し、風の臭いだけで遠くで起きた出来事を把握することができる。

作中での動向[編集]

当初から妖刀「天生牙(てんせいが)」を父から受け継いでいたが、この世のものが斬れないという癒やしの刀は、力が全てだったかつての殺生丸にとっては、尊敬する父の遺品として一応とっておく鈍(ナマクラ)未満の飾り以外の何物でもなかった。そのため斬る妖刀「鉄砕牙」に執着した。

当初は「邪魔だ」という理由だけで人間を殺害し、手下の妖怪も簡単に葬るなど非情な面が目立っていた。半妖である犬夜叉の事を蔑み、鉄砕牙を奪うため犬夜叉に襲い掛かり日暮かごめまでも容赦無く殺そうとした。しかし、鉄砕牙を覚醒させた犬夜叉によって左腕を失う。

その後、犬夜叉を狙う奈落に利用され左腕に四魂のかけらを仕込んだ人間の腕を装着し、再び鉄砕牙を狙って犬夜叉を瀕死の重傷に追い込むものの、犬夜叉の執念により奪った鉄砕牙を奪還され諦め戦いを中断し立ち去る[4]

以後は奈落を追うことになる。

鉄砕牙を諦め、刀々斎に新たな自分の刀を打たせるべく龍の腕を左腕に装着し犬夜叉を強襲するも、犬夜叉が放った風の傷を受け撤退。犬夜叉が風の傷を加減したことと天生牙の結界に守られたことで命は取り留める。重傷を負い動けずにいる時期にりんと出会い、旅に連れて行くことになる。

刀々斎の刀を諦めるが、鉄砕牙を超える強い刀を手に入れるために、悟心鬼の牙から打ち出した妖刀「闘鬼神(とうきじん)」を手に入れると、以後はそれを得物として振るう。

魍魎丸との二度目の対戦にて闘鬼神は折れる。魍魎丸との戦いの最中に、魍魎丸に神楽の死を侮辱されたことをきっかけに、殺生丸に「死を悼む心」が芽生える。その変化を感じた天生牙が、刀々斎を呼び寄せ、新たに武器として鍛え直された天生牙で、敵を直接あの世に送る冥道残月破(めいどうざんげつは)を放つことが可能になる。冥道残月破はなかなか円形に近づかなかったが母親の試練で冥界でのりんの死によって「愛しきものを失う悲しみと恐れ」を知り円形に近くなる。

父親の敵だった死神鬼から、冥道残月破と天生牙の真実を知って激しく動揺し、更に、父親がいずれは殺生丸の会得した「冥道残月破」も犬夜叉の鉄砕牙に譲らせるつもりであった由に気づき、父の自分に対する措置に激しい憤りを抱えるが、その中で父の真意について彼なりに熟慮する。

そして犬夜叉が鉄砕牙の真の継承者であることを確かめるため、周囲の反対を押し切って犬夜叉に一対一の戦いを挑む。激しい戦いの末、犬夜叉の継承者の証を見届けると、自らの意思で「冥道残月破」を犬夜叉に譲り、父の形見に対する執着を捨てる。

鉄砕牙への執心から解放されたということから、曲霊と戦いの中で父親を越える大妖怪へと覚醒し、失ったはずの左腕と共に殺生丸自身の刀である「爆砕牙(ばくさいが)」を手に入れた。

りんとの関係[編集]

りんとの関係は複雑なものとなっている。犬夜叉との戦いで手負いを受けてしまい、まったく動けなくなっていた殺生丸、そこにりんがあらわれ殺生丸の看病を始める。それが二人の出会いである。実はこの時りんは親兄弟を目の前で野盗に殺されたことにより心に大きな傷を負っており言葉を話せない状態であった。その後もりんは殺生丸の看病を真摯に続けていくが殺生丸はりんが離れるように威嚇をするなどし冷たい態度をする。それでも彼女は毎日笑顔を見せ彼の看病をし続ける事で殺生丸は徐々にだが彼女に心を許していく。そんなある日、鋼牙の手下の人喰い狼にりんは食い殺されてしまう。殺生丸は毎日見せてくれたりんの笑顔が頭から消えず天生牙を手に取り彼女を蘇生する。

その後りんは殺生丸一行の一員となり旅の苦楽を共にすることになりやがて殺生丸の心に重大な影響を与える。、りんの「優しさとひたむきな心」に影響した殺生丸は「慈悲の心」を持ち始める。物語の終盤に差し掛かった頃。りんが冥界でまたも命を奪われかけた際に「りんの命と引き換えに得るものなど―――なにもない!」 とまで言い放ち心から彼女を愛している事を自覚するまで心身ともに成長するがりんを失った事により心身ともに絶望の淵に立たされる。しかし心から悲しむ姿に心動かされた殺生丸の実母「御母堂」により蘇生されなんとか事なきを得ることが出来た。

宿敵奈落一派からからはりんその物を殺生丸の弱点と見なされ力を封じるため手段として度々利用された。

最終回ではりんに着物を届けるなどして頻繁に人里に訪れている。ドラマCD版ではりんを嫁に迎えようと考え、求婚の言葉を贈った。

戦闘能力[編集]

戦闘能力は非常に高く、爆砕牙を手にする前の段階で発行されたガイドブックにおいても、「戦闘能力だけなら戦国最強の妖怪である」と作者の高橋留美子も評している。

戦闘はほとんど人間形態のまま行う。真の姿である化け犬への変化は激烈な破壊力を誇るが滅多に使わない。作中完全に変化したのも父親の墓で犬夜叉と戦った時、母親と再会した時、曲霊との戦いの時の計3回である。なお人間形態を保ったまま変化する事も可能であり、犬夜叉や曲霊との戦闘で披露した。

大妖怪ゆえの強力で膨大な妖気を有している。並みの妖怪なら触れただけで操られてしまう闘鬼神を力ずくで抑え込んだ。

犬夜叉の牙を使うことで大幅に重量を増した鉄砕牙を片手で弾き飛ばすほどの腕力を誇り、軽やかな身のこなしから爪や武器の強力な1撃を繰り出す。爪を使わず犬夜叉を殴り飛ばす、用心深い奈落の背後を取る、癖のある蛇骨の蛇骨刀を初見で闘鬼神で絡めとり放り投げるなど、基本的な戦闘技能に秀でている。

道中では邪見らと共に歩いていることも多いが、自由に飛行することも可能。

自身の体内に宿す猛毒は敵を溶解する、視力を奪うなど様々な使い方が可能。敵からの毒に対しても高い耐性を備えているが、曲霊の放つ「悪霊の毒」と奈落が本気になった際に放った高濃度の瘴気には耐えられていない。

高い身体能力と攻撃力を持つ反面、耐久力は一般的な妖怪とさほど変わらない。犬夜叉から風の傷を受けた際には瀕死の重傷となっている(これは犬夜叉が無意識に手加減をした風の傷で、なおかつ天生牙の結界も働いた上での結果であった)。肉体の一部である伸縮自在の毛皮と妖力で自己修復する妖鎧に加え、危機が迫ると自己の意識と関係なく発動する天生牙の結界で防御を行う。また妖気を高めることで(邪見曰く「気合い」)多少の手傷なら即座に修復することができる。

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毒華爪(どっかそう)
爪から石や骨をも溶かす体内の強力な猛毒を発する。人間なら一瞬で消滅する。
光の鞭(ひかりのむち)
アニメオリジナル技。中〜遠距離攻撃用に爪から鞭状の妖気を放つ。複数の人間から銃撃を受けた際は全てを受け止めて弾き返した。
冥道残月破(めいどうざんげつは)
天生牙を刀々斎に鍛え直されたことにより手に入れた技。空間を切り裂いて冥道を開き、敵を冥界へと直接送り込む。使用者の錬度によって冥道は真円へと近づいていく。母親に与えられた試練により完成度が上がり、より円形に近づいた。
使用者の資質により、威力や特性が異なる。殺生丸の場合、他の使用者に比べ極めて巨大な冥道を開くことができる。
元々は死神鬼の技であり不完全な殺生丸の冥道は死神鬼の冥道に敵わなかったが、犬夜叉の鉄砕牙との共鳴により完全な円形になり技は完成した。その後の犬夜叉との継承争いでこの技は鉄砕牙に吸収され、天生牙から冥道残月破を放つことは不可能になった。
蒼龍破(そうりゅうは)
劇場版「天下覇道の剣」、「紅蓮の蓬莱島」及びアニメオリジナル技。刀身に蒼い光を纏わせた後に蒼い龍を形どる衝撃波を放つ。闘鬼神の技だが映画「天下覇道の剣」で天生牙からも1度だけ放っている。威力は犬夜叉の爆流波を凌ぐ。
風の傷
優れた嗅覚で風の傷を正確に読み取り、犬夜叉より強力な1撃を放つことが可能。原作では奈落から人間の左腕を受け取って使用した。

得物[編集]

天生牙(てんせいが)
父から受け継いだ刀。この世の物(肉体)は斬れないが、あの世の物(霊体)は斬れるという性質を持ち、曲霊に効果のある唯一の武器。
死者の命を一度だけ蘇らせることができ、邪気を浄化することもできる。真の慈悲の心を持って発動させると、「一振りで百の命を救う」と言われている。
闘鬼神(とうきじん)
鉄砕牙を噛み砕いた悟心鬼の牙から打たれた刀。鉄砕牙を上回る凄まじい切れ味を持ち、軽く振った剣圧でも相手を切り刻む。
魍魎丸との二度目の戦いで折れる。
爆砕牙(ばくさいが)
以前より殺生丸自身の中に秘められていた刀。父親を超える条件として、鉄砕牙への未練を捨てたことで失った左腕と共に出現した。
斬った物体を再生不可能なまでに爆砕し続け、斬った箇所から効果が組織全体に拡散していく。爆砕部分を切り離すことで効果を止めることが可能だが、斬られた身体を再度取り込むと本体も爆砕に巻き込まれる為、斬られた部分は二度と使い物にならない、実質的に一撃必殺の技。破壊力だけであれば鉄砕牙をも上回り、実際に「一振りで百の妖怪を薙ぎ倒す」と言われる鉄砕牙に対し、爆砕牙は一振りで千体の妖怪を薙ぎ倒せる。夢幻の白夜曰く(四魂の玉を完全に取り込む前ならば)奈落でさえ直接斬られればひとたまりもないとのことで、爆砕部を切り離す以外の対抗策がなくりんを人質に取って使われないようにするなど、かごめの破魔の矢の次に警戒していた。
四魂の玉には及ばず、直接斬っても傷ひとつ付かないほか、玉と一体化した奈落は爆砕牙の直撃を受けても再生している。

脚注[編集]

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  1. ^ 犬夜叉 official web - 登場人物 2018年2月13日閲覧
  2. ^ 犬夜叉奥義皆伝より
  3. ^ ただし、初登場時に「兄の顔を覚えていたか」という発言を犬夜叉に向かってしており、彼が自身の異母弟であることは認めている模様。
  4. ^ その際、奪った鉄砕牙で作中初となる風の傷を披露している