消費税

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消費税(しょうひぜい、consumption tax)は、消費に対して課される租税[1]。1953年にフランス大蔵省の官僚モーリス・ローレが考案した間接税の一種であり[2]、財貨・サービスの取引により生ずる付加価値に着目して課税する仕組みである。

消費した本人へ直接的に課税する直接消費税と、消費行為を行った者が担税者であるものの納税義務者ではない間接消費税に分類できる。前者の「直接消費税」にはゴルフ場利用税などが該当し、納税義務者が消費行為を行った者であって、物品またはサービスの提供者が徴収納付義務者(地方税の場合は特別徴収義務者)として課税主体に代わって徴収を行い、課税主体に納付することとなる。後者の「間接消費税」には酒税などが該当し、納税義務者は、物品の製造者、引取者または販売者、あるいはサービスの提供者であり、税目によって異なる。間接消費税はさらに課税対象とする物品・サービスの消費を特定のものに限定するかどうかに応じ、個別消費税一般消費税に分類できる[3]

  • 消費税 [4]
    • 直接消費税
    • 間接消費税
      • 関税
      • 一般消費税 (General Tax)[3] - VATなど
      • 個別消費税 (Taxes on Specific goods and service)[3]

現在では160カ国ほどで導入され[5]、OECD諸国の平均では税収のおおよそ31%を占めており、これはGDPの6.6%に相当する(2012年)[1]

日本においては、「消費税法に規定する消費税」と「地方税法に規定する地方消費税」の総称であり、付加価値税(VAT)のひとつに分類される。

種類[編集]

一般消費税[編集]

一般消費税は、さらに以下に分類される[4]

  • 単段階課税
    • 売上税英語版 - たとえば小売売上税では、最終消費者への小売者のみが徴収納付義務者
  • 多段階課税
    • 付加価値税(Value-Added Tax, VAT)、もしくは物品サービス税(Goods and Services Tax, GST

かつての日本の経済学では一般売上税general sales tax, GST)とも呼ばれていた税方式がモデルとなっている。一般売上税の課税方法として製造・卸売・小売の各段階のいずれか1段階で課税される単一段階課税と2つ以上の段階で課税される多段階課税がある。

多段階課税を採用した場合、次の段階に税負担を転嫁させていく「ピラミッド効果」が発生し、それぞれ異なる商品に同じように課税をすることによって商品に対する税負担の格差が生じることになる。こうした問題点を解消するために、納税義務者はその売上げに係る消費税ではなく、差額に係る消費税を納税する方法が考え出された。これが今日の一般消費税(VAT)である。一般消費税は付加価値の算定方法により所得型付加価値税と消費型付加価値税に分けることが出来る。前者は仕入計算時において資本財の控除は減価償却分しか認められないが、後者では資本財全額が控除の対象となり、消費部分のみが課税対象となる。

消費税と一般消費税は外見的には類似しているが、一般消費税には所得に対して課税する所得税や法人税などの直接税に対する批判に由来する代替的な要素も含まれている。所得に課税する場合には、納税者が正確な納付をしているかを把握するのにコストがかかり、公平性・水平性の点でも問題が多い。直接税に批判的な人々は消費による支出を通じてより正確な所得が把握できるという考えから一般消費税による代替を求める。

一般消費税が初めて導入されたのは1954年のフランスであるが、その前身は1917年に導入された支払税である。その後、1920年に売上税、1936年に生産税と名称を変更しながら現在の形になっていった。その後、1967年EC閣僚理事会においてフランスと同様の消費型付加価値税に基づく一般消費税を中心とした加盟国間の税制統一運動の推進が確認され、この方針に基づいて1968年西ドイツが一般売上税を一般消費税に変更した。

これをきっかけに1969年オランダ1970年ルクセンブルク1971年ベルギー1973年イギリスイタリアと加盟国間において一般消費税への転換が進んだ。日本でも10年に及ぶ議論の末にVAT型の消費税が1989年に導入されることになった[4]

個別消費税[編集]

個別消費税(Selected excise duties)は特定あるいは一群の財貨・サービスに対する課税である[6]。課税の対象になる財貨・サービスは特定的で税率も統一されていない。税率は、量、重さ、強度、オクタン価、アルコール度数などが基準として使われる[6]

この方式で課税される対象としては3つの分類が考えられ、酒や煙草のような嗜好品に賦課する「嗜好品課税」、ガソリンのように応益原則・受益者負担の原則に基づいて特定の公共サービスを行うために関連した商品・サービスにかける「目的税」、その他の物を対象とした「奢侈品・娯楽用品・サービス課税」と呼ばれる奢侈品や日常生活で用いられてはいるが生活必需品とはいえない商品に課される。かつて日本に存在した物品税の多くがこれに含まれている。

個別消費税は、元は内国消費税excise)として、16世紀末期にスペインからの独立戦争を継続していたオランダで軍費調達のために始められたと言われている。イングランドではこれを範として内国消費税を導入して財政難を克服しようとした。これに対する英国議会の反発が、清教徒革命へと発展するが、皮肉にも革命軍の軍事費を得るためにジョン・ピムオリバー・クロムウェルが採用したのが内国消費税であった。

その後、王政復古期に王権と議会の対立の原因となっていた徴発権などの国王大権を国王が返上する代わりに内国消費税の半分を国王の生活のための供与金として認めることで合意が成立した。その後も財政難を理由として何度か内国消費税の引き上げが行われた。1733年に当時(初代)の首相ロバート・ウォルポールが地租の削減・廃止と関税の引き下げの代償に更なる内国消費税の大幅引き上げを図った。

これに対して政敵のボリングブルック子爵が噛み付き、民衆も生活苦から暴動を起こす騒ぎとなったためにウォルポールは提案を撤回した。これを「消費税危機」(excise crisis)という。産業革命以後には産業育成のために内国消費税を削減して関税に転嫁する方針が採用された。フランスではジャン=バティスト・コルベールが導入した塩の専売制に付随してかけられたガベル(gabelle)と飲料品税に由来するエード(aides)が知られ、絶対王政期のフランス財政を支えた。ドイツでも17世紀後半以後盛んに導入されたが、余りの高率に国民生活の不安定と国家財政の極度の個別消費税依存を招きフェルディナント・ラッサールから厳しい批判を浴びた。

この他アメリカでも独立戦争時にイギリスを真似て個別消費税を導入したが、1794年にウィスキー税に反対するウィスキー反乱が発生してジョージ・ワシントン政権を揺るがした。

日本では、江戸時代以前の運上冥加が一種の個別消費税に相当するが、近代的な税制は明治維新以後に各種の間接税が導入されて以後である。特に酒税は一時は歳入中最大の割合を占めるほどになった。戦後になってシャウプ勧告と消費税法施行に伴って2度にわたって間接税の整理が行われる。

関税[編集]

総合消費税[編集]

総合消費税(general expenditure tax)は、イギリス経済学者ニコラス・カルドアが提唱した方法で、spendings tax支出税)とも呼ばれる。個々の消費者がその年度内に発生した財貨・サービス支出を税務署に自己申告をおこない、累進課税にもとづく税額の算定にもとづいて納付する。元は所得税を補完する税法として考案され、キャピタル・ゲインなどの所得からも支出に対する課税の形で税を徴収でき、かつ預貯金とその金利は支出に相当せずに課税されないために節約と貯蓄奨励にもなるとされ、インドなどで一時導入が検討された。

だが、全ての人が正確な納付をおこなうためには、各個人が自己の支出に関する正確な記録を作成して、収入・支出・貯蓄に関するバランス・シートを作成しなければならないことから、本格的に導入した国は存在しなかった。また、税務署が全居住者の収入・支出・貯蓄情報を把握する必要があるため、事務の煩雑さから実施が困難であると言える。

OECD加盟国で歳入に占める割合[編集]

OECD各国平均の
税収構造(2014年) [7]

  個人所得税 (24%)
  社会保険 (26%)
  給与税 (1%)
  資産税 (6%)
  一般消費税 (21%)
  個別消費税 (10%)
  その他 (4%)

一般消費税による税収の全税収における割合はOECD加盟国平均で20.2%である。一般消費税による税収の対GDP比はOECD加盟国平均で6.8%である(2012年)[1]

2012年度データ
VAT-GST(消費税)率[8] 一般消費税収入の
全税収入比[9]
一般消費税収入の
GDP比[10]
オーストラリア 10.0% 12.4% 3.4%
カナダ 5.0% 14.6% 4.5%
デンマーク 25.0% 20.6% 9.7%
フィンランド 23.0% 21.1% 9.0%
フランス 19.6% 16.1% 7.1%
ドイツ 19.0% 19.4% 7.1%
イタリア 21.0% 13.8% 5.9%
日本 5.0% 9.2% 2.7%
韓国 10.0% 17.2% 4.3%
オランダ 19.0% 17.9% 6.5%
ノルウェー 25.0% 18.2% 7.7%
スペイン 18.0% 16.6% 5.3%
スウェーデン 25.0% 21.4% 9.0%
英国 20.0% 20.8% 6.9%
米国 州ごとに異なる 8.0% 1.9%
OECD平均 N/A 20.2% 6.8%


各国の制度[編集]

  • 1954年 - フランスで最初に導入 [4]
  • 1971年 - ベルギーで導入
  • 1973年 - イギリスで導入
  • 1989年 - 日本で導入
  • 1993年 - 1992年のEC(欧州共同体)指令改正により、1993年以降は欧州連合加盟国は付加価値税の標準税率を15%以上にすることが義務化された[11]

アメリカ合衆国[編集]

アメリカ合衆国では、連邦政府によるVATにあたる税金はないが、州ごとに業者間取引には課されず、最終的な消費者のみに課される売上税(Sales Tax)がある。50の州のうち、5つの州において、州ごとの売上税が課せられない。州ごとの売上税(State Sales Tax)がないのは、アラスカ州デラウェア州モンタナ州ニューハンプシャー州オレゴン州である[12]

アメリカ合衆国議会では何十年にもわたって、VATの導入について議論が持たれてきたが、法人税所得税に代表される直接税に比べて、消費税・付加価値税など間接税が優れているとは見なせないという理由で、国全体での採用は見送りとなっている(アメリカの国税における直間比率は9対1)[13]

VATの場合は特に、輸出に還付金が渡され輸入には課税される点、法人税引き下げとセットにされやすい点など、議論の焦点となってきたことが、アメリカの公文書に多く残っている[13]

ニュージーランド[編集]

1986年に広い免税範囲・7種類の従価税率7と12種類の特別税率という複雑な税率構造・サービス業非課税・製造業者から直接購入できる大規模小売業者に有利などの従来の卸売売上税の歪みを是正・歳入における個人所得税への極端な依存を是正・社会保障給付の増加と保護主義的な経済政策で拡大した財政赤字の削減などのために10%で導入され、1989年に12.5%へ増税された。1994年からGDP比の財政収支がプラスに転じた。軽減税率を導入せずに[14]消費税の税率が全て一律なため、世界で最も課税ベースが広く、経済に対して最も中立的な付加価値税であるので世界最高の96.4%C効率性[15]を誇る。1999年にニュージーランド政府は最小のコストで安定した税収を得るためには、課税ベースの拡大と単一かつ定率の消費税だとの方針を確認している。1986年の軽減税率無しの10%の消費税導入に日本のような国民の反発はなかった。背景として、ニュージーランドでは社会保障費の制度を中負担中福祉にすることや低所得者への対応を消費税による税収から後で再分配する方が小売店も役所の負担が軽減されて効率的との政府の方針を国民が受け入れたためである。2006年に付加価値税収の総税収に占める割合は24.4%である[11][4]

デンマーク[編集]

1967年に福祉国家建設のための公的部門への需要増加に対応して、より広く安定した課税ベースを確立することを目的にデンマーク社会民主党によって10%で導入された。1970年代に20.25%台にまで引き上げられた後に、1992年から現行の25%になった。軽減税率は歳入減少の財政負担・徴収の効率化・軽減税率の適用対象品目の区別などが困難などとして、一律25%の消費税による税収を後で社会保障給付によって逆進性への対処として再分配を行う方が効率的として導入しなかった。デンマークで唯一例外的な軽減税率の対象は新聞のみである。2006年の対総税収比では個人所得税負担の割合が 51.3%と突出しており、付加価値税の割合は21.3%である。これは手厚い社会保障が基本的に国民の所得税と消費税で7割以上も賄われていることによる。同じ北欧で6%の軽減税率ありで、25%の消費税であるスウェーデンの47.3を上回る51.6のC効率性である。スウェーデンの付加価値税がデンマークよりもC効率性は低い理由には、 軽減税率と消費者を顧客とする小売・サービス業で発生しやすい脱税や電子商取引の発達や税率の低い隣国での国境を越えた租税回避がある[11][4]

イタリア[編集]

イタリアは1973年に12%で導入された。1997年には20%にまで増税された。欧州危機不況で社会保障費支出は増大して、財政赤字が増加していた。そのため。2011年9月にイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ政権が付加価値税(VAT)の税率を20%から1%引き上げたが、同税の受取額は減少し、4月末までの1年間の徴収額は2006年以降で最低に落ち込んだ。「歳出を減らす方がはるかに良い」と提言された。2013年には22%に増税された。2016年予算安定化法案で2017年1月から24%への増税が定められていたが、2017年予算法で増税時期は先送りされ、2018年1月に引き上げ実施予定になった。軽減税率は4%と10%の二つがあることもあり、C効率性は38.2%である[4][16][11]

中国[編集]

中華人民共和国には「消費税」という概念があるが、この名の税はタバコやお酒や高級品などに課される税であること。一般的な理解の消費税は中国に「増値税」と呼ばれている。増値税は1984年に17%で導入された。2018年1月時点でも同じ税率である[4]。なお、中国に、値段はほぼ全部税込価格であり、税の数額を明記するのは数少ない外国ショップでしか見えない。

日本[編集]

日本の税収構造(2014年) [17]

  社会保険 (39.7%)
  給与税 (0%)
  資産税 (8.5%)
  消費税 (27.0%)
  その他 (0.3%)

日本では1989年平成元年)4月1日に3%で初めて導入された[4]。この消費税導入に伴う間接税の整理によって、パチンコ場等などの娯楽施設を対象とした地方税の娯楽施設利用税トランプ類税物品税等などの間接税が廃止され、酒税やたばこ消費税などが改定された。税の用途は、社会保障と少子化対策として規定されている(2012年法改正)。

消費税法 第一条2
消費税の収入については、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。

日本の消費税率はOECD 諸国中で3番目に低く、OECD平均である19%の半分にすぎない。C効率性は65.3である[4][18]

国民負担率と福祉[編集]

消費は所得の存在を前提として発生することから、消費に課税することによって所得税などで十分に把握できない所得に対して間接的に課税することになる。ただし、所得の中には貯蓄に回される部分があるために、所得の大小と消費の大小は必ずしも一致せず、消費者の消費性向が実際の消費税の負担に対して影響を与える。

消費税増税の悪影響は、

  • 駆け込み需要による一時的な反動減(駆け込み需要とその反動減は、消費時期が異なるために起こる現象であり、通じてみるとプラスマイナスゼロになるとされている[19])。
  • 増税による可処分所得の低下による所得効果(実質所得の低下効果[20]、増税によって可処分所得が減少し、消費が減少することを「ケインズ効果」という[21]

の2つに大別できる[22]

OECD諸国における付加価値税(VAT)標準税率(2014年)[6]

日本の消費税(付加価値税)率が、OECD平均を下回っている理由について、木寺元はシャウプ勧告、フランスで世界初導入された付加価値税が世界に広がったり、自民党が与党だったとしても一般消費税導入・税率引き上げを目指す度に歴代政権が選挙に負け続けたために「相当な覚悟がないと消費税には手を出せないという空気が政界(自民党内部)では支配的となった」ことが消費税の導入自体を遅らせたからだと指摘している[23]

消費税率8%への引き上げで、経済に影響をうける日本に対して、欧州が20%台で平気でいるのは1970年代から日本より元々消費税率高かったからだと指摘されている。日本の低い消費税率では引き上げ幅分3%が引き上げ前の5%の6割に相当するのに対して、イギリスでは2011年11月4日に実施した17.5%から20%への2.5%の引き上げは、従来の税率の14%相当の上げ幅に過ぎないため、景気後退も招かなかった。スペインは消費税率16%を2010年以降、2段階にわたり3年間で21%に引き上げた。イタリアも2段階の措置を経て、2011年に20%を22%に増税した。 イギリスでも1979年に消費税率(付加価値税、VAT)を7.5%から15%に2倍引き上げた時には景気後退を招いている。財政赤字のイギリスが20%に増税した2011年直後にイギリス人記者のコリン・ジョイスは日本の消費税が過去に3%から5%への引き上げられただけで、あんなに怒っていた当時の日本人が理解できないと述べている。財政赤字には消費税を増税して税収を増やすことと、公共支出を減らすことの両方が必要だと指摘している[24][25][26]

戦後の低負担高福祉[編集]

 1982年4月以降の日本の国債残高。日本銀行保有分を除く。 凡例     赤 - 内国債     黄 - 短期証券     青 - 借入金     紫- 過去12ヶ月の平均
日本銀行保有分を含めた1982年4月以降の日本の国債残高。凡例 赤 - 内国債 黄 - 短期証券 青 - 借入金 紫- 過去12ヶ月の平均

日本の国民負担率[27]は高負担高福祉の欧州、特に北欧の70%越えに比べて40%に満たないなど負担率は政府の社会保障費用に対して極めて低い。日本は「中給付・中負担」(中負担中福祉)を目指してきたが、後述の大きな政府を目指しているはずの野党による消費税の導入反対による遅延で公債費は平成25年度で歳入の40.9%の約43兆5000億円が政府の借金である公債金が占めているのに、歳出の内で公債金返済の国債費が約21兆円なのに29.1%の約29兆円を社会保障の政府支出が占めるという「高給付・低負担」(低負担高福祉)になっている。何故なら日本では国債で回している現行の国家財政を健全化させるために消費税増税を提言しようする与党に、増税無しで維持できるとの無責任な主張をする野党に選挙で負けて断念して先延ばしになってきたからである。北欧の社民主義の左派政党の政権は企業や裕福な人の移動が簡単な時代に国内の雇用創出・維持してもらうために法人税や所得税を低い税率にしている代わりに、国内で生活していると必ず金持ちほど金額的には多く支払う消費税を高福祉国家を実現する社会保障費の最適な財源と社会民主主義者として理解していた。スウェーデンのような大きな政府を思考する高福祉国家では企業が進化し続け、国際競争に勝ち抜き、経済成長しないと、社会保障が支えられないという危機意識を企業・国民・政府が強く認識しているため、企業の国際競争力を高めるため、リーマン・ショック以降に法人税を50%台から26%に下げたが、28~34%の地方所得税(日本でいう住民税)、最高25%の付加価値税(消費税)の“高負担”はそのままであることに抵抗がない。しかし、旧日本社会党社会民主党日本共産党朝日新聞進歩的文化人のように大きな政府を主張している日本の左派は歳出を占める割合が圧倒的に少ない公共事業地方交付税[28]削減で福祉を充実すべきと80年代から2010年代に至るまで政策支持ではなくて単に地方への分配を拒絶する都市部の野党投票者を中心に支持されていた新自由主義の入口のような主張していた。そのため、自民党の地方分配政策の否定と脱却を唱えた小泉純一郎政権はそれまでの自民党投票者にだけでなく、野党の政策では無くて単に地方への分配を拒絶するために投票していた都市部の有権者の支持まで獲得したため、かなり長い間も高い支持率を誇った理由でもあった。日本の左派政党のように企業や富裕層への極端に見返りの無い高負担は国内雇用、投資を辞めてシンガポールなどビジネスしやすい国に移転するためにおこる産業の空洞化の阻止で北欧含めた世界の法人税の引き下げしていることなど財政と経済の仕組みを分かっていない大衆への人気取りで左派政党が消費税反対の立場をとるのは世界に例のないことである。そのせいで高福祉からの転換と消費税導入や消費税増税で中負担中福祉を主張する政権が選挙では負けさせられてきたから低負担と特に高齢者に偏った高福祉が維持されてきたと指摘されている。所得税を納めない年金世代にも税金を納めて財政に貢献してもらうには消費税しかないと世界では認識されているため、高福祉国家では高い消費税や住民税の税収をによる大きな政府が北欧では実行されている。しかし、日本では消費税増税による再分配を拒絶する人が多く1974年からの財政赤字の再建と高齢者の無償医療など社会保障改革が進展せずに政府の借金が雪だるま式に増えてきた。社会保障財源の確保のために導入や増税を訴える政権は反対する野党に必ず地方か国政選挙で負ける度に先延ばしにされてきたため、多少の増税では国債返済への財政再建分に多くを回すしかなくなり余計に反対を生みやすい財政になった。世界の選挙では高負担高福祉を左派政党が、低負担低福祉を右派が主張して競っていたが日本の場合は右派である自民党が福祉では中負担中福祉として社民主義に近い路線を採用していた。しかし、1967年に共産党、社会党など左派団体は更に財政無視の医療費無料対象の拡大などの低負担高福祉の主張で美濃部亮吉を都知事に当選させ、1969年12月21日から高齢者の医療費無償を行うなどして得票と支持をポピュリズム政策で増やしていた。東京都に続いて他のいくつか地方自治体も左派候補が当選して老人医療費の無料化が導入された。都内では老人医療費無料化で病院が高齢者のサロン化し、病院が溢れるようになった。高齢者の医療無料化を行った地方自治体の財政を圧迫していたため、国の負担への要求もあったが実施した自治体の責任だとして当初は相手にしなかった。自民党や官公は無償医療はのちに必ず財政赤字を招くと反対していたが、地方選挙で敗北が続くという世論に押される形で1973年1月1日から厚生省などに高齢者医療費無償化など社会保障支出増加には国民負担の増加によって賄われないと継続不可だと反対されていたが田中角栄政権の主導で70歳以上の老人医療費の無料化が実施された。高齢者の無償のための医療費負担は国が3分の2で地方自治体が3分の1を負担することになった。当時は高齢者は現役世代より圧倒的に少なく高度経済成長の只中だったが、1973年10月の第1次石油危機で高度経済成長が終わった翌1974年には戦後初のマイナス成長と増税なしの高福祉の社会保障支出で大幅な歳入不足の財政赤字になって戦後初の赤字国債を発行した。1973年7月から美濃部都知事は国の無償制度の対象外だった都内の65歳以上70歳未満の医療費も無料化する「マル福」制度や高齢者の都営交通無料化というバラマキ政策や多額の税収を産んでいた公営ギャンブルに廃止を行ったため、東京都の財政は膨大な赤字を抱えるようになっていた。美濃部は他にも「ひとりでも反対者がいたら工事しない」として東京外郭環状道路の建設が凍結されたため、それ以前からの東名高速道路や中央高速道路、東北自動車道などと結ばれる各高速道路網の中心となって慢性的に渋滞するため都心部のバイパスとしての機能が失われてた首都高速道路とは別の道路を建設して都心部の渋滞緩和を行うことができなくなった。都心部の主要道路はさらに渋滞し、地元民以外の利用が想定されていなかった首都高を抜け道として利用する車が生活道路他を高速道路と同じ運転で突っ切る事態が常態化し、子供と高齢者が犠牲となる交通事故を多数引き起こされた。1979年に「美濃部都政のバラマキ福祉」を批判し鈴木俊一が当選し、後に漸く建設再開された東京外郭環状道路が中央道と東名高速と繋がるのが2014年にまで遅れている。1972年度に3兆3,900億円だった歳出の内の医療費が、高齢者の無償化制度が始まった翌1973年度は、5兆3,700億円に激増した。1974年の初の赤字財政当時大蔵大臣1978年に総理大臣になった大平正芳は、戦後のシャウプ勧告以来直接税中心だった日本の税体系を関接税主体に変更するために1960年代にヨーロッパで導入されていた「付加価値税」などを参考に「一般的消費税」導入で中負担にして財政赤字解消のために「一般消費税導入」を掲げて翌年の第35回衆議院議員総選挙を戦ったが、左派政党が大きな政府の政策である消費税導入に反対するという世界で類がない事態の発生と現在の福祉の維持のための財政赤字解消の必要性を有権者とマスコミに理解されずに批判的にされたことで敗北した。

社会保障関係費が歳出に占める割合1960年には11.5%で1970年には14.4%であったのが、無償化以降である1975年には18.5%へと急増し、1980年には19.3%に達していた。高齢者の医療費負担がなくなったことで医学的治療の必要がないのに病院に殺到するようになり、1974年には高齢者医療費のための社会保障支出は前年度比155.1%、1975年に前年度比130.3%になった。 高齢者の加入者の多かった国民健康保険では、加入者全体の7.7%である高齢者の為に集めた掛け金から27%を支出していた。高齢者の社会的入院や不必要な病院来診が増加して、高齢者医療費無償の矛盾は国民健康保険と財政赤字という形で露呈した。さらに高齢者医療無料化制度後、戦後の医療技術の上昇も相まって高齢者の寿命の伸長や価値観の変化による出生率の減少が高齢化が急速に進行した。高齢化率と少子化率のシミュレーションから、歳出の医療費総額が80兆円にも達することがわかった厚生省は1982年に高齢者の医療費負担の完全無償から何度診察を受けても一カ月400円に当初した後、数年ごとに段階的に引き上げていくことになった。1987年の中曽根康弘首相も失敗したが、1988年12月に竹下内閣で消費税法成立して1989年4月に施行し消費税制度が導入された。財政赤字と増え続ける社会保障のための財源だった消費税が野党とマスコミの争点化と中負担による再分配をその度に反対してきた有権者のために約15年も遅れた上にバブル経済終了の直前に漸く導入された。1970年代から消費税導入や増税に反対してきた有権者らのための社会保障の増加を以後の現役世代が負担して、子供への社会保障には回されないという歪な構造を造り出した。それに対してスウェーデンでは高齢者向けの社会保障費である年金・医療・介護の割合は50%程度で残りは、保育・教育・子どもの医療・職業訓練・失業保険・育児休暇中の手当など「現役世代向け」に充てられている。“高負担高福祉”の前提条件は、国民が総出で働いて税金を納めることでだとして、北欧の税制は世帯単位ではなく、国民番号制度で自営業者を含めた個人単位での所得補足を徹底している。スウェーデンでは企業の国外移転を防ぐために法定実効税率[29]22.00%で日本の29.97%より企業への課税率は低い。更に2006年に一定所得層まで、所得に比例して税金還付額が高くなる勤労税額控除が導入されていて、働くほど恩恵を享受できる「勤労インセンティブ」を高める制度がある。自営業者などで所得・就業形態が千差万別であり把握するのに必要な国民番号制度が日本では2016年まで導入できずに公平な所得把握がなかったため、国民年金加入者約2200万人に対して、税務所が把握できていた被保険者は約350万人ほどだった。国民年金保険料が定額制であるのはそのためであった。日本では国民健康保険への国保への税金注入は最大45%、サラリーマンが加入する被用者保険から高齢者の医療費用に出す拠出金などを含めると現役世代が高齢者医療費の6割以上を負担していたような税制で[30]ある。佐藤優は1994年に村山内閣で政権で財政の実態と経済の仕組みを把握したことで、5%に増税を閣議決定するなど歳入と歳出の歪み再建には消費税増税だと理解したのに、その後も「社会民主」党なのに再び連立前の社会党時代のように人気取りで反対に回ってきたことから党名の社会民主主義ではなくの只の護憲政党と批判している[31][32][33][34][35][36][37][38][39][40][41][42][43][44]川上和久教授は社会民主主義を掲げる欧州の左派政党は福祉を重視する大きな政府を志向しているため、国民に税の高負担を求めてきたと述べている。それに対して、日本の左派勢力は福祉重視を訴えてもそのために必要な税金負担増をこれまで国民にきちんと求めてこなかったと指摘している。更に、「外交安保分野で政権批判を繰り広げてきたが、高負担を前提とする現実的な社会像を描き、保守勢力との対立軸として国民に示せるかどうかが、今後の試金石となる」と語っている。[45]

消費税と将来世代への分配[編集]

前原誠司は保育の無償化の場合、更に1.2兆円、54万円ほどの大学授業料を無償化するには1.6兆円という計2.8兆円という消費税1%分の負担でも全世代を分担すれば将来の世代を育てるお金に回せるという消費税の増税によって北欧のような社会保障や福祉の充実、保育士への補助金を訴えている。民主党政権時代に党政調会長として教育・医療・年金などの社会保障財源などに充てる消費税を8%、10%と二段階で引き上げる「税と社会保障の一体改革」を決めたが、増税額が少なかったために5%からの追加5%増税のうち、財政再建に4%、社会保障の機能強化には1%だったことから受益感が国民にあまりに国民に与えられなかったと述べている。民主党が野党時代に主張していた行政の無駄を削るべきとの「身を切る改革」は社会保障を賄える兆円単位の財源には全くならないとの民主党政権での実体験から現役世代の福祉のための負担を全世代の国民に頼む「オール・フォー・オール」・「お互い様に支え合う社会」を理念として消費税増税から逃げないで主張すると述べている[46][47][48][49][50][51][52][53]

ガソリン税酒税たばこ税等は、消費税と重複して課税されるいわゆる二重課税になっているため、検討が必要であるとの意見もある[54]

脚注[編集]

  1. ^ a b c OECD 2014, p. 9.
  2. ^ 菊池 威「モーリス・ローレ著『付加価値税論』」、『亜細亜大学経濟學紀要』第1巻第12号、1975年、 179-189頁、 NAID 110004849880
  3. ^ a b c OECD 2014, p. 15.
  4. ^ a b c d e f g h i j k 鎌倉治子 2008.
  5. ^ OECD 2014, p. 14.
  6. ^ a b c d OECD 2014, Chapt.4.
  7. ^ Revenue Statistics 2016 (Report). OECD. (2016). p. 35. doi:10.1787/rev_stats-2016-4-en-fr. 
  8. ^ OECD 2014, p. 60.
  9. ^ OECD 2014, p. 36.
  10. ^ OECD 2014, p. 35.
  11. ^ a b c d 諸外国における付加価値税の標準税率の推移 (2017年1月現在)
  12. ^ Taxes by State Retirement Living Information Center, Inc.
  13. ^ a b NEWS FILE 米国が今も消費税を導入しない「もっともな理由」 PRESIDENT Online - プレジデント 2013年9月16日
  14. ^ 一定の事業者向けの金融のみ0税率
  15. ^ すべての国内消費に標準税率で課税された場合に得られる仮定での税収に対する実際の税収の比率
  16. ^ イタリアの増税が裏目に、付加価値税収減少-緊縮策強化で Bloomberg 2012年6月13日
  17. ^ Revenue Statistics 2016 (Report). OECD. (2016). p. 103. doi:10.1787/rev_stats-2016-4-en-fr. 
  18. ^ OECD 2009, Overview.
  19. ^ 政治・社会 【日本の解き方】消費支出最悪水準の理由は天候不順では説明できない 増税で減少した可処分所得(1/2ページ) ZAKZAK 2014年9月4日
  20. ^ 読んでナットク経済学「キホンのき」 消費増税、影響が「想定内」でなかったワケ 東洋経済オンライン 2014年10月11日
  21. ^ 高橋洋一の俗論を撃つ! 日銀総裁の講演の疑問点を読み解く 景気後退への最善策は5%への消費減税 ダイヤモンド・オンライン 2014年9月18日
  22. ^ 政治・社会 【日本の解き方】エコノミストは気楽な稼業だ 本格化する消費増税の悪影響(1/2ページ) ZAKZAK 2014年8月5日
  23. ^ [1]なぜ日本の消費税率はOECD平均を下回っているのか?
  24. ^ 消費税率8%で痛手受ける日本経済、欧州が20%でも耐える訳 Bloomberg 2014年11月19日
  25. ^ 消費税率8%で痛手受ける日本経済、欧州が20%でも耐える訳
  26. ^ 税率アップでイギリスは倹約経済へ
  27. ^ 税金や社会保険料を国民所得で割った割合
  28. ^ [2]
  29. ^ 法人所得に対する国税・地方税の合計や法人税、住民税、事業税など表面税率に基づく所定の算定式による総合的な税率
  30. ^ 二宮尊徳の経営学: 財政再建、組織改革を断行できるリーダーの条件,童門冬二,PHP研究所
  31. ^ 正々堂々と消費税導入を掲げて選挙に負けた男 あまりにも軽くなった政治家の言葉 | JBpress(日本ビジネスプレス)
  32. ^ 東京都々知事たちの曰(いわく)列伝麻生千晶公式サイト
  33. ^ もう失敗できない」都知事の間違えない選び方明大教授・元都副知事 青山佾
  34. ^ 高校無償化で「バラマキ教育」の競争が始まる
  35. ^ 老人医療無料化制度の形成 と国民医療費呉 世榮
  36. ^ 小児科 医師不足を加速させている小児医療費無料化政策に強く抗議し 条例の撤廃を求める・・・:医療経営財務協会ホームページ
  37. ^ 柏市議会議員 上橋泉 柏市政研究会 http://www16.plala.or.jp/kamihasi-izumi/kouki_kourei.htm
  38. ^ <1960~70年代>  キーワード:「“老人医療費無料化”がもたらしたもの」NHK
  39. ^ 「日本はスウェーデンになるべきか 」,高岡望 ,2010
  40. ^ 「欧州並み高福祉で国民低負担 日本の社会保障の限界 給付、25年度40兆円増 財源先送り困難」
  41. ^ [3]
  42. ^ [4]
  43. ^ [5]「佐藤優氏 消費税導入で日本の社会民主主義の矛盾が露わに」
  44. ^ 「小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける: これだけは知っておきたい ...」著:佐藤優井戸まさえ
  45. ^ https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171005-00000095-mai-pol
  46. ^ [6]
  47. ^ [7]
  48. ^ [8]
  49. ^ [9]
  50. ^ [10]
  51. ^ [11]
  52. ^ [12]
  53. ^ [13]
  54. ^ 世の中にこんなにある「二重課税」への疑問 | 国内経済”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社 (2018年5月19日). 2019年1月24日閲覧。

参考文献[編集]

  • 内野順雄「消費税」(『社会科学大事典 10』(鹿島研究所出版会、1975年) ISBN 978-4-306-09161-0)
  • 仙田左千夫「消費税」(『歴史学事典 1 交換と消費』(弘文堂、1994年) ISBN 978-4-335-21031-0)

関連項目[編集]