準特急

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準特急(じゅんとっきゅう)とは、日本私鉄における列車種別の一つである。

概要[編集]

2020年現在、日本の鉄道事業者では京王電鉄でのみ運転されている。かつては近畿日本鉄道小田急電鉄でも準特急という列車が運転されていた。

小田急電鉄が1959年に停車駅こそ変わらないものの通常の特急用車両に比べてランクが劣る車両を使用したことを理由の1つとして設定したことに始まる。

近畿日本鉄道でも1960年に設定され、こちらは車両の格差の他に停車駅を通常の特急より多く設定したことも理由の1つであった。

近鉄では5ヶ月足らずで特急に統合され、小田急においても本格的な特急車両を増備したことで1963年に特急に統合されたため、この種別は消滅し、長らく途絶えていた。このため、準特急には特急より停車駅を多く設定した停車駅の違いによるものと通常の特急形車両よりランクが劣る車両を使用したものがある。

2001年から京王電鉄で急行と通勤快速の速達化を目的に特急と急行の中間種別として設定された。同等の列車として「快速急行」という表記をする鉄道会社が大半であるため、「準特急」という種別が使用される例は少ない。なお、現在京王で運行している準特急には使用する車種を特に制限していない[1]

現在の運行会社[編集]

京王電鉄[編集]

2001年3月のダイヤ改定で、新宿駅 - 高尾山口駅間を運行していた急行(平日夕方は通勤快速)を速達化する目的で設定され[2]、当時の特急停車駅に加え分倍河原駅北野駅に停車していた。その後、2013年2月のダイヤ改定で高尾線の京王片倉駅山田駅狭間駅が停車駅に加わり、高尾線内においては下位種別である急行と停車駅で逆転現象が生じた。同時に運転が再開された特急は分倍河原駅と北野駅が停車駅に加わり、京王線内の特急と準特急の停車駅に差がなくなったため、準特急は全列車高尾山口駅発着となり京王八王子駅発着の準特急は特急に統合され消滅した[3]。しかし、2015年9月のダイヤ改正で笹塚駅千歳烏山駅が停車駅に加わり、再び京王線内にて特急と停車駅に差が生じることとなったため、京王八王子駅発着の列車が復活し、同時に相模原線でも運転を開始した[4]

相模原線の準特急運用に就く8000系電車 2017年 稲城
相模原線の準特急運用に就く8000系電車
2017年 稲城

過去の運行会社[編集]

小田急電鉄[編集]

小田急電鉄には1953年から運行していた料金不要の座席定員列車であるサービス急行を格上げする形で1959年から1963年まで、週末に特急を補完する列車として運転されており、後に設定される近鉄や京王の事例とは異なり、停車駅の違いよりも特急用車両の絶対数不足と車内設備の格差によるものであった[5]新宿駅 - 小田原駅間無停車で車両もセミクロスシート車である2320形電車及び特急から格下げ改造された2300形電車が使用された。なお、当該車両は準特急が運行されない平日には料金不要の一般列車に充当されていた[注 1]。これは、ロマンスカー NSE 3100形電車が特急に導入されロマンスカー SE 3000形電車と合わせ増発可能になったことにより、廃止された。

近畿日本鉄道[編集]

近畿日本鉄道においては、1960年1月20日ダイヤ変更にて主要駅に停車駅する準特急列車を設定したが、わずか5か月足らずの同年6月15日に特急に種別を統合し、種別名称としては廃止された[6][7][注 2]

設定当時の準特急には車両面でも10000系2250系6421系6431系といった、前述の小田急と同様にやや設備の劣る車両が使用された。

現在の近鉄特急では、旅客案内をはじめとして、一般には特急の種別を分けていないが[8][9]、この列車を内部では「乙特急」という[10]。また、「名阪ノンストップ特急」に代表される始発駅と終着駅との間をほとんど止まらない列車を「甲特急」といい[10]、準特急が運行されていた時代にはこれが特急であった。

参考文献[編集]

  • 交通新聞社 トラベルMOOK『京王電鉄の世界』
  • PHP研究所『京王電鉄のひみつ』
  • 交友社『鉄道ファン』2007年10月号 特集「列車種別バラエティ」

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ セミクロスシート車による有料特急列車はほかにも京成電鉄の「開運号」(スカイライナーの前身)において1967年から1973年までセミクロスシート車が使用された事例がある。
  2. ^ 準特急は当初名阪1往復と阪伊・名伊各5往復で開始(『鉄道ピクトリアル』1988年12月臨時増刊号(通巻505号)、145頁)。準特急の種別名称は、旅客営業上は特急に統合され、運転上も「乙特急」に改称された。同時に従来からある速達形の特急(この当時は名阪特急のみに設定)は運転上「甲特急」と称されるようになった。なお、速達形の特急が設定されていない場合は運転上も「特急」と呼称される。ただし「しまかぜ」と「青の交響曲」では「甲特急」・「乙特急」・「特急」の区分けとは別に「観光特急」と称している。この呼称は近鉄公式ホームページでも使用されている。

出典[編集]

  1. ^ 交通新聞社『トラベルMOOK 京王電鉄の世界』p 13
  2. ^ 3月27日(火) 京王線・井の頭線 ダイヤ改正インターネットアーカイブ) - 京王電鉄ニュースリリース 2001年2月22日
  3. ^ 京王ニュース2013年2月 No.697
  4. ^ 9月25日(金)に 京王線・井の頭線のダイヤ改正を実施します ~都心方面へのアクセス強化など利便性向上を図ります~ (PDF) - 京王電鉄、2015年8月26日、2015年8月26日閲覧。
  5. ^ 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』No.649 p.57
  6. ^ JTBパブリッシング 田淵仁『近鉄特急 上』p.117
  7. ^ 寺本光照「近鉄の列車運転アラカルト」『鉄道ピクトリアル』第954号、電気車研究会、2018年12月、 128 - 141頁。
  8. ^ 路線図(大阪線・山田線・鳥羽線・志摩線・信貴線・西信貴ケーブル) - 近畿日本鉄道
  9. ^ 路線図(名古屋線・湯の山線・鈴鹿線) - 近畿日本鉄道
  10. ^ a b 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』No.433 p.31

関連項目[編集]