調理

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調理(ちょうり、: cuisson: cooking)とは、食品材料(食材)を洗う、切るなどして、さらに煮る焼く炒めるなどの操作をほどこし、食べやすく、またも良くすることや、その技術のこと[1]。「料理する」という場合の「料理」は、調理よりも広義である(下で説明)。本記事では調理すること、および料理することの両方を扱う。

概要[編集]

調理とは食材を洗う、切るなどして、さらに煮る、焼く、炒めるなどの操作をほどこし、食べやすく、また味も良くすることである。「調理」は味作りの技術面に限定される用語である。「料理」のほうは、やや広義で、食事計画を立て、(食材を確保し、調理操作を行い)食卓上の料理を構成するまでの過程全体を指す。[1]

調理は長い歴史を持ち歴史とともに変化してきた。 調理は各家庭においても行われている。また料理店などの調理場において職業的調理者によっても行われている。

調理で用いられる様々な手法や技法は、調理法、調理技術と呼ばれる。

調理に用いる道具を調理器具と言う。キッチンナイフ包丁)類、類、熱源などが基本中の基本である。 調理をする人は広く「調理者」や「調理人」と言う。

家庭では母が娘に(また父が息子に、祖母が孫娘に)調理法を教えることで、家庭ごとの調理法や「味」が次世代に継承されている。 家庭で教わる機会を得られなかった人のために、調理のための教室(「クッキング教室」)なども開催されている。

料理店では職業的な調理者、プロの調理者が調理を行っているわけだが、 職業的に調理を行う人はフランス語では「cuisinier キュイジニエ」と言い、その中でも調理場でキュイジニエたちを統率する料理長(調理場の最高責任者)を「chef シェフ」と言う(「シェフ」は本来は調理に限らず様々な分野で、広く人々に命令し、決定的な影響を与える人物のこと。調理場でその役割を果たすので「シェフ」と呼ばれるようになった。)。英語では「コック」、日本語では和食の調理人は「板前」などと呼ばれ、日本でもフランス料理の調理人は「シェフ」や「キュイジニエ」などと呼ぶ。 プロの調理人を養成するための学校もある。

調理は技術であり、また特に高度なものは芸術の一種と捉えられることもある。絵画芸術では芸術家による作品は絵画作品であり、創り出された作品そのものが形として後世にまで残るが、調理の場合は、作品は料理でありお客(食べる人)の前に出され、食べられ、形(物体)としては無くなる、という特徴がある。ただし、レシピという形では残り、シェフが開発した優れたレシピは時代を超えた価値を持ち続けている。

なお世界の一般論として言えば、調理に資格は一切必要ない。[2] 世界的に見て、料理店などの調理場で調理するのにも免許は必要ない。日本では1958年の調理師法の公布により「調理師」が都道府県知事の免許制として一応法制化されたが、それでも飲食店においても調理は調理師免許を持っていなくても行うことができる。ただ料理店に対して調理師を置くことを「努力義務」としただけで、調理師がいなくても特にとがめられるわけではない。[3]

調理については学問的な研究も行われており、栄養味覚などについて自然科学的アプローチを行う「調理科学」や、歴史の変遷を追う「調理史」などがある。

効果[編集]

殺菌、無毒化[編集]

そのままでは食べられないものを、加熱により食べられるものへと変化させることができる。加熱することで有害な病原菌が殺菌され、有毒なタンパク質は変質され無毒化される。

また毒のある部位を取り除くことで危険性を低減する。(フグの卵巣除去等)。

栄養の利用(消化吸収)効率の向上[編集]

切る、刻む、すり潰すなどの操作は歯と顎による咀嚼よりも効率的に食物を消化吸収に適した形状に加工することを可能とした。また、加熱によりタンパク質が変質し消化吸収されやすくなる。

ただし、ビタミンは調理中に失われてしまうものもある。

食味の向上[編集]


人類史における意義[編集]

人類は火を使い食物を加熱することで食べられないものを食べられるようにし、消化吸収のコストを激的に低減した。それにより大量のエネルギー余剰が生まれ、それが脳の発達の一因となったという見方が存在する[4]


調理器具[編集]

  • 調理器具の一覧英語版 も参照。
熱源
加熱容器
切る
  • パイカッター - 焼き上がったパイを切り分けるのに用いる。
  • ジャカード - ステーキとんかつなどの肉料理の下拵え時に、生肉に穴を開けて繊維を切断し、柔らかくするのに用いる。
砕く
擦る、すりおろす
潰す、すり潰す
挽く
  • 肉挽き機(ミンチ機、ミンサー(ミッチャー))
割る
混ぜる
ふるう
  • (ふるい)
  • シフター
漉す
叩く、伸ばす
塗る
  • 刷毛 - タレを塗ったり、製菓などの際に卵黄やシロップを塗るのに用いる。
  • パレットナイフ - 製菓用
  • 油引き
整える
量る、測る
その他
  • ジャーレン - 中華鍋から揚げ物などを一度に取り出すための穴あきの道具
  • スケッパー - 焼く前のパイ生地を混ぜたり切り分けるのに用いる
  • オメガヴィスペン - スウェーデン発祥の万能調理器具で、調理の際の様々な動作に合わせる形で作られている
  • パスタメーカー(パスタマシン) - パスタ生地を伸ばしながら切る器具

脚注[編集]

  1. ^ a b 小学館『日本大百科全書』「調理」
  2. ^ 注 - 調理は自由である、としておかなければ、自分や家族のために調理して栄養をとり生き延びることすらできなくなってしまうので、そうなっている。生きる基本である「呼吸」することに対して資格試験をまず受けさせて合格しないと呼吸させない、などとは設定しない、設定してはいけない、というのと同じことである。また友人・知人などを家庭に招いて調理して もてなしたりすることすらもできないような、不便きわまり世界になってしまうので、調理に資格者限定は行われない。
  3. ^ なお調理の仕事は、資格が必要無いからといって、誰でも簡単に続けられるようなものではなく、客(お客の味覚、お客の厳しい判断)に認められて ようやく続けられる仕事である。世界的に見て、プロの調理人としてやってゆく場合、調理場で実践的に働くことを相当年数続けること(たとえば調理場の脇役的な作業から初めて、少しづつ下準備的な、食材に触れること、食材を切ることなどを許され、長い年月の末に味の最終調整にも関与するようになること)は一定の評価の対象となっており、その中でも、特に名の知れた腕の良い調理人のいる調理場で厳しい修行を積み その優れた技術体系を総合的に会得することは調理人のキャリア形成で有利に働き、一種の「財産」「資産」のような役割を果たす。
  4. ^ 火の賜物―ヒトは料理で進化した. NTT出版. 

参考文献[編集]

  • 島田敦子、今井悦子編著『調理とおいしさの科学』(放送大学教材、1998年3月)

関連項目[編集]